薬局の派閥がめんどくさいのは、あなたの性格のせいではありません。数人で一日中同じ調剤室にいて、異動も席替えもない。そんな逃げ場のない構造が、派閥を重く感じさせています。
いちばん消耗しにくいのは、どちらのグループにも入らず、仕事の連携だけは全員と同じ温度でやることです。悪口には乗らない。申し送りは口頭で済ませず、書いて残す。
ただし、無視や仲間外し、仕事の情報をわざと回さない状態が続くなら、立ち回りで片づける話ではありません。厚生労働省の説明では、同僚の集団による言動もパワハラに当たりうるからです。記録を残して、相談する側に回ってください。
僕は30歳のとき、挨拶が返ってこない薬局に入って2ヶ月で辞めました。いまは管理薬剤師として、スタッフのシフトや教育を見る側です。巻き込まれる側と、店の空気を作る側。その両方から、派閥との付き合い方と見切りのラインを書きます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の派閥がめんどくさい理由は「逃げ場の狭さ」
薬局の派閥が重く感じるのは、人間関係そのものより「逃げ場のなさ」が大きいと僕は考えています。原因を言葉にできると、自分を責める気持ちが少し引きます。
一般企業のような部署異動も席替えもなく、狭い調剤室で毎日同じ顔ぶれと過ごします。合わない人とも、物理的に距離を取れないんですよね。
少人数すぎて中立でいられない
調剤薬局は、薬剤師と事務を合わせても数人〜十数人の職場が多いです。この規模でグループが二つに割れると、どちらにも属さない「中立」でいるのが意外とむずかしい。
大人数なら埋もれられるのに、少人数だと「あなたはどっち側?」が透けて見えます。誰とランチに行くか、誰と休憩がかぶるか。その程度のことが妙に意味を持ってしまいます。
気を遣って両方にいい顔をすると、今度は両方から薄く警戒される。このバランス取りが、地味にいちばん疲れるところだと思います。
女性が多くお局構造が生まれやすい
厚生労働省の令和6年の統計では、届け出た薬剤師の62.0%が女性です(令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況)。事務さんも女性の多い職場がほとんどです。
ただ、性別そのものが原因だとは思っていません。長く同じ店にいる人が、情報と発言力を握る。そのベテランを中心にグループができやすい、という構造の話です。
新人や転職組から見ると、中心の人の機嫌が職場の天気のようになります。ここを「めんどくさい」と感じるのは普通の感覚です。環境の構造の問題で、あなたの性格の問題じゃないことが多いです。
仕事に直接ひびくから無視できない
ただの仲良しグループなら放っておけます。薬局の派閥がやっかいなのは、申し送りや監査のダブルチェックといった「仕事の連携」にひびく点です。仲が悪いと、必要な情報が回ってこないことが起きます。
聞きたいことが聞きづらい、ミスを指摘し合えない。これは患者さんの安全にも関わるので、笑って流せません。派閥対策はメンタルの話であると同時に、安全に仕事をするための実務でもあります。
管理者が放置すると固まる
派閥が濃くなるかどうかは、管理薬剤師や薬局長の動き方にも左右されます。管理者が特定の人とだけ話す、揉めごとを見て見ぬふりをする。そうすると、グループの境目がそのまま固まっていきます。
いちばん厄介なのは、管理者自身が派閥の中心にいるケースです。店の中に相談先がなくなるので、この場合は本部や社外の窓口を使う前提で考えたほうがいいです。
管理薬剤師たろう派閥に疲れるのは弱いからじゃなくて、構造的に疲れる場所だから、です。
薬局の派閥に巻き込まれず気疲れしない立ち回り6つ
派閥をなくすことは、一人のスタッフにはまずできません。できるのは、巻き込まれ方を小さくすることです。どれも特別なテクではなく、明日から試せるものを並べました。
どっち付かずを堂々と貫く
どちらかのグループに入れば、後ろ盾はできます。そのかわり、もう片方を敵に回し、内輪のいざこざにも巻き込まれます。割に合わないことが多いです。
大事なのは、こそこそ中立でいるのではなく、堂々とどちらとも普通に話すことです。オドオドしていると、かえって「何を考えているか分からない人」と警戒されます。誰にでも同じテンションで挨拶する。まずはそれで十分です。
八方美人と思われないか心配になるかもしれません。ただ、仕事をきちんとこなす人がフラットでいることに、正面から文句を言う人は多くないと思います。
