薬剤師10年目の年収は、厚生労働省の統計で約555万〜600万円が目安です(残業代を除く)。10年目は経験年数でいうと満9年で、統計の区分がちょうど切り替わる年だからです。
僕(管理薬剤師たろう)は24歳で薬剤師になり、今34歳の10年目です。年収は610万円で、統計の目安とほぼ同じ位置にいます。
ただ、ここまでまっすぐ来たわけではありません。新卒の年収は約380万円で、転職は3回、そのうち2回は失敗しています。
この記事では、統計の数字と僕個人の数字を分けて並べます。年収610万円の手取りの試算、380万円からの推移、頭打ちを感じたときの動き方の順です。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師10年目の給料・年収は統計で約555万〜600万円
数字の出どころは、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(職種・年齢階級・経験年数階級別)です。薬剤師の欄を、経験年数ごとに読んでいきます。
経験年数別の年収
薬剤師の月の給与と賞与を、経験年数の区分ごとに並べました。年収の目安は「月の給与×12+年間賞与」で計算しています。
| 経験年数 | 月の給与 | 賞与 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 0年 | 32.8万 | 15.7万 | 約409万 |
| 1〜4年 | 35.1万 | 71.9万 | 約493万 |
| 5〜9年 | 39.3万 | 82.8万 | 約555万 |
| 10〜14年 | 42.1万 | 94.1万 | 約600万 |
| 15年以上 | 45.9万 | 96.5万 | 約647万 |
10年目は、薬剤師として働き始めて満9年の年です。統計では「5〜9年」の最後の年にあたり、翌年から「10〜14年」の区分に入ります。
そのため、10年目の目安は1つの数字ではなく約555万円から約600万円のあいだと読むのが実態に近いと思います。「10〜14年」の区分を35〜39歳に絞っても約596万円で、ほぼ同じ水準です。
読むときの注意が2つあります。
- 残業代は入っていない
- パート勤務は含まない
所定内給与は、毎月決まって出る給与から残業代などを引いた額です。残業の多い職場なら、実際の年収はこの表より上に出ます。対象は従業員10人以上の事業所で働くフルタイムの人です。
会社の規模で見た差
同じ調査は、企業の規模別にも集計しています。薬剤師・経験10〜14年を規模で分けると、次のとおりです。
| 企業規模 | 年収の目安 |
|---|---|
| 10〜99人 | 約667万 |
| 100〜999人 | 約614万 |
| 1,000人以上 | 約584万 |
経験1〜4年では大きい会社ほど高く出ていましたが、10〜14年では逆になっています。ただ、10〜99人の区分は集計の対象者が少なく、年によって数字がぶれやすいです。「大手なら高い」とは限らない、くらいの傾向として見てください。
この調査には「調剤薬局」「ドラッグストア」「病院」といった業態の区分がありません。業態の差は、次の章の僕の年収の動きが一つの材料になると思います。
同年代の会社員との差
10年目の薬剤師は、6年制を24歳で卒業していれば33〜34歳です。同じ調査で、30〜34歳の月の所定内給与を比べてみます。
- 薬剤師30〜34歳:38.1万円
- 全労働者30〜34歳:30.0万円
全労働者の数字は、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査の概況(性、年齢階級別賃金)の男女計です。月8万円ほど、薬剤師のほうが高いことになります。
一方で、統計の平均と個人の数字はかなり離れることがあります。僕の新卒1年目は約380万円で、統計の0年(約409万円)より低めでした。地方の内科門前の調剤薬局だったので、もともとの給与水準が高くなかったのだと思います。
今の年収が表より下でも、それだけで能力の評価とは言えません。地域や会社の給与水準、残業の有無で簡単に数十万円は動きます。
管理薬剤師たろう比べるときは、残業代を抜いた数字どうしで比べてくださいね。
