20代薬剤師の年収は、厚生労働省の令和6年の統計で20〜24歳が約387万円、25〜29歳が約467万円です。どちらも残業代を除いた数字です。
20代前半がかなり低く見えるのは、この年代がほぼ新卒1年目で、賞与がまだ少ないからです。25〜29歳でも、経験1〜4年に絞ると約480万円になります。
管理薬剤師のたろうです。僕の20代は、地方の調剤薬局Aで約380万円から始まり、4年目で420万円でした。28歳でドラッグストア併設の調剤Bに移って550万円です。この記事では統計と僕の実額を分けて並べ、自分の年収を同じ条件で比べる手順までまとめます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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20代薬剤師の年収は統計で約387万〜467万円
元にしたのは、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査です。「月の所定内給与(残業代を除く)×12+年間賞与」で年収の目安を出しています。
20代前半は約387万
年齢ごとの数字を、30代前半まで並べました。
| 年齢 | 月の給与 | 年間賞与 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 32.2万 | 1.1万 | 約387万 |
| 25〜29歳 | 34.0万 | 59.5万 | 約467万 |
| 30〜34歳 | 38.1万 | 73.5万 | 約530万 |
出典:e-Stat 令和6年賃金構造基本統計調査(職種)第10表(薬剤師・男女計・企業規模10人以上)。月の給与は所定内給与額
6年制の薬学部を出ると、就職はふつう24歳です。そのため20〜24歳の欄は、ほぼ全員が経験0年の新卒になります。
月の給与は32.2万円と低くありません。年収が低く出るのは、1年目は賞与の対象期間が短く、年間賞与が約1万円しかないからです。
20代後半は約467万
25〜29歳には、新卒の人と数年働いた人が混ざっています。同じ25〜29歳を経験年数で分けると、差がはっきりします。
| 25〜29歳の経験 | 月の給与 | 年間賞与 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 0年 | 30.7万 | 18.8万 | 約387万 |
| 1〜4年 | 34.4万 | 67.7万 | 約480万 |
| 5〜9年 | 36.8万 | 71.5万 | 約513万 |
出典:同上(第10表・年齢階級×経験年数階級)
新卒からそのまま働いている20代後半なら、比べる相手は「1〜4年」の約480万円です。年齢を問わない経験1〜4年全体だと約493万円になります。
検索すると「20代後半は約500万」と書くサイトもあります。残業代を含む月給で計算すると、数字は高めに出ます。このサイトでは残業時間の差に左右されにくい、残業代を除いた計算にそろえています。
20代は男女差がほぼない
薬剤師全体では、男性が約618万円、女性が約531万円と約87万円の差があります。ところが20代後半に絞ると、差はほとんどありません。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約398万 | 約374万 |
| 25〜29歳 | 約466万 | 約468万 |
出典:e-Stat 令和6年賃金構造基本統計調査(職種)第7表(薬剤師・企業規模10人以上)。所定内給与額×12+年間賞与
20代前半は人数がかなり少ない区分なので、数字の差は参考程度に見てください。男女の差が開いてくるのは30代からです。年代ごとの男女差は薬剤師の年収ガイドにまとめています。
会社の規模で差が出る
同じ25〜29歳を、勤め先の会社の規模(従業員数)で分けた数字です。
| 会社の規模 | 25〜29歳 | 経験1〜4年(全年齢) |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 約470万 | 約507万 |
| 100〜999人 | 約488万 | 約492万 |
| 10〜99人 | 約399万 | 約432万 |
出典:同上(第10表・企業規模別)
従業員10〜99人の会社は、ほかより60〜90万円ほど低く出ています。数店舗の調剤薬局に勤めている20代なら、比べる相手はこの行のほうが近いかもしれません。小さい区分は人数が少なく年によってぶれるので、傾向として見てください。
同世代より月7〜9万高い
同じ調査で、全職種の労働者と月の所定内給与を比べました。
- 20〜24歳:薬剤師32.2万・全体23.3万
- 25〜29歳:薬剤師34.0万・全体26.7万
全体の数字は、厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況(性、年齢階級別賃金)の男女計です。月7〜9万円ほど、薬剤師のほうが高い計算です。
