薬剤師の第二新卒は、ざっくり卒業後3年以内を指します。6年制を24歳で出た人なら、27歳前後までです。法律で決まった定義はなく、転職市場での呼び方です。
第二新卒だから不利、ということはあまりありません。採用する側が気にするのは年数より、「うちに来ても、またすぐ辞めないか」の一点です。1年未満で辞める場合は、ここを少し慎重に見られます。
僕は今、管理薬剤師として応募者の一次面接をしています。自分も30歳のとき、入社2ヶ月で調剤薬局を辞めました。第二新卒の年齢ではありませんでしたが、「短い職歴をどう説明するか」で眠れなかった側でもあります。この記事では、面接する側から見た第二新卒の見られ方と、伝え方、辞めるときの手順までをまとめます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の第二新卒は何年目まで?定義と転職の実情
まず「自分は第二新卒に入るのか」と、「入るとして、転職で不利なのか」を整理します。数字は薬剤師だけのものが少ないので、出典と一緒に書きます。
第二新卒は何年目まで?
第二新卒に法律上の定義はありません。転職市場では「学校を卒業しておおむね3年以内」の若手を指すのが一般的です。
「3年」の目安には、国の指針も関係しています。厚生労働省の青少年雇用機会確保指針は、新卒採用の枠に、卒業後少なくとも3年間は応募できるよう努めることを会社に求めています(厚生労働省リーフレット)。
ただしこれは努力義務で、主に就職先が決まらないまま卒業した人を想定したものです。一度働いた人を新卒枠で受けるかどうかは、会社の募集要項しだいです。
薬剤師は6年制なので、24歳で卒業したなら1〜3年目、27歳前後までが第二新卒のゾーンです。「もう3年目だから外れるかも」と気にする必要はあまりありません。調剤の基本が固まってくる2〜3年目は、一番動きやすい時期だと思います。
3年以内の離職は珍しくない
「こんなに早く辞めるのは自分だけでは」と思う人もいるはずです。厚生労働省の調査では、2022年3月に大学を卒業して就職した人のうち、33.8%が3年以内に離職しています。産業別の「医療,福祉」では40.8%でした(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)。
薬剤師だけの数字ではないので、そのまま当てはめることはできません。それでも、3年以内に職場を変える若手が少数派ではないことは分かります。採用する側も、それを前提に第二新卒の応募を見ています。
1年未満で辞めるのは不利?
一番不安が大きいのは「まだ1年経っていない」ケースだと思います。正直に言うと、1年未満の退職は、2〜3年目より慎重に見られやすいです。
面接する側からすると、仕事を覚える前に辞めた理由が見えないと「うちでも同じでは」と考えてしまうからです。とはいえ、1年未満だから応募できない、という話ではありません。辞めた理由と、次に何を変えるかを話せるかで印象は変わります。
心や体を壊しかけているなら、年数を待たずに離れてください。理由の伝え方は後半の前向きに伝えるコツで書きます。
読者1年経ってないけど、伝え方しだいで動けるんだ
薬剤師の求人は地域と業態で差
薬剤師は資格があるぶん、他の職種より次の求人が見つかりやすい仕事です。調剤薬局や在宅対応の薬局では、欠員募集が出ることも珍しくありません。
ただ、どこでも足りないわけではありません。厚生労働省の検討会のとりまとめ(2021年)では、薬剤師の総数は将来的に需要を上回る見込みとされています。一方で、地域偏在などにより、特に病院を中心に不足しているとも書かれています(薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 とりまとめ概要)。
「若いからどこでも受かる」と思わず、希望する地域と業態で求人がどれくらいあるかを先に確かめておくと安心です。
薬剤師の第二新卒を採用する側が見ていること
ここからは、一次面接をする管理薬剤師としての話です。求人原稿を作るのは本部ですが、応募者と最初に会うのは店の管理薬剤師である僕です。
第二新卒が歓迎される理由
入社1〜3年目の薬剤師は、調剤の流れや薬歴、ビジネスマナーの基本がすでに身についています。新卒のように一から教える必要はありません。
それでいて、前の職場のやり方がまだ固まり切っていない。新しい店の手順を覚えてもらいやすい時期です。店を回す側としては、「基本があって、うちのやり方にもなじみやすい」のはありがたい存在です。