薬剤師10年目の手取りはいくら?年収610万円で試算
年収が統計どおりでも、口座に入る額はかなり少なくなります。僕の年収610万円を例に、2026年度の保険料率で手取りを試算しました。僕の実際の明細の数字ではなく、条件を置いた計算です。
年収610万から引かれる額
試算の条件は、34歳・協会けんぽ加入・配偶者控除や扶養控除なし・住民税は前年も同じ年収、です。
| 項目 | 年額(試算) |
|---|---|
| 額面 | 610万 |
| 社会保険料 | 約90万 |
| 所得税 | 約16万 |
| 住民税 | 約31万 |
| 手取り | 約473万 |
引かれる中でいちばん重いのは、税金ではなく社会保険料の年約90万円です。本人負担の率は合わせて額面の約15%になります。
- 厚生年金:9.15%
- 健康保険:約4.95%
- 子ども・子育て支援金:0.115%
- 雇用保険:0.5%
健康保険は協会けんぽの令和8年度の全国平均(9.9%)の半分で置いています。加入先の健保組合や都道府県で変わるので、ここは人によって数万円ずれます。雇用保険は令和8年度の料率(一般の事業)です。
配偶者控除が使える場合は、所得税と住民税が合わせて年7万円ほど下がり、手取りは約480万円になる計算です。40歳からは介護保険料も加わります。
月の手取りと賞与の手取り
毎月の手取りは、賞与をいくらと置くかで変わります。統計の10〜14年の賞与に近い年90万円と仮定すると、月の額面は約43万円です。
- 月の手取り:約33万円
- 賞与の手取り:年約70万円
賞与にも社会保険料と所得税がかかるので、額面の8割弱しか残りません。年の手取り473万円を12で割ると約39万円ですが、毎月の口座に入るのは33万円前後という計算です。
額面610万円のまま生活費や住宅ローンを組むとずれます。家計を考えるなら、月の手取りと賞与の手取りを分けて見ておくのが安全です。ほかの年収での手取りは薬剤師の手取り早見表に並べています。
薬剤師10年目・34歳の僕の年収は610万円|380万からの推移
ここからは統計ではなく、僕個人の10年分の年収です。統計の平均とは別物として読んでください。
| 年齢 | 職場 | 年収 |
|---|---|---|
| 24歳 | 調剤薬局A | 約380万 |
| 27歳 | 調剤薬局A | 420万 |
| 28歳 | DS併設の調剤B | 550万 |
| 30歳 | 調剤薬局C | 480万 |
| 30歳〜 | 調剤薬局D | 610万 |
調剤A時代:380万から4年で頭打ち
24歳で新卒入社したのは、内科クリニックの門前にある調剤薬局Aでした。初年度の年収は約380万円です。
そこから2年目395万・3年目405万・4年目420万と上がりました。ただ、基本給の昇給は1回あたり月5千〜1万円ほどで、年収は毎年10〜15万円ずつしか増えていません。
仕事は一通り一人で回せるようになり、給料もスキルもここで止まると感じたのが4年目です。僕はここで最初の転職を決めました。
仮にAに残っていたとして、同じペースが続けば10年目は500万円前後の計算です。統計の10年目の目安には届きません。これは試算で、実際にはAを4年で辞めています。
DS・C時代:年収の罠と黒歴史
28歳のとき、年収550万円に惹かれてドラッグストア併設の調剤Bへ移りました。額面は130万円上がっています。
でも調剤に加えてOTCの接客・レジ・品出しがあり、週の半分は遅番でした。閉店後の品出しで夜10時まで残り、残業は月45時間です。お金は増えたのに、使う時間も体力もありませんでした。
そこから早く抜けたくて、30歳で調剤薬局Cへ移りました。年収を480万円に下げてでも、脱出を優先したんです。
ところが職場の空気が合わず、出勤前に駐車場で車を停めたまま動けない朝が続きました。入社2ヶ月で退職です。結婚したばかりで、妻にもすぐには言えませんでした。
長いあいだ「求人票に騙された」と思っていました。でも本当は、DSを1日でも早く抜けたくて、職場見学を自分から断っていたんです。騙されたというより、確かめなかったのが失敗の原因でした。



焦って決めた転職は、本当にろくなことになりませんでした。
