薬剤師が年収を上げる方法は、大きく分けて6つです。上がる幅がいちばん大きいのは、給与水準の高い職場に移ること。今の職場に残るなら、管理薬剤師への昇格が堅実です。
ただ、上がる幅が大きい方法ほど、残業や人間関係で失うものも大きくなります。僕自身、年収を追って1回、焦って1回、転職に失敗しました。
こんにちは、薬剤師歴10年目・34歳・管理薬剤師のたろうです。新卒の調剤薬局Aでは、4年目で年収420万円でした。そこからDS併設調剤のBで550万円、2ヶ月で辞めたCで480万円と動き、今のDで初年度610万円になっています。
この記事では、まず厚生労働省の統計で自分の年収の位置を確かめます。そのうえで6つの方法を「向く人・上がる幅・リスク」で比べ、僕の実額も並べます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の年収の目安を年代・業態・地域で確かめる
上げ方を選ぶ前に、今の年収が相場のどこにあるかを見ておきます。低い理由が職場の給与水準なのか、年齢や経験なのかで、効く方法が変わるからです。
年代と経験年数の目安
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(職種・年齢階級・経験年数階級別)では、薬剤師全体の年収の目安は約571万円です。
月の所定内給与40.7万円の12か月分に、年間賞与82.4万円を足した額です。残業代は含まれていません。年齢ごとに見ると、次のとおりです。
| 年齢 | 年収の目安 |
|---|---|
| 25〜29歳 | 約467万 |
| 30〜34歳 | 約530万 |
| 35〜39歳 | 約582万 |
| 40〜44歳 | 約616万 |
| 45〜49歳 | 約643万 |
| 50〜54歳 | 約716万 |
経験年数で分けると、1〜4年で約493万円、5〜9年で約555万円、10〜14年で約600万円です。
僕の調剤薬局A時代は、4年目で420万円でした。地方の内科門前で、もともと統計より低い職場だったと思います。昇給のペースを考えると、同じ職場のままでは統計の線に届かない計算でした。
病院・薬局・管理薬剤師の差
賃金構造基本統計調査には、「病院」「調剤薬局」といった業態の区分がありません。そこで、病院と保険薬局の給与を集計している厚生労働省の第25回医療経済実態調査を見ます。
- 一般病院の薬剤師:約581万
- 保険薬局の薬剤師:約479万
- 薬局の管理薬剤師:約725万
どれも令和6年度の給料と賞与を足した額です。調査の方法が違うので、上の約571万円とは直接比べないでください。
薬局の管理薬剤師と一般の薬剤師の差は、約250万円あります。ただ、この差には年齢や経験の違いも入っていて、手当だけの差ではありません。僕の会社の管理薬剤師手当は、月3〜5万円です。
ドラッグストアや製薬企業については、同じ条件で比べられる公的な統計を見つけられませんでした。こちらは求人の提示額で比べるのが現実的です。
地域の差は一律ではない
「地方のほうが給料は高い」とよく言われます。同じ賃金構造基本統計調査の都道府県別の表(第3表)から、薬剤師が多い地域を並べるとこうなります。
| 都道府県 | 年収の目安 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 広島 | 約693万 | 41.7歳 |
| 愛知 | 約622万 | 36.4歳 |
| 東京 | 約572万 | 40.3歳 |
| 大阪 | 約547万 | 41.9歳 |
| 神奈川 | 約531万 | 37.3歳 |
| 北海道 | 約522万 | 40.0歳 |
| 福岡 | 約515万 | 40.5歳 |
都市部だから高い、地方だから高い、とは一概に言えません。平均年齢も県ごとに違いますし、人数の少ない県は年によって数字が動きます。
地域で上げたいなら、県の平均より「通える範囲の求人がいくら出しているか」を比べるほうが確かです。業態別の相場をもっと広く見たい人は、薬剤師の年収完全ガイドにまとめています。
薬剤師の年収が同じ職場で上がりにくい3つの理由
統計より低かった人も、平均並みの人も、「同じ職場で待っていても伸びない」と感じる理由はだいたい共通しています。
理由1:昇給の幅が小さい
調剤薬局A時代の僕の年収は、1年目約380万円、2年目約395万円、3年目約405万円、4年目420万円でした。基本給の昇給は1回あたり月5千〜1万円ほどで、4年で増えたのは40万円です。
