薬剤師は、転職回数が多いというだけで不利になるとは限りません。採用する側がいちばん気にしているのは回数ではなく、「うちに来ても、またすぐ辞めてしまわないか」です。
不利に働きやすいのは、1年未満の退職が重なっているとき、辞めた理由がつながらないとき、病院や企業のように定着を重く見る求人に応募するときです。逆に言えば、ここを説明できれば回数は打ち消せます。
僕は薬剤師10年目で転職3回、うち2回は失敗しています。今は管理薬剤師として、応募してきた人の一次面接をする側です。この記事では「なぜ回数が気にされるのか」「業態でどう違うのか」「何があれば打ち消せるのか」を、両方の立場から書きます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の転職回数が多いと不利?まず結論とデータ
「転職回数が多い=不利」と一言では言えません。薬剤師は転職する人がもともと多い職種で、回数だけで書類を落とす職場は多くないと思います。
ただし、回数が多い人ほど面接で理由を確かめられます。不利かどうかを分けるのは、回数の中身と、それを説明できるかどうかです。
3回以上の薬剤師は約3割
エムスリーが会員の薬剤師2,205人に聞いた調査(2024年3月)では、転職回数の内訳は次のとおりでした(m3.com 薬剤師コラム)。
| 転職回数 | 割合 |
|---|---|
| 0回 | 26.0% |
| 1回 | 23.5% |
| 2回 | 19.4% |
| 3回 | 13.2% |
| 4回 | 7.3% |
| 5回以上 | 10.6% |
3回以上を合わせると約31%です。転職サイトの会員が対象なので、薬剤師全体より多めに出ている可能性はあります。それでも、3回や4回の人が珍しい存在ではないことは分かります。
一般の会社員の感覚で「3回も転職したら終わり」と思い込んで、応募そのものをあきらめる必要はありません。
回数より短期離職の連続が問題
採用側が本当に引っかかるのは、1年未満の退職が2回、3回と続いているパターンです。回数が同じ3回でも、各職場で3〜4年働いた3回とは見え方がまったく違います。
いわゆる「転職ジプシー」と見られてしまうのも、このパターンです。回数そのものより、短く辞めた職場がいくつあるかを数えてみてください。
僕も1社は2ヶ月で辞めています。3回目の転職では、回数よりこの2ヶ月をどう説明するかに一番悩みました。
何回なら大丈夫かの目安と、回数ごとの答え方は薬剤師の転職は何回までかの記事に表でまとめています。
薬剤師の転職回数を採用側が気にする理由
面接する側に回ってみると、回数が気になる理由はかなり具体的です。意地悪で見ているわけではなく、店の事情があります。
また欠員になるのが一番困る
薬局で薬剤師が1人抜けると、その分のシフトは残った人で埋めることになります。管理薬剤師の場合、まず消えるのは自分の休みです。
僕の職場では、求人原稿を作るのは本部で、店から上げるのは欠員の理由や希望の時間帯くらいです。募集を出してから人が来るまでの間も、店は回し続けなければいけません。僕自身、新人が辞めたあとに本部から定着率のことを聞かれた経験があります。
だから一次面接では、回数を見て落とすより「この人はうちで続くか」を確かめたくなります。回数が多い人ほど、ここを聞かれると思っておいてください。
同じ理由で辞めないか見ている
職歴を読むときに見ているのは、前の職場を辞めた理由が、うちでも起きそうかどうかです。残業が理由なら、うちの残業はどうか。人間関係が理由なら、うちの人数や雰囲気で大丈夫か。
ここで理由がはっきりしていれば、むしろ判断しやすい応募者になります。「なんとなく合わなかった」が続いていると、うちでも同じことが起きないとは言えず、慎重にならざるを得ません。
育てる時間が無駄にならないか
経験者でも、新しい職場では処方の傾向、在庫の場所、薬歴の書き方、患者さんとの関係を覚え直してもらいます。教える側のスタッフは、自分の業務を抱えたままその時間を作っています。
数ヶ月で辞められると、その時間がそのまま抜けてしまう。採用側が回数に敏感になるのは、この「もったいなさ」も大きいと思います。
薬剤師の転職回数が多いと本当に不利になるケース
「気にしなくていい」だけで終わるのは無責任なので、不利に働きやすい場面も書いておきます。先に知っておけば、対策を用意できます。
理由が説明できないと一気に不利
一番不利になるのは、退職理由を聞かれて言葉に詰まるケースです。「人間関係が…」で止まると、面接する側は悪いほうに想像してしまいます。
1社ずつの理由が正しくても、並べたときにバラバラだと「次も別の理由で辞めそう」に見えます。回数が多い人ほど、理由を1本の線でつなげて話せるかが分かれ目です。
職歴を省いて後から分かる
回数を少なく見せたくて短い職歴を書かないのは、かえって不利になります。同じ年に転職すると、年末調整で前の職場の源泉徴収票を出すのが基本で、そこで分かることがあるからです(国税庁「中途就職者の年末調整」)。