現職D:610万に上げた10年目の今
3回目は「次こそ失敗できない」と腹を括って、転職エージェント経由で動きました。条件で選ぶのをやめ、職場見学を必ず入れ、担当に過去2回の失敗を全部話しています。
たどり着いたのが、在宅対応もある今の調剤薬局Dです。提示は560万円でしたが、交渉して初年度610万円になりました。2年目で管理薬剤師に昇格し、今もこの職場で働いています。
管理薬剤師は楽ではありません。監査の前日は胃が痛いし、自分の調剤を止めて卸や本部の電話に走る日もあります。新人が辞めれば、自分のシフトが消えます。
それでも残業が減って、長女の寝顔を見られる日が増えました。DS時代より年収は高く、働く時間は短い。10年目でようやく、年収と時間の釣り合いが取れたと感じています。
薬剤師10年目で年収が頭打ちと感じたら?昇給・手当・転職で差がつくポイント
10年目は、同じ職場にいると昇給が緩やかになりやすい時期です。年収を動かす道は、大きく分けて次の3つです。
- 今の職場で昇給・昇格を狙う
- 管理薬剤師の手当を取りにいく
- 転職で職場ごと変える
昇給を待つか見切るか
まず、今の職場で5年後にいくらになっているかを計算してみてください。給与規程の昇給幅と、賞与が何か月分かが分かれば出せます。
たとえば昇給が1回月1万円なら、月給だけで年12万円です。賞与が基本給に連動していれば、そこに少し上乗せされます。5年で60〜80万円前後の伸びなら、統計の15年以上の目安(約647万円)に届くかどうかが見えてきます。
その額に納得できるなら、人間関係や働きやすさを優先して残るのも十分ありです。納得できないなら、昇給を待つより別の道を考える時期だと思います。昇給が止まる理由は薬剤師の昇給しない理由で詳しく書いています。
管理薬剤師という選択肢
職場を変えずに上げるなら、管理薬剤師への昇格がいちばん効きます。手当の額は会社で決まっていて、僕の今の職場では月3〜5万円です。年にすると36〜60万円になります。
その分、発注・在庫・使用期限の管理から、スタッフのシフト、採用の一次面接、本部への数字の報告まで背負います。手当に見合うと思えるかは、正直に考えてほしいところです。仕事の中身は管理薬剤師の仕事内容にまとめています。
2〜3年後の年収がどのあたりになるか、先の数字を見ておきたいなら36歳時点の年収を業態・管理薬剤師の有無別に試算した記事も参考になります。
転職で動くときの判断軸
今の職場の給与レンジそのものが低いなら、転職で職場ごと変えるのがいちばん大きく動きます。僕も420万円から550万円、480万円から610万円と、年収が大きく動いたのは転職のときでした。
ただ、550万円のときは残業が月45時間です。年収を比べるときは、その額を何時間働いて得るのかをセットで見てください。提示額の上げ方は薬剤師の年収交渉に書いています。
今の年収が統計より低くて、まず相場を知りたいという段階なら、転職サービスに相談して求人の給与を見てみるのも一つの手です。たとえばファゲット薬剤師は、中小の調剤薬局や病院の求人に強いと公式サイトで案内している転職サービスです。僕自身は使っていませんが、相談は無料と書かれています。
ほかのサービスとの違いは、薬剤師転職エージェントのおすすめ比較で並べています。
求人票に書かれない3点
年収の高い求人を見つけたら、応募の前に確かめてほしいことがあります。僕は今、管理薬剤師として欠員募集を出す側も経験しています。求人の原稿を作るのは本部で、店から上げるのは欠員の理由・希望する勤務時間帯・常勤かパートかの3点だけでした。
2ヶ月で辞めた調剤薬局Cの求人票も、後から読み返すと嘘は書かれていませんでした。足りなかったのは、書かれていなかった情報です。
- 常勤の薬剤師は何人か
- 欠員補充か増員か
- 前任者はいつ辞めたか
この3つは、職場見学や面接で直接聞けます。年収が高い理由が人手不足と残業にあるのかどうか、ここでかなり見えてきます。
ちなみに、新人のころの年収は薬剤師1年目の給料の話に、480万円から610万円に上げた年のことは薬剤師7年目の年収の話に書いています。
薬剤師10年目の年収についてよくある質問
- 薬剤師10年目の年収は600万あれば多い方ですか?
