また異動の内示が出た。慣れた店をまた離れるのか、次は引っ越しを伴う転勤かもしれない…と気が重くなって、このページに来たんじゃないかなと思います。
先に答えを書きます。薬剤師の異動・転勤が多いかどうかは、勤め先の業態と、入社時に決まった「勤務地の範囲」でほぼ決まります。
就業規則に転勤の定めがあれば、会社は本人の同意なしに勤務地を決められるのが原則です。育児や介護の事情は配慮の対象になりますが、「嫌だから断る」は通りにくい。だから異動を減らしたいなら、勤務地を限定した働き方に移るのが一番確実です。
僕は地方の調剤薬局で管理薬剤師をしているたろう、34歳です。欠員が出たときに本部へ募集を上げる側でもあります。その立場から、異動が起きる仕組みと、転勤の少ない職場を求人票で見分ける方法まで書きます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の異動・転勤が多いのはなぜ?【業態で決まる】
薬剤師の異動が多いか少ないかは、勤め先が「どういう業態か」でだいたい決まります。
- 多い=大手チェーン・DSの正社員
- 少ない=中小・個人薬局
- 少ない=エリア限定社員・パート
なんで大手ほど異動が多くなるか。店舗網が広いぶん、どこかで欠員が出れば誰かを回して埋める必要があるからです。新店の開局や既存店の閉鎖でも人が動きます。
逆に店舗が1つか数店しかない中小や個人薬局は、そもそも回す先がない。だから異動という概念自体がほぼ存在しないんですよね。
言葉の整理もしておきます。この記事では、勤務する店が変わること全般を「異動」、そのうち引っ越しが必要になるものを「転勤」と呼びます。同じ市内の店へ移るのと、県外へ移るのとでは、生活への響き方がまるで違うからです。
焦る男性じゃあ大手にいる限り、異動は一生ついて回るってことですか…?



そうとも限らないです。大手でも勤務地を絞れる制度を持つ会社があるし、業態ごと変える手もあります。順番に見ていきましょう。
薬剤師の異動が多くなる職場の特徴
どういう職場だと異動が多くなるのか。自分の勤め先が当てはまるか、チェックしながら読んでみてください。
- 全国・広域に店舗を展開している
- 新規出店・閉店が多い
- 欠員をヘルプで回す文化がある
- 複数の病院を持つ法人・企業
ざっくり言うと、大手調剤チェーンとドラッグストアがここに当てはまりやすいです。理由を1つずつ見ていきます。
店舗網が広く、欠員補充で人が動く
一番大きいのがこれです。店舗が多いと、産休・退職・急な欠員がどこかで必ず発生します。
その穴を埋めるために、近隣店から人を動かす。店舗が多いほど、動かす人も動かす先も増えるので、必然的に異動が増えるわけです。
本人の希望と関係なく「あそこが人足りないから来月から」となるのは、この構造から来てます。個人の問題じゃないんですよね。
なお、配置換えまでいかない一時的な穴埋めとして、他店舗へ数日だけ入る形もよくあります。こちらは辞令ではなく口頭の打診で来るので、他店舗の応援(ヘルプ)を断れるかどうかは異動とは別の判断になります。
新規出店・閉店のたびに配置換え
拡大中のチェーンは新店を次々開けます。開局のたびに人が要るので、既存店から引っ張ってくる。
逆に、門前のクリニックが閉じたり採算が合わなかったりで店をたたむこともあります。その店にいた人はどこか別の店へ、となります。
出店も閉店も会社の都合で決まるので、そこに配属されてる薬剤師は動かされる側になりやすいです。
「大手=全国転勤必須」ではない
ここは誤解しないでほしいところです。大手だからといって、全員がいきなり県外へ飛ばされるわけじゃありません。
大手の中には、入社時に「全国転勤あり」「エリア限定」「地域限定」のように転勤の範囲を選べる区分を設けている会社があります。
転勤の範囲が広い区分ほど、給与や昇進で優遇される傾向はあります。それでも「異動は嫌だけど大手の安定は欲しい」なら、限定の区分を選ぶという中間の道があるんです。制度の有無や給与差は会社ごとに違うので、求人ごとに確認してください。



大手はどこも転勤マストだと思い込んでました。区分を選べる会社もあるんですね…!