第二新卒の歓迎を募集要項に書く会社もあります。経験が浅いことを、必要以上に弱みだと思わなくて大丈夫です。
一次面接で確かめること
一次面接で僕が知りたいのは、「うちでも同じ理由で辞めないか」です。人が1人抜けると、残ったスタッフのシフトがすぐ苦しくなります。だから経験の浅さより、定着するかのほうが気になります。
具体的には、次の3つが話の中から見えるかを聞いています。
- 何が合わなかったのか
- それはうちでも起きそうか
- 今回は選び方の何を変えたか
前の職場の悪口が長いと、3つ目が見えません。逆に「前回はこれを確かめずに決めたので、今回は見学してから応募しています」と言えれば、面接する側の不安にそのまま答えています。
短い職歴は隠さない
数ヶ月で辞めた職場を、履歴書から外したくなる気持ちは分かります。それでも書いておくほうが安全だと思います。後から分かると、辞めた理由より隠したことのほうが問題になりかねません。
短期離職が2回、3回と続いている場合の見られ方は薬剤師が短期離職を繰り返す原因と止め方に、回数が多いときの業態別の見られ方は薬剤師は転職回数が多いと不利?業態別の見られ方にまとめています。
薬剤師が第二新卒で転職するメリットとリスク
「若いうちに動いたほうがいい」という言葉だけで決めるのは危険です。第二新卒の転職には得られるものがある一方、見落とすと痛い目を見る点もあります。
若手で動くから得るメリット
一番のメリットは、方向の修正がまだ効くことです。合わない業態や環境にいた時間が短いぶん、やり直しの負担が小さく済みます。
- 業態を変えても出直しやすい
- 基本がある分、教育の負担が軽い
- 合う職場で経験を積み直せる
僕自身は、新卒の調剤薬局に4年いてから動きました。給料もスキルも頭打ちに感じて、28歳で年収に釣られてドラッグストア併設の調剤へ移り、月45時間の残業に疲れています。年数を重ねてから動いても、選び方が悪ければ失敗する。早いか遅いかより、何で選ぶかのほうが大事だと今は思います。
見落とすと痛い転職のリスク
最大の落とし穴は、「逃げたい」という気持ちだけで焦って動くことです。今の職場から早く抜けたい一心で次を決めると、同じ失敗を繰り返しやすくなります。これは僕が実際にやりました。
もう一つは、短期離職が重なることです。1回なら理由しだいで十分カバーできますが、1年未満の退職が続くと「定着しない人」という見え方が強くなります。1回目の転職こそ慎重に、が鉄則です。



焦って決めると同じ失敗を繰り返すのか…
転職すべきか見送るかの判断軸
今動くか見送るかは、「不満から逃げるための転職」か、「こうなりたいに向かう転職」かを自分に聞いてみてください。前者だけなら、一度立ち止まってもいいと思います。
もう一つの切り分けは、合わないのが「調剤の仕事そのもの」か「この職場だけ」かです。職場だけなら職場を変えれば済みます。仕事そのものなら、働き方や業態から考え直したほうがいいかもしれません。
ただし、心や体を壊すレベルなら話は別で、迷わず離れてください。年次ごとの年収の考え方は薬剤師の転職ガイドも参考になります。
新人に言ってしまった一言
管理薬剤師になって2年目ごろ、新人から「辞めたいです」と相談されたことがあります。僕は自分の失敗歴が頭にあって、「逃げるのも選択肢だよ」と言いました。その新人は、本当に辞めました。
本部からは定着率のことで詰められました。半年後に「元気です」とLINEが1通来て、それきりです。あの一言が正しかったのか、今も分かりません。
だからこの記事でも、「辞めていい」「残るべき」とは決めつけません。書けるのは、辞めるなら次は選び方を変えてほしい、ということだけです。
30歳で2ヶ月退職した薬剤師の僕が第二新卒に伝えたいこと
僕の短期離職は30歳のときで、第二新卒ではありません。それでも「短い職歴をどう説明するか」の不安は、年齢に関係なく同じでした。
ドラッグストア併設の調剤から抜けたい一心で、年収を550万から480万に下げて調剤薬局Cに移りました。求人票には「アットホームな職場です」とありました。
入ってみると、挨拶が返ってこない。質問すると「自分で考えて」とだけ言われる。出勤前に胃がキリキリして、駐車場に車を停めたまま動けない朝もありました。結局、入社2ヶ月で退職しました。結婚したばかりで妻に言い出せず、眠れない夜が続きました。
