「今回はご縁がなかった」。それだけのメールが届いて、どこがダメだったのかも分からないまま、このページに来たんじゃないかと思います。
僕は地方の調剤薬局で管理薬剤師をしている、たろうです。薬剤師歴10年で、今の職場は4年目。転職は3回して、そのうち2回は失敗しています。
そして今は、うちの店で欠員が出たときの応募者の一次面接をする側です。落とす判断に関わっている立場から、この記事を書きます。
先に言っておくと、見送りの理由は「薬剤師としてのあなたがダメだったから」とは限りません。むしろ、店の欠員の形と噛み合わなかっただけ、というケースがかなりあります。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師が面接に落ちた理由を、会社は教えてくれません

まず、一番知りたいところから答えます。不採用の理由を応募者に伝える義務は、会社にはありません。聞いても教えてもらえないのが普通です。
厚生労働省の個人情報保護のガイドラインでも、人事評価や選考に関する情報は、本人が開示を請求できる保有個人データの対象外として扱われています。だから「開示してください」と言っても、断られて終わります。
ただし、何を理由にしてもいいわけではありません。職業安定法では、人種・信条・性別・社会的身分などを理由にした差別的な取扱いは禁止されています。教えない自由はあっても、理由そのものは自由ではないということです。
悩む男性じゃあ、僕はもう永遠に理由が分からないままですか…?



正式には分かりません。ただ、エージェント経由なら別ルートがあります。
転職エージェント経由で応募している場合、担当者には見送りの連絡と一緒に、簡単な所感が伝わっていることがあります。「経験は十分だが勤務時間帯が合わない」くらいの粒度です。
これは応募者に開示される情報ではないので、必ず聞けるとは限りません。それでも「差し支えない範囲で、先方の所感を教えてください」と一言頼むだけで、次に直す場所が見えることがあります。落ちた当日にやれる追加アクションはこれくらいです。
自分で直接応募した場合は、間に入る人がいないぶん所感も届きません。その代わり、面接で答えに詰まった質問と、先方が何度も確認してきた条件をメモに起こしてください。相手が繰り返し聞いてきた項目が、その店が埋めたい穴です。
採用側の薬剤師が、面接で見送りを決めている3か所


ここからが本題です。僕が一次面接で実際に見ているところを、正直に3つ書きます。上位の記事によく出てくる遅刻や身だしなみは、当然として扱われていて、判断の分かれ目にはなりません。
辞めた理由の話し方を見ています
一番よく効いてしまうのが、ここです。短期離職やブランクがあること自体ではなく、それをどう話すかを見ています。
前の職場の批判だけで終わると、面接官の頭の中では「うちでも同じことになるかもしれない」に変換されます。人を採るのは、欠員をまた出さないためなので、ここが最大の関心事なんです。
僕自身、2回目の転職先を入社2ヶ月で辞めています。短すぎて職歴に書けない期間があるので、説明する側のしんどさも分かります。それでも、事実と次にどうしたいかをセットで話せば、そこだけで落ちることはそんなにないです。
言い方の具体例は短期離職を突っ込まれたときの答え方のほうに実例つきで置いてあります。次の面接までに、ここだけは声に出して練習しておいてください。
欠員の穴と希望条件が合うか
これが、読者に一番伝えたいところです。店が募集をかけるとき、店から本部に上げる情報はごく限られています。うちの場合は、欠員の理由と、希望する勤務時間帯と、常勤かパートかの3点だけです。
求人原稿の文面を作るのは本部で、店には書き換える権限がありません。つまり店が本当に欲しいのは「辞めた人が埋めていた穴の形」であって、求人票の文章ではないんです。
だから、遅番が抜けた穴に、遅番を避けたい人が応募してくると、どれだけ経験が立派でも見送りになります。これはあなたの評価が低いのではなく、単純に形が合っていないだけです。



