面接の最後に「何か質問はありますか」と言われる、あの数分。あそこで正解を答えて加点をもらう必要はありません。あそこは、入る前のあなたが職場の中身を聞ける、最後の場です。
僕は地方の調剤薬局で管理薬剤師をしているたろうです。転職は3回、うち2回が失敗でした。いまは店で欠員が出たときの一次面接を担当していて、逆質問をされる側に座っています。
この記事では、質問例を並べる前に誰に聞けば答えが返ってくるのかを先に整理します。相手が答えられない質問を投げると、「確認しておきます」で数分が終わって、あなたの手元には何も残りません。
読み終えたら、今夜のうちに質問を3つだけメモしてください。3つで足ります。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収を480万円→610万円にアップ
- 薬剤師向けの人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の逆質問は評価の場ではなく、あなたが情報を取れる最後の場です

逆質問で落ちるのが怖くて検索している人が多いと思うので、面接する側の実感から先に書きます。
「特にありません」で落ちるのか
一次面接で、逆質問が無かったことだけを理由に見送りにしたことは僕にはありません。人が足りないから募集していて、目の前に免許を持った人が座っているので、そこで切る余裕がある店のほうが少ないと思います。
ただ、損はします。損をするのは店ではなくあなたのほうです。常勤が何人いるのか、前の人がいつ辞めたのか、そういうことを聞かないまま内定を受けると、判断材料が求人票と面接官の印象だけになります。僕が30歳のときにやったのが、まさにそれでした。
面接官が逆質問で見ているのは熱意ではない
「御社の強みを教えてください」と聞かれても、正直あまり印象に残りません。答えるのはこちらなので、返ってくるのは店のパンフレットみたいな話です。
逆に、シフトの組み方や在宅の件数を具体的に聞かれると、こちらの姿勢が変わります。入ったあとの生活を想像している人だと分かるからです。熱意を演出する質問より、働いている自分を前提にした質問のほうが、結果として印象に残ります。狙ってやらなくても、知りたいことを素直に聞けばそうなります。
質問を用意するより、返ってきた答えの扱い方
ここがいちばん抜けやすいところだと思います。逆質問の記事は質問文までは教えてくれますが、返ってきた答えをどう読むかまでは書いていません。
見るのは答えの内容よりも、答えの形です。数字がすぐ出てくるか。人の名前や日付が出てくるか。それとも「まあ、そんなに多くはないですよ」で終わるか。3つ目が返ってきたときは、面接官が知らないか、言いたくないかのどちらかです。どちらでも、あなたにとっては同じ意味を持ちます。
管理薬剤師たろう数字が出てこない答えは、答えではなく空気の説明です
一次面接の相手は店の管理薬剤師|答えられる質問と、答えられない質問があります


逆質問がうまくいかない原因の多くは、質問の中身ではなく宛先です。中小から大手まで、一次面接の相手はたいてい店の管理薬剤師かエリアの担当者で、会社の制度を決める権限は持っていません。
店で即答できること
僕が面接の席で、資料を見ずにその場で答えられるのはこのあたりです。
- 常勤とパートの人数、それぞれの勤続年数
- 1日の処方箋枚数と、混む曜日・時間帯
- 閉局後に残る作業と、その日数
- 在宅の件数と、担当の回し方
- 主な処方元の診療科と、扱いの多い薬
- 今回の募集が欠員補充か増員か
この6つは全部、僕が毎日見ている数字です。聞かれて困ることはありません。
本部にしか答えられないこと
逆に、この手の質問は店で聞いても「確認しておきます」になります。
- 提示される年収の幅と、その決まり方
- 賞与の実績と、昇給の刻み
- 評価制度と、管理薬剤師への上がり方
- 異動の範囲と、転居を伴う可能性
- 退職金や住宅手当の有無
ここを一次面接で詰めると、答えが出ないまま空気だけが硬くなります。もったいないので、後半で書くように聞く相手を分けて持っていってください。
ひとつ例外があります。個人薬局や数店舗の会社だと、面接に出てくるのが経営者本人ということがあります。その場合は本部が別にいないので、年収も休みの決め方もその場で答えが返ります。名刺の肩書きが代表や取締役だったら、遠慮せずお金の話まで持っていって大丈夫です。直接応募でエージェントを挟んでいない人も、聞く相手はここになります。
求人票の文面は、店では書いていません
意外に思われるかもしれませんが、求人原稿を作るのは本部です。店から上げるのは「欠員の理由」「希望する勤務時間帯」「常勤かパートか」の3点だけで、給与のレンジも休日の書き方も、店には決められません。
だから「求人票にこう書いてありましたが」と面接で確認しても、書いた本人はその場にいないことになります。この仕組みの話は求人票の「アットホーム」がどう作られるかを整理した記事のほうに詳しく書きました。
僕が2ヶ月で辞めた薬局の求人票に、嘘は1行もありませんでした