長いあいだ「求人票に騙された」と思っていました。でも本当は、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分で断っていたんです。後で読み返すと、求人票に嘘は書かれていませんでした。書かれていなかったのは、常勤の薬剤師が何人いるか、欠員の補充か増員か、前任者がいつ辞めたか、でした。



騙されたんじゃなくて、確かめなかったんです
このあと3回目の転職で選ぶ基準を変え、今の職場で4年目になりました。2年目に管理薬剤師になっています。早期離職は終わりではありません。大事なのは、辞めたあとに何を変えるかです。繰り返さないための考え方は短期離職を繰り返す原因と止め方に詳しく書きました。
薬剤師が早期離職の理由を前向きに伝えるコツ
面接する側の不安は「またすぐ辞めないか」でした。これに答えられるかどうかが、第二新卒の転職を分けます。
不満を意欲に変換する言い換え
退職理由を不満のまま話すと、「うちでも不満を言って辞めそう」と受け取られます。過去への不満を、次にやりたいことに向け直して話すのがコツです。
- 残業が多い→長く続けられる働き方に
- 人間関係→連携して働ける職場に
- 業務が単調→在宅などを学びたい
嘘をつかず正直に話す理由
「前向きに言い換える」は、嘘をつくことではありません。事実を隠したり盛ったりすると、面接の深掘りで話が合わなくなります。入社後に「聞いていた話と違う」となって、また辞めることにもなりかねません。
僕が3回目の転職でうまくいったのは、エージェントの担当に過去2回の失敗を全部話したことが大きかったです。焦って雰囲気を確かめずに決めたことも含めてです。そのうえで、応募前には必ず職場見学を入れる形で進めてもらいました。
面接で使える伝え方の具体例
面接では「事実→振り返り→次にこうしたい」の順で組み立てると伝わりやすいです。たとえば1年未満で辞めた場合なら、こんな形です。
「前職は、在宅に関われると聞いて入社しましたが、実際は外来の調剤が中心で、1年目は在宅に入る予定がありませんでした。入社前に業務の割合を確かめなかったのは自分の反省点です。今回は見学で在宅の件数と担当の決め方を伺ったうえで応募しました。」
これは型を示すための例です。中身は自分の事実に置き換えてください。前の職場を責める言葉を入れず、自分が確かめなかった点と、今回変えた点をセットにするのがポイントです。
自分の理由が伝わるかどうかは、エージェントの担当者に一度聞いてもらうと客観的に分かります。
薬剤師が第二新卒で失敗しない転職の進め方
僕の2回の失敗と1回の成功から言えるのは、「逃げの即決」をしない仕組みを先に作ることです。難しいことはありません。
焦って即決しない準備をする
辞めたい気持ちが強いときほど、いきなり応募しないことです。先に「次の職場で外せない条件」を3つだけ書き出してください。
僕は2回失敗してから、軸を「年収より人間関係と職場の雰囲気」に変えました。条件だけで選ぶのをやめてから、ようやくうまくいきました。何を最優先にするかを先に決める。これが土台です。
職場見学で地雷を避ける
応募前に職場見学を入れてください。職場の空気は、その場に立たないと分からないからです。見学では、スタッフ同士の会話のトーン、挨拶が返ってくるか、薬剤師に余裕があるかを見ます。
あわせて、求人票に書かれにくい次の3つも聞いておくと安心です。
- 常勤の薬剤師は何人か
- 欠員の補充か、増員か
- 前任者はいつ辞めたか
見学で確かめる項目は薬剤師の職場見学チェックリストにまとめています。



空気は立ってみないと分からない、本当にそうですよね
エージェントを味方につける
これを一人でやろうとしないことです。見学の手配、退職理由の整理、条件の交渉は、転職エージェントに頼めます。僕が3回目にうまくいったのも、急かさず、過去の失敗まで一緒に整理してくれた担当に出会えたからでした。担当が合わなければ、変更を頼んで大丈夫です。
今申し込めるところでは、MC-ファーマネットが公式のQ&Aで、職場の雰囲気や人間関係の情報を提供でき、職場見学や面接の日程も担当者がセッティングすると案内しています(公式Q&A)。見学してから決めたい第二新卒の人には合うと思います。中小の調剤薬局や病院を中心に探すなら、公式にその求人を強みとして書いているファゲットもあります。
ほかの会社も含めて違いを比べたい人は、薬剤師転職エージェントのおすすめ比較を見てください。
