薬剤師の立ち仕事がつらいのは、体力が足りないからではありません。硬い床の上で、前かがみの姿勢のまま何時間も立つ仕事だからです。
今日からできる対処は、靴を替えること、1時間に1〜2回は足を動かすこと、帰ったら足を上げて休むことです。どれも厚生労働省の腰痛予防対策指針や、日本血管外科学会の解説に沿った方法です。
ただ、休んでも痛みが引かない、足がしびれる、片足だけ急に腫れた。こういうときはセルフケアより受診が先です。ケアで追いつかない場合は、店への相談、持ち場の交代、異動、転職の順に職場の変え方を考えます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の立ち仕事がつらいのは体力のせいではない
調剤、監査、投薬、在庫の出し入れ。薬剤師の仕事は、ほとんどが立ったまま進みます。監査や散剤の調製では手元をのぞき込むので、前かがみの姿勢も続きます。
厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針も、動きの少ない立ち姿勢や前かがみの姿勢は腰に負担がかかると書いています。床が硬いと、立っているだけでも腰への衝撃が大きい、ともあります。
つまり、つらく感じるのは自然なことです。業態ごとの立ち時間の違いや、なぜ疲れるのかは薬剤師の立ちっぱなしが疲れる理由と職場別の違いに詳しく書きました。この記事では、体の対処と、職場の変え方に絞ります。
薬剤師の立ち仕事のつらさを今日から減らす対処法
職場を変えるかどうかは別として、勤務中と帰宅後にできることがあります。根拠のある方法から順に並べます。
- クッション性のある靴
- 1時間に1〜2回の足の屈伸
- 前かがみと片足重心を減らす
- 強すぎない着圧ソックス
- 帰宅後は足を上げて休む
- ストレッチは反動をつけない
靴で床の衝撃を減らす
いちばん手をつけやすいのが靴です。腰痛予防対策指針は、床が硬い場合はクッション性のある作業靴やマットで衝撃をやわらげるよう求めています。
薬局では、薄底のナースサンダルや、履き古して底がつぶれた靴で立つ人も多いと思います。足裏やかかとが夕方にジンジンするなら、まず底の厚さとへたり具合を見直すのが早いです。
同じ指針は、冬は足もとの温度に気を配るようにとも書いています。冷えると筋肉が緊張しやすいからです。調剤室の足元が冷える季節は、靴下や足元の暖房も見直してみてください。
1時間に1〜2回は足を動かす
指針には、立ち作業ではおおむね1時間に1〜2回の小休止をとり、足の屈伸運動やマッサージをするのが望ましい、とあります。
薬局で1時間ごとに休憩室へ行くのは難しいですよね。それでも、次の処方箋を待つ数十秒ならあります。
- かかとの上げ下ろし
- ひざの軽い屈伸
- 左右への重心移動
ふくらはぎの筋肉を動かすと、足にたまった血液が戻りやすくなります。カウンターの内側なら、患者さんからもほとんど見えません。
前かがみと片足重心を減らす
同じ姿勢で固まると、同じ場所にだけ負担がかかり続けます。片足に体重を預けるクセがあると、腰の片側ばかり疲れます。
指針が勧めているのは、片足を交互に乗せる低い台を使うことと、作業台を体に合った高さにすることです。監査台が低くて首と腰が丸まるなら、トレーの下に台を置いて手元を上げるだけでも前かがみは減ります。
着圧ソックスは強すぎないものを
夕方に足がパンパンになる人は、着圧ソックスを試す価値があります。日本血管外科学会も、下肢静脈瘤の対策として弾性ストッキングによる圧迫を挙げています。
ただ、締め付けが強ければよいわけではありません。履いてしびれや痛みが出るなら、圧の弱いものに替えるか使うのをやめます。むくみがひどい、もともと足の病気がある人は、自己判断で強い圧のものを選ばず医師に相談してください。
帰宅後は足を上げて休む
日本血管外科学会の下肢静脈瘤の解説は、日常でできる対策として、足を上げて休むこととマッサージを挙げています。
寝転んでクッションや座布団にふくらはぎを乗せるだけで十分です。お風呂で温まったあと、足首からひざに向かってさすると、むくみが抜けやすくなります。
ストレッチは20〜30秒止める
腰痛予防対策指針は、腰痛予防体操として、筋肉を伸ばした状態で止める静的ストレッチを勧めています。ポイントは次のとおりです。
- 息を吐きながら伸ばす
- 反動をつけない
- 痛くない所で止める
- 20〜30秒伸ばし続ける
- 1回に1〜3セット
立ち仕事のあとは、ふくらはぎ、太ももの裏、お尻を伸ばすと楽になりやすいです。ぎっくり腰の直後など痛みが強い時期は、ストレッチをするかどうか医師に相談するよう、指針にも書かれています。
立ち仕事の痛みで薬剤師が受診を考える目安
