薬剤師の仕事は、勤務時間のほとんどを立って過ごします。夕方に足がだるくなるのは、体力が足りないからではありません。硬い床の上で、ほぼ同じ姿勢のまま立ち続ける働き方そのものが原因です。
そして、立っている時間は職場でかなり違います。ドラッグストア併設の調剤は長く、在宅対応のある薬局や企業の内勤は座る時間が混ざります。僕は門前の調剤薬局に4年、ドラッグストア併設の調剤に2年いて、今は在宅対応のある調剤薬局で管理薬剤師をしています。
この記事では、疲れる理由と職場ごとの立ち時間の違い、そして職場を変える前に見学で確かめることをまとめます。靴やむくみのケアなど体の対処は、薬剤師の立ち仕事がつらいときの対処法の記事に詳しく書いています。
- 立ちっぱは薬剤師あるある
- 体力でなく環境の問題
- DSは特に立つ時間が長い
- 座る時間が混ざる職場もある
- 椅子や足台は店に相談できる
- 動く前に見学で確かめる
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
詳しい筆者の経歴はこちら
薬剤師が立ちっぱなしで疲れるのは普通?あるあるです
立ちっぱなしで夕方ヘトヘトになるのは、薬剤師ならよくあることです。自分だけ体力がないのかと悩む必要はありません。
調剤室は座って仕事をするイメージを持たれがちですが、実際はほぼ立ち作業です。疲れやすい理由は大きく3つあります。
調剤も投薬もずっと立ちっぱなし
処方箋を受け取り、棚から薬を取りそろえ、監査して、投薬カウンターで説明する。この流れが全部立ち作業です。座る場面が、そもそも業務の流れに組み込まれていません。
薬歴の入力くらいは座れそうですが、患者さんが途切れない時間帯は、カウンターで立ったまま打ち込むことも多いです。
硬い床と体の固定で足腰にくる
つらさの正体は「立っていること」そのものより、硬い床の上でほぼ同じ姿勢のまま動かないことだと思っています。歩き回るより、同じ場所に立ち続けるほうが足にはこたえます。
厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」も、立ち作業では動きの少ない姿勢や前かがみの姿勢が腰に負担をかけると書いています。長く立ち続けると、腰を支える筋肉と足の筋肉が疲れる、という説明です。
同じ指針には、床が硬いと立っているだけでも腰への衝撃が大きい、ともあります。手元をのぞき込む監査や散剤の調製は前かがみになりやすいので、足と腰が同時に疲れるのは自然なことです。
椅子があっても座りにくい
調剤室に椅子を置いている薬局もあります。それでも、患者さんを待たせている間は座れませんし、「座っていると暇に見える」という空気がある職場もあります。
つまり立っている時間は、業務の量と、その職場の人数・文化で決まります。個人の努力で減らせる部分は、思ったより小さいんです。
管理薬剤師たろう「自分だけしんどい」じゃなくて、構造的にしんどい仕事なんですよ。
薬剤師の立ちっぱなしの時間は職場でこう違う
同じ薬剤師でも、どこで働くかで立つ時間はかなり変わります。僕が働いた職場と、構造から見た違いを並べるとこうなります。
| 職場 | 立つ時間 | 座れる場面 |
|---|---|---|
| 門前の調剤 | ピークは ずっと立つ | 空いた時間の 薬歴入力 |
| DS併設調剤 | 長い | ほぼ休憩のみ |
| 在宅対応あり | やや短い | 移動・報告書 |
| 病院 | 部署で差 | 病棟の記録等 |
| 企業・CRO | 短い | デスク中心 |
表はあくまで傾向です。同じ業態でも、処方箋の枚数と薬剤師の人数でまったく変わります。
門前の調剤は時間帯で波がある
僕の新卒の職場は、内科クリニックの門前薬局でした。門前はクリニックの診療時間に合わせて処方箋が届くので、忙しい時間帯と空く時間帯の差がはっきりしています。
ピークの間は立ちっぱなしですが、診療の合間は薬歴を座って書ける時間が生まれます。つらさを左右するのは、ピークが1日に何回、何時間あるかです。
DS併設の調剤が一番長く立つ
一番立つ時間が長かったのは、28歳で移ったドラッグストア併設の調剤です。調剤だけでなく、OTCの接客もレジも品出しもあって、調剤が空いても座る時間にはなりません。
週の半分は遅番で、閉店後の品出しをしていると夜10時。月の残業は45時間ありました。年収は上がったのに、使う時間も体力も残らない。あの2年間はそんな毎日でした。
品出しの負担と腰の守り方は、ドラッグストアの早朝品出しがきつい理由と腰を守るコツにまとめています。
在宅対応ありは座る時間が混ざる
今の職場は在宅対応のある調剤薬局です。在宅をやっている薬局では、訪問の移動や、医師やケアマネジャーへの報告書づくりなど、座ってする仕事が1日の中に入ってきます。
管理薬剤師になると、発注や在庫の管理、薬歴の監査、本部への報告といった業務も増えます。立ち仕事がゼロになるわけではありませんが、「1日中ずっと同じ場所に立つ」働き方からは離れやすい職場です。
病院は部署で差が大きい
僕は病院で働いた経験がないので、ここは仕組みからの話です。病院は、調剤室や注射薬の払い出しでは立ち作業が続きます。一方、病棟業務では電子カルテの確認や記録で座る時間が入ります。
どの部署に何年いるかで、足腰の負担は大きく変わります。病院を考えるなら、配属と異動の仕組みを面接で聞いておくと安心です。