悪口の同調だけはしない
誰かが誰かの悪口を言ってきたとき、つい話を合わせたくなります。でもここで同調すると、「あの人もそう言ってた」と一人歩きしやすい。派閥の燃料は、たいていこれです。
かといって「そんなこと言っちゃダメですよ」と正論で返すと、今度はこちらが浮きます。「そうなんですね」で受け流して、自分の意見は言わない。否定も肯定もしないのが安全地帯です。
地味ですが、悪口に乗らないだけで「あの人は陰で言わない」という信用が少しずつ貯まります。陰口が多い職場の見切り方は薬剤師の職場が陰口ばかりのときの記事でも書いています。
申し送りは書いて残す
派閥のある職場で困るのは、「聞いてない」「言ったはず」が起きることです。疑義照会の結果、在庫の欠品、患者さんからの伝言。こうした業務の情報は、口頭だけで済ませないほうが安全です。
申し送りノートや薬歴、店の連絡ツールなど、その店にある「書いて残る場所」を使いましょう。誰と仲がいいかに関係なく情報が届きますし、後で揉めたときに自分を守る記録にもなります。
仕事で信頼を貯めて発言力を持つ
派閥のしんどさは、自分の立場が弱いときにいちばん刺さります。新人や転職直後は特にそうです。人間関係を攻略するより先に、仕事で信頼を貯めるほうが近道だったりします。
たとえば、レセプトの確認や在庫の整理のように、誰かが面倒がる仕事を黙って拾う。続けていると「いると助かる人」になり、どちら側かを問われにくくなります。
休憩とランチで距離を微調整する
意外と効くのが、休憩時間の使い方です。毎回同じグループとべったりだと、自動的に「その派閥の人」と見られます。たまに一人で過ごす日、別の人と話す日をはさむと、固定化を避けられます。
無理に輪に入る必要もありません。「今日は調べ物があって」とスマホを見ている日があってもいい。距離は近すぎても遠すぎても角が立つので、その日の空気で調整するくらいで大丈夫です。
期待しすぎず「仕事の場」と割り切る
最後はマインドの話です。職場に「居心地のいい仲間」を求めすぎないこと。給料をもらって働く場所だと一度割り切ると、派閥の重さが少し軽くなります。
嫌われたくない気持ちが強いほど、派閥に振り回されます。「全員と仲良くなれなくて当たり前」を前提にすると、相手の機嫌に一喜一憂しなくなります。割り切れない日があっても、自分を責めなくて大丈夫です。
薬局の派閥で我慢しなくていい線と相談先
ここまでの立ち回りは、派閥が「仲良しグループの偏り」で収まっている場合の話です。次のような状態は、個人の立ち回りで片づける範囲を超えています。
無視・仲間外しは別問題
- 挨拶や質問を無視される
- 業務の情報を回されない
- 一人だけ仕事を外される
- 集団で陰口や嫌味を言う
厚生労働省は職場のパワハラを、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「就業環境が害されるもの」の3つをすべて満たすもの、と説明しています。
派閥で見落とされがちなのが、この「優越的な関係」です。上司だけでなく、同僚からの集団による行為で、抵抗や拒絶がむずかしいものも含まれるとされています。類型の一つには「人間関係からの切り離し(隔離・無視・仲間外し)」もあります(あかるい職場応援団:パワーハラスメントの定義)。
もちろん、手順の間違いを指摘される、忙しい時間帯に雑談がない、といった程度は当たりません。当たるかどうかは個別の判断になるので、先に記録を残しておくのが確実です。
記録を残して順に相談する
いつ、誰に、何をされたか、仕事にどう影響したかをメモしておきます。日付と事実だけで十分です。そのうえで、相談は次の順が現実的です。
- 管理薬剤師・薬局長
- エリア担当・本部の窓口
- 総合労働相談コーナー
管理薬剤師が派閥の中心にいるなら、1つ目は飛ばして本部から入って構いません。社外なら、各地の労働局にある総合労働相談コーナーに無料で相談できます。
2ヶ月で辞めた薬局で僕が見落としたこと
偉そうに書いていますが、僕自身、職場の人間関係で失敗しています。30歳のとき、ドラッグストア併設の調剤から早く抜けたくて、焦って入った調剤薬局です。
挨拶が返ってこない。誰も目を合わせない。質問すると「自分で考えて」と言われ、定時で帰ろうとすると無言の圧がある。出勤前に胃がキリキリして、駐車場で車を停めたまま動けない朝もありました。