薬剤師は薬の知識がある分、湿布や市販の鎮痛薬で様子を見て済ませがちだと思います。ただ、次のような症状はセルフケアで粘る段階ではありません。
腰の痛みは整形外科へ
日本整形外科学会の腰痛の解説は、次の症状があるときは自分で管理せず、すみやかに整形外科を受診するよう呼びかけています。
- 安静にしても痛みが軽くならない
- だんだん悪化している
- 熱がある
- 足のしびれや力が入らない
- 尿もれがある
ここまでの症状がなくても、痛みが何週間も続くなら一度診てもらうほうが安心です。腰痛予防対策指針も、腰痛は再発しやすいと書いています。
足のだるさや血管の浮きは血管外科
日本血管外科学会は、下肢静脈瘤の原因のひとつに立ち仕事を挙げています。軽いうちは重だるさ、痛み、むくみが出て、進むと皮膚が黒ずんだり硬くなったりするそうです。
ふくらはぎの血管がボコボコ浮いてきた、すねの皮膚の色が変わってきた。こういう変化があれば、血管外科や下肢静脈瘤を診ている医療機関に相談してください。
片足だけ急に腫れたらすぐ受診
同じ学会の深部静脈血栓症の解説には、片方の足全体やふくらはぎが急に赤黒く腫れて痛む、という症状が書かれています。
息苦しさや胸の痛みを伴うときは、肺塞栓症のおそれがあり命に関わります。いつものむくみと思わず、すぐに医療機関へ連絡してください。
立ち仕事がつらい薬剤師が職場を変える順番
対処をしても毎日つらいなら、働く環境を変える番です。いきなり転職を考えるより、手間の小さいものから順に試すほうが失敗しにくいです。
- 店に設備と休み方を相談
- 持ち場や順番を交代する
- 同じ会社で店舗を変える
- 勤務日数や時間を減らす
- 別の薬局や業態へ転職
まず店に椅子と休み方を相談
労働安全衛生規則の第615条は、立って働く人が仕事中にしばしば座れる機会があるなら、事業者は椅子を備えなければならないと定めています。
薬歴入力の場所に座面の高い椅子を1脚、監査台の足元に片足置き台を1つ。このくらいなら頼みやすいはずです。相談先は、店のシフトや備品を見ている管理薬剤師か店長です。頼み方のコツは立ちっぱなしの記事の設備の章にまとめました。
持ち場と順番を交代する
多くの薬局では、スタッフのシフトや業務の割り振りを管理薬剤師が決めています。僕も今その役目をしています。
投薬カウンターに立ちっぱなしの人と、座って入力できる人を時間で入れ替える。DS併設なら、レジや品出しの担当から外してもらう。こうした調整は、店の中で決められることが多いです。腰や足がつらいことは、我慢せず具体的に伝えてください。
DSのレジ対応が負担になっている人は、DS薬剤師がレジに立つ負担も参考にしてください。
同じ会社で店舗を変える
同じ調剤でも、店によって立つ時間はかなり違います。処方箋が多いのに薬剤師が少ない店と、人数に余裕がある店では、座れる時間がまったく変わります。
在宅対応のある店では、訪問の移動や報告書づくりなど、座ってする仕事が1日の中に入ります。チェーン薬局なら、転職の前に異動を相談する手もあります。給与や勤続年数を引き継いだまま、環境だけ変えられることが多いからです。
勤務日数や時間を減らす
体を休ませながら働きたいなら、パートや派遣で勤務日数を減らす方法もあります。収入は下がりますが、立つ日そのものが減ります。
派遣の求人がどんな中身かはファル・メイトの記事に書きました。派遣と転職の両方の求人を扱うアプロ・ドットコムで、週3日や時短の条件を相談してみるのもひとつです。
デスク中心の職場へ移る
製薬企業の内勤、CRO・治験コーディネーター、本社の管理部門などは、座って働く時間が長い仕事です。
ただ、腰痛予防対策指針によると、座り姿勢は立ち姿勢より腰の骨にかかる負担が大きいとされています。座れば腰痛がなくなるわけではありません。仕事の中身も調剤とは大きく変わるので、薬剤師の職場の選び方で向き不向きも確かめてください。
転職を急ぎすぎると別の地雷を踏む
ここは僕の失敗談です。28歳で移ったドラッグストア併設の調剤は、閉店後の品出しで夜10時まで立つ日もあり、月の残業は45時間でした。
早く抜けたい一心で決めた次の調剤薬局は人間関係が合わず、入社2ヶ月で退職しました。職場見学の提案を「日程が合わない」と自分から断っていたんです。つらさから逃げたいときほど、確かめる手間を飛ばしてしまいます。
次の職場で1日何時間立つのかは、求人票にはまず書かれていません。見学や面接で何を見て、何を聞けばいいかは見学と面接で聞く5つのことにまとめています。エージェント各社の違いは比較記事をどうぞ。
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薬剤師の立ち仕事に関するよくある質問
- 立ち仕事がつらいのは甘えですか?
