調剤薬局事務が「気が強い」「性格が悪い」と言われるのは、性格の問題というより立場と職場の形がそう見せていることが多いです。窓口でクレームを先に受ける、少人数で逃げ場がない、薬剤師と責任の線が違う。この3つが重なると、言い方が強く見えます。
ただし、無視・人前で怒鳴る・人格を否定するといった言動は「気が強い」では片づけません。相手が同僚や先輩の事務さんでも、パワハラに当たりうる話です。
僕は管理薬剤師として、事務さんと毎日同じ店で働いています。スタッフのシフトや教育にも関わるので、事務さん同士の揉めごとも、薬剤師と事務さんのすれ違いも、間に立って聞く側です。
この記事は、読む人の立場で知りたいことが違うので、分けて書きました。気になるところから読んでください。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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調剤薬局事務が「気が強い・性格が悪い」と言われる4つの理由
①窓口でクレームを先に受ける
薬局に来た患者さんが最初に話すのは、受付の事務さんです。待ち時間が長い、前回より高い、保険証の確認が面倒。こうした不満は、まず事務さんに向きます。
毎日それを受けていると、言い方は自然と短く、はっきりしてきます。曖昧に返すと、かえって揉めるからです。その口調が店の中でも出て、新人さんや薬剤師には「きつい」と映ります。
②少人数で逃げ場がない
調剤薬局は、薬剤師と事務さんを合わせても数人から十数人の店が多いです。狭いカウンターの内側で、同じ顔ぶれと毎日何時間も並んで働きます。
人が少ないぶん、一人の言い方の癖がそのまま店の空気になります。長く勤めている人がいると、その人のやり方が「店のルール」になりやすい。新しく入った人ほど、それを強さとして感じます。
③薬剤師と責任の線が違う
調剤そのものは、法律で薬剤師にしかできません(薬剤師法第19条)。処方箋に疑わしい点があれば、医師に確かめるのも薬剤師の役目です(同法第24条)。
一方で、受付・入力・会計・保険の確認は事務さんが回しています。点数や保険の細かい扱いは、事務さんの方が詳しい場面も多いです。
つまり、お互いに「相手の方が分かっていない」と感じやすい形になっています。事務さんが入力の誤りを指摘すると、薬剤師には強く聞こえる。薬剤師が「それは薬剤師が決めること」と線を引くと、事務さんには見下されたように聞こえる。どちらも仕事の範囲の話なのに、感情の話にすり替わりやすいんです。
④入力と会計のミスが表に出る
処方箋の入力を間違えると、患者さんの負担額や、あとで保険者に出す請求(レセプト)がずれます。請求が差し戻されると、手間をかけて直すのは事務さんです。
だから慣れた事務さんほど、新人さんの入力を細かく見ますし、指摘もすぐ口に出します。どこでつまずきやすいかは事務員がレセプトで詰まる本当の理由に書いたので、教える側の人も読んでみてください。
調剤薬局事務の「気が強い」と「性格が悪い」の境目
言い方が強いだけなら仕事の範囲
「それ違うよ」「先にこっちやって」と短く言われるのは、きつく感じても業務の指示です。言われた中身が合っていて、言い方が強いだけなら、慣れと距離の取り方で楽になることが多いです。
僕自身、30歳で入って2ヶ月で辞めた薬局で、初日から良くしてくれたのは事務のパートさんでした。事務さんだから気が強い、とは僕は思っていません。
無視や怒鳴るは別の問題
一方で、次のような言動は「気が強い」の範囲を超えています。
- 挨拶や質問を無視される
- 患者さんの前で怒鳴られる
- 容姿や家庭をけなされる
- 仕事を教えず放置される
- 自分だけ輪から外される
厚生労働省は職場のパワハラを「優越的な関係を背景に、業務上必要な範囲を超えた言動で、働く環境を害するもの」としています。この「優越的な関係」には、業務の知識や経験が豊富で、その人の協力がないと仕事が回らない同僚も含まれると説明されています(厚生労働省 あかるい職場応援団)。
ベテランの事務さんと新人さんの関係は、まさにこの形になりやすいです。上司でないから我慢するしかない、とは考えなくて大丈夫です。
記録を残して順に相談する
相談するときは、日付・場面・言われた言葉をメモに残しておくと話が通りやすいです。「きつい」だけだと、聞く側も動きにくいので。
- 管理薬剤師・薬局長
- エリア担当・本部の窓口
- 総合労働相談コーナー
店の中で言いにくければ、会社の相談窓口から入っても構いません。社外なら各地の労働局にある総合労働相談コーナーが、いじめ・嫌がらせやパワハラの相談を無料・予約不要で受けています。
先輩事務員がきつい新人事務さんの付き合い方3つ
①質問は整理してから聞く
「これどうしたらいいですか」より、「この処方箋、AとBで迷っています」と聞く方が答えやすいです。忙しい時間帯の先輩ほど、一言で返せる質問だと助かると感じます。
患者さんが途切れたタイミングで、まとめて聞くのも手です。聞かずに進めて間違える方が、あとで強く言われやすくなります。
②指摘はいったん受け取る
「それ違うよ」と言われたら、まず「確認します」と受け取るのが一番こじれません。理由を説明したいときは、窓口が落ち着いてからにします。
ただ、受け取るのは業務の指摘だけで大丈夫です。人格を否定する言葉まで飲み込む必要はありません。そこは前の章の線引きで分けて考えてください。
③雑談で無理に距離を詰めない