病院・製薬企業の転勤事情
転勤は薬局やドラッグストアだけの話ではありません。複数の病院を運営する法人では、病院間の異動が起こりえます。
製薬企業も、営業職のように全国の拠点へ配属される職種があります。病院や企業へ移れば転勤から逃げられる、とは限らないので、ここも求人ごとの確認が要ります。
薬剤師は転勤・異動の命令を断れるのか
一番気になるのはここだと思います。法律の専門家ではないので、厚生労働省の資料と法令で確かめた一般的な考え方だけ書きます。個別のケースで争うなら、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士に相談してください。
まず原則です。転勤に関する代表的な最高裁判例(東亜ペイント事件・1986年)では、勤務地を限定する合意がなく、就業規則などに転勤を命じられる定めがある場合、会社は本人の個別の同意なしに勤務場所を決められるとされています(厚生労働省「確かめよう労働条件」配置転換の裁判例)。
ただし、何でも命令できるわけではありません。同じ判例では、次のような場合は権利の濫用になるとされています。
- 業務上の必要性がない
- 不当な動機・目的がある
- 不利益が著しく大きい
3つめは、判例の言葉では「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」です。このハードルは低くありません。単に「通勤が遠くなる」「今の店が好き」という理由だけで拒否するのは難しい、と考えておいたほうが現実的です。
子育てや介護をしている場合は、もう1つ知っておきたい決まりがあります。育児・介護休業法26条は、転居を伴うような配置の変更で子の養育や家族の介護が難しくなる人がいるとき、会社にその状況への配慮を求めています(e-Gov法令検索「育児・介護休業法」)。
あくまで「配慮」なので、転勤させないことまでを会社に約束させるものではありません。それでも、事情は内示の前から上司や人事に具体的に伝えておくほうがいいです。知らない事情は配慮しようがないからです。
逆に、入社時に勤務地を限定する合意があれば話は変わります。その範囲の外への転勤は、会社の一存では決めにくくなります。だからこそ次の章の「勤務地を限定した働き方」と、後半の「求人票・労働条件通知書の確認」が大事になります。
- 就業規則の転勤の定め
- 自分の雇用区分と勤務地の範囲
- 労働条件通知書の就業場所
- 育児・介護の事情を伝えたか
薬剤師が頻繁な異動で消耗する現実
「異動くらい我慢すれば」と言う人もいるけど、受ける側の消耗はけっこう大きいです。
- 人間関係を毎回ゼロから作り直す
- 通勤時間・生活リズムが変わる
- 家庭や子育ての予定が崩れる
特に効くのが人間関係のリセットです。事務さんや門前の先生と呼吸が合ってきた頃に異動、を繰り返すと、地味に気力を削られます。店ごとに違う調剤の手順や薬歴の書き方に、毎回合わせ直す手間もあります。
通勤が変わるのも大きい。僕にも2歳の娘がいるので、片道の通勤が30分延びるだけで、朝夕の家の段取りが組み直しになるのは想像がつきます。
異動そのものより、生活が振り回されることのしんどさ。ここに疲れているなら、次の章からが役に立つと思います。
異動の少ない薬剤師の働き方
異動を減らすには、異動の少ない業態や雇用形態を選ぶのが一番確実です。
- 中小・個人の調剤薬局
- 大手のエリア限定正社員
- パート・時短勤務
それぞれ向き不向きがあるので、順番に説明します。
中小・個人薬局は異動がほぼない
1店舗しかない個人薬局や、数店だけの中小なら、そもそも異動する先がほとんどありません。ずっと同じ店、が普通です。
弱いところも書いておくと、大手より教育体制や福利厚生が手薄なことはあります。社長や院長との相性もダイレクトに効きます。
