薬剤師の転職でお祝い金をくれるサイトを探しているなら、先に答えを書きます。転職エージェントや求人サイトからのお祝い金は、今は原則もらえません。
エージェント(職業紹介事業者)は2021年4月から、求人サイト(募集情報等提供事業者)は2025年4月から、職業安定法の指針でお祝い金による勧誘が原則禁止になりました。
ただ、採用する薬局が自社で出す「入社祝い金」は、この規制とは別の話です。今も求人票で見かけるのはこちらです。
僕は地方の調剤薬局で管理薬剤師をしている、たろうです。転職は3回、うち2回は失敗しました。今は欠員が出たときに求人を出す側で、応募者の一次面接もしています。
この記事では規制の中身を厚労省の資料で確かめたうえで、入社祝い金つき求人の見方と、お祝い金より効いた年収交渉の話まで書きます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師転職のお祝い金は今もらえる?【結論】
2026年の今、転職エージェントや求人サイトが「転職したら◯万円」と配るお祝い金は、原則もらえません。もらえるかどうかは「誰が出すお金か」で決まります。
| 出すのは誰? | いつから | 今の扱い |
|---|---|---|
| 転職 エージェント | 2021年4月 | 原則禁止 |
| 求人サイト | 2025年4月 | 原則禁止 |
| 採用する 薬局・病院 | - | この規制の 対象外 |
昔は薬剤師の求人サイトにも「転職祝い金」のバナーがよくありました。その記憶で探している人が多いと思いますが、仲介する業者から受け取る道は、ほぼふさがったと考えてください。
悩む男性え、じゃあ得する方法はもうないってことですか…?



いえ、お祝い金より額が大きいのは年収交渉です。薬局が出す入社祝い金の見方と合わせて、順に書きますね。
なぜ薬剤師のお祝い金は消えたのか
根拠は職業安定法に基づく指針(平成11年労働省告示第141号)です。薬剤師に限らず、職業紹介や求人サイトを使う全ての転職が対象で、2段階で広がりました。
2021年、まずエージェント型が禁止
最初は2021年4月1日です。職業紹介事業者、いわゆる転職エージェントが対象でした。
指針には、お祝い金などの名目で、社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供し、求職の申込みを勧めてはならないと書かれています。求職者を集めるなら、紹介の質を上げてそれを訴えるべき、という考え方です。
2025年1月からは、この禁止が職業紹介事業の許可条件にも加わりました。同時に、紹介で無期雇用に就いた人へ、就職から2年間は転職を勧めないことも許可条件になっています。
出典:厚生労働省「就職お祝い金などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました」、職業紹介事業の許可条件が追加されます(PDF)
2025年、求人サイト型にも拡大
2021年の時点では、求人サイト(募集情報等提供事業者)は対象外でした。「エージェントはダメでも、求人サイトならお祝い金あり」という時期があったのはこのためです。
2025年4月1日からは、求人サイトも金銭やギフト券などの提供が原則禁止になりました。ポイントの付与も、お金と同じように使えるので原則禁止の対象です。
厚労省の資料によると、背景は早期の離転職だけではありません。お祝い金ほしさに複数のサイトへ採用を報告する人がいて、採用した側が複数の業者から成功報酬を請求されるトラブルも起きていました。
出典:厚生労働省「職業安定法に基づく省令及び指針の一部改正」、募集情報等提供事業者の皆さまへ(PDF)
「お祝い金は全部違法」ではない
規制には「原則」がつきます。エージェントなら、面接に行く交通費の実費や軽い物品までは問題にならない、と厚労省の手引きに書かれています(職業紹介事業パンフレット(PDF))。