30歳のとき、ドラッグストアの激務から早く抜けたくて、年収を550万から480万に下げてでも移りました。その職場は入社2ヶ月で辞めています。短すぎて職歴に書けませんでした。
あとになって、そのときの求人票を読み返したことがあります。嘘は1行もありませんでした。条件の記載と実際の労働条件は合っていて、「アットホームな職場です」も、書き手の主観としては嘘ではない。決定的だったのは書かれていなかったことのほうでした。
その空白が求人票のどの欄で生まれるのかは求人票の側から読み解いた記事に譲ります。ここでは面接の席に絞って、角が立たない聞き方と、返ってきた答えの読み方だけを書きます。
空白1|常勤の薬剤師が何人いるか
人数が分かると、休みの取りやすさも、閉局後に残る確率も、ひとりで抱える範囲も全部つながって見えてきます。求人票に載るのは店舗の総数か、載らないかのどちらかです。
聞き方はそのままで大丈夫です。「常勤の薬剤師さんは今何名いらっしゃいますか。パートさんを含めると何名になりますか」。合わせて勤続年数まで聞けると、ひとつ深いところが見えます。全員が2年未満なら、それ自体が答えです。
空白2|今回の募集が欠員補充か増員か
「今回の募集は、どなたか抜けられた分の補充になりますか。それとも体制を厚くするための増員ですか」。この言い方なら、どちらでも角が立ちません。
これは店で必ず答えられます。上でも書いたとおり、その1行は店から本部へ上げているからです。答えられない、もしくは言葉を濁されたときは、そのこと自体を持ち帰ってください。
欠員補充なら、入った初日から前任者の穴を埋める前提のシフトになります。増員なら、育てる時間が想定されています。同じ求人票でも、入ってからの3ヶ月がまるで違います。
空白3|前任者がいつ辞めたか
いちばん聞きにくくて、いちばん効きます。人格の話にすると角が立つので、時期と体制だけを聞くのがコツです。
「前任の方が抜けられてから、今はどういう体制で回されていますか」。この聞き方なら、辞めた理由を詮索する形になりません。返ってくる答えで、抜けてから何ヶ月経っているか、応援が入っているか、残った人がどれだけ被っているかが分かります。半年空いていて応援も無いなら、あなたが入って埋まるのは穴のほうです。



この3つを聞いていれば、僕はあの店に入っていなかったと思います
この3つの空白は、面接より見学のほうが聞きやすいです。見学の場で何をどの順番で聞くかは薬局見学で質問する5つをまとめた記事に分けてあります。
逆質問で聞きにくいことは「ありますか」をやめて、数で聞きます


残業と有給と教育は、誰もが気になっていて、誰もが聞きにくいところです。印象が悪くなるのが怖いというより、聞いても「まあ人によりますね」で終わるのが分かっているから聞かないんだと思います。
やることはひとつだけです。「ありますか」を「何人・いつ・直近1年で」に置き換える。それだけで、答えが感想から事実に変わります。
残業を数で聞く
「残業は多いですか」は、いちばん答えがぼやける質問です。多いと思っている面接官はまずいません。
- 閉局後に残る日は、週にだいたい何日ですか
- いちばん遅い日で、何時ごろに出られていますか
- 月末やレセプトの週は、何時間くらい増えますか
3つ目まで聞くと、月の見当がつきます。僕はドラッグストア時代に月45時間の残業をしていましたが、当時の求人票にその数字は載っていませんでした。載る場所がないからです。
有給を数で聞く
「有給は取れますか」には、ほぼ100%「取れますよ」が返ってきます。ここは制度を背景に置いて聞くと、こちらも聞きやすいです。
年10日以上の有給が付与される人には、会社が年5日を時季を指定してでも取らせる義務があります(2019年4月から、労働基準法39条7項)。つまり5日は取れて当たり前の状態が法律上の前提です。だから「取れますか」ではなく、こう聞きます。
- 年5日の取得は、店ではどう回されていますか
- 直近1年で、連続で2日以上休まれた方はいますか
- 希望日を出すのは、何ヶ月前が普通ですか
3つ目が「前月の中旬までに」のように即答で返る店は、仕組みで回しています。「その都度相談ですね」なら、力関係で決まっている可能性が残ります。
教育と引き継ぎを数で聞く
研修制度の有無より、直前の実例を聞くほうが早いです。「直近で入られた方は、どなたがどのくらいの期間見ていましたか」。
ここで具体的な人と期間が出てくる店は、教える側の時間を業務として確保しています。「見ながら覚えてもらう感じですね」だけで終わるときは、教える人のシフトが確保されていないことが多いです。前の職場で放り込まれた経験がある人ほど、ここは確かめてください。
薬剤師を面接する側として、聞かれて少し身構える質問もあります


