薬局のお局さんがしんどいとき、相手を変えようとするのはいったん諦めて大丈夫です。効くのは、自分の動線と反応を変えて接触を減らし、言われたことを記録しておくことです。
ただし、無視・人前での怒鳴り声・人格を否定する言葉が続いているなら、それは「お局の性格」で片づける話ではありません。厚生労働省の定義では、同僚からの言動でもパワハラに当たりうるからです。記録を持って、相談する側に回ってください。
僕は今、管理薬剤師としてスタッフの相談を受ける側にいます。その立場から、相談が通りやすい伝え方と、異動・転職に切り替える目安までまとめました。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師のお局がしんどい時の対処法5つ
まずは明日から試せるものです。全部やる必要はありません。自分の職場でできそうなものを1つ選べば十分です。
- 物理的に距離を置く
- 反応を薄くして標的を外す
- 教わる形で立てておく
- 職場に味方を1人つくる
- 言われた内容を記録する
距離を置く:まずこれが最優先
一番すぐ効くのは、接触の回数そのものを減らすことです。調剤室での立ち位置を監査台側にずらす。休憩の時間を少しずらす。これだけでも顔を合わせる場面は減ります。
狭い薬局だと、同じ空間にいるだけで気が張ります。そのしんどさは、相手の言葉より「ずっと見られている感覚」から来ていることが多いです。
相手を変えるより、自分の動線を変えるほうが早いです。長く勤めている人の振る舞いを、新しく入った側が変えるのはまず無理だと思っています。
反応を薄くして標的を外す
嫌みや細かい指摘には、「そうなんですね」「確認します」と表情を変えずに返します。動揺や言い返しは、相手にとって続ける理由になりやすいからです。
冷たくするのとは違います。感情の温度を見せないだけです。心の中では「はいはい」と思っていてかまいません。
ただ、指摘の中身が調剤や監査の手順として正しいなら、そこは受け取っておくのが得です。言い方と中身を分けて聞くと、腹の立ち方が少し変わります。
教わる形で立てておく
お局さんと呼ばれる人の多くは、その店のやり方や患者さんの事情を一番知っている人です。だから無理に好かれようとせず、「これ、どうしてますか」と普通に頼るほうがぶつかりにくいです。
ご機嫌を取るのとは違います。仕事の情報を持っている人に聞く、というだけです。立てておくと、少なくとも「あの子は勝手にやる」という火種は減ります。
それでも態度が変わらない相手はいます。そのときは下手に出続けず、距離と記録のほうに切り替えてください。
味方を1人つくる
職場に1人でも「あの言い方はきついよね」と言ってくれる人がいると、ずいぶん楽になります。孤立していると、自分が悪いのかもと思い込みやすいんですよね。
事務さんでもパートさんでもかまいません。雑談できる相手がいるだけで、状況を少し引いて見られます。
ただ、その人と一緒に悪口で盛り上がるのは避けたほうが無難です。狭い職場では話が回りますし、派閥の片側に入ったと見られます。派閥まで絡んでいるなら薬局の派閥がめんどくさいときの中立の保ち方も参考にしてください。
記録を残して相談材料にする
言われたことはスマホのメモに残しておきます。記憶だけだと、相談しても「気にしすぎじゃない?」で終わりやすいからです。書くのは次の4つで足ります。
- 日付と時間帯
- 場所と周りにいた人
- 言われた言葉そのまま
- 仕事にどう影響したか
管理薬剤師の立場で言うと、「きつい」だけより、いつ・どの場面で・何が起きたかが分かるほうが動けます。感想ではなく事実で話せる人の相談は、シフトや申し送りのルールで手を打ちやすいです。
薬局のお局の言動がパワハラになる線と相談先
ここまでの対処は、言い方がきつい・細かいといった段階の話です。ここから先は、我慢や立ち回りで片づけなくていい線の話です。
きつい指導とパワハラの境目
厚生労働省は職場のパワハラを、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「就業環境が害されるもの」の3つをすべて満たすもの、と説明しています(あかるい職場応援団:パワーハラスメントの定義)。
お局さんが上司でなくても関係ありません。同じページでは、業務の知識や経験が豊富で、その人の協力がないと仕事が回らない同僚も「優越的な関係」に含まれると書かれています。ベテランのお局さんは、まさにこの形です。
一方で、業務上必要で相当な範囲の指示や指導はパワハラに当たりません。薬局の場面に置き換えると、目安はこうなります。
- 監査で誤りを指摘される
- 手順を守るよう注意される
ここまでは、言い方がきつくても指導の範囲に入りやすいです。次のような言動は、類型に挙げられている形に近づきます。
- 人前で怒鳴る・暴言
- 人格を否定する言葉
- 挨拶や質問を無視する
- 必要な申し送りを回さない
厚生労働省は類型として「精神的な攻撃(ひどい暴言など)」や「人間関係からの切り離し(隔離・無視・仲間外し)」を挙げています。当たるかどうかは個別に判断されるので、自分で白黒をつけなくて大丈夫です。記録を持って相談に進んでください。