同い年の友人より額面が高いのは、統計のうえでも自然なことです。差を気にするなら、薬剤師どうしで差がつく職場の規模や業態のほうだと思います。
手取りは額面の8割弱
口座に入る額は、額面から社会保険料と税金を引いた残りです。社会保険料だけで額面の約15%かかるので、手取りは額面の8割を切るのがふつうです。
新卒1年目は前年の所得がないので、住民税がかかりません。2年目の6月から住民税が引かれ始め、額面が上がったのに手取りが減ることがあります。年収ごとの手取りは薬剤師の手取り早見表で確認できます。
20代の僕の年収は380万→550万|統計と比べた実額
ここからは統計ではなく、僕個人の20代の年収です。新卒で入ったのは、地方の内科クリニックの門前にある調剤薬局Aでした。
| 時期 | 職場 | 僕の年収 | 統計の目安 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 調剤A | 約380万 | 約387万 |
| 2年目 | 調剤A | 約395万 | 約480万 |
| 3年目 | 調剤A | 約405万 | 約480万 |
| 4年目 | 調剤A | 420万 | 約480万 |
| 28歳〜 | DS併設B | 550万 | 約467万 |
統計の目安は、1年目が20〜24歳、2〜4年目が25〜29歳・経験1〜4年、28歳以降が25〜29歳全体の数字です。
調剤Aの4年は統計より低い
1年目の約380万円は、統計の約387万円とほぼ同じです。差が開いたのは2年目からで、4年目の420万円は統計より60万円ほど低い位置でした。
原因は昇給の幅です。基本給の昇給は1回あたり月額5千〜1万円で、年収は毎年10〜15万円ずつしか増えませんでした。地方の門前薬局で、もともとの給与水準も高くなかったのだと思います。
統計より低い=自分の能力が低い、ではありません。会社の規模や給与規程で、数十万円は簡単に動きます。
4年目の420万で焦った
4年働いて、給料もスキルも頭打ちになった感覚がありました。同じペースで働き続けても、統計の5〜9年目(約555万円)に届くのはかなり先です。
今思えば、このとき確かめるべきは「今の職場で上に何があるか」でした。管理薬剤師のポストが空く見込み、昇給の規程、賞与の月数です。僕はそこを見ないまま、次の職場の額面だけを見て動きました。3年目・4年目の年収の細かい話は薬剤師3年目の年収に書いています。
550万は残業45時間込み
28歳で移ったドラッグストア併設の調剤Bは、年収550万円でした。420万円から130万円上がり、統計の25〜29歳(約467万円)も大きく上回っています。
ただ、Bは月の残業が45時間ありました。調剤に加えてOTCの接客、レジ、品出しがあり、週の半分は遅番です。閉店後の品出しで、夜10時に店を出る日も多くありました。
統計は残業代を除いた数字なので、残業込みの額と並べれば高く見えて当然です。額面は増えても、使う時間と体力が残らない働き方でした。これが僕の最初の転職の失敗です。
管理薬剤師たろう20代の僕に言うなら「額面の横に、残業時間と遅番の回数を書き出せ」です。
このあと30歳でもう一度焦って失敗し、今の調剤薬局Dで年収610万円・管理薬剤師に落ち着くまでの話は転職で2回やらかした僕の全話にまとめています。
20代薬剤師の年収を勤務先別に比べるときの注意点
ドラッグストア・調剤薬局・病院で20代の年収がいくら違うか、年齢を絞った公的な統計は見当たりませんでした。全年齢の数字なら、厚生労働省の第25回医療経済実態調査があります。
- 病院の薬剤師:約581万
- 薬局の一般薬剤師:約479万
- 薬局の管理薬剤師:約725万
これは全年齢の平均で、20代の相場ではありません。調査の方法も違うので、上の賃金構造の数字とは直接比べないでください。
DSは額面と残業をセットで
ドラッグストアだけを取り出した公的統計はありません。求人の提示額は高めに見えることが多いですが、僕のBのように残業や遅番とセットのことがあります。
比べるときは、提示年収に残業代が何時間分入っているかを確かめてください。OTCやレジ、品出しをどこまで担当するかも、求人票だけでは分からないことが多いです。
調剤薬局は規模で差が出る
調剤薬局は、大手チェーンから数店舗の会社まで幅があります。上の規模別の表のとおり、20代後半では小さい会社の数字が低く出ていました。
小さい薬局は、若いうちに管理薬剤師を任されることもあります。役職が付いたときの手当の額と、昇給の規程を面接で聞いておくと、5年後の年収が読みやすくなります。
病院は昇給の規程を見る
全年齢の平均では、病院の薬剤師は薬局の一般薬剤師より高く出ています。国公立の病院も含んだ数字で、当直や夜勤の有無は病院ごとに違います。
20代の初任給だけで比べると、判断を誤りやすいと思います。給与表や昇給の規程、夜勤・当直手当の有無まで並べると、長く働いたときの差が見えてきます。業態ごとの数字は薬剤師の年収ランキングでも整理しています。