薬局の売上は、調剤報酬と薬価で決まる部分が大きく、店の利益が急に伸びることはあまりありません。個人の頑張りが、給料に跳ね返りにくい構造です。
昇給が止まったときの考え方は薬剤師が昇給しないのは普通かに、構造の話は薬剤師の給料が上がらない根本的な理由に書いています。
理由2:役職の枠が少ない
管理薬剤師は、薬局ごとに1人置く決まりです。枠が空かなければ、何年待っても役職手当はつきません。
店舗を増やしている会社や、管理薬剤師の異動が多い会社のほうが、順番は回ってきやすいと思います。今の職場で枠が詰まっているなら、外に目を向けるほうが早い場合があります。
理由3:外の相場を知らない
今の職場の給与しか知らないと、その額が普通に見えてしまいます。上の統計と、同じ地域の求人の提示額を見比べるだけでも、自分の位置はかなり分かります。
原因ごとの対処は、薬剤師の給料が上がらない原因と対処法で整理しています。
管理薬剤師たろう4年目で「給料もスキルも頭打ちだ」と感じたのが、僕が最初に動いたきっかけでした。
薬剤師が年収を上げる6つの方法
上がる幅が大きい順に並べました。どれにも引き換えになるものがあるので、セットで見てください。
転職で給与レンジを変える
昇給は、その職場の給与レンジの中でしか起きません。レンジそのものが低いなら、移るのがいちばん早い方法です。
僕はCの480万円から、今のDで提示560万円、交渉後に初年度610万円になりました。一方で、年収だけを見て決めたBへの転職では、月45時間の残業を抱えています。
向いているのは、統計や近所の求人と比べて明らかに低い人です。リスクは、入ってみるまで雰囲気や実際の残業が分からないことです。
地方の中小薬局にいて、まず相場を知りたい人は、ファゲット薬剤師を見てみてもいいと思います。公式サイトでは、強みを中小の調剤薬局と病院の求人だと案内しています。僕自身は使っていないので、使い心地までは書けません。
ほかのサービスとの違いは、薬剤師転職エージェントのおすすめ比較で並べています。
DS・病院・企業に移る
業態が変わると、給与の決まり方も変わります。僕は調剤薬局Aの420万円から、DS併設調剤のBに移って550万円になりました。
その代わり、調剤のほかにOTCの接客やレジ、品出しまであり、閉店後の品出しで帰りは夜10時。月の残業は45時間でした。
向くのは、業務の幅が広がっても稼ぎたい時期の人です。リスクは、上がった分を残業と体力で払うことになりやすい点です。
病院は、上の医療経済実態調査では薬局より高めに出ています。ただ、当直や夜勤の有無など働き方も違うので、年収と一緒に確かめてください。
管理薬剤師になる
今の職場を変えずに上げるなら、管理薬剤師への昇格がいちばん堅実です。僕の会社では、管理薬剤師手当が月3〜5万円つきます。年にすると36〜60万円です。
引き換えに、発注・在庫・使用期限の管理、薬歴の監査、スタッフのシフトや採用面接、本部への数字の報告まで背負います。監査の前日は、今でも胃が痛くなります。
向くのは、店を任される経験を積みたい人です。リスクは責任の重さと、新人が辞めると自分のシフトが消えることです。手当の額は会社ごとに違うので、昇格前に給与規程で確かめてください。仕事の中身は管理薬剤師の仕事内容にまとめています。
提示額を交渉する
求人や内定で示された年収は、話し合いで動くことがあります。僕の場合、Dの提示は560万円でした。転職エージェントの担当に間に入ってもらい、初年度610万円で着地しています。
交渉のやり取りは担当が進めてくれたので、ここでは一般に根拠として使いやすいものを挙げます。
- 今の年収と手当の内訳
- 経験年数とできる業務
- 他社から出た提示額
向くのは、内定が出て条件を詰める段階の人です。リスクは、根拠のない上乗せを求めて話がこじれることです。進め方は薬剤師の年収交渉で詳しく書きました。
派遣・パートで時給を上げる
派遣やパートは時給で働くので、時間を増やせば収入が伸びます。育児や介護で、正社員のフルタイムが難しい時期にも選びやすい働き方です。
一方で、賞与や退職金がない契約も多く、年収で比べると正社員より下がることがあります。契約の更新や社会保険の条件も確かめてください。
派遣も含めて求人を見たい人は、MC-ファーマネットの公式サイトで、常勤・パートに加えて派遣や紹介予定派遣の求人も探せます。僕は使っていないので、担当の対応までは分かりません。派遣の働き方の良し悪しは派遣薬剤師のメリット・デメリットに書いています。
地域・在宅対応で選ぶ
薬剤師が集まりにくい地域では、提示額が高めに出る求人があります。ただ、上の表のとおり、県の平均で見ると差は一律ではありません。