記録を持って順に相談する
相談は、近いところから順に進めるのが現実的です。
- 管理薬剤師・薬局長
- エリア担当・本部の窓口
- 総合労働相談コーナー
管理薬剤師に話すときは、感情より「業務に支障が出ている」という切り口のほうが通ります。たとえば「疑義照会の結果が自分にだけ伝わらない」のような形です。シフトを分ける、申し送りを書面にするなど、店の中で打てる手があります。
お局さん本人が管理薬剤師だったり、管理薬剤師と親しかったりするなら、1つ目は飛ばして本部から入ってかまいません。社外なら、各地の労働局などにある総合労働相談コーナーが、いじめ・嫌がらせやパワハラの相談を無料・予約不要で受けています。
チェーンなら異動を先に相談
店舗が複数ある会社なら、辞める前に別店舗への異動を相談する手があります。お局さんの問題は店単位のことが多く、同じ会社でも店が変わると空気はかなり違います。
相談するときは、記録した事実と一緒に「通勤しやすい店を希望」など前向きな理由も添えると話が進みやすいです。会社ごとの異動の仕組みは薬剤師の転勤・異動が多い理由と断れる範囲で書いています。
なぜ薬局にはお局がいやすいのか
理由が分かると、必要以上に自分を責めずに済むので、構造の話も少しだけ書いておきます。
薬局は数人の固定メンバーで、一日中同じ調剤室にいる職場です。席替えも部署異動もない店が多く、勤続年数の長い人の発言力が自然と強くなります。
調剤は間違いが許されない仕事なので、忙しい時間帯ほど言い方がきつくなる人もいます。性格だけの問題というより、環境がそうさせている面もあると思います。
とはいえ、構造が原因でも、あなたが毎日傷ついていい理由にはなりません。「自分が弱いせいだ」と思う必要はありません。
僕が人間関係で2ヶ月で薬局を辞めた話
偉そうに対処法を並べましたが、僕自身は人間関係で一度ボロ負けしています。30歳のとき、ドラッグストア併設の調剤から移った調剤薬局でのことです。
先に書いておくと、そこに「この人」というお局さんがいたわけではありません。誰も目を合わせてくれない。挨拶しても返ってこない。定時で帰ろうとすると、背中に無言の圧を感じる。質問すれば「自分で考えて」で終わる。職場全体がそういう空気でした。
朝、薬局の駐車場に車を停めても、しばらく動けない日が続きました。出勤前から胃がキリキリしていました。
結局2ヶ月で辞めました。短すぎて職歴に書けないくらいです。結婚したばかりで妻に言い出せず、天井をにらんで眠れない夜もありました。
騙されたのではなく確かめなかった
長いあいだ、僕はこの失敗を「求人票の『アットホームな職場』に騙された」と人のせいにしていました。
でも後から読み返すと、求人票に嘘は1行もありませんでした。「アットホーム」は感想で、条件の欄は実際と合っていました。本当は、ドラッグストアを1日でも早く抜けたくて、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分から断っていたんです。
見落としたのは、書かれていなかったことのほうでした。常勤の薬剤師が何人いるか。今回の募集が欠員の補充か増員か。前任の人がいつ辞めたか。この3つを聞いていれば、入る前に立ち止まれたかもしれません。
このあたりの失敗の全体は、転職で2回やらかした僕の自己紹介記事に書いています。
それでもお局がしんどいなら逃げていい、その判断ライン
対処法を試しても、相談しても、しんどい日は来ます。そこで「辞める=甘え」と思わないでほしいので、僕なりの目安を書いておきます。
- 出勤前に体調が悪くなる
- 休日もその人を思い出す
- 相談しても改善されない
- 眠れない・食べられない
1つでも当てはまるなら、動く準備を始めていいと思います。眠れない・食べられない状態が続いているなら、職場の問題とは別に、まず医療機関に相談してください。
ただ、僕の失敗は「早く抜けたい一心で、次の職場の雰囲気を確かめずに決めた」ことでした。辞めること自体は止めません。焦って次を決めるのだけは避けてください。
次の職場で確かめる3つ
今の僕は、欠員が出たときに求人を出す側でもあり、応募者の一次面接もしています。その立場から見ても、求人票だけで職場の空気は分かりません。応募前に、次の3つは聞いておいてください。
- 常勤の薬剤師は何人か
- 欠員の補充か増員か
- 前任はいつ辞めたか
そのうえで、職場見学は必ず入れます。挨拶が返ってくるか、混んだ時間にどんな声のかけ方をしているかは、その場に立てば見えます。3回目の転職で僕が変えたのは、まさにこの「見学を省かない」ことでした。
求人票の読み方は薬剤師の求人票「アットホーム」で僕が見落とした3つの空欄に、見学で聞くことは転職前の薬局見学で質問すること5つにまとめています。
転職エージェントを使うなら、過去にしんどかった理由を最初に正直に話しておくと、雰囲気まで含めて求人を選んでもらいやすくなります。いま申し込めるエージェントの特徴と向いている人は、ランキング記事で比べています。
薬剤師のお局対処法のよくある質問
- お局に何もしてないのに嫌われるのはなぜ?