薬剤師の立ちっぱなしは職場の設備でも軽くできる
職場を変えなくても、設備と休み方で負担を減らせる部分があります。腰痛予防対策指針は、長い立ち作業に対して事業者がとるべき対策を具体的に挙げています。
- 座れる椅子を置く
- 座面の高い椅子を置く
- 片足置き台を使う
- 1時間に1〜2回の小休止
- クッション性の靴やマット
自分でできる靴やむくみのケアは、薬剤師の立ち仕事がつらいときの対処法で詳しく書いています。ここでは、職場に相談できることを中心にまとめます。
椅子と足台は店に相談できる
労働安全衛生規則の第615条は、ずっと立って働く人が仕事中にしばしば座れる機会があるなら、事業者は使える椅子を備えなければならない、と定めています。
指針は、座面の高い椅子で立ったままに近い姿勢で作業できるようにすることや、片足を交互に乗せる台で姿勢に変化をつけることも勧めています。薬歴入力の場所に高めの椅子を1脚、監査台の足元に低い台を1つ。このくらいなら、管理薬剤師や店長に相談しやすい内容だと思います。
床が硬いなら靴とマットで対策
指針には、床が硬い場合はクッション性のある作業靴やマットで衝撃をやわらげる、とあります。冬は足元の温度にも気を配るように、とも書かれています。
靴は自分で選べますが、マットや足元の暖房は店の備品です。投薬カウンターの内側など、長く立つ場所だけでも敷いてもらえないか聞いてみる価値はあります。
すきま時間にふくらはぎを動かす
指針は、立ち作業ではおおむね1時間に1〜2回の小休止をとり、足の屈伸運動やマッサージをすることが望ましいとしています。足の血の流れをよくするのに役立つ、という理由です。
休憩が取りにくい日でも、カウンターで待つ数十秒につま先立ちを数回したり、左右に重心を移したりはできます。休憩で座ったら、少し足を高くして休ませるのも手です。
立つ時間が少ない薬剤師の職場・働き方
体の対処をしても限界なら、立つ時間が構造的に少ない職場へ動くのも一つの手です。ただ「座れる職場=楽」とは限らないので、向き不向きも書いておきます。
座り作業が多めの職場
立つ時間が少ないのは、デスクワーク中心の職場です。製薬企業の内勤、CRO・治験コーディネーター、本社の管理部門などは、座って仕事をする時間が長い傾向です。MRは外回りが中心なので、立ち仕事というより移動の多い仕事になります。
同じ調剤でも、処方箋の枚数に対して薬剤師の人数に余裕がある薬局や、在宅に力を入れている薬局なら座る時間を取りやすいです。逆に、回転の速い薬局やDS併設は座る暇が少ないと思っておいたほうがいいです。
気になる働き方がある人は、こちらも参考にしてください。
座れる職場が向かない人もいる
座り作業中心の職場が、全員に合うわけではありません。ずっと座っていると、今度は肩こりや目の疲れ、運動不足が気になる人もいます。腰痛予防対策指針も、座り姿勢は立ち姿勢より腰の骨にかかる負担が大きいと書いています。
企業やCROは、患者さんと話す調剤の仕事とは中身が大きく変わります。立つ時間を減らしたいだけなら、まずは在宅対応ありの調剤のような「ほどよく座れる職場」から考えるのが現実的だと思います。
立ちっぱなしがつらい薬剤師が職場を変える前に確かめること
立つ時間が理由で職場を変えるなら、先に僕の失敗を知っておいてほしいです。焦って決めると、別のつらさが待っていることがあります。
焦って決めると別の地獄が待つ
僕の2回目の転職は、DSの激務から早く抜けたい一心で決めました。年収を550万円から480万円に下げてでも、とにかく出たかったんです。
移った調剤薬局は人間関係が合わず、出勤前に胃がキリキリしました。駐車場で車を停めたまま動けない朝もあって、入社2ヶ月で辞めました。
長いあいだ「求人票に騙された」と思っていました。でも本当は、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分から断っていたんです。騙されたのではなく、確かめなかった。立ち仕事から逃げるときほど、ここを飛ばさないでほしいです。
立つ時間は求人票に書かれない
今は管理薬剤師として、欠員が出たときの募集にも関わっています。求人票の文面をつくるのは本部で、店から上げるのは「欠員の理由」「希望する勤務時間帯」「常勤かパートか」の3点だけです。
1日のうち何時間立つのか、椅子を使えるのか。そうした情報が求人票に載ることは、まずありません。立ち時間は、見学と面接で自分から聞かないと分からない情報です。
見学と面接で聞く5つのこと
3回目の転職では、応募前に必ず職場見学を入れました。空気はその場に立たないと分かりません。立ち時間が気になるなら、次の5つを見るか聞いてみてください。
- 1日の処方箋枚数
- 同じ時間の薬剤師の人数
- 混む時間帯と長さ
- レジ・品出しの担当有無
- 椅子が実際に使われているか
1〜3は忙しさの密度、4は調剤以外で立つ時間、5は職場の空気を見るための質問です。椅子は「置いてあるか」ではなく、見学中に誰かが座っているかを見るのがおすすめです。
自分で聞きにくいなら、転職エージェントの担当に代わりに確認してもらう方法もあります。たとえばファゲットは、公式サイトで中小の調剤薬局や病院の求人を強みに挙げています。各社の違いは、比較記事にまとめています。
- 立ちっぱなしで足が痛いのは私だけ?