第二新卒の薬剤師が今の職場を辞めるときの手順
辞めるのは、次の内定が出てからが基本です。先に辞めると収入が途切れ、焦って決めやすくなります。体調を崩しているなど、先に離れるべき事情があるときは別です。
- 就業規則で申出期限を確認
- 内定と入社日を決める
- 直属の上司に口頭で伝える
- 退職届を出す
- 引き継ぎと有給の消化
- 退職時の書類を受け取る
正社員のように期間の定めのない雇用なら、民法では退職を申し入れてから2週間で雇用が終わるとされています(民法第627条)。ただ、就業規則で「1か月前まで」などと決めている職場も多いです。有給の日数も考えて、余裕をもって伝えるほうが揉めにくいです。
伝える相手は、まず直属の上司です。薬局なら管理薬剤師のことが多いと思います。僕も申し出を受ける側ですが、急に辞められるより、早めに相談してもらえるほうがシフトを組み直せて助かります。
有給の使い方、保険薬剤師登録の届出、健康保険や年金の切り替えまでの順番は、薬剤師の退職手続きと有給消化・失業保険に詳しく書いています。
薬剤師の第二新卒転職に関するよくある質問
- 半年で辞めたら次の転職で不利になりますか?
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面接で理由は必ず聞かれると思います。ただ、半年だから応募できないということはありません。何が合わなかったのかと、次は選び方の何を変えたのかを話せれば、印象は変わります。
- 第二新卒でも新卒枠に応募できますか?
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会社しだいです。国の指針は卒業後3年以内の人も新卒枠で受け付けるよう会社に求めていますが、努力義務です。一度働いた人を新卒枠で受けるかは募集要項で確認してください。多くの場合は中途採用の枠で応募することになります。
- 退職理由はどう答えるのが無難ですか?
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「在宅に関われると思っていたが、実際は外来中心だった」のように、業務のずれを軸にすると角が立ちにくいです。そのうえで、入社前に確かめなかった点と、今回確かめた点をセットで話してください。前職の人間関係を悪く言うのは避けたほうがいいです。
- 第二新卒で転職すると年収は下がりますか?
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職場によって上がることも下がることもあります。統計では、経験1〜4年の薬剤師の年収は約493万円です(令和6年賃金構造基本統計調査・残業代除く)。3年目前後の年収は薬剤師3年目の年収にまとめています。
- 2ヶ月で辞めた職場は履歴書に書くべきですか?
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書いておくほうが安全だと思います。書かずに後で分かると、辞めた理由より隠したことのほうが問題になりかねません。短く事実を書き、面接で変えた点を話すのがおすすめです。
- 退職はいつ伝えればいいですか?
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まず就業規則の申出期限を確認してください。民法上は期間の定めのない雇用なら申し入れから2週間ですが、1か月前などと決めている職場が多いです。有給を使い切る日数も足して、逆算して伝えると揉めにくいです。
まとめ|第二新卒の薬剤師転職は「また辞めないか」に答える
薬剤師の第二新卒は卒業後おおむね3年以内で、年数だけで不利になることはあまりありません。面接で見られるのは、前の職場で何が合わず、今回は何を変えたかです。
焦って逃げの即決をしないこと。見学で求人票に書かれないことを確かめること。辞めるのは内定の後にすること。この3つを押さえれば、若さはそのまま強みになります。
30歳で2ヶ月で辞めた僕も、選ぶ基準を変えてから今の職場で4年目になりました。早期離職は終わりではありません。次の一歩を、同じ失敗をしない形で踏み出してください。
- 第二新卒は卒業後3年以内
- 基本が身についた若手は需要あり
- 面接で見るのは「また辞めないか」
- 理由は次に変えることで話す
- 焦って即決すると2回目を招く
- 辞めるのは内定の後が基本