新しく入った人や若手というだけで、当たりがきつくなることはあります。店のやり方を知らない人が増えると、忙しいベテランほど負担を感じやすいからです。あなたの落ち度とは限らないので、自分を責めすぎないでください。
- 下手に出続ければ関係は良くなりますか?
効かない相手もいます。仕事のことを普通に頼るのはいいのですが、ご機嫌取りを続けると消耗します。変わらないなら、距離を取って記録を残すほうに切り替えてください。
- 言い返したほうがいいですか?
あまりおすすめしません。患者さんの前で揉めると、こちらの立場も悪くなります。その場は「確認します」と受けて、落ち着いてから日時と言われた言葉をメモしてください。
- お局の無視や暴言はパワハラになりますか?
なりえます。厚生労働省は、経験が豊富でその人の協力がないと仕事が回らない同僚も「優越的な関係」に含まれると説明し、ひどい暴言や無視を類型に挙げています。当たるかは個別の判断なので、記録を残して相談してください。
- 管理薬剤師に相談したら告げ口だと思われませんか?
「業務に支障が出ている」という形で、日付と事実を添えて話せば、職場の問題として扱われやすいです。管理薬剤師がお局さん側にいるなら、本部の窓口から入ってかまいません。
- 事務のお局がきつい場合も同じ対処でいいですか?
基本は同じです。距離を置く・反応を薄くする・記録を残すは事務さん相手でも使えます。事務さんとの関係に絞った話は調剤薬局事務が気が強いと言われる理由と相談先で書いています。
- 異動を願い出るのはアリですか?
複数店舗ある会社ならアリです。退職より角が立ちにくく、環境を変えられます。前向きな理由と、記録した事実の両方を添えて上長か本部に相談してみてください。
- 辞めたいけど短期離職になるのが怖いです
気持ちは分かります。僕も2ヶ月で辞めています。面接では、何が合わなかったかと、次は何を確かめて選ぶかをセットで話せるように準備しておくと安心です。体を壊すまで続けるほうが、取り返しがつきにくいと思います。
- 転職するか我慢するか決められません
本文の「動いていいサイン」を見てください。当てはまるなら、辞めると決める前に情報を集めるだけでも気持ちが楽になります。選択肢があると分かっているだけで、明日の出勤が少し違います。
- 次の職場もお局がいたらどうしよう…
ゼロにはできませんが、減らすことはできます。常勤の人数・欠員か増員か・前任がいつ辞めたかを聞き、職場見学で挨拶や声のかけ方を見てください。求人票の言葉より、その場で見た空気のほうが当てになります。
まとめ:薬剤師のお局対処法は距離と逃げ道
お局さんを変えるのは難しいので、こちらが距離を取り、反応を薄くし、記録で身を守る。無視や暴言が続くなら、我慢ではなく相談に進む。それでも変わらなければ、異動や転職という逃げ道を使う。これが現実的な順番だと思います。
- まず距離を置く
- 反応を薄くする
- 日付と言葉を記録する
- 無視や暴言は相談へ
- ダメなら異動か転職
職場の人間関係全体の悩みは、人間関係がつらい薬剤師への対処法でも掘り下げています。毎朝つらい思いをしながら通う必要はありません。限界が来る前に、選択肢だけは手元に持っておいてください。