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甘えではないです。薬剤師は硬い床の上で、前かがみの姿勢のまま長く立つ仕事です。厚生労働省の腰痛予防対策指針も、こうした立ち作業は腰に負担がかかると書いています。
- 一番すぐできる対処はなんですか?
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クッション性のある靴に替えることと、1時間に1〜2回は足を動かすことです。どちらも腰痛予防対策指針に書かれている方法で、道具も時間もほとんどかかりません。
- 着圧ソックスは効きますか?
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夕方のむくみ対策として試す価値はあります。日本血管外科学会も、下肢静脈瘤の対策に弾性ストッキングでの圧迫を挙げています。しびれや痛みが出るほど強いものは避け、症状が強い人は医師に相談してください。
- 腰が痛いときは何科に行けばいいですか?
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整形外科です。安静にしても痛みが軽くならない、悪化している、熱がある、足のしびれや力が入らない、尿もれがある。このどれかがあれば、日本整形外科学会はすみやかな受診を呼びかけています。
- 足のだるさやむくみが毎日続くときは?
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下肢静脈瘤の可能性もあるので、血管が浮いてきた、皮膚の色が変わってきたといった変化があれば血管外科に相談してください。片足だけ急に腫れて痛むときは、すぐに受診が必要です。
- 仕事中に座ってもいいのですか?
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労働安全衛生規則第615条は、立って働く人が仕事中にしばしば座れる機会があるなら、事業者は椅子を備えなければならないと定めています。座れる場面で座るのは、さぼりではありません。
- 妊娠中の立ち仕事はどうすればいい?
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主治医に相談し、立ち仕事を減らす必要があると言われたら「母性健康管理指導事項連絡カード」に書いてもらい、職場に出す方法があります。事業主はカードの内容に応じた措置をとる必要があります(厚生労働省 妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ)。
- 立ち仕事のつらさを理由に転職してもいい?
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十分な理由になります。体の負担は、長く働けるかどうかに直結します。ただ、店への相談や異動で解決することもあるので、転職は近い手を試してからでも遅くありません。
- 面接で体の負担を理由にしてもいい?
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言い方を選べば大丈夫です。「長く働ける環境で力を発揮したい」のように前向きに言い換えると伝わりやすいです。そのうえで、1日の処方箋枚数や薬剤師の人数を聞けば、立ち時間の見当もつきます。
- 立ち仕事が少ない薬剤師の仕事はありますか?
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あります。製薬企業の内勤、CRO・治験コーディネーター、本社の管理部門などはデスクワーク中心です。調剤なら、在宅対応のある薬局や、処方箋の枚数に対して人数に余裕のある薬局は座る時間を取りやすいです。
薬剤師の立ち仕事がつらいときのまとめ
薬剤師の立ち仕事がつらいのは、硬い床と前かがみの姿勢で長く立つ仕事だからです。まずは靴、こまめに足を動かすこと、帰宅後に足を上げることから始めてみてください。
休んでも痛む、しびれる、片足だけ腫れる。そんなときは我慢せず受診を。ケアで追いつかなければ、店への相談、持ち場の交代、異動、転職の順に考えると、焦って決めずに済みます。
