薬剤師の転職は、35歳でも遅くありません。同じ業態の中で職場を変えるなら、年齢だけで応募先がなくなることはまずないと考えています。
そもそも求人で年齢に制限をかけることは、法律で原則禁止されています。年齢が効いてくるのは、病院や企業のような未経験の業態へ移るときと、短期離職が重なっているときです。
僕は34歳の管理薬剤師で、店に欠員が出たときは応募者の一次面接もしています。転職は3回して、うち2回は失敗しました。この記事では、面接する側と転職する側の両方から、35歳の転職で本当に見られるところを書きます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の転職は35歳で遅い?同じ業態なら遅くない
一番知りたいところから答えると、35歳の薬剤師転職は遅くないです。理由は、経験・法律・給料の3つから説明できます。
経験10年前後は即戦力の層
24歳で新卒として働き始めた人なら、35歳は薬剤師11年目くらいです。調剤も監査も投薬も一通りこなせて、教える手間がほとんどかかりません。
欠員が出た店が困っているのは、決まった時間帯に薬剤師が立てないことです。入ってすぐシフトに入れる経験者は、採用する側にとって助かる存在だと思います。
求人の年齢制限は原則禁止
募集や採用で年齢にかかわりなく均等な機会を与えることは、労働施策総合推進法 第9条で事業主に義務づけられています。薬局やドラッグストアの求人も対象です(厚生労働省:募集・採用における年齢制限禁止について)。
ただし例外もあります。よく見かけるのは、正社員として長く育てる前提で「経験不問・新卒と同じ扱い」で若い人を募集するケースです(同法施行規則 第1条の3第1項第3号イ)。経験者を即戦力で探す中途求人は、この例外に当たりにくいはずです。
やむを得ず上限年齢をつける場合は、その理由を求職者に示す決まりもあります(高年齢者雇用安定法 第20条)。求人に「〇歳まで」とあって理由がないときは、エージェントや採用担当に確認してみてください。公務員の薬剤師は別の仕組みで、自治体ごとに受験できる年齢の上限を決めていることがあるので、募集要項で確かめるのが確実です。
給料は年齢より経験年数で決まる
薬剤師の給料は、年齢より経験年数で上がっていきます。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(職種・年齢階級・経験年数階級別)で薬剤師の欄を見ると、次のとおりです。
| 経験年数 | 月の給与 | 賞与 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 1〜4年 | 35.1万 | 71.9万 | 約493万 |
| 5〜9年 | 39.3万 | 82.8万 | 約555万 |
| 10〜14年 | 42.1万 | 94.1万 | 約600万 |
35歳の多くが入る「10〜14年」で約600万円です。中途採用の提示額も、年齢そのものより前職の年収と経験年数を見て決まることが多いと考えています。経験年数ごとの詳しい内訳は薬剤師10年目の給料・年収にまとめています。
一次面接をする管理薬剤師が35歳の応募者で見ていること
ここからは統計ではなく、店で一次面接をする管理薬剤師としての考えです。僕が面接の場で何を気にしているか、として読んでください。
前提として、うちの会社では求人原稿を作るのは本部です。店から上げるのは「欠員の理由」「希望する勤務時間帯」「常勤かパートか」の3点だけで、年齢はそこに入っていません。
年齢より「続くか」を見る
面接する側が一番困るのは、採用して数ヶ月でまた欠員になることです。なので35歳という数字より、うちの店で長く働いてくれそうかを確かめたくなります。
判断の材料になるのは、これまでの在籍年数と、今回の職場を選んだ理由です。「見学で何を確かめたか」「どの条件を優先したか」を具体的に話してもらえると、判断しやすくなります。転職回数が気になる人は、薬剤師の転職は何回までかも参考にしてください。
前の店のやり方を押しつけないか
経験が長い人ほど、自分のやり方が身についています。それ自体は強みですが、入った店のルールや薬歴の書き方は、年下の先輩から教わることもあります。
面接では「前の店ではこうしていましたが、まずこちらのやり方を覚えます」と言える人のほうが、一緒に働く側は安心できます。経験の話と、教わる姿勢の話を両方できると強いと思います。