求人サイトなら、アンケートの抽選で少数に500円程度の電子ギフト券を渡す場合などが対象外の例です。ただし、サイトへの登録の見返りとして渡すものは除かれます。
もう一つの線引きが採用する薬局や病院が自社で出すお金です。この指針が縛っているのは仲介する業者なので、薬局の入社祝い金はこの規制の話ではありません。見方は後の章で書きます。
今も「お祝い金あり」を謳う薬剤師転職サービスの注意点
今でも「お祝い金あり」の文字を見かけることはあります。まず確かめたいのは、そのお金を誰が払うのかです。
- 払うのはサイトか薬局か
- 登録や採用報告が条件か
- 求人の中身が書かれているか
求人サイトに載っている「入社祝い金あり」が、掲載している薬局の制度なら、それは次の章の話です。サイトの運営会社が「登録したら」「採用を報告したら」お金を配るなら、2025年4月以降は原則禁止の形にあたります。
判断に迷う表示を見つけたら、都道府県労働局の需給調整事業課(室)が窓口です。連絡先は上の厚労省の資料に載っています。
規制とは別に、僕が気にするのはお金で人を集めようとする姿勢です。まともな担当なら、お金ではなく求人の中身と、職場の悪い面まで話してくれるかで勝負するはずだと思っています。
薬局の入社祝い金つき求人を見るときの確かめ方
採用する薬局が自社で入社祝い金を用意しているケースは、今もあります。自社のホームページから直接応募した人に限って出す、という薬局もあります。
もらえるなら、もらって損はありません。ただ、条件は薬局ごとにばらばらです。応募前か内定の段階で、次の点を聞いておくと安心です。
- いつ支払われるか
- 何か月の在籍が条件か
- 分割で払われるか
- 早く辞めたら返すのか
- 書面に書いてあるか
口頭の説明だけで決めず、労働条件通知書など手元に残る書面で確かめてください。支給の条件が書面にないと、あとで「聞いていた話と違う」となっても確かめようがありません。
それ以上に見てほしいのは、祝い金の額ではなく求人票に書かれていないことです。僕は今、欠員が出たときに求人を出す側にいます。
店から本部に上げるのは、欠員の理由・希望の時間帯・常勤かパートかの3点だけです。求人の文面は本部が作ります。
だから求人票には、店の事情が全部は載りません。祝い金をつけてでも人を集めたい理由があるのか、面接や見学で次の3つを聞いてみてください。
- 常勤の薬剤師は何人か
- 欠員の補充か増員か
- 前任者はいつ辞めたか
この3つは、僕が2回目の転職で聞かなかったことです。30歳で入った調剤薬局Cは人間関係が合わず、2ヶ月で辞めました。後で求人票を読み返すと、嘘は1行もありませんでした。足りなかったのは、書かれていないことを確かめる手間です。
長いあいだ「求人票に騙された」と人のせいにしていましたが、実際はドラッグストアを早く抜けたくて、職場見学の提案を自分から断っていました。祝い金のような目先の条件があると、同じ焦りが出やすいと思います。
「祝い金つきの内定」と「祝い金はないが条件のいい内定」で迷っている人向けに、給与と働き方を比べて返事を決める手順をnoteにまとめました。無料部分で内容と対象者を確認でき、本編は有料です。薬剤師の転職、内定に迷ったら|給与・働き方を比べて、返事を決める実践ガイド
薬剤師転職でお祝い金より効くのは年収交渉
お祝い金も入社祝い金も、受け取れるのは一度きりです。年収交渉で上がった分は、翌年以降の給与のベースになります。
僕は交渉で年収が50万上がった
3回目の転職で今の薬局に移ったとき、最初の提示は560万円でした。担当さんに間に入ってもらって、初年度610万円でまとまりました。差は50万円です。
仮にお祝い金が10万円あったとしても、一度きりです。交渉で上がった50万円は、今の610万円の土台になっています。額も続く年数も、比べものになりません。



50万!? しかも一度きりじゃないんですね。お祝い金で悩んでたのがバカらしくなってきました…。