ここは見学で確かめたいところです。僕は2回目の転職で職場見学をせずに決めて、2ヶ月で辞めました。逃げ場のない小さな職場ほど、入る前に空気を見ておく価値があります。
エリア限定正社員という中間の道
大手の安定は欲しいけど遠方転勤は無理、という人に合うのがこれです。勤務地を一定の範囲に限定した正社員の区分ですね。
異動が自宅から通える範囲に限られるので、引っ越しを伴う転勤は避けられます。同じエリア内での店舗移動はあり得るけど、生活の土台は守れる。
正社員のまま福利厚生も残せるので、パートまで下げたくない人には現実的です。今の会社にこの区分があるなら、転職の前に区分の変更を相談できるかも確認してみてください。
ちなみに配偶者の転勤などで自分の生活拠点ごと動く話は、また別のテーマです。そのケースは引っ越しを機に薬剤師が転職する話にまとめてます。
パート・時短なら基本その店だけ
パートや時短勤務は、採用された店で働く契約が一般的です。会社都合で遠くへ移される、ということは起きにくい働き方です。
ただし、契約書の就業場所に「当社の各店舗」のように書かれていれば、近くの店への応援はありえます。年収は正社員より下がり、賞与や退職金の扱いも変わります。
それでも「異動なし・時間も選べる」を最優先にしたい時期なら、十分アリな選択です。子育てや介護でしばらく生活を固定したい人には合いやすいと思います。
欠員募集を出す側の管理薬剤師から見た異動
ここで、僕の立場から見える話を少しだけ。僕は調剤薬局に4年、ドラッグストア併設の調剤に2年いて、いまの薬局で管理薬剤師をしています。
管理薬剤師になると、退職者が出たときの欠員募集に関わります。といっても求人原稿を書くのは本部で、店から上げるのは3つだけです。
- 欠員が出た理由
- 希望する勤務時間帯
- 常勤かパートか
求人を出してから人が決まるまでの間も、店は開けなければいけません。その間の穴を誰かが埋める必要があります。店舗の多い会社ほど、その手段として近隣店からの応援や異動が選ばれやすい、と僕は見ています。
つまり異動の多さは、欠員がどれくらい出る会社かとセットで考えたほうが見えやすいんです。辞める人が多い会社は、残った人が動かされる回数も増えます。
これは僕の失敗ともつながっています。2ヶ月で辞めた薬局の求人票には、あとで読み返すと嘘は1行もありませんでした。足りなかったのは、書かれていなかったことです。常勤が何人いるか、欠員補充か増員か、前任者がいつ辞めたか。
異動の多さも、求人票の表には出にくい情報です。だから次の章では、書かれていないことを聞き出す方法まで書きます。



異動の多さって、欠員の出やすさとつながってるんですね。聞き方を知りたいです。
薬剤師が「転勤なし」の職場を探すときの確認と伝え方
異動の少ない職場へ移るとき、つまずきやすいのは「転勤なし」の中身を確かめないまま決めてしまうことです。見る場所は3つあります。
求人票の「変更の範囲」を読む
2024年4月から、求人を出すときに「就業の場所の変更の範囲」を示すことが求められるようになりました(厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」)。
ここに「会社の定める店舗」のように広く書かれていれば、応援も異動も起こりえます。求人票のその欄をどう読むかは別記事に詳しく書きました。
面接で異動の実態を聞く
求人票だけでは頻度までは分かりません。面接や見学のときに、次のようなことを聞いておくと実態が見えます。
- 勤務地を限定する区分はあるか
- この店の常勤は何人か
- 今回は欠員補充か増員か
- 近隣店への応援はどのくらいか
一次面接をする側から言うと、こういう質問で印象が悪くなることはまずないと思います。長く働くつもりの人ほど聞く内容なので、むしろ確認してもらったほうが入職後のずれが減ります。
内定が出たら、労働条件通知書の就業場所の欄も必ず見てください。口頭で「転勤はないですよ」と言われても、書面の範囲が広ければそちらが基準になります。
