親の介護が始まりそうで、今の薬剤師の仕事と両立できるのか不安、という方は多いと思います。僕は管理薬剤師としてシフトを組む側なので、介護と仕事がぶつかる場面は他人事ではありません。
先に言ってしまうと、薬剤師は介護と両立しやすい資格の部類だと思います。でも「今のままの働き方」で押し切ろうとすると、たぶんどこかで潰れます。
この記事では、両立できるのか・できないのか、辞めずに済む現実的な選択肢、使える制度、向かないケースまで、現役管理薬剤師の目線で正直に書いていきます。
親の通院や急な呼び出しが増えてきて、「今の働き方のままでは、いつか回らなくなる」と感じている人が、この記事を開いていると思います。辞める前に、週3〜4日や午前だけ、家から近い店といった条件の求人が実際にどのくらい出ているのかを知っておくと、考えられる手が増えます。
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薬剤師は親の介護と仕事を両立できる?結論から
まず一番知りたいところに答えます。薬剤師は、職種としては介護と両立しやすいほうです。理由は3つあって、一つずつ見ていきます。
資格があるから働き方を選べる
薬剤師の一番の強みは、フルタイムを降りても食べていけることです。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査(短時間労働者)では、パートなど短時間で働く薬剤師の時給は平均2,540円で、週3勤務でもそれなりの収入になります。
介護のために「正社員→パート」と働き方を落としても、生活が一気に崩れにくい。これは他の職種だとなかなか難しいところで、資格職のありがたみだなと思います。
もちろん年収は下がります。でも「辞める」か「フルで続けて潰れる」かの二択じゃなく、間の選択肢を取れるのが大きいです。
求人が多くて職場を変えやすい
薬剤師は慢性的に人手が足りていて、求人の数自体が多いです。だから「家から近い」「シフトに融通が利く」といった条件で職場を選び直しやすい。
介護で大事なのは、いざという時にすぐ動ける距離と時間の余裕です。通勤に片道1時間かけていた人が、家から15分の薬局に移るだけでも全然違ってきます。
選択肢が多いというのは、それだけで精神的な逃げ場になるんですよね。
でも「今のまま」では両立できない
ここが正直なところです。両立しやすい職種ではあるけど、激務のフルタイムを維持したまま介護を背負うのは、ほぼ無理だと思っています。
残業が多い職場、急な呼び出しがある在宅対応、一人薬剤師で休めない店舗。こういう環境のまま介護が始まると、どこかで限界が来ます。両立できるかは「資格」より「どの職場で働くか」で決まる、というのが僕の実感です。
管理薬剤師たろうなので、辞めるかどうかより先に「働き方を変える」を考えるのが正解だと思います。
介護と両立しやすい薬剤師の働き方4つ
では具体的にどう働けばいいのか。介護の重さや家庭の状況で変わりますが、現実的な選択肢を4つ挙げます。一つずつ見ていきましょう。
パート薬剤師:曜日と時間を選ぶ
一番ベタですが、介護との相性は良いです。週3〜4日、午前だけ、みたいに勤務を組めるので、デイサービスの送り出しや通院の付き添いと合わせやすい。
難点は、急に「来週から週2にして」みたいな変更は嫌がられること。最初の面接で介護の事情をある程度伝えて、融通の利く職場を選んでおくのがコツです。
僕は一次面接をする側ですが、介護の事情そのものを細かく聞きたいわけではありません。知りたいのは、シフトに関わる3点です。
- 確実に出られる曜日と時間
- 急に休む可能性がある場面
- 働き方が変わりそうな時期
たとえば「火曜と木曜はデイサービスの日なので、9時から15時まで確実に出られます。通院の付き添いは前の月のうちに日が分かります」という伝え方です。出られない話より、確実に出られる枠を先に言ってもらえると組みやすくなります。
事情を伏せて入り、あとから休みが続くほうが、お互いにしんどくなります。先のことは分からなくて当然なので、「状態が変わったら早めに相談します」と添えておけば十分です。
収入の目安は職場で差が出ます。時給や上げ方は薬剤師パートの時給相場の記事にまとめているので、気になる人は見てみてください。
派遣薬剤師:期間を区切って働く
意外と介護向きなのが派遣です。僕は派遣で働いたことがないので、仕組みとして言えることを書きます。派遣は契約期間が決まっているので「介護が落ち着くまでの数ヶ月だけ」みたいな働き方ができます。
その代わり、契約が切れたら次を探す不安定さはあります。人間関係を深く作りにくいのも、人によっては逆にラクだったりします。
向き不向きがハッキリ分かれるので、派遣薬剤師のメリット・デメリットの記事で自分に合うか確かめてから動くのをおすすめします。
で、実際どんな案件が出ているかは登録しないと見えないのが正直つらいところです。僕が中身だけ覗いてみた話は派遣に強いファル・メイトの登録レビューに書きました。