ここは正直に書きます。身構えるだけで、それを理由に見送りにはしていません。ただ、その数分で得られるものが減るので、避けたほうが得だとは思います。
給与を店の面接で詰める
身構えるのは、金額の話をされるからではありません。答えを持っていないのに、期待した顔で待たれるからです。ここで僕が適当な幅を口にすると、あとで本部の提示と食い違って、あなたが不利になります。
お金の話は聞くべきです。ただ宛先が違います。間にエージェントがいるなら、そこに渡すのがいちばん早いです。
前任者が辞めた理由そのものを聞く
辞めた人の事情は、こちらが勝手に話していいものではありません。だから「一身上の都合で」以上のことは言えず、質問した側も気まずくなります。
知りたいのは理由ではなく、抜けた穴の大きさのはずです。さっき書いたように、時期と体制で聞けば同じ情報が取れます。
調べれば分かることを確認しにくる
店舗数や設立年を聞かれると、答えながら「ホームページに書いてあるな」と思っています。減点はしませんが、その数分は戻ってきません。
調べて分かることは調べていって、そこにいる人にしか答えられないことだけを持ち込む。逆質問の設計はこれに尽きます。面接で聞かれる側の質問については僕が実際に聞かれた質問と答え方をまとめた記事にありますが、在籍が短い職場がある人は短期離職を突っ込まれたときの答え方のほうを先に読んでおいたほうがいいと思います。
逆質問では届かないものは、見学と労働条件通知書で取ります


ここまで書いておいてなんですが、面接室で分かることには限界があります。僕が2回失敗した原因も、面接での聞き方ではありませんでした。
空気は、その場に立たないと分からない
2回目の失敗を、僕は長いあいだ「求人票に騙された」と人のせいにしていました。実際は違います。ドラッグストアを1日でも早く抜けたくて、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分から断っていました。騙されたんじゃなくて、確かめなかったんです。
挨拶が返るか、質問したときに手が止まるか、こういうものは面接室の椅子に座っていても見えません。何を見て何を聞くかは職場見学のチェックリストに14項目でまとめてあります。
口頭の回答と書面が違ったら、書面が条件です
逆質問で返ってきた答えは、あくまで口頭です。労働条件は、労働基準法15条と施行規則5条で、労働契約を結ぶときに書面で明示することが決められています。2024年4月からは、就業場所と業務の変更の範囲まで明示事項に入りました。
紙で渡されるとは限りません。あなたが希望すれば、メールなど印刷できる形での明示も認められています。PDFが送られてきただけでも明示は済んでいるので、届いた時点で保存して、面接で聞いた話と突き合わせてください。
- 面接で聞いた休日・時間と、通知書の記載が一致しているか
- 就業場所の「変更の範囲」に、通えない店舗が入っていないか
- 基本給と手当の内訳が、提示額の説明と合っているか
この3つは内定が出てからでも間に合います。原則として、契約の条件として残るのは書面に書かれたほうです。食い違いを見つけたら、入社前に文書で直してもらってください。入ってからだと、直す理由をこちらが作らないといけなくなります。
見学を断られたときにどうするか
忙しくて調整できないだけのこともあるので、断られた=悪い店とは限りません。ただ、理由も代案も出てこないときは、その1件を追いかけないほうが早いです。
そして、この「確かめる」を全部ひとりでやると角が立ちます。常勤の人数も、欠員か増員かも、間に人が入れば普通の確認事項になります。薬剤師向けだとファゲットのようなサービスで、最初に「見学ができない求人は紹介しなくていい」と条件を渡しておく使い方があります。届く求人は減りますが、面接室だけで判断する回数も減ります。
断っておくと、僕はこのサービスを転職で使った本人ではありません。運営元と条件を調べたうえで紹介しています。僕が実際に使った5社の話と、いま申し込める会社の比較はエージェントを使い比べたレビュー記事のほうに分けて置いてあります。
薬剤師の二次面接と本部面接では、聞くことを分けます


