薬剤師9年目の年収は、厚生労働省の統計でみると約555万円が目安です(経験5〜9年・残業代を除く)。30〜34歳に絞ると約540万円、月の手取りは30万円前後になります。
9年目は、昇給の幅が小さくなったと感じやすい時期です。「このまま40代になったら、どこで止まるんだろう」と給与明細を見ながら考えている人も多いと思います。
管理薬剤師のたろう(薬剤師歴10年目・34歳)です。僕の9年目(32歳)は、今の職場Dに入って3年目、管理薬剤師になって2年目の年で、年収は610万円でした。この記事では統計の数字と僕の実額を分けて並べ、手取りの内訳と、9年目から年収を上げる方法を整理します。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師9年目の給料・年収は統計で約555万円
数字の出どころは、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(職種・年齢階級・経験年数階級別)です。薬剤師の欄を経験年数ごとに見ると、次のとおりです。
| 経験年数 | 月の給与 | 賞与 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 1〜4年 | 35.1万 | 71.9万 | 約493万 |
| 5〜9年 | 39.3万 | 82.8万 | 約555万 |
| 10〜14年 | 42.1万 | 94.1万 | 約600万 |
統計の経験年数は満年数で数えます。9年目は満8年なので「5〜9年」の区分に入り、「10〜14年」の区分に入るのは11年目からです。年齢を30〜34歳に絞ると、経験5〜9年で約540万円でした。
読むときの注意が2つあります。
- 残業代は含まれていない
- 5〜9年目がまとめて入る
所定内給与は、毎月決まって出る給与から残業代などを除いた額です。残業の多い職場なら、実際の年収はこれより上に出ます。自分の年収と比べるときは、残業代を除いた額で比べてみてください。
会社の規模で見た9年目
同じ調査を企業の規模別に分けると、経験5〜9年の薬剤師はこうなります。
| 企業規模 | 年収の目安 |
|---|---|
| 10〜99人 | 約576万 |
| 100〜999人 | 約543万 |
| 1,000人以上 | 約557万 |
経験5〜9年では、会社の規模による差はほとんどありません。人数の少ない区分は年によってぶれやすいので、「大手なら高い」「小さい薬局なら低い」とは言い切れない、くらいに見てください。
なぜ9年目で伸びが止まるのか
統計の上でも、年収の伸びは経験とともに小さくなります。1〜4年から5〜9年で約62万円上がるのに対し、5〜9年から10〜14年では約45万円です。5年分の差なので、1年あたりにすると10万円に届きません。
職場の中で見ると、この傾向はもっとはっきりします。僕が新卒で入った調剤薬局Aの昇給は、1回あたり月5千〜1万円でした。年収にすると年6〜12万円(賞与を除く)です。決まった昇給の幅の中にいる限り、役職がつかなければ伸びは緩やかになります。
「自分だけ伸びていない」と感じても、能力の問題とは限りません。職場の給与の仕組みでそうなっていることが多いと思います。
管理薬剤師たろう9年目の伸び悩みは、たいてい給与の仕組みの問題です。
1つ前の年次の数字は薬剤師8年目の給料・年収にまとめています。
薬剤師9年目の手取りはいくら?額面555万円から引かれるお金
統計の約555万円を例に、実際に口座に入る額を概算します。32歳・独身・扶養なし・協会けんぽ加入の場合の目安です。住んでいる地域や加入している健康保険によって、数千円〜数万円変わります。
引かれるお金は大きく3つ
- 社会保険料:約79万円
- 所得税:約12万円
- 住民税:約28万円
合計で約120万円、年間の手取りは約435万円です。額面の8割弱が残ると覚えておくと、ざっくり計算できます。いちばん重いのは税金ではなく、健康保険・厚生年金・雇用保険を合わせた社会保険料です。
毎月の振込が少なく見える理由
統計の月の給与は39.3万円です。ここから社会保険料と税金を引くと、毎月の手取りは30万円前後になります。
年間の手取り435万円を12で割ると約36万円ですが、毎月の振込はそれより少なく見えます。差は賞与です。統計の賞与82.8万円は、手取りにすると年65万円前後で、夏と冬にまとめて入ります。