入ってから食い違いが出ると、「短く辞めた人」ではなく「経歴を隠した人」として見られます。短い職歴の扱いは2ヶ月で退職した職歴の書き方にまとめました。
管理薬剤師たろう回数を数える前に、短すぎる在籍と、その説明が用意できているかを見られていると思っておくと楽です。
業態別に見た薬剤師の転職回数の見られ方
同じ経歴でも、応募先によって回数の重みは変わります。ここは僕の見てきた範囲と、採用の仕組みから考えられる傾向です。最後は応募先ごと、面接する人ごとに違う点は差し引いて読んでください。
| 応募先 | 回数の見られ方 |
|---|---|
| 調剤薬局 | 続くかを面接で確認 |
| ドラッグストア | 勤務条件の合意を重視 |
| 病院 | 定着を重く見やすい |
| 企業 | 経歴の一貫性を見る |
| 派遣 | 期間満了なら区別される |
調剤薬局は続くかを面接で見る
調剤薬局は1店舗あたりの薬剤師が少なく、1人の欠員が店全体に響きます。そのぶん、回数で足切りするより、面接で「続く理由があるか」を確かめたいところです。
僕が一次面接で聞くのも、前の職場で何が合わなかったか、今回の応募先で何を確かめたかです。ここを具体的に話せる人なら、回数は大きな減点になりにくいと感じます。
ドラッグストアは条件のすり合わせ
ドラッグストアは店舗数が多く、採用の枠も比較的大きい業態です。回数そのものより、遅番・土日・異動・OTCやレジ業務の範囲に納得して入れるかを確かめられる印象があります。
僕は1回目の転職でドラッグストア併設の調剤に移り、月45時間の残業で2年で離れました。業務の範囲を確かめずに入ると、ここで回数を増やしやすいです。
病院・企業・管理職候補は厳しめ
病院や企業は中途採用の枠が少なく、1人を採るのに時間をかけます。管理薬剤師候補のように「腰を据えてほしい」前提の求人も同じです。こうした枠では、回数の多さが慎重に見られやすくなります。
とはいえ、応募できないわけではありません。職歴が1本の流れとして読めること、次は長く働く根拠があること。この2つを書類の段階から見せておくと、話を聞いてもらいやすくなります。
派遣は回数の見え方が違う
派遣は、最初から期間が決まっている働き方です。薬剤師の派遣は産休の代わりなど1年未満の依頼が多い、と案内している紹介会社もあります(MC-ファーマネット Q&A)。
職務経歴書で「派遣・契約期間満了」と書き分けておけば、短期離職と混同されにくくなります。正社員の短期離職と同じ1回に数えられないよう、書き方で区別しておくのがコツです。
転職回数が多い薬剤師の不利を打ち消す材料
回数そのものは変えられません。でも、面接する側の「また辞めるかも」を打ち消す材料は用意できます。一次面接をしていて、あると安心するのは次の4つです。
各職場で積んだ経験を言える
職場ごとに積んだものがあると、回数は「迷った跡」ではなく「経験の幅」に見えます。在宅に関わった、OTCの相談を受けてきた、薬歴の監査を任されていた。こうした中身は、回数のマイナスを直接打ち消します。
辞めた理由も、事実の中から前向きな側面を選んで言葉にします。嘘をつくのではなく、何を探して動いてきたかを1本の軸で話す、ということです。言い回しに迷ったら薬剤師の転職理由の例文集が下敷きになります。
今回の選び方を事実で話せる
「長く働きたいです」という気持ちだけでは、回数が多い人ほど響きません。面接する側が安心するのは行動の話です。
たとえば「前回は見学せずに決めて失敗したので、今回は見学で薬剤師の人数と残業を確かめました」。こう話せる人は、同じ失敗をしない根拠を持っていると受け取れます。見学で確かめることは職場見学で見る・聞く14項目にまとめました。
やむを得ない理由は正直に言う
家族の転勤、出産や育児、介護、会社の閉店や事業の縮小。本人の希望とは別の事情で動いた転職は、理由を一言添えれば回数として重く見られにくいと思います。
面接で聞きたいのは詳しい家庭の事情ではなく、今は長く働ける状況かどうかです。「今は落ち着いていて、週何日・何時まで働けます」まで言えると十分です。
回数を隠さず先に説明する
回数が多い人ほど、職歴を正直に並べ、職務経歴書の冒頭で流れを短く要約しておくと読んでもらいやすくなります。聞かれる前に説明が用意されている人は、それだけで印象が違います。
履歴書・職務経歴書の書き方と、面接での回数別の答え方の例は転職は何回までか・回数別の伝え方に書きました。
転職3回・うち2回失敗した薬剤師の僕が面接する側で思うこと
僕の経歴は、新卒の調剤薬局に4年、ドラッグストア併設の調剤に2年、次の調剤薬局を2ヶ月、今の職場で4年目です。1回目は年収550万に釣られて月45時間の残業に疲れ、2回目は焦って決めて入社2ヶ月で退職しました。
2ヶ月で辞めたころは、出勤前に胃がキリキリして、駐車場で車を停めたまま動けない朝がありました。結婚したばかりで妻に言えず、天井をにらんで眠れない夜もありました。