在宅医療に対応している薬局では、仕事の幅が広がります。僕の今の職場Dも在宅対応がありますが、在宅に手当がつくかどうかは会社によって違います。
向くのは、通勤距離や転居に融通がきく人です。リスクは、通勤や住まいの負担が増えて、年収の差が消えてしまうことです。



全部やる必要はありません。自分に合う1〜2個で十分です。
薬剤師が年収を上げる方法を向く人・上がる幅・リスクで比較
6つの方法を1枚にまとめました。上がる幅は、僕の実額と会社の規程をもとにした目安で、職場や地域で大きく変わります。
方法別の比較表
| 方法 | 上がる幅 | 向く人 | 主なリスク |
|---|---|---|---|
| 転職 | 職場次第 (僕は+130万) | 相場より低い人 | 雰囲気・残業が読めない |
| 業態替え | 僕は+130万 (調剤→DS) | 業務が増えても稼ぎたい | 残業・OTC業務 |
| 管理薬剤師 | 手当 月3〜5万 | 店を任されたい | 監査・シフトの責任 |
| 年収交渉 | 僕は+50万 (提示から) | 内定が出た人 | 根拠がないとこじれる |
| 派遣・パート | 時給×時間 | 時間を選びたい | 賞与・退職金なし |
| 地域・在宅 | 求人ごとに差 | 通勤に融通がきく | 通勤の負担 |
認定資格は手当の規定次第
認定薬剤師などの資格は、手当がつく会社もあれば、つかない会社もあります。僕は今の職場で研修認定を取り、かかりつけ薬剤師として同意患者をピーク時約30名持っていました。それでも、僕の会社にはかかりつけの手当がありません。
資格は、年収を直接上げるものというより、仕事の幅と、次の転職で説明できる経験として考えるほうが実態に近いと思います。取る前に、給与規程に資格手当があるかを確かめてください。
手をつける順番
- 統計と求人で相場を知る
- 今の会社の規程を確かめる
- 交渉か転職かを決める
- 管理職・資格は長めに見る
相場を知らないまま動くと、提示額が高いのか低いのか判断できません。最初の2つはお金もかからず、今日からできます。
【たろうの実話】薬剤師の年収を480万→610万に上げた方法
ここからは僕の実額です。年収は上がったり下がったりしながら、今の610万円に着いています。
| 時期 | 職場 | 年収 |
|---|---|---|
| 24〜28歳 | 調剤薬局A | 約380→420万 |
| 28〜30歳 | DS併設調剤B | 550万 |
| 30歳 | 調剤薬局C | 480万 |
| 30歳〜 | 調剤薬局D | 初年度610万 |
DSで上がり、時間を失った
最初の転職は28歳でした。年収550万円に惹かれてBへ移りましたが、月45時間の残業で、お金を使う時間も体力も残りませんでした。
「何のために年収を上げたんだっけ」と思いながら、2年でBを離れています。
焦って480万に下げた
30歳で、DSを1日でも早く抜けたくて調剤薬局Cに移りました。年収は480万円に下げて、脱出を優先しています。
職場の空気は合わず、入社2ヶ月で退職しました。長いあいだ求人票のせいにしていましたが、本当は職場見学の提案を自分から断っていました。確かめなかったのは僕です。
交渉で610万に着地
3回目の転職では、選び方を3つ変えました。
- 条件より雰囲気を優先した
- 応募前に職場見学を入れた
- 過去2回の失敗を担当に話した
そのうえで決めたのが今のDです。提示は560万円で、担当に交渉してもらい初年度610万円になりました。どん底の480万円から見ると、130万円の差です。
入社2年目には管理薬剤師に昇格しました。残業が減って、長女の寝顔を見られる日が増えたのも、この転職のあとです。
振り返ると、年収が上がった一番の理由は交渉のテクニックではありません。条件だけで選ぶのをやめ、自分の目で職場を確かめたことでした。2回の失敗の詳しい話は自己紹介の記事に書いています。
薬剤師が年収を上げるときにやってはいけないNG
年収を上げようと動くときに、僕が実際にやってしまったことと、今は求人を出す側から見えていることを3つ挙げます。
NG1:年収だけで選ぶ
僕の1回目の失敗です。550万円という数字だけで決め、残業や業務の幅を確かめませんでした。
同じ年収でも、月の残業が少ない職場と45時間の職場では、時給にすると大きく違います。年収は、働く時間とセットで比べるのがおすすめです。
NG2:焦って見学を省く
2回目の失敗は、焦りが原因でした。今の職場がつらいほど「とにかく抜けたい」と気持ちが先に行きます。そういうときほど、職場見学を一度はさんでください。