9年目の前後は、結婚や子どもの誕生で家計が変わる人も多い時期です。生活費は毎月の手取りを基準にして、賞与は別枠にしておくと、賞与が減った年にも慌てずに済みます。年収ごとの手取りは薬剤師の手取り早見表に並べています。
薬剤師9年目の年収は高い?同年代の平均と比べた立ち位置
「9年目で555万円」が高いか低いかは、比べる相手で答えが変わります。同年代の働く人全体と、業態・役職の2つで位置を見ておきます。
同年代より月8万円ほど高い
9年目の薬剤師は、6年制を24歳で卒業していれば32〜33歳です。同じ令和6年の調査で、30〜34歳の月の所定内給与を比べます。
- 薬剤師30〜34歳:38.1万円
- 全労働者30〜34歳:30.0万円
全労働者の数字は、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査の概況(性、年齢階級別賃金)の男女計です。月8万円ほど、薬剤師のほうが高いことになります。世間の物差しで見れば、9年目の年収は恵まれた位置です。
業態と役職で見た年収
賃金構造基本統計調査には、調剤薬局・ドラッグストア・病院といった業態の区分がありません。業態別の公的な数字としては、厚生労働省の第25回医療経済実態調査があります。常勤1人あたりの給料と賞与の平均です。
- 保険薬局の薬剤師:約479万円
- 保険薬局の管理薬剤師:約725万円
- 病院の薬剤師:約581万円
どれも年齢や経験年数を問わない平均なので、9年目の相場そのものではありません。それでも、薬局の中では役職がつくかどうかで大きな差があることは読み取れます。ドラッグストアは、この調査にも公的な区分がありません。
平均より上でも迷う理由
統計と比べて安心できる人もいれば、平均より上なのに迷い続ける人もいます。僕はDS併設の調剤薬局Bにいたころ、年収550万円で当時の同年代より高かったはずです。それでも月45時間の残業で、2年で離れました。
比較でわかるのは現在地だけです。この先に何を優先するか(年収、時間、役職の負担)は、統計では決まりません。次の章では、9年目の僕が実際にどんな働き方で、いくらもらっていたかを書きます。
【実体験】僕の薬剤師9年目(32歳)は管理薬剤師2年目で年収610万円
ここからは統計ではなく、僕個人の実額です。まず1年目からの流れを並べます。
| 年次(年齢) | 職場 | 年収 |
|---|---|---|
| 1年目(24歳) | 調剤薬局A | 約380万 |
| 4年目 | 調剤薬局A | 420万 |
| 5〜6年目(28〜29歳) | DS併設調剤B | 550万 |
| 7年目(30歳) | 調剤薬局C(2ヶ月) | 480万 |
| 7年目(30歳) | 調剤薬局D(初年度) | 610万 |
| 8年目 | D・管理薬剤師に昇格 | 610万 |
| 9年目(32歳) | D・管理薬剤師2年目 | 610万 |
9年目の610万円は、統計の約555万円より上です。ただ、この数字には管理薬剤師としての負担がついてきます。
610万円に届くまでの遠回り
新卒で入ったAの年収は、4年目でも420万円でした。28歳で、年収に惹かれてDS併設のBへ移り550万円。ただ仕事は調剤に加えてOTCの接客、レジ、品出しまであり、月の残業は45時間でした。
30歳で、DSを早く抜けたい一心で調剤薬局Cへ移りました。年収を480万円に下げてでも脱出を優先し、入社2ヶ月で辞めています。職場見学の提案を「日程が合わない」と自分で断っていたのが、いちばんの反省です。
そのあと職場見学を必ず入れて選んだのが、今の調剤薬局Dです。提示は560万円で、交渉して初年度610万円になりました。この遠回りの中身は薬剤師7年目の給料・年収に詳しく書いています。
管理薬剤師2年目に背負ったこと
Dに入って2年目に、管理薬剤師に昇格しました。手当は月3〜5万円です。その代わり、発注や在庫、使用期限の管理、薬歴の監査、スタッフのシフトや採用面接、本部への数字の報告までが仕事に加わりました。
9年目にあたる管理薬剤師2年目の年には、保険薬局の個別指導を1回経験しています。厚生局から通知が届いたのは実施日の約1か月前で、事前に出す書類づくりに土日2回分を使いました。前日に薬歴を全部直そうとして深夜まで残り、当日いちばん頭が回らなかったのが反省点です。