中にどんなグループがあったのかは、2ヶ月では分かりませんでした。分かる前に、僕のほうが限界でした。結局入社2ヶ月で退職し、結婚したばかりの妻にもなかなか言い出せませんでした。
長いあいだ「求人票の『アットホームな職場です』に騙された」と思っていました。でも後で読み返すと、求人票に嘘は書かれていません。本当は、早く辞めたい一心で、職場見学の提案を自分から断っていたんです。騙されたのではなく、確かめなかった。
いま思うと、決め手は書かれていなかったことのほうでした。常勤の薬剤師が何人いるか。今回の募集が欠員の補充か増員か。前任の人がいつ辞めたか。この3つを聞いていれば、入る前に立ち止まれたかもしれません。転職の失敗の全体像は転職で2回やらかした僕の自己紹介にまとめています。
管理薬剤師から見た薬局の派閥と店側でできること
いまの僕は、シフトを組み、新人の教育を見て、採用の一次面接もする立場です。その側から見ると、派閥は「スタッフ同士の問題」だけではありません。店の仕組みを作る側にも責任があります。
管理薬剤師にできるのは、たとえば次のようなことです。
- 相性の悪い組み合わせを固定しない
- 申し送りの置き場所を決める
- 新人の教える係を決める
- 全員に同じように話しかける
一方で、人の好き嫌いそのものは変えられません。異動や配置も、店ではなく本部が決める会社が多いと思います。管理薬剤師にできるのは、派閥が仕事の連携を壊さないようにするところまでです。
相談する側に回るなら、「誰が悪い」より「業務で何が起きたか」を伝えてもらえると動きやすいです。「◯日の申し送りが自分にだけ届かず、疑義照会の結果を知らなかった」。こういう事実なら、シフトや申し送りのルールで手を打てます。
立ち回りでも無理なら薬剤師は環境を変えていい
立ち回りでなんとかなる派閥もあれば、ならない派閥もあります。我慢が美徳のように言われがちですが、消耗しきってから動くより、余力のあるうちに動くほうが選択肢は多く残ります。
逃げていい派閥のサイン
次のどれかが続いているなら、自分を責める前に環境を疑っていいと思います。
- 出勤前に毎朝お腹が痛くなる
- 仕事の情報が意図的に回らない
- 無視や挨拶スルーが日常化
- 管理者も派閥側で頼れない
眠れない、食べられないといった体の不調が出ているなら、職場のことより先に医療機関へ。休職も選択肢の一つです。
チェーンなら異動を先に相談
店舗が複数ある会社なら、辞める前に別店舗への異動を相談する手があります。派閥は店単位のことが多いので、同じ会社でも店が変わると空気はかなり違います。
相談するときは、記録した事実と一緒に、通勤しやすい店など前向きな希望も添えると話が進みやすいです。大手の異動の仕組みは薬剤師の異動が多い理由の記事で書いています。
転職するなら職場見学で派閥を見抜く
職場を変えるなら、次こそ同じ思いをしないために、応募前の職場見学を入れてください。求人票や面接だけでは、派閥の空気はまず見えません。
見学では、スタッフ同士の会話のトーン、新人らしき人への接し方、混んだときの声のかけ方を見ます。挨拶が自然に返ってくるか、誰か一人だけ浮いていないか。短い時間でも、文字情報よりずっと多くが分かります。
あわせて、面接か見学の場で次の3つを聞いておくと安心です。
- 常勤の薬剤師は何人か
- 欠員の補充か、増員か
- 前任の人はいつ辞めたか
面接する側として言うと、どれも聞かれて困る質問ではありません。答えを濁されたり、辞める人が続いていたりするなら、それ自体が判断材料になります。
見学や雰囲気は担当に頼ると早い
職場の雰囲気を一人で調べるのには限界があります。転職エージェントを使うなら、「人間関係や入れ替わりの状況まで知りたい」「見学を必ず入れたい」と最初に伝えておくと話が早いです。
僕は3回目の転職のとき、担当の人に過去2回の失敗を正直に全部話し、見学を必須にしました。そのうえで条件より雰囲気を優先して選び、ようやく人間関係で消耗しない職場に落ち着きました。担当が合わなければ、変更を申し出て大丈夫です。
いま申し込めるエージェントの特徴と向いている人は、薬剤師の転職エージェントのおすすめランキングで比べています。



派閥はあなたが変えるより、自分が動くほうがだいたい早いです。
薬剤師の派閥のよくある質問
派閥で悩む人から出やすい疑問にまとめて答えます。気になるところだけ拾ってください。
- どの薬局にも派閥はあるんですか?