手応えは悪くなかったのに落ちたのは、それだったのかも…。



和やかに終わったのに落ちる面接は、だいたいこれです。人柄の話ではないです。
投薬中の話し方が想像できるか
3つ目は、薬剤師ならではのところです。面接での受け答えを聞きながら、この人が投薬口で患者さんに説明している場面を頭の中で再生しています。
専門用語のまま話す人か、かみ砕いて言い直せる人か。質問の意図とズレた答えが返ってきたとき、それに気づいて修正できるか。ここは処方内容の知識よりも見ています。
面接で緊張して噛むことを、僕は減点にしていません。僕自身、投薬で噛みまくっていた時期があります。見ているのは流暢さではなくて、相手に合わせて言い方を変えられるかどうかです。
薬剤師の面接では、落ちた理由にならないこともあります
落ちた直後は、思い当たることを全部自分の欠点として数えてしまいます。でも、そもそも採用基準にしてはいけないとされている事項があります。
厚生労働省は公正な採用選考の基本として、応募者の基本的人権を尊重することと、応募者の適性・能力に基づいた基準で選考することの2点を挙げています。本籍地や家族の職業のような本人に責任のない事項、宗教や支持政党のような本来自由であるべき事項は、採用基準にしないことが必要だとされています。
- 本籍地・出生地
- 家族の職業・収入
- 住宅の状況
- 宗教・支持政党
- 人生観・愛読書
面接でこれらを聞かれたとして、それが不採用の理由だったと確かめる方法はありません。ただ、聞かれた時点でその会社の採用の作り方は分かります。落ちたことを引きずるより、そこを見ておくほうが役に立ちます。
それと、経験の年数や業態が足りないタイプの見送りも、直しようがないものです。在宅の経験者を探している店に在宅未経験で応募すれば見送られますが、それは能力の否定ではなく募集要件の話です。
面接に落ちた薬剤師が、次の1社までにやり直す3ステップ


ここからは手を動かす話です。落ちた翌日から、次の応募までにやることを順番に書きます。全部やっても1時間かかりません。
退職理由を事実と希望に分ける
最初にやるのはここです。面接で話した退職理由を、そのまま紙に書き出してください。そのうえで、起きた事実と、次に自分が求めるものに分けます。
- 話した退職理由を書き出す
- 事実と希望に線を引いて分ける
- 希望を先に言う順番に並べ直す
順番を入れ替えるだけで、伝わり方がかなり変わります。「残業が多くて限界でした」で止まると不満の話ですが、「家族との時間を確保したいので、残業が常態化していない店で働きたい」なら希望の話になります。
嘘をつけという意味ではありません。僕も3回目の転職のとき、担当者に過去2回の失敗を恥を忍んで全部話しました。隠すより、事実として渡してしまったほうが早かったです。
譲れない条件を1つに絞り直す
次に条件です。落ちたあとは焦って応募数を増やしたくなりますが、増やすほど噛み合わせの悪い求人が混ざります。
年収、勤務時間、通勤、業態。このなかで絶対に譲れないものを1つだけ決めて、残りは幅を持たせてください。1つに絞ると、応募先を選ぶ時点で見送りの確率が下がります。
僕は2回目の転職で、これをやらずに「とにかく今の職場を抜けたい」だけで決めて、2ヶ月で辞めました。条件を決めないまま数を打つのは、いちばん高くつくやり方です。



落ちた直後こそ、数を打ちたくなっちゃいますよね。



そこで踏みとどまれるかです。落ちた1社より、次に出す1社の中身のほうが大事なので。
聞かれたことは当日メモに残す
3つ目は記録です。落ちた面接で何を聞かれたかを、覚えているうちに書き出しておいてください。数日経つと、答えに詰まった質問ほどきれいに忘れます。
残すのは、答えに詰まった質問と、先方が繰り返し確認してきた条件の2つで十分です。同じ質問は次の店でも来ますし、繰り返された条件はその業態が気にしている点なので、応募先を選ぶ材料にもなります。
僕が一次面接をしていても、確認したいことは店の事情でだいたい決まっています。何度も聞いてしまった項目は、それだけ埋めたい穴だということです。
次の面接で何を聞かれるかが不安なら、僕が実際に聞かれた質問と答え方を見ておいてください。それでも足が重いときは、転職が怖いまま動けなかったときの話のほうが近いかもしれません。
薬剤師が落ちたあとに確認するのは、自分より求人の中身です