一次で店の実務を聞いて、二次や本部の面接で会社の制度を聞く。この順番にすると、どちらの面接でも「確認しておきます」が減ります。
本部で聞くのはお金と範囲の話
年収の幅、賞与の実績、昇給の刻み、そして異動の範囲。この4つは本部の担当者なら数字で答えられます。特に異動は、さきほどの「変更の範囲」と直結するので、面接の場と書面の両方で確認しておくと安心です。
僕自身は3回目の転職で、提示560万から交渉して初年度610万になりました。交渉したのは僕ではなく、間に入っていた担当者です。前職480万からの上げ幅なので、店の面接で粘って動いた数字ではありません。
管理薬剤師になる道筋を聞いておく
今すぐ管理者になる気がなくても、聞いておくと会社の考え方が見えます。何年目の人が多いのか、手当がいくら付くのか、店舗数に対して管理薬剤師が足りているのか。
参考までに、僕の現職の管理薬剤師手当は月3〜5万円の範囲に入っています。周りの薬剤師から聞く額もこのあたりですが、会社によって幅があるので、金額は必ずその会社で確かめてください。金額そのものより、その手当で何を引き受けることになるのかを聞けると、入ってからのギャップが小さくなります。監査の矢面に立つ役目なので、手当だけ見て判断すると後で驚きます。
薬剤師の面接の逆質問についてよくある質問


- 逆質問はいくつ用意していけばいいですか?
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3つで足ります。面接の中で答えが出てしまう質問があるので、4つ目5つ目を無理に用意すると、既に説明された内容を聞き返す形になりがちです。3つのうち1つは、常勤の人数のように必ず答えが返るものにしておくと、場が止まりません。
- 面接の中で全部説明されてしまい、聞くことが無くなりました
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そのときは正直にそう言って構いません。「伺いたかった人員体制と教育の流れは、先ほどのご説明で分かりました」と返せば、聞く気がなかったのではないと伝わります。そのうえで、直近で入った人を誰が何日見ていたか、のような一段細かい質問に切り替えると自然です。
- 残業や有給を聞くと、やる気がないと思われませんか?
-
思いません。僕が面接をしていて気になるのは、聞いたかどうかではなく聞き方のほうです。「残業はないですよね」と確認を求められると答えにくいですが、「閉局後に残る日は週に何日くらいですか」なら、こちらも数字で答えるだけです。生活の設計をしている人だな、としか思いません。
- エージェント経由なら、逆質問は担当者に任せていいですか?
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条件面は任せたほうが早いです。年収の幅や異動の範囲は、あなたが面接で聞くより担当者が確認したほうが正確な答えが戻ります。ただ、店の空気に関わることは面接の場で本人が聞いてください。同じ質問でも、答える人の表情や間まで見られるのは、その場にいるあなただけです。
- 新卒の面接でも、同じ逆質問で大丈夫ですか?
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人数・教育・引き継ぎの質問はそのまま使えます。新卒の場合は「直近で入った新人を誰が何ヶ月見ていたか」を、より具体的に聞いておくといいです。前任者や欠員の質問は、新卒採用の枠だと噛み合わないことがあるので、そこは配属先の店舗が決まってから確認する形で構いません。
- 聞いた内容と、あとで届いた条件が違っていました
-
原則として、契約の条件になるのは書面のほうです。労働条件は労働基準法15条で書面による明示が義務づけられていて(本人が希望すればメール等でも可)、2024年4月からは就業場所と業務の変更の範囲も明示事項に入りました。面接で聞いた話と通知書が食い違っていたら、入社前に文書で直してもらってください。入ってから言うと、こちらが理由を作らないといけなくなります。
まとめ|薬剤師が逆質問で今夜メモするのは、3つだけです


逆質問は、面接官に気に入られるための時間ではありません。求人票の空白を、その場にいる人に埋めてもらう時間です。
- 店で聞くのは人数・シフト・残業の実数
- お金と異動の範囲は本部かエージェントへ
- 常勤の人数と勤続年数を聞く
- 欠員補充か増員かを聞く
- 前任者の退職時期と今の体制を聞く
- 口頭の答えより労働条件通知書が条件
僕が2ヶ月で辞めた店の求人票には、嘘はありませんでした。書かれていなかっただけです。そして、書かれていないことを聞ける場所は、面接の最後のあの数分しかありませんでした。
今夜メモに書くのは3行で足ります。常勤は何名か。今回は欠員か増員か。前の方が抜けてから、今はどう回しているか。この3つを持って行ってください。