濃さの差はありますが、人が数人いれば多少のグループは自然にできます。大事なのは、仕事に支障が出るほど濃いかどうかです。挨拶が普通に返ってきて、業務の情報が全員に回っているなら、たいていは気にしなくて大丈夫です。
- 中立でいると両方から嫌われませんか?
こそこそ中立だと警戒されやすいですが、誰にでも同じテンションで堂々と接していれば、正面から嫌われることは多くないと思います。仕事をきちんとこなしながらフラットでいるのがコツです。
- 悪口に同調しないと浮きませんか?
否定せず「そうなんですね」で受け流せば、浮くことはあまりありません。正論で返すと浮くので、肯定も否定もしないのが安全です。悪口に乗らない人は、長い目で見ると「陰で言わない人」として信用されます。
- 新人で立場が弱いときはどうすれば?
人間関係より先に、仕事で信頼を貯めるのが近道です。誰かが面倒がる仕事を黙って拾い、申し送りは書いて残す。これを続けると「いると助かる人」になり、どちら側かを問われにくくなります。
- お局さんとはどう付き合えばいいですか?
無理に好かれようとせず、敬意を持って普通に頼るのが楽だと思います。情報や経験を握っている人なので、「これ教えてください」と立てておくと、ぶつからずに済みます。詳しくは薬剤師のお局がしんどい時の対処法で書いています。
- 派閥による無視はパワハラになりますか?
なりえます。厚生労働省は、同僚の集団による行為で抵抗や拒絶がむずかしいものも「優越的な関係」に含まれるとし、無視や仲間外しを「人間関係からの切り離し」の類型に挙げています。当たるかは個別の判断なので、日付と事実を記録して相談してください。
- 派閥がしんどくて辞めたいのは甘えですか?
甘えではないと思います。毎朝お腹が痛くなる、情報が意図的に回らない、といった状態は個人の努力の範囲を超えています。僕も2ヶ月で辞めました。チェーンなら異動の相談も含めて、余力のあるうちに動いてください。
- 転職先の派閥は事前に見抜けますか?
完全には無理ですが、職場見学でかなり見えます。スタッフ同士の会話のトーン、新人への接し方を見てください。常勤の人数、欠員補充か増員か、前任者がいつ辞めたかを聞いておくのもおすすめです。
- 「アットホームな職場」の求人は危ないですか?
その言葉だけで危ないとは言えません。僕が2ヶ月で辞めた薬局の求人票にも、嘘は書かれていませんでした。問題は書かれていないことのほうです。雰囲気を推す求人ほど、見学と質問で中身を確かめてください。
- 派閥事情までエージェントは教えてくれますか?
担当や求人先によりますが、「人間関係や入れ替わりの状況まで知りたい」と最初に伝えておくと、分かる範囲で教えてもらいやすいです。見学の日程調整も頼めます。合わなければ担当変更を申し出てかまいません。
まとめ:薬局の派閥は割り切りと環境選びで軽くなる
薬剤師の派閥がめんどくさいのは、あなたが神経質だからではなく、少人数で逃げ場がない構造のせいです。まずは「自分のせいじゃない」と切り分けるところからでいいと思います。
そのうえで、どちらにも深入りせず、悪口に乗らず、仕事の情報は書いて残す。多くの派閥はこれでやり過ごせます。無視や情報外しが続くなら我慢の話ではないので、記録して相談し、異動や転職も選択肢に入れてください。
- 原因は逃げ場の狭さ
- どちらにも深入りしない
- 悪口の同調だけはしない
- 無視や情報外しは記録する
- チェーンなら異動も手
- 次は見学と質問で見抜く
派閥に限らず、職場の人間関係全般のつらさへの向き合い方は人間関係がつらい薬剤師への対処法で掘り下げています。事務さんとの関係で悩んでいるなら、調剤薬局事務が気が強いと言われる理由も参考になると思います。