長いあいだ「求人票に騙された」と思っていました。でも本当は、ドラッグストアを1日でも早く抜けたくて、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分で断っていたんです。騙されたのではなく、確かめなかった。
3回目では、条件より職場の雰囲気を優先し、応募前に必ず見学を入れ、担当のエージェントに過去2回の失敗を全部話しました。結果、提示560万を交渉で610万まで上げてもらい、2年目で管理薬剤師になっています。
今、面接する側に座って思うのは、回数の多い応募者を見たときに知りたいのは「失敗しなかった話」ではないということです。何でつまずいて、次は何を変えたのか。そこを自分の言葉で話せる人のほうが、安心して一緒に働けます。



回数が多いこと自体より、失敗から選び方を変えたと話せるかどうか。僕はそこが分かれ目だと思っています。
転職回数が多い薬剤師が次の職場選びで頼れる相談先
回数が気になる人ほど、次の職場を「入ってみないと分からない」状態で決めないことが大事です。求人票は本部が作ることも多く、店の空気までは書かれていません。
転職エージェントを使うなら、最初の面談で職歴と辞めた理由を全部話しておくと、同じ理由で辞めそうな求人を避けてもらいやすくなります。たとえばMC-ファーマネットは公式のQ&Aで、職場の雰囲気や人間関係の情報を提供でき、職場見学や面接の日程も担当者がセッティングすると案内しています。登録や支援は無料です。
担当と合わなければ、変えてもらえば大丈夫です。今申し込めるエージェントの違いは薬剤師転職エージェントの比較で並べています。
薬剤師の転職回数に関するよくある質問
- 転職回数が多いと書類で落とされますか?
回数だけで機械的に落とす職場は多くないと思います。警戒されやすいのは1年未満の退職が続いている場合です。職務経歴書の冒頭で流れを要約し、職場ごとに1行の理由を添えると読んでもらいやすくなります。
- 薬剤師の転職回数は平均で何回くらいですか?
公的な統計はありませんが、エムスリーの会員薬剤師2,205人への調査(2024年3月)では、0回26.0%、1回23.5%、2回19.4%、3回以上が約31%でした。3回以上の人も珍しくありません。
- 2ヶ月で辞めた職歴は隠していいですか?
おすすめしません。同じ年の転職なら年末調整で前職の源泉徴収票を出すのが基本で、書いていない職場が分かることがあります。入ってから食い違うより、書類の段階で理由とセットで説明しておくほうが安全です。
- 何回までならセーフという明確なラインはありますか?
決まったラインはありません。回数より、1社あたりの在籍年数と、1年未満の退職が何回あるかで見られます。回数ごとの目安は「薬剤師の転職は何回まで」の記事にまとめています。
- 病院に転職したいのですが、回数が多いと厳しいですか?
調剤薬局より慎重に見られやすいと思います。中途採用の枠が少なく、定着を重く見るからです。職歴が1本の流れとして読めることと、長く働く根拠を書類の段階から示しておくと話を聞いてもらいやすくなります。
- 派遣の期間満了も転職回数に数えられますか?
職歴としては書きますが、職務経歴書で「派遣・契約期間満了」と明記すれば、自分から短期で辞めた転職とは区別して読んでもらいやすくなります。
- 回数が多いと年収は下がりますか?
回数そのものより、積んだ経験と交渉で決まる部分が大きいと思います。僕は3回目の転職で、提示560万を交渉で610万まで上げてもらいました。
- 転職回数が多いと管理薬剤師になれませんか?
そんなことはありません。僕も転職3回を経て、今の職場の2年目で管理薬剤師になりました。回数より、入ってから続けて信頼を積めるかが効いてきます。
- エージェントに転職回数の多さを正直に言うべきですか?
言ったほうが得です。事情が分かっていれば、同じ理由で辞めそうな求人を避けてもらえますし、書類や面接での伝え方も一緒に考えてもらえます。
- もう転職回数を増やしたくない人は何から始めればいいですか?
職場に何を一番求めるかを決めることです。年収か、人間関係か、勤務時間か。優先順位が決まれば、見学で確かめることもはっきりします。焦って決めないのが一番の近道です。
薬剤師の転職回数が多いと不利かのまとめ
薬剤師は、転職回数が多いだけで不利になるとは限りません。採用側が気にしているのは「またすぐ欠員にならないか」で、見られるのは1年未満の退職の数、理由のつながり、応募先の業態です。
各職場で積んだ経験と、今回はこう確かめて選んだという事実があれば、回数は打ち消せます。僕も2回失敗した経歴から立て直せました。
- 3回以上の薬剤師は約3割
- 採用側の不安は「また欠員」
- 効くのは1年未満の退職の数
- 病院・企業は定着を重く見る
- 経験と選び方で打ち消せる
- 職歴は隠さず先に説明する