交渉は自分でやらなくていい
「年収を上げてください」と自分で言うのは気が引けますよね。僕もそうでした。エージェント経由なら、担当さんが薬局側と条件をすり合わせてくれます。
面接する側に立った今思うのは、希望額に根拠があれば聞く側も検討しやすい、ということです。前職の年収や、できる業務(在宅・管理業務など)を担当さんに正直に伝えておくのが、交渉の材料になります。
自分でも準備したい人は、薬剤師の年収交渉のタイミングと伝え方にまとめています。
お祝い金がなくても損しない薬剤師転職サイトの選び方
お祝い金で選べなくなった今、何を基準にするか。僕が3回の転職で行き着いた軸は3つです。
- 担当者との相性がいいか
- 希望を外した求人が来ないか
- 職場の悪い面も教えてくれるか
3回目の転職で助かったのは、当時の担当さんが応募前に職場見学を入れてくれたことです。過去2回の失敗を恥を忍んで全部話したら、提案される求人も変わりました。
相性は運もあるので、1社に絞らず2社ほど並行して、合う担当を選ぶのが現実的です。合わなければ担当の変更を申し出てかまいません。登録の回し方は薬剤師の転職サイト複数登録のコツに書きました。
今申し込めるところでは、ファゲットが公式サイトで中小の調剤薬局・病院の求人を強みに挙げています。僕自身は使っていないので、特徴は公式の記載と調べた範囲で比較記事にまとめました。
薬剤師のお祝い金についてよくある質問
- 求人サイトの登録でギフト券がもらえるのは違反ですか?
2025年4月からは、求人サイトが登録の見返りとして金銭やギフト券、ポイントを渡すことは原則禁止です。アンケートの抽選で少数に500円程度を渡すものなど、厚労省が対象外と示している例もあります。判断に迷う場合は、都道府県労働局の需給調整事業課(室)に問い合わせられます。
- 薬局の入社祝い金は、すぐ辞めたら返すのですか?
薬局ごとに条件が違います。在籍◯か月後に支給、分割で支給、途中で辞めたら返還など、決め方はさまざまです。内定を受ける前に、支給の時期と条件を労働条件通知書などの書面で確かめてください。
- 入社祝い金をもらったら確定申告は必要ですか?
採用先から受け取るお金は、金額や性質によって課税の対象になり得ます。給与として源泉徴収されているかどうかで扱いが変わるので、支給元の会社か税務署に確認するのが確実です。
- ハローワーク経由ならお祝い金はもらえますか?
ハローワークがお祝い金を配る仕組みはありません。別の制度として、退職後に失業給付の受給資格の決定を受け、支給残日数が3分の1以上残っているうちに安定した職に就くと、条件によって雇用保険の再就職手当が出ます。在職中に次の職場を決めて移る場合は対象になりません。詳しくはハローワークインターネットサービスの就職促進給付で確認してください。
- エージェントは無料なのに、なぜお祝い金まで禁止なんですか?
エージェントが無料なのは、採用が決まると採用した側から手数料を受け取る仕組みだからです。お祝い金が禁止されたのは、お金を理由にした転職や早期の離職が、働く人にも採用する側にも良くない影響を与えると考えられたためです。無料であることと、お祝い金の規制は別の話です。
まとめ:薬剤師は祝い金を追うより、年収交渉で得する
- 仲介業者のお祝い金は原則なし
- 2021年と2025年に規制が拡大
- 薬局の入社祝い金は規制と別物
- 祝い金は条件を書面で確かめる
- 年収交渉なら差が毎年残る
お祝い金を探していたのは、少しでも損したくないからだと思います。その気持ちのまま見るなら、一度きりのお金より、提示額と職場の中身です。
僕は提示560万円を交渉で610万円にしてもらいました。求人票に書かれていないことを確かめ、年収は担当さんに交渉してもらう。この2つのほうが、お祝い金よりずっと大きな差になります。
担当さん選びから始めるなら、薬剤師転職エージェントのおすすめと比較を参考にしてください。