管理薬剤師候補かを確かめる
30代後半になると、求人によっては管理薬剤師の候補として見られることがあります。発注や在庫、シフト、本部への報告まで任せたい店もあれば、一般の薬剤師として入ってほしい店もあります。
ここは応募する側から面接で聞いておくのがおすすめです。「管理薬剤師を任せる予定はありますか」と聞くだけで、入ってからの働き方のずれをかなり防げます。
管理薬剤師たろう面接する側に回って、年齢より「うちで続くか」ばかり考えている自分に気づきました。
35歳の薬剤師の転職が「遅い」と言われる理由
遅くないと書いてきましたが、「遅い」と言われる理由もあります。ここを知らずに動くと、いざ応募したときに話が違うと感じるので、正直に書いておきます。
未経験の業態は難しくなる
一番大きいのはここです。調剤一筋の人が病院や企業へ移ろうとすると、年齢がネックになりやすくなります。
病院や製薬企業は新卒採用が中心で、中途の枠が少ないところが多いです。1人を採るのに時間をかけるぶん、35歳からの完全未経験は選べる求人が一気に減ります。無理とは言いませんが、難易度は上がると思っておいたほうがいいです。
年収の伸びがゆるやかになる
さっきの表のとおり、経験年数ごとの年収の差は、1〜4年から5〜9年で約62万円、5〜9年から10〜14年で約45万円と縮んでいきます。35歳を過ぎると、転職だけで年収を大きく上げるのは難しくなります。
それでも上げ方が変わるだけで、上がらないわけではありません。僕は30歳の3回目の転職で、前職480万円から提示560万円、交渉して初年度610万円になりました。管理薬剤師の手当が乗るかどうかも、この年代では大きな差になります。
短期離職が並ぶと不利になる
年齢というより職歴の問題ですが、35歳までに1年未満の退職が何度もあると、採用側は「次も続くのか」を気にします。
僕も30歳のとき、入社2ヶ月で辞めた職場があります。こういう短い職歴を履歴書にどう書くかは、2ヶ月で辞めた職歴の書き方にまとめました。35歳での次の転職は、腰を据える前提で選ぶのが大事になります。
35歳の薬剤師が転職先の業態ごとに知っておきたい難しさ
同じ35歳でも、どこからどこへ移るかで難しさはまったく違います。現場で働いてきた僕の見立てを表にしました。地域や求人の数で変わるので、目安として見てください。
| 移る先 | 難しさ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 調剤→調剤 | 低い | 職場の雰囲気 |
| 調剤→DS | 低い | 残業と遅番 |
| DS→調剤 | 低め | 調剤経験の長さ |
| →病院 | 高い | 中途枠と年収 |
| →企業 | かなり高い | 募集自体が少ない |
| →公務員 | 要確認 | 受験年齢の上限 |
調剤からドラッグストアは入りやすい反面、僕のように年収だけで決めると働き方でつまずきます。病院は、年収が下がっても経験を積みたいという理由がはっきりしていると話が進みやすいと思います。
薬剤師の僕が30歳で焦って転職して失敗した話
ここからは僕自身の失敗です。35歳で「もう後がない」と焦っている人に、同じ轍を踏んでほしくないので書いておきます。
28歳のとき、新卒で入った調剤薬局の給料が頭打ちになり、年収550万円につられてドラッグストア併設の調剤に移りました。お金は増えましたが、月の残業は45時間ほど。閉店後の品出しで夜10時になる日も普通でした。
30歳のとき、そのDSを早く抜けたい一心で次の調剤薬局を決めました。年収は550万円から480万円に下げてでも、脱出を優先したんです。求人票には「アットホームな職場です」とありました。
入ってみると、誰も目を合わせてくれず、挨拶も返ってきませんでした。質問しても「自分で考えて」で終わる。出勤前に胃がキリキリして、駐車場で車を停めたまま動けない朝が続きました。
結局、入社2ヶ月で辞めました。結婚したばかりで妻にもなかなか言えず、天井をにらんで眠れない夜が何度もありました。
長いあいだ「求人票に騙された」と思っていましたが、本当は違います。DSを1日でも早く抜けたくて、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分から断っていました。騙されたのではなく、確かめなかったんです。これは30歳でも35歳でも同じで、焦って確かめずに決めると一発でやられます。