結果は文書での指摘が数点で、返還にはなりませんでした。手当の月3〜5万円は、こうした責任の分だと僕は受け止めています。監査の前日は今でも胃が痛いですし、新人が辞めると自分のシフトが消えます。
DS時代の550万円との違い
DS時代の550万円と9年目の610万円は、額面では60万円しか違いません。それでも中身はまったく別でした。
9年目の年に、長女が生まれました。残業が減って、長女の寝顔を見られる日が増えています。DS時代の働き方のままだったら、この時間はなかったと思います。
9年目の年収を考えるときは、額面と一緒に「その額をどんな働き方で得ているか」を並べてみてください。転職で2回失敗した話の全体は自己紹介の記事に書いています。
薬剤師9年目で年収を上げる現実的な3つの道|管理薬剤師・昇給・転職
「平均なのは分かった。でも、もう少し上げたい」という人に向けて、9年目から狙える道は大きく3つです。上がり幅もハードルも違うので、自分の状況に合うものから考えてみてください。
管理薬剤師手当で月3〜5万
職場を変えずに上げるなら、管理薬剤師への昇格がいちばん効きます。僕の職場の手当は月3〜5万円、年にすると36〜60万円です。
ただ、管理薬剤師の枠は店舗に1人です。先輩が長く務めている店では、9年目でも順番が回ってこないことがあります。上司に「次の管理薬剤師の予定はあるか」を聞いておくと、待つ価値があるか判断しやすくなります。仕事の中身は管理薬剤師の仕事内容にまとめています。
昇給交渉は期待しすぎない
今の職場で交渉する手もあります。ただ、給与テーブルが決まっている職場では、交渉だけで数十万円単位が動くことは少ないと思います。昇給は、その職場の給与レンジの中でしか起きないからです。
交渉するなら、担当している業務(在宅、教育係、かかりつけなど)を具体的に挙げて、評価の基準を聞くところから始めるのが現実的です。伝え方は薬剤師の年収交渉に書いています。
転職で給与レンジを変える
いちばん大きく動くのは、給与水準の高い職場へ移ることです。僕が610万円に届いたのも、職場を変えたからでした。
ただ、年収だけで選ぶと、DS時代の僕のように時間と体力を失います。年収と一緒に、残業時間と業務の範囲を必ず確かめてください。
転職すると決めていなくても、自分の経験で出せる相場を聞いておくと、今の職場に残るかどうかの判断材料になります。たとえばファゲット薬剤師は、中小の調剤薬局や病院の求人を強みとして公式サイトで案内している転職サービスです。僕自身は使っていませんが、相談は無料と書かれています。
ほかのサービスとの違いは、薬剤師転職エージェントのおすすめ比較で並べています。
薬剤師9年目で転職を考えたときに確かめたいこと
9年目は、実務経験を具体的に説明しやすい時期です。一方で、「動くなら今しかない」と焦って決めると、僕のように2ヶ月で辞めることにもなります。動く前に、次の3つを押さえておくと安心です。
求人票に書かれていない3点
2ヶ月で辞めたCの求人票は、あとで読み返しても嘘は書かれていませんでした。足りなかったのは、書かれていない情報です。
- 常勤の薬剤師は何人か
- 欠員補充か増員か
- 前任者はいつ辞めたか
今の僕は、管理薬剤師として求人を出す側でもあり、応募者の一次面接も担当しています。うちの会社では求人原稿を作るのは本部で、店から上げるのは欠員の理由、希望する勤務時間帯、常勤かパートかの3点だけです。上がってきた原稿を見て「うちの残業はこんなに少なくない」と思ったこともあります。
年収や残業の数字は、職場見学や面接で直接確かめるのがいちばん確実です。
賞与の在籍条件と支給日
賞与は、支給日に在籍していることを条件にしている会社があります。9年目の賞与は統計で年80万円を超え、年収の中で大きな割合を占めます。退職日を決める前に、就業規則や給与規程で支給日と条件を確認しておくと損をしにくいです。
今すぐ転職しなくていい
「年齢的に今が最後かも」という焦りは、僕にもよく分かります。ただ、統計では経験10〜14年の年収は約600万円で、9年目を過ぎても下がっていくわけではありません。
動くかどうかは別として、自分の経験で出せる相場だけは把握しておく。それだけでも、焦りから来る判断ミスはかなり防げると思います。転職の進め方は薬剤師の転職の進め方にまとめています。
薬剤師9年目の年収に関するよくある質問
- 薬剤師9年目の年収は平均でいくらですか?