統計の目安(経験10〜14年で約600万円・残業代を除く)とほぼ同じ位置です。同年代の労働者全体と比べると、月の給与で8万円ほど高い水準になります。僕も今610万円ですが、残業の多さや役職で中身は変わるので、時間とセットで見るのがおすすめです。
- 10年目なのに年収が500万くらいです。低すぎますか?
統計の目安よりは低めですが、地域や会社の給与水準で数十万円は簡単に動きます。僕も新卒1年目は約380万円で、統計の0年(約409万円)より低めでした。まずは給与規程で、この先どこまで上がるかを確かめてみてください。
- 10年目で年収の昇給が止まったのはなぜですか?
昇給は職場の給与レンジの中でしか起きないので、レンジの上のほうに来ると伸びが小さくなります。僕の新卒の職場では、昇給が1回月5千〜1万円ほどで、4年目で頭打ちを感じました。役職に就くか、給与レンジの違う職場に移るかが分かれ目です。
- 年収610万だと手取りはいくらくらいですか?
34歳・配偶者控除なし・協会けんぽで試算すると、年の手取りは約473万円です。賞与を年90万円と置くと、月の手取りは約33万円になります。いちばん重いのは社会保険料の年約90万円です。
- 管理薬剤師になると年収はどれくらい上がりますか?
手当の額は会社で決まります。僕の今の職場では月3〜5万円で、年にすると36〜60万円です。発注や在庫、シフト、採用の一次面接まで背負うので、手当に見合うかは正直に考えた方がいいです。
- 10年目で転職すると年収は上がりますか?
上がることはあります。僕は転職で420万円から550万円、480万円から610万円に上がりました。ただ550万円のときは残業が月45時間だったので、年収の数字だけで決めると失敗します。
- ドラッグストアに移れば年収は上がりますか?
提示される額面は上がりやすいです。僕もDS併設の調剤で550万円でしたが、OTCの接客やレジ、品出しまであり、残業は月45時間でした。仕事の範囲と残業の実績を確かめてから決めてください。
- 今の職場に残るのと転職、どっちがいいですか?
5年後に昇給でいくらになるか計算してみて、その額に納得できるなら残る、できないなら動く、で僕は考えています。人間関係や働きやすさに満足しているなら、無理に動く必要はありません。
- 10年目の転職でまた失敗しないか不安です。
その不安は自然だと思います。僕は2回失敗しています。3回目で変えたのは「条件より職場の雰囲気を優先」「職場見学を必ず入れる」「担当に過去の失敗を正直に話す」の3つでした。
- 10年目から年収を上げる一番現実的な方法は?
今の職場で管理薬剤師などの役職を狙うか、転職で職場ごと変えるかの二択が現実的です。昇給待ちだけだと、動く幅は給与規程の範囲に限られます。僕は転職で480万円から610万円になったので、頭打ちを感じているなら一度比べてみる価値はあります。
まとめ:薬剤師10年目の年収は統計で約555万〜600万円
- 統計の目安は約555〜600万
- 同世代より月8万ほど高い
- 610万の手取りは年約473万
- 管理薬剤師手当は会社しだい
- 転職は時間とセットで比べる
薬剤師10年目の年収は、統計で約555万〜600万円(残業代を除く)が目安です。僕は34歳の10年目で610万円ですが、新卒の約380万円から、2回の失敗をはさんでここまで来ました。
額そのものより大事なのは、今の職場でこの先どこまで伸びるかと、その年収を何時間働いて得ているかです。給与規程の昇給幅、賞与の月数、役職手当を確かめると、自分の天井が見えてきます。
天井が低いと分かって職場を変えるなら、焦らず複数の求人を比べてください。サービスの選び方は薬剤師転職エージェントのおすすめ比較にまとめています。