ほかの薬剤師の失敗例も読んでおきたい人は、薬剤師の転職失敗談まとめもどうぞ。
35歳の薬剤師が転職で失敗しないための動き方
3回目の転職で、僕は選び方を変えました。その経験と、面接する側から見て「こう動く人は強い」と感じることを合わせてまとめます。
- 条件より職場の雰囲気を優先
- 応募前に必ず職場見学
- 過去の失敗を正直に話す
- 在職中に焦らず比べる
- 内定は条件を並べて決める
年収より職場の雰囲気を優先する
1回目は年収で、2回目は「早く抜けたい」焦りで選んで失敗しました。お金が増えても、人間関係がきつい職場は続きません。
3回目は結婚して家庭を持った頃で、「次こそ失敗できない」と思っていました。条件で選ぶのをやめて、人間関係と雰囲気を最優先にしたのが効いたと思います。年収は交渉で動く部分がありますが、職場の空気は入ってからでは変えられません。
応募前に職場見学を入れる
求人票に嘘が書いてあるとは限りません。僕が2ヶ月で辞めた職場の求人票も、後から読み返すと条件は実際と合っていました。足りなかったのは、常勤が何人いるか、欠員補充か増員か、前任者がいつ辞めたかといった、書かれていなかったことです。
スタッフ同士の会話の感じや、忙しい時間帯の回り方は、その場に立たないと分かりません。見学で何を見て何を聞くかは、薬剤師の職場見学でチェックする項目にまとめています。
エージェントに失敗を正直に話す
恥ずかしくて隠したくなりますが、隠さないほうが合う求人を紹介してもらえます。僕は3回目のとき、過去2回の失敗を担当に全部話しました。
「雰囲気を最優先にしたい」「見学は必ず入れたい」と伝えると、その前提で求人を選んでもらえます。35歳で転職回数が多い人ほど、先に共有しておいたほうが話が早いです。
在職中に焦らず比べる
僕の2回の失敗は、根っこが「早く抜けたい」焦りでした。35歳だと「もう後がない」という気持ちが加わって、さらに焦りやすいと思います。
収入が途切れない在職中に、複数の求人を並べて比べてください。エージェントを2〜3社使って紹介される求人を見比べるだけでも、焦りはかなり減ります。どこを使うか迷う人は、薬剤師転職エージェントのおすすめ比較で選び方をまとめています。
調剤薬局の中で職場を変えたい人なら、ファゲットも候補になります。僕自身は使っていませんが、調べたところ、公式サイトでは中小の調剤薬局や病院の求人を強みとして挙げています。見学を入れたい、雰囲気を知りたいといった希望は、最初の相談でそのまま伝えてみてください。
内定は条件を並べて決める
35歳で家庭があると、年収だけでなく、帰宅時間や休日、通勤も同じくらい大事になります。内定が出たら、口頭の説明ではなく労働条件通知書で、年収・残業・休日・管理薬剤師の予定を並べてから返事をしてください。
内定が出て返事に迷っている人向けに、給与と働き方を比べて返事を決めるまでの手順を、有料noteの薬剤師の転職、内定に迷ったら|給与・働き方を比べて、返事を決める実践ガイドにまとめました。無料部分で対象や中身を確かめられて、本編は有料です。
転職を急がないほうがいい35歳の薬剤師
35歳は遅くないとはいえ、全員が今すぐ動くべきとは思いません。立ち止まったほうがいいケースもあります。
今の職場の不満が一時的な場合
繁忙期で一時的にしんどいだけ、特定の人と一度揉めただけ、というケースは、辞める前に一度立ち止まってほしいです。勢いで辞めると、僕のように焦って次を決めがちです。
数ヶ月たっても変わらない不満なのか、その場のイライラなのか。構造的な不満なら動く価値がありますが、見極める前に決めるのは危険だと思います。
目的なく未経験分野へ移る場合
35歳からの未経験分野は、選べる求人が少なくなります。「なんとなく今と違うことがしたい」くらいの動機だと、年収が大きく下がったり、慣れるまでに苦労したりしがちです。
未経験に行くなら、そこで何を身につけたいかをはっきりさせてからにしてください。理由が曖昧なら、まずは同じ業態の中で職場を変えるほうが安全です。
35歳の薬剤師の転職でよくある質問
35歳の転職でよく出てくる不安に、まとめて答えておきます。
- 35歳の薬剤師転職は本当に遅くないですか?