あなただけではありません。薬剤師は勤務時間の大半が立ち作業なので、足腰の疲れはよくある悩みです。体力の問題ではなく、仕事の構造の問題です。
- 立ち仕事の疲れに一番効く対策は?
厚生労働省の腰痛予防対策指針は、椅子や片足置き台の配置、1時間に1〜2回の小休止、床が硬い場合のクッション性のある靴やマットを挙げています。自分でできる靴やむくみのケアは「薬剤師の立ち仕事がつらいときの対処法」の記事にまとめています。
- 調剤室には椅子はないんですか?
置いてある薬局もありますが、忙しくて座る暇がなかったり、座りにくい空気の職場もあります。労働安全衛生規則第615条は、ずっと立って働く人が仕事中にしばしば座れる機会があるなら、使える椅子を備えるよう事業者に求めています。
- 着圧ソックスは効果ありますか?
夕方のむくみが気になる人が試すことの多い方法ですが、合う・合わないには個人差があります。締め付けが強すぎるものは避け、選び方は「薬剤師の立ち仕事がつらいときの対処法」の記事を参考にしてください。
- ドラッグストアは立ち時間が長いですか?
長いです。調剤に加えてOTC接客・レジ・品出しがあるので、僕がいたDS併設の調剤では、調剤が空いても座る時間にはなりませんでした。立ち時間を減らしたいなら、レジや品出しの担当があるかを見学で確認してください。
- 座って働ける薬剤師の仕事はありますか?
製薬企業の内勤、CRO・治験コーディネーター、本社の管理部門はデスクワーク中心です。調剤でも、薬剤師の人数に余裕がある薬局や在宅に力を入れている薬局なら座る時間を取りやすいです。
- 在宅対応の薬局は楽になりますか?
訪問の移動や報告書づくりなど座ってする仕事が混ざるので、同じ場所に立ち続ける時間は減りやすいです。ただ訪問件数や人数で忙しさは変わるので、見学で確かめてください。
- 立ち仕事がつらくて転職してもいい?
十分な理由になります。ただ焦って決めると別のつらさにハマることがあります。処方箋枚数や薬剤師の人数、椅子が使われているかを職場見学で確かめてから動いてください。
- 座れる職場のデメリットは?
座りっぱなしで肩こりや運動不足が出る人もいます。腰痛予防対策指針も、座り姿勢は腰の骨への負担が立ち姿勢より大きいとしています。企業やCROは仕事内容も大きく変わるので、やりがいの面で合うかも考えてください。
- むくみがひどいのは病気ですか?
立ち仕事によるむくみは多くの人にありますが、片足だけ極端に腫れる・痛みが強いなど気になる症状があれば、自己判断せず医療機関を受診してください。
まとめ:薬剤師の立ちっぱなしは工夫と職場選びで変わる
薬剤師が立ちっぱなしで疲れるのは、硬い床で同じ姿勢を続ける仕事の構造のせいです。自分を責める必要はありません。
立つ時間は、DS併設で長く、在宅対応のある薬局や企業では短くなりやすいです。今の職場でも、椅子や足台、マットは相談する価値があります。それでも限界なら、見学で立ち時間を確かめてから職場を変えてください。
- 立ちっぱは薬剤師あるある
- 体力でなく環境の問題
- DSは特に立つ時間が長い
- 座る時間が混ざる職場もある
- 椅子や足台は店に相談できる
- 動く前に見学で確かめる
僕が転職で2回失敗し、3回目で選び方を変えた話はこちらの記事にまとめています。