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厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査で、薬剤師・経験5〜9年は月の所定内給与39.3万円、賞与82.8万円です。年収にすると約555万円で、残業代は含みません。30〜34歳に絞ると約540万円です。
- 9年目で年収550万円は低いですか?
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低くはありません。統計の約555万円とほぼ同じ水準です。統計は残業代を含まないので、比べるときは自分の年収からも残業代を除いてみてください。同じ30〜34歳の働く人全体と比べると、月の所定内給与で8万円ほど高い位置です。
- 年収555万円だと手取りはいくらですか?
-
32歳・独身・扶養なしの概算で、年間の手取りは約435万円です。社会保険料が約79万円、所得税が約12万円、住民税が約28万円引かれます。毎月の手取りは30万円前後で、残りは賞与としてまとめて入ります。
- なぜ9年目で昇給が止まるんですか?
-
職場の昇給の幅が決まっているからだと思います。昇給が1回あたり月5千〜1万円なら、年収では年6〜12万円しか増えません。統計でも、経験5〜9年と10〜14年の差は約45万円です。
- 10年目になれば年収は上がりますか?
-
統計の経験年数は満年数なので、10年目もまだ「5〜9年」の区分です。「10〜14年」の約600万円に入るのは11年目からです。同じ職場で役職が変わらなければ、年次が1つ上がっても大きくは変わらないことが多いです。
- 管理薬剤師になると年収はどれくらい上がりますか?
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僕の職場では管理薬剤師手当が月3〜5万円、年にすると36〜60万円です。枠は店舗に1人なので、空かなければ待つしかありません。発注や監査、個別指導の対応まで責任が増えるので、仕事の中身を知ってから目指すのがいいと思います。
- 9年目で転職しても年収は上がりますか?
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職場の給与レンジしだいで上がる余地はあります。僕は提示560万円を交渉して初年度610万円になりました。ただ年収だけで選ぶと働き方が崩れるので、残業時間や業務の範囲とセットで確かめてください。
- 9年目は転職に遅いですか?
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遅いとは思いません。9年目は実務経験を具体的に説明しやすい時期です。統計でも経験10〜14年の年収は約600万円で、9年目を過ぎて下がるわけではありません。年齢の焦りより、求人の中身を確かめることを優先してください。
- 転職でまた失敗しないか不安です。
-
その不安は大事にしてください。僕は年収を480万円まで下げて移った職場を、2ヶ月で辞めました。常勤の人数、欠員か増員か、前任者がいつ辞めたかを確かめ、職場見学で空気を見てから決めると失敗しにくくなります。
薬剤師9年目の給料・年収についてのまとめ
薬剤師9年目の年収は、統計で約555万円(経験5〜9年・残業代を除く)が目安です。手取りにすると年約435万円、月30万円前後になります。同年代の働く人全体より、月8万円ほど高い水準です。
9年目は昇給の伸びが小さくなり、役職や職場の選び方で差がつく時期です。僕の9年目は管理薬剤師2年目で年収610万円でしたが、その手前で年収を480万円まで下げる失敗も挟んでいます。
遠回りして分かったのは、焦らず、職場の雰囲気を自分の目で確かめ、担当には本音を全部話すことの大切さです。今の額に納得できないなら、まず相場と求人の中身を集めるところから始めてみてください。
前後の年次は8年目と10年目の記事に、30代後半の年収は36歳の薬剤師の年収に、年収の全体像は薬剤師の年収ガイドにまとめています。
転職で年収を上げるときにどのサービスを選ぶかは、比較記事にまとめています。