仲良くならなきゃ、と頑張る必要はありません。業務の受け答えがきちんと回っていれば、それで十分です。
休憩中まで気を張ると、そちらで疲れてしまいます。雑談は相手から話しかけられたら乗る、くらいの距離でいいと思います。
薬剤師に見下されると感じる調剤薬局事務さんへ
見下しに見えやすい場面
事務さんから「薬剤師に見下されている」と感じやすいのは、たとえば次のような場面だと思います。
- 話しかけても返事がない
- 入力ミスを人前で言われる
- 理由なく作業を投げられる
- 意見を聞き流される
このうち「返事がない」は、薬剤師が監査や医師への問い合わせの最中で、手と頭がふさがっていることもあります。処方の確認は一度途切れると間違いにつながるので、薬剤師側も余裕がないんです。
とはいえ、それで毎回無視していい理由にはなりません。余裕がないことと、相手を軽く扱うことは別です。人前で責める、意見を毎回流す、が続くなら、それは薬剤師側の問題だと僕は考えています。
伝えるなら管理薬剤師へ
薬剤師本人に直接言いにくいときは、店の管理薬剤師に伝えるのが近道です。店のスタッフの配置や教育は、管理薬剤師の仕事の一部だからです。
管理薬剤師の立場で言うと、「感じが悪い」だけより、いつ・どの場面で・何に困ったかが分かる方が動けます。「監査中に質問するとき、どう声をかければいいか決めたい」のように、仕事のやり方の相談にすると、薬剤師側にも伝えやすくなります。
相手が管理薬剤師本人なら、本部やエリア担当の窓口に回してください。
調剤薬局事務さんと合わない薬剤師が見直したいこと
事務さんの指摘は店の守り
「事務さんが気が強くて苦手」と感じている薬剤師さんもいると思います。ただ、保険の資格確認や点数の扱いで事務さんが止めてくれるのは、請求の差し戻しや患者さんとのトラブルを防いでくれている面があります。
言い方が気になっても、中身が合っているなら、まず「ありがとう、直します」で受けた方が店は回ります。言い方の話は、落ち着いた時間に別でした方がこじれません。
頼むときは理由を一言添える
「これやっといて」だけだと、事務さんには作業を押しつけられたように聞こえます。「今から疑義照会の電話をするので、この方の待ち時間を伝えてもらえますか」と理由を添えるだけで、受け取られ方はかなり変わります。
事務さんは窓口で患者さんの不満を先に受ける立場です。薬剤師が何で手が止まっているのか分かれば、患者さんへの説明もしやすくなります。
こじれたら個人で抱えない
長く勤める事務さんと、異動してきた薬剤師がぶつかるのはよくある形です。一対一で言い合いを続けるより、管理薬剤師を通して「店としてどうするか」の話にした方が収まりやすいです。
相手が特定のベテランで、毎日しんどいところまで来ているなら、薬剤師のお局がしんどい時の対処法も参考になると思います。
自分が「気が強い」と言われる調剤薬局事務さんへ
はっきり言えるのは強み
窓口や入力の誤りをその場で止められるのは、事務の仕事では大事な力です。「気が強い」と言われても、性格を丸ごと変える必要はないと思います。
気にするなら、言っている中身ではなく、相手に届くまでの言い方の方です。
伝え方の角だけ少し丸める
「これ違います」を「ここ、Bの方かなと思うんですが確認してもらえますか」に変えるだけで、同じ指摘でも印象はかなり変わります。
新人さんへの指摘は、患者さんの前を避けて、あとで短く伝えるのがおすすめです。人前で言われたこと自体が、中身より強く記憶に残るからです。
これから調剤薬局事務になる人が見学で確かめたいこと
求人票に書かれない3つ
「気が強い人ばかりだったらどうしよう」と不安なら、入る前に確かめられることがあります。僕が2ヶ月で辞めた薬局の求人票は、あとで読み返すと嘘は書かれていませんでした。足りなかったのは、書かれていなかったことを確かめなかった僕の方です。
- 事務さんは何人体制か
- 欠員補充か増員か
- 前任の人はいつ辞めたか
今は管理薬剤師として求人を出す側にもいますが、店から本部に上げるのは欠員の理由や勤務時間帯くらいで、原稿は本部が作ります。店の人間関係は、求人票からはほとんど読めません。面接や見学のときに聞いてしまうのが確実です。
見学中に目で見るところ
- 挨拶が返ってくるか
- 混んだ時の声のかけ方
- 新人に教える係がいるか
- 薬剤師と事務の会話の量
混んでいる時間に、事務さん同士や薬剤師との声のかけ合いがどうなっているかは、短い見学でも案外見えます。言い方が短くても、お互いに返事が返っている店なら、忙しいだけのことが多いです。
調剤薬局事務の人間関係がどうしても合わないときの動き方
別店舗への異動を相談
チェーンの薬局なら、別の店舗への異動を相談できる場合があります。相手が一人の特定の人なら、店が変わるだけで楽になることも多いです。
相談するときは「通勤しやすい店を希望」など前向きな理由を先に出しつつ、困っている事実も記録と一緒に伝えておくと、話が進みやすいです。
調剤薬局事務の別職場へ転職
異動先がない、会社全体の空気が合わないなら、別の薬局に移るのも選択肢です。その場合は、上で書いた見学のポイントを次の職場選びでそのまま使ってください。
「いっそ辞めようかな」と頭をよぎっている人は、調剤薬局事務を辞めた人たちのその後も読んでみてください。辞めた人が何に悩み、辞めたあとどうなったかをまとめているので、動くか残るかを決める材料になると思います。
調剤薬局事務の人間関係に関するよくある質問
- 調剤薬局事務に本当に気が強い人が多いんですか?