エージェントには条件を具体的に
転職エージェントを使うなら、「転勤なしで探したい」と最初にはっきり言っていいです。よくある希望なので、引かれることはまずありません。
- 転勤なし・勤務地限定を最初に宣言
- 通える範囲を具体的な地名で
- なぜ異動を避けたいかも添える
濁すと、あとで「たまに近隣店ヘルプがあります」という求人を紹介されて、話が振り出しに戻ります。条件は数字と地名で具体的に出すのが早いです。
たとえば「自宅から車で30分以内・引っ越しを伴う転勤なし」まで言い切ると、外れた求人が来にくくなります。理由(子育て・介護・持ち家など)も添えると、担当者が優先度を理解してくれます。
地元でパートや派遣も含めて探したい人なら、MC-ファーマネットが候補になります。公式サイトでは、正社員・パート・派遣・紹介予定派遣の求人を扱っていると案内されています。僕自身は使っていないので、評判はMC-ファーマネットの口コミ・評判にまとめました。
今すぐ転職する気がなくても、面談だけ受けて「転勤なしだと自分にはどんな求人があるか」を見ておくのもアリです。今の会社に勤務地限定を相談するときの判断材料にもなります。
ほかのエージェントも比べたいなら、薬剤師転職エージェントのおすすめランキングにまとめています。
薬剤師の異動・転勤についてよくある質問
最後に、異動や転勤でよく検索されている疑問に答えておきます。
- 薬剤師は異動・転勤を断れますか?
勤務地を限定する合意がなく、就業規則などに転勤の定めがある場合、会社は本人の個別の同意なしに勤務地を決められるのが原則とされています。業務上の必要性がない場合や、不利益が著しく大きい場合などは権利の濫用になりえますが、ハードルは低くありません。育児・介護をしている人については、会社に状況への配慮が求められています(育児・介護休業法26条)。個別の事情は労働局の総合労働相談コーナーなどに相談してください。
- 異動と転勤の違いは?
この記事では、勤務する店が変わること全般を「異動」、そのうち引っ越しが必要になるものを「転勤」と呼んでいます。エリア限定の区分でも、同じエリア内での店舗異動はありえます。
- 転勤なしの薬剤師求人はありますか?
あります。中小・個人薬局は店舗が少ないぶん転勤が起きにくく、大手でもエリア限定・勤務地限定の区分を設けている会社があります。求人票の「就業の場所の変更の範囲」と、内定後の労働条件通知書で範囲を確認してください。
- 異動が多い会社の特徴は?
全国や広域に店舗を展開している大手チェーンやドラッグストアは、欠員補充や新店開局のために人を動かす機会が多く、異動が発生しやすい傾向があります。何年に何回といった頻度は会社や地域でまちまちなので、面接で常勤の人数や応援の頻度を具体的に聞いておくのがおすすめです。
- エリア限定正社員とはなんですか?
勤務できる地域をあらかじめ限定した正社員の区分です。自宅から通える範囲に店舗異動が限られ、引っ越しを伴う転勤がない代わりに、転勤範囲の広い区分より給与や昇進で差がつく場合があります。制度の有無や差の大きさは会社ごとに違います。
まとめ:薬剤師の転勤・異動は業態と勤務地の範囲で決まる
- 異動の多さは業態でほぼ決まる
- 大手・DSは欠員補充で人が動く
- 転勤命令は断りにくいのが原則
- 大手でも勤務地限定の区分がある
- 求人票の「変更の範囲」を確認
異動が多いのは、あなたの能力や我慢が足りないからじゃなくて、選んだ業態と雇用区分の結果です。命令を断るのは難しくても、次に選ぶ職場の条件は自分で決められます。
まずは今の就業規則と自分の雇用区分を確かめるところから。そのうえで動くなら、求人票の「変更の範囲」と面接での質問で、転勤の少なさを入る前に確かめてください。
あなたが、次の内示に振り回されずに済む働き方に近づけますように。