- 同じ業態の中で職場を変えるなら遅くないと考えています。経験10年前後は即戦力として見られやすく、年齢だけで門前払いされることは少ないはずです。
- 求人に「35歳まで」と書いてあったら応募できませんか?
- 募集・採用での年齢制限は法律で原則禁止されていて、例外として上限をつける場合は理由を示す決まりがあります。理由が書かれていなければ、エージェントや採用担当に確認してみてください。
- 転職回数が多くても35歳で大丈夫?
- 回数より、1年未満の退職が何回あるかと、辞めた理由のつながりが見られます。僕も2ヶ月で辞めた職場がありますが、選び方を変えた理由を話せば道はあります。
- 35歳で転職すると年収は下がりますか?
- 同じ業態なら、前職の年収と経験年数を見て提示されることが多いです。統計では経験10〜14年の薬剤師で年収約600万円です。未経験の業態へ移る場合は下がることがあります。
- 未経験分野への転職は35歳だと無理?
- 無理ではありませんが、病院や企業は中途の枠が少なく難易度は上がります。何を身につけたいのか、理由をはっきりさせてから動くのがおすすめです。
- 35歳で調剤からドラッグストアに移るのはあり?
- ありです。ただ年収につられると働き方でつまずくことがあるので、残業時間と遅番の回数は必ず確認してください。僕はそこで失敗しました。
- 在職中と退職後、どっちで転職活動すべき?
- 在職中をおすすめします。収入が途切れないと焦らずに比べられて、結果的に合う職場を選びやすくなります。
- エージェントは何社使えばいい?
- 2〜3社が目安です。僕は転職のときに5社使いましたが、比べることで担当の質や求人の差が見えて、焦りが減りました。
- 35歳で管理薬剤師を目指すのは遅い?
- 遅くないです。僕も今の職場に入って2年目で管理薬剤師になりました。面接のときに管理薬剤師を任せる予定があるか聞いておくと、入ってからのずれを防げます。
- 家庭があると35歳の転職は不利?
- 不利とは考えていません。働き方の優先順位がはっきりしている分、職場を選びやすくなります。僕も結婚して家庭を持った頃の3回目の転職で、初めて納得のいく職場に入れました。
35歳の薬剤師の転職は遅くないかのまとめ
35歳の薬剤師転職は、同じ業態の中なら遅くありません。求人の年齢制限は原則禁止で、給料も年齢より経験年数で決まります。
気をつけるのは、未経験の業態と短期離職、それから焦りです。面接する側は年齢より「うちで続くか」を見ています。雰囲気を優先し、見学を入れ、失敗も正直に話せば、35歳からでも十分に選び直せます。
- 35歳の薬剤師転職は遅くない
- 求人の年齢制限は原則禁止
- 面接では年齢より続くかを見る
- 未経験の業態は難しくなる
- 焦って即決すると失敗する
転職で2回失敗してから年収を上げるまでの全体の流れは、転職で2回やらかした僕が年収130万上げた話にまとめています。