時短勤務:正社員のまま続ける
正社員の身分を手放したくない人には時短という手があります。育児で使われるイメージが強いですが、介護を理由に時短にできる職場もあります。
ボーナスや昇給を残したまま、勤務時間だけ削れるのが強み。ただ、制度があっても現場が回らず使いづらい職場もあるので、実態の確認は必須です。
制度があるかどうかより、「実際に使っている人がいるか」を面接で聞くのが見極めのポイントです。
職場を変える:負担の軽い業態へ
働き方の前に「どの業態か」も大事です。残業の多いドラッグストアや在宅メインの薬局は、急な呼び出しで予定が崩れやすい。
逆に処方箋枚数が落ち着いた門前薬局や、人員に余裕のある中規模店は休みを取りやすいです。同じ薬剤師でも職場でこんなに違うのか、と転職して初めてわかりました。
業態ごとの向き不向きは薬剤師の職場の選び方の記事で4業態を比べています。介護を見据えるなら一度読んでおくと判断がラクになります。
薬剤師が仕事を辞めずに使える介護の制度
働き方を変える前に、まず知っておきたいのが国の制度です。「介護=即退職」と思い込んでいる人が多いんですが、辞めなくても乗り切れる仕組みがあります。一つずつ見ていきましょう。
介護休業:通算93日休める
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分けて休める制度です。要介護状態の親がいれば、パートでも条件を満たせば取れます。
勘違いされがちですが、これは「自分が付きっきりで介護する」ための休みというより、ケアマネを探したり施設の段取りをつけたりする体制づくりの時間です。
体制づくりでやることは、だいたい順番が決まっています。
- 地域包括支援センターに相談
- 市区町村へ要介護認定を申請
- ケアマネジャーを決める
- 使うサービスを決める
- 家族の役割分担を決める
3回に分けられるので、最初にまとめて使い切らないほうが安全です。介護は途中で状態が変わるので、最初に93日を使い切ると、次の山でまとまって休む手段が残りません。退院して自宅に戻るとき、施設を探すときなど、段取りが要る時期に分けて当てる考え方です。
休業中は雇用保険から介護休業給付金(賃金の約67%)が出るので、収入ゼロにはなりません。
介護休暇:年5日の単発休み
こっちは1日単位や時間単位で取れる短い休みです。対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日まで取れます。
通院の付き添いや、急な呼び出しに使いやすい。有給を消耗せずに済むので、地味だけどありがたい制度です。
申請の手続きはそこまで難しくありません。具体的な流れは下の箱にまとめておきます。
介護休業・介護休暇の申請手順(クリックで開く)
- 親の要介護状態を確認する
- 要介護認定や意見書があると早い
- 就業規則で介護休業の規定を確認
- 休業は原則2週間前までに書面で
- 休暇は当日の口頭申請でも基本OK
- 給付金は会社経由でハローワークへ
制度があっても使えない職場もある
正直に書きますが、制度はあっても現場が使わせてくれない職場は存在します。一人薬剤師の店だと、代わりがいなくて休みようがない。
法律上は取れるはずでも、空気的に言い出せない職場もある。こういう環境なら、制度に期待するより職場ごと変えたほうが早いです。



言い出しにくい空気の職場だと、申し出ても意味がないのかな…
ただ、見切る前に一度は申し出てみる価値があります。2025年4月から、家族の介護が必要になったと申し出た人に対して、会社は制度の中身・申出先・介護休業給付金のことを個別に知らせ、利用の意向を確認することが義務になりました。
薬局だと、店で話しても「本部に聞かないと分からない」で止まりがちです。申し出るときは、次の順で確かめると話が進みます。
- 就業規則の介護の章を読む
- 申出先が店か本部かを聞く
- 過去に使った人がいるか聞く
- 休む間の応援体制を聞く
ここでまともな返事が来ない、応援の当てが無いと言われるだけなら、そこで職場を変える判断をしても遅くありません。
休める人員体制かどうかは、職場見学で必ず確かめておきたいポイントになります。
薬剤師が介護で潰れやすい場面を、シフトを組む側から
制度や働き方の話だけだと薄っぺらいので、シフトを組む側から見える話を書きます。僕自身は介護の当事者ではないので、その前提で読んでください。
介護が始まった人が最初に頼りがちなのは有給です。通院の付き添いや急な呼び出しを有給でやりくりしているうちに残りが減り、次に休む手段が無くなっていきます。シフトを組む側から見ると、休みの連絡が当日になることが増えた時点で、もう一人では回っていないサインです。



当日の休み連絡が増えてきたら、一人で抱えすぎの合図です。早めに相談してください。