最後に、落ちたあとにいちばん効く確認を書きます。自分の反省点を探すより、応募先の求人の中身を先に確かめるほうが、次の結果が変わります。
確かめるのは3つです。その募集が欠員補充か増員か、欠員ならどの時間帯が空いているのか、前任者がいつ辞めたのか。ここが分かれば、自分が噛み合う求人かどうかを応募前に判断できます。
これは求人票には書かれていません。僕が2ヶ月で辞めた店の求人票も、あとから読み返すと嘘は1行も書いてありませんでした。問題は書かれていたことではなく、書かれていなかったことのほうでした。求人票の読み方はアットホームという言葉を信じて失敗した話に分けて書いています。
この3つを応募者が自分で聞くと、どうしても角が立ちます。面接の場で聞ける範囲は逆質問として何をどこまで聞けるかにまとめましたが、聞きにくいものは間に人を入れたほうが早いです。
薬剤師向けだとファゲットのようなサービスで、最初に「欠員の背景を確認できない求人は紹介しなくていい」と条件を渡しておく使い方があります。紹介される求人は減りますが、噛み合わない面接に時間を使う回数も減ります。
断っておくと、僕はこのサービスを転職で使った本人ではありません。運営元と条件を調べたうえで紹介しています。僕が実際に使った5社の話といま申し込める会社の比較は、エージェントを使い比べたレビュー記事のほうに分けてあります。
薬剤師が面接に落ちた理由でよくある質問
同僚やDMでよく聞かれるものに答えておきます。
- 不採用の理由を会社に直接聞いてもいいですか?
聞くこと自体は自由ですが、答える義務は会社にありません。人事評価や選考の情報は、本人が開示を請求できる保有個人データの対象外として扱われています。直接問い合わせても定型の返答で終わることが多いので、エージェント経由なら担当者に差し支えない範囲での所感を聞くほうが現実的です。
- 手応えが良かったのに落ちたのはなぜですか?
会話が和やかだったのに見送りになる場合、評価ではなく条件の噛み合わせで決まっていることが多いです。店が募集をかけるときは、辞めた人が埋めていた時間帯の穴を埋めたいので、そこが合わないと経験があっても見送りになります。人柄を否定されたわけではないと考えて大丈夫です。
- 短期離職があると、もう受からないですか?
受かります。僕自身、入社2ヶ月で辞めた職場があって、そのあと今の薬局に入って管理薬剤師になりました。採用側が気にしているのは在籍期間の短さそのものより、また同じ理由で辞めないかどうかです。辞めた事実と、次に求めるものをセットで話せるようにしておけば通ります。
- 同じ薬局に再応募してもいいですか?
会社の規定によるので一律ではありません。ただ、募集の中身が変わっていれば結果が変わることはあります。前回が遅番の欠員で、今回が日勤帯の増員なら、まったく別の募集だからです。再応募を考えるなら、前と同じ求人かどうかを先に確認してください。
- 何社も落ちたら、転職をやめたほうがいいですか?
落ちた回数より、同じ条件で応募し続けていないかを見てください。譲れない条件を1つに絞らないまま数を打つと、噛み合わない求人にばかり当たります。応募先の選び方を変えずに回数だけ重ねると消耗するので、いったん条件を組み直してから再開するほうが早いです。
まとめ:薬剤師が面接に落ちた理由は、たいてい噛み合わせです
長くなったので、要点を置いておきます。
- 不採用理由に開示義務はない
- 採用側は辞めた理由の話し方を見る
- 欠員の時間帯が合わないと落ちる
- 本籍や家族は採用基準にしない
- 退職理由を事実と希望に分ける
- 譲れない条件は1つに絞る
面接する側に回ってみて思うのは、落とすときに「この人はダメだ」と考えていることはほとんどない、ということです。今回の穴に合うかどうかを見て、合わなければ見送る。それだけのことが多いです。
だから、届いた1通のメールで自分の薬剤師としての価値を計らないでください。計るなら、次に出す1社の中身のほうを計ってほしいです。
今日やることを1つだけ決めるなら、面接で話した退職理由を紙に書き出して、事実と希望に線を引くところまで。それだけで、次の面接の入り口が変わります。
あなたの次の1社が、穴の形と気持ちの両方が合う店でありますように。