20代薬剤師が自分の年収を統計と比べる手順
「自分は平均より低いのか」を確かめるなら、次の順で見ると同じ条件で比べられます。
- 源泉徴収票の支払金額を見る
- 1年分の残業代を引く
- 年齢の行と比べる
- 経験年数の行とも比べる
- 会社の規模の行も見る
統計は残業代を除いた数字なので、残業代を引かずに比べると自分の年収が高く見えます。残業代の合計は、毎月の明細の「時間外手当」などを1年分足せば出ます。
新卒1年目は賞与が少ないので、20〜24歳の約387万円と比べてください。2年目以降の20代なら、25〜29歳・経験1〜4年の約480万円が近い相手です。
それでも下回っていたら、会社の規模と地域を見ます。都道府県で平均がかなり違い、たとえば全年齢の平均で愛知は約622万円、福岡は約515万円です。30代以降の推移は薬剤師10年目の年収で見られます。
薬剤師が20代のうちに年収を上げる方法
20代で年収を上げる道は、大きく分けて3つです。今の職場で上がるのを待つ、役職を取る、職場を変える。僕は3つ目しか考えずに失敗しました。
昇給だけでは伸びが遅い
僕は調剤Aで4年働いて、380万円から420万円でした。4年で40万円の伸びです。
昇給の幅は会社しだいなので、まず給与規程で「1回の昇給額」と「賞与が何か月分か」を確かめてください。そこから5年後の年収を計算すると、今の職場で待つ価値があるかどうかが見えます。
管理薬剤師を目指す
職場を変えずに上げるなら、管理薬剤師への昇格がいちばん効きます。僕の今の職場では、管理薬剤師手当が月3〜5万円つきます。年にすると36〜60万円です。
そのぶん、在庫や監査、スタッフのシフトまで責任を持つことになります。仕事の中身は管理薬剤師の仕事内容に書いています。
業態を変える・転職で上げる
額面の上がり幅が大きいのは、職場を変えることです。僕も調剤AからDS併設のBに移って、年収が130万円上がりました。
ただ、上がった分の多くは残業と業務の広さの代わりでした。提示年収は、残業時間と業務範囲とセットで比べる。これだけは外さないでください。提示額の上げ方は薬剤師の年収交渉にまとめています。
焦らず職場を見てから動く
僕は28歳で額面に惹かれてBへ移り、30歳ではBを早く抜けたくて焦り、次の調剤薬局Cを2か月で辞めました。Cのときは職場見学の提案を、自分から断っていました。
3回目で今の職場に決めたときは、応募前に職場見学を入れ、雰囲気を自分の目で確かめました。いまは管理薬剤師として一次面接をする側ですが、求人票に書かれないことは多いと感じます。見学や面接では、次の3つを聞いておくと安心です。
- 常勤の薬剤師は何人か
- 欠員補充か増員か
- 前任者はいつ辞めたか
今の職場が地方の中小薬局で、統計より低いと感じているなら、まず相場を知るところからで十分です。たとえばファゲットは、公式サイトで中小の調剤薬局や病院の求人を強みとして案内している転職サービスです。僕自身は使っていませんが、相談は無料と書かれています。
ほかのサービスとも比べたい人は、薬剤師の転職エージェントおすすめランキングで違いを並べています。
20代薬剤師の年収に関するよくある質問
- 20代後半で年収600万を超えることはありますか?
-
統計の25〜29歳は約467万円なので、600万円はかなり上のほうです。僕は28歳で550万円でしたが、月45時間の残業込みでした。600万円台の求人を見たら、残業代と役職手当がいくら入っているかを確かめてください。
- 新卒1年目の手取りはどのくらいですか?
-
1年目は住民税がかからないので、額面に対する手取りの割合は2年目より高めです。2年目の6月から住民税が引かれ始めます。年収ごとの目安は手取り早見表にまとめています。
- 20代で男女の年収差はありますか?
-
令和6年の統計では、25〜29歳の男性が約466万円、女性が約468万円で、ほぼ同じです。薬剤師全体で見られる男女差は、30代から開いていきます。
- 20代のうちに転職するのは早いですか?
-
早すぎることはないと思います。3年ほど続けた職歴は、採用する側から見ても説明のいらない材料です。ただ、焦って決めると僕のように失敗しやすいので、職場を見てから決めてください。
- 出産後の時短勤務で年収は下がりますか?
-
3歳未満の子を育てる人は、育児・介護休業法にもとづいて1日原則6時間の短時間勤務を使えます。働く時間が減るぶん給与が下がるのが一般的ですが、計算の仕方は会社の規程しだいです。
20代薬剤師の年収のまとめ
- 20〜24歳は約387万
- 25〜29歳は約467万
- 経験1〜4年なら約480万
- 小さい会社は低めに出る
- 比べる前に残業代を引く
統計より低くても、会社の規模や地域で説明がつくことは多いです。僕の調剤A時代も、統計より60万円ほど低い位置にいました。
動くかどうかは、今の職場の昇給の規程と、次の職場の残業時間を並べてから決めても遅くありません。額面だけで決めた28歳の僕は、そこを飛ばしていました。