もう一つ壁になりやすいのが、外に頼ることへの後ろめたさです。ケアマネに相談する、施設のショートステイを使うといった選択肢を「親に悪い気がして」と避けてしまう。気持ちは分かりますが、外のサービスは家族が倒れないために用意されているものです。
働く日数を減らすのも、負けではありません。フルタイムを週3〜4日に落としても、薬剤師なら収入がゼロにはなりにくい。限界まで粘ってから辞めるより、早めに日数を相談してもらえるほうが、店としても続けてもらう形を考えやすいです。



日数を減らす相談は、早いほど店も動きやすいです。遠慮はいりません。
で、僕が言いたいのは、頑張りすぎる人ほど両立に失敗するということです。薬剤師ってまじめな人が多くて、仕事も介護も完璧にやろうとしちゃう。でもどっちも100点は無理なんですよね。
僕自身は娘がまだ2歳で、親の介護はこれからの世代です。その時に身動きが取れる働き方でいたいな、とは思っています。…まあ、いざ来たら綺麗事じゃ済まないんだろうなとも思いますが。
介護と仕事の両立に向かない薬剤師・おすすめできないケース
ここまで「両立できる」と書いてきましたが、正直に向かないケースも書いておきます。当てはまる人は、無理に両立を目指さないほうがいいかもしれません。一つずつ見ていきましょう。
全部一人で抱え込んでしまう人
さっき書いたとおり、外部サービスに頼れない人は両立がきついです。介護は長期戦なので、一人で背負うと必ずどこかで折れます。
ケアマネや地域包括支援センターを早めに使うのが前提です。それができない性格なら、いっそ介護に専念する時期を作ったほうがいい場合もあります。
頼ることは甘えじゃない、というのは何度でも言いたいところです。
一人薬剤師・激務の職場にいる人
今いる職場が一人薬剤師だったり残業まみれだったりするなら、その場で両立しようとしないでください。代わりがいない職場で介護を背負うのは、ほぼ詰みます。
この場合は「両立できるか」より先に「職場を変えられるか」を考えるべきです。動くなら介護が本格化する前のほうが、余裕を持って探せます。
一人薬剤師のしんどさは一人薬剤師がきつい理由の記事に書いたので、思い当たる人は読んでみてください。
収入を一切下げられない人
住宅ローンや教育費で今の年収を1円も下げられない、という人も両立はシビアです。パートや時短にすると、どうしても収入は落ちます。
この場合は派遣で時給の高い求人を探すとか、介護休業給付金を活用するとか、収入の落ち幅を抑える工夫が要ります。家計と相談しながら現実的な落とし所を探る感じです。
収入とのバランスは家庭ごとに正解が違うので、ここだけは数字でシミュレーションしておくのをおすすめします。
介護と両立できる薬剤師の職場の探し方
最後に、両立しやすい職場を見つけるコツです。求人票だけ見ても、休みやすさはわかりません。
大事なのは「人員に余裕があるか」「急な休みを取った人がいるか」を、面接や職場見学で確かめること。求人票の「アットホーム」みたいな言葉は当てになりません。僕は焦って転職して、2ヶ月で辞めた失敗があるので、ここは強く言いたいところです。



焦って決めて2ヶ月で辞めた身としては、見学で人の余裕を見てほしいです。
とはいえ、介護の事情を抱えながら自力で職場を見極めるのは、けっこう骨が折れます。僕は転職で5社のエージェントを使いましたが、職場の雰囲気や休みやすさまで正直に教えてくれたところが、結局一番役に立ちました。
3回目の転職で入社に使ったのはファルマスタッフです。職場見学をセットしてもらえたので、雰囲気を自分の目で確かめてから決められましたし、年収交渉も担当者を通して進めてもらえました。介護で「休みやすさ」を重視するなら、見学で人員体制を確かめる手順は外さないでください。



担当との相性もあるので、比べながら進めるのがコツです。
もちろん担当との相性もあるので、最初から1社に絞らず、2〜3社に登録して比べるのが安全です。合わない担当は遠慮なく変えてもらえばいいです。
他のエージェントとの比較や選び方は薬剤師転職エージェントおすすめの記事にまとめているので、慎重に選びたい人はそちらもどうぞ。
介護を抱えていると、求人を探す時間も、見学の日程を調整する余力も残っていないことが多いです。求人探しや日程の調整を頼める場合があるのが、転職エージェントの使いどころだと思います。
担当に介護の事情を細かく話さなくても大丈夫です。伝えるのは次の3つで足ります。
- 毎週出られる曜日と時間
- 急に休む可能性がある場面
- 通勤にかけられる時間
話を聞いて「今の職場で日数を減らす」と決めても問題ありません。期間を区切る派遣も考えるならMC-ファーマネット、中小の調剤薬局を中心に見たいならファゲットの列から見てください。
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薬剤師の親の介護と仕事の両立に関するよくある質問
最後に、両立で多い疑問にまとめて答えておきます。
- 薬剤師は介護のために仕事を辞めるべきですか?