今は管理薬剤師として、欠員が出たときの募集にも関わっています。うちの会社では求人原稿を作るのは本部で、店から上げるのは欠員の理由、希望する勤務時間帯、常勤かパートかの3点だけです。
上がってきた原稿を見て、「うちの残業はこんなに少なくない」と思ったこともあります。年収や残業の実際は、見学や面接で直接確かめるのが確実です。転職の進め方そのものは、薬剤師の転職ガイドにまとめています。
NG3:内訳を見ずに決める
同じ年収でも、中身によって翌年からの伸び方が変わります。内定が出たら、少なくとも次の点を書面で確かめてください。
- 基本給と手当の内訳
- 賞与の算定と支給月
- 残業代の扱い
- 昇給の幅と時期
固定残業代が含まれている場合は、何時間分なのかも見ておくと安心です。
複数の内定を条件で比べ、どこに返事をするか迷っている人向けに、noteで薬剤師の転職、内定に迷ったら|給与・働き方を比べて、返事を決める実践ガイドを書きました。どんな人向けかは無料部分で読めます。本編は有料なので、合いそうなときだけ進んでください。
薬剤師が年収を上げるなら何年目で動くべきか
統計では、経験1〜4年の約493万円から、5〜9年で約555万円、10〜14年で約600万円と上がっていきます。時期によって、取りやすい方法が変わります。
20代は経験の幅を作る
20代は、未経験の業態にも移りやすい時期です。ただ、僕のように年収だけで移ると、合わずに経験が途切れることがあります。
在宅や無菌調剤、病院での経験など、あとで説明できる経験を選んで積むほうが、30代の交渉材料になると思います。
30代は条件を取りにいく
30代は、経験を材料に年収と働き方の両方を取りにいける時期です。僕が今のDに移り、管理薬剤師になったのも30代でした。
家庭を持つ人も増えるので、家族との時間も条件に入れて選んでください。年収を追って時間をなくした経験があるので、ここは強くそう思います。
迷うなら相場だけ先に
すぐに転職しなくても構いません。統計と求人の提示額を見比べて自分の位置を知っておくだけでも、次の面談や昇給の話で使える材料になります。
エージェントに登録する場合も、「今すぐではなく情報収集です」と最初に伝えれば、急かされにくくなると思います。
僕はDSで2年働いてから動きました。もっと早く相場を知っていれば、と今でも思います。年次ごとの実額は薬剤師10年目の年収の記事にも書いています。
薬剤師の年収を上げる方法に関するよくある質問
- 年収を一気に上げる一番早い方法は?
-
給与水準の高い職場に移ることです。僕は業態を替えて420万円から550万円に、3回目の転職で480万円から初年度610万円になりました。ただ、上がる幅が大きいほど残業や業務の範囲も変わりやすいので、年収と働く時間をセットで比べてください。
- 管理薬剤師になると本当に年収は上がりますか?
-
手当がつく分は上がります。僕の会社の管理薬剤師手当は月3〜5万円です。医療経済実態調査では、保険薬局の管理薬剤師が約725万円、薬剤師が約479万円ですが、年齢や経験の差も含んだ数字です。
- 年収を上げるなら何歳までに動くべきですか?
-
決まった年齢はありません。統計では経験10〜14年で約600万円まで上がります。動くつもりがなくても、相場だけは早めに知っておくと、転職するかどうかを判断しやすくなります。
- 副業や掛け持ちで年収を上げられますか?
-
本業の就業規則で副業が認められていれば、派遣や単発で働く方法はあります。ただし管理薬剤師は、都道府県知事の許可がない限り、ほかの場所で薬事の実務に就けません(医薬品医療機器等法第7条第4項)。
- 薬剤師で年収1000万円は目指せますか?
-
統計では50〜54歳でも約716万円で、勤務薬剤師の平均からはかなり遠い額です。現実的なラインは薬剤師の年収1000万の記事で整理しています。
薬剤師が年収を上げる方法のまとめ
薬剤師の年収は、同じ職場で待つだけでは伸びにくいのが実情です。上げる方法は、転職・業態替え・管理薬剤師・交渉・派遣・地域の6つ。上がる幅が大きいほど、引き換えになるものも大きくなります。
僕は年収だけを追って1回、焦って1回失敗し、選び方を変えた3回目で610万円に着きました。数字と一緒に、残業と職場の雰囲気まで確かめてから決めてください。
- 統計の平均は約571万円
- 一番動くのは職場を変えること
- 残るなら管理薬剤師が堅実
- 提示額は交渉で動くことがある
- 年収だけで選ぶと失敗しやすい
相場を知る最初の一歩として、今申し込める転職エージェントの違いを比較記事にまとめました。