多いというより、窓口で先にクレームを受ける、少人数で逃げ場がない、といった立場のせいで、言い方がはっきりしやすい仕事だと思います。休憩中は穏やかな人もたくさんいます。
- 先輩事務員が気が強くて毎日しんどいです。どうすれば?
まずは業務のやり取りだけ回ればいい、と目標を下げてください。質問を整理して聞く、指摘はいったん受け取る、の2つで関係が変わることは多いです。無視や怒鳴るが続くなら、記録を残して相談に進んでください。
- 先輩に怒鳴られたとき、その場でどう対処すればいい?
その場で言い返すと、患者さんの前で揉めてしまいます。「確認します」と一度受けて、落ち着いてから日時と言われたことをメモしてください。繰り返すなら管理薬剤師や本部に相談を。
- 同僚の事務員からの嫌がらせもパワハラになりますか?
なりえます。厚生労働省は、業務の知識や経験が豊富で、その人の協力がないと仕事が回らない同僚による言動も「優越的な関係」に含まれると説明しています。上司でないからと我慢する必要はありません。
- 薬剤師に見下されている気がします。誰に言えばいい?
店の管理薬剤師が一番近い相談先です。いつ・どの場面で困ったかを具体的に伝えると動いてもらいやすいです。相手が管理薬剤師本人なら、本部やエリア担当の窓口に回してください。
- 事務さんと合わない薬剤師です。どう接すればいい?
指摘の中身が合っているなら、言い方は置いてまず受けてください。頼みごとには理由を一言添えるだけで、受け取られ方が変わります。こじれたら一対一で続けず、管理薬剤師を通して店の話にするのが無難です。
- 「気が強い」と周りから言われる自分は直した方がいいですか?
性格ごと変える必要はないと思います。はっきり言えるのは事務の仕事では強みです。気にするなら、指摘の前に一言クッションを入れる、人前を避けて伝える、といった言い方の部分だけで十分です。
- 気が強くないと調剤薬局事務はやっていけませんか?
そんなことはありません。物腰が柔らかくても、入力や会計をきちんと判断できる事務さんはたくさんいます。「気が強い」と「仕事ができる」は別物です。
- 人間関係が合わない職場、辞めるか我慢するか迷っています。
チェーンなら、まず別店舗への異動を相談するのが手っ取り早いです。それが難しければ別の薬局も選択肢です。体調を崩すほど我慢する前に、動ける手段があることだけ知っておいてください。
- 気が強い人ばかりの職場かどうか、入る前に分かりますか?
完全には分かりませんが、見学で挨拶が返ってくるか、混んだ時の声のかけ方、教える係がいるかは見えます。面接で事務さんの人数や、前任の人がいつ辞めたかを聞いておくのもおすすめです。
調剤薬局事務の「気が強い」と人間関係のまとめ
調剤薬局事務が気が強く見えるのは、窓口でクレームを先に受ける、少人数で逃げ場がない、薬剤師と責任の線が違う、という立場のせいであることが多いです。言い方が強いだけなら、質問の仕方と距離の取り方でだいぶ楽になります。
ただ、無視や怒鳴る、人格を否定するといった言動は、相手が同僚でも別の問題です。記録を残して、管理薬剤師・本部・総合労働相談コーナーの順に相談してください。
薬剤師の側も、事務さんの指摘を店の守りとして受け取り、頼むときに理由を一言添えるだけで、店の空気は変わります。それでも合わなければ、異動や別の薬局という道もあります。