-
いきなり辞めるのはおすすめしません。介護休業や時短、パートへの切り替えで乗り切れるケースが多いです。辞めると再就職で年収が下がることもあるので、まず働き方を変える方向で考えるのが安全です。
- パートでも介護休業は取れますか?
-
取れます。雇用期間などの条件を満たせばパートや派遣でも対象です。勤務先の就業規則を確認して、人事に相談してみてください。
- 介護でどのくらい年収は下がりますか?
-
働き方次第です。正社員から週3パートにすると年収はかなり落ちますが、派遣で時給の高い求人を選んだり時短で正社員を維持すれば落ち幅は抑えられます。家計と相談して落とし所を決めるのがいいです。
- 介護に向いている薬剤師の業態は?
-
処方箋枚数が落ち着いた門前薬局や、人員に余裕のある中規模の調剤薬局が休みを取りやすいです。逆にドラッグストアや一人薬剤師の店は急な休みが取りにくい傾向があります。
- 介護を理由に転職するのは不利になりますか?
-
薬剤師の転職では大きなマイナスになりにくいです。家庭の事情で勤務条件を変えたい、という動機はむしろ自然に受け止められます。正直に伝えて条件の合う職場を探すほうがうまくいきます。
- 在宅対応の薬局は介護と両立できますか?
-
急な訪問や呼び出しが入ることがあるので、介護とは噛み合いにくい場面があります。在宅メインの職場を選ぶなら、当番制やシフトの組み方を事前に確認しておくと安心です。
- 介護休業給付金はいくらもらえますか?
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休業前の賃金のおよそ67%が雇用保険から支給されます。会社経由でハローワークに申請する流れなので、休業を申し出るときに合わせて相談してください。
- 遠距離介護でも仕事を続けられますか?
-
続けられますが、移動の負担が大きいです。介護休暇を通院や帰省に充てたり、ケアマネや訪問サービスを使って現地の体制を整えると、仕事との両立がしやすくなります。
- 介護でブランクができたら復職は難しいですか?
-
薬剤師は資格職なので、数年のブランクでも復職しやすいほうです。介護に専念する時期を作っても、戻ってこられる職種だと思って大丈夫です。
- 職場に介護のことを伝えるべきですか?
-
伝えておくほうが両立はラクです。事情を共有しておくと、急な休みやシフト調整に協力してもらいやすくなります。言いづらければ、まず直属の上司にだけでも話しておくといいです。
まとめ:薬剤師は親の介護と仕事を両立できる
薬剤師は、職種としては介護と両立しやすいほうです。でも今のフルタイム激務のままでは厳しい。働き方を変える前提で考えるのが、両立成功の分かれ目になります。
辞める前に、まず制度と職場選びを見直してみてください。一人で抱え込まず、外にも頼っていいんです。
- 薬剤師は両立しやすい職種
- 今の激務のままでは難しい
- パート・派遣・時短で調整
- 介護休業・休暇は辞めずに使える
- 休める人員体制の職場を選ぶ
- 抱え込まず外部に頼る
介護を見据えて職場を変えるなら、休みやすさまで教えてくれるエージェントを使うと失敗しにくいです。僕の体験を含めた選び方はエージェントおすすめの記事にまとめています。
介護の負担は、時期によって波があります。「働き方を変えられる先がある」と分かっているだけで、気持ちは少し楽になると思います。
まだ辞めると決めなくて大丈夫です。今日は、下の3社のうち1社に「家から通いやすく、急な休みに応援が入る店はあるか」を聞いてみるだけで十分です。合わない求人は断れます。
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