処方箋が来ない時間が続いて、カウンターの内側でただ立っている。調剤薬局が暇すぎてつらいとき、「これって甘えなのかな」「給料をもらっているのに申し訳ない」と自分を責めてしまう人は多いと思います。
先に答えると、暇でつらいのは甘えではありません。何もすることがない状態は、忙しさとは別の形で人をすり減らします。そして処方箋を待っている時間も、薬局の仕事の一部です。罪悪感を持つ必要はありません。
この記事では、暇がつらくなる理由、罪悪感を持たなくていい理由、手が空いた時間の過ごし方、つらさが限界に近いサインを順に書きます。書いているのは、店の数字を本部に報告し、スタッフのシフトも組んでいる管理薬剤師の僕です。
「暇な薬局にいるとスキルが落ちるのでは」「この店は経営が危ないのでは」という不安が中心の人は、薬局が暇すぎてスキルが不安な薬剤師向けの記事のほうが合っています。こちらは、つらい気持ちそのものの話です。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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調剤薬局が暇すぎてつらいのは甘えではない
暇でつらいと言うと、「忙しい人に比べたら贅沢」と返されがちです。でも、つらさの中身を分けてみると、甘えとは別物だと分かります。
手持ち無沙汰は別の疲れ方
やることがないのに帰れない。座って休むわけにもいかない。患者さんがいつ来てもいいように、気は張ったままです。この宙ぶらりんの状態は、体は楽でも気持ちがじわじわ削れます。
忙しい日は、気づけば閉局時間になっています。暇な日は、時計を見るたびに10分しか進んでいない。同じ8時間でも、長く感じるほうが疲れるのは自然なことです。
焦りの正体は「このままでいいか」
つらさをよく見ると、暇そのものより「このままで自分は大丈夫なのか」という焦りのことがあります。同じ薬の同じ説明を繰り返す毎日で、同期や後輩に置いていかれる気がする。この焦りは、向上心があるから出てくるものです。
実際にどんな力が鈍りやすく、どんな力なら暇な時間で伸ばせるかは、暇な薬局で落ちる力と伸ばせる力を分けた記事で整理しています。焦りの中身が分かると、漠然とした不安はかなり小さくなります。
暇だと人の目が気になる
少人数の薬局で手が空くと、ほかのスタッフの視線が気になります。「あの人、何もしていない」と思われていないか。逆に、ずっと世間話に付き合わされるのがしんどい人もいるはずです。
忙しいときは仕事が間に入ってくれますが、暇なときは人間関係がそのまま表に出ます。暇がつらい理由の一部は、実は人との距離感だったりします。職場の人間関係そのものが重いなら、合わない人ばかりで辞めたいときの記事も参考になると思います。
暇な調剤薬局で薬剤師が罪悪感を持たなくていい理由
「給料泥棒みたいで申し訳ない」という罪悪感は、真面目な人ほど強く感じます。ただ、薬局の仕組みから見ると、暇な時間の薬剤師は何もしていないわけではありません。
待つ時間も労働時間
厚生労働省のガイドラインでは、指示があればすぐ業務に入ることを求められ、仕事から離れることが保障されていない待機の時間を「手待時間」と呼び、労働時間に当たるとしています。
出典:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省)
処方箋を持った患者さんが来たらすぐ対応する。そのためにカウンターの内側にいる時間は、まさにこれです。給料はその時間に対して払われています。待っているのも仕事のうちだと考えて大丈夫です。
薬剤師がいること自体が体制
薬局の体制を定めた省令には、開店時間内は常に調剤に従事する薬剤師が勤務していること、という基準があります。薬剤師がいなければ、その時間の薬局は成り立ちません。
出典:薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令 第1条(e-Gov法令検索)
処方箋が1枚も来ない時間があっても、薬剤師がそこにいるから薬局が開いていられる。そう考えると、暇な時間に申し訳なさを感じる理由は少なくなるはずです。
枚数は個人の努力で決まらない
僕は管理薬剤師として、店の処方箋枚数を本部に報告しています。その立場から見ても、枚数を大きく左右するのは門前の医院の患者数や立地、近くの薬局の状況です。薬剤師1人の頑張りで増やせる部分は、正直わずかです。
暇なのはあなたの働きぶりのせいではありません。罪悪感は、仕事に責任を持ちたい気持ちの裏返しです。その気持ちは、次の章の「空き時間の使い方」に回してください。
暇すぎる調剤薬局でつらい時間の過ごし方
時間が長く感じるのは、次にやることが決まっていないからです。先に予定を決めておくだけで、同じ暇でも体感はかなり変わります。
- やることを先に書き出す
- 管理薬剤師に仕事をもらう
- 勉強は話せる形で残す
やることを先に書き出す
手が空いてから「何をしよう」と考えると、結局ぼんやり時計を見ることになります。出勤したら、暇な時間にやることを3つだけ書き出しておくのがおすすめです。
- 添付文書を1つ読む
- 明日来る人の薬歴を読む
- 棚1段の期限を確認する
ポイントは、1つ10〜20分で終わる大きさにすることです。終わったら線を引く。小さな「済んだ」が積み重なると、何もしていないという感覚が薄れます。
管理薬剤師に仕事をもらう
管理薬剤師の仕事には、調剤のほかに発注や在庫・使用期限の管理、薬歴の監査、新人の教育などがあります。管理薬剤師をしている僕から見ても、どれも手が足りなくなりやすい仕事です。
「手が空いたら手伝えることはありますか」と一言聞いてみてください。頼まれた仕事で時間が埋まるうえに、店の裏側の流れも分かります。人の目が気になるつらさも、役割があるとだいぶ和らぎます。
勉強は話せる形で残す
勉強するなら、読んだだけで終わらせず、あとで人に話せる形で残しておくと焦りが減ります。研修認定の単位を集めるのも、その一つです。種類や取り方は認定薬剤師の取り方を解説した記事にまとめています。
面接で「前の職場で何をしていたか」を聞かれたときに答えられる材料にもなります。その準備の仕方は、先ほどの暇な薬局のスキル不安を扱った記事で詳しく書いています。
管理薬剤師たろう暇な時間を「待つだけの時間」にしない工夫で、1日の長さはけっこう変わります。
暇な調剤薬局のつらさが限界に近いサイン
工夫で楽になるつらさと、工夫では埋まらないつらさがあります。後者に気づかず我慢を続けるのが、いちばん避けたいパターンです。
一時的な暇か、続く暇か
季節や曜日で暇な時期があるのは、多くの薬局で起こることです。一方で、ここ1〜2年で処方箋が減り続けているなら、暇は今後も続くと考えたほうがいいです。続く暇は、自分の工夫だけでは埋まりません。
減り方と人の動きから店の先行きを見る方法は、調剤薬局が潰れる前兆を3段階に分けた記事で整理しました。暇が続いているだけの段階なら、まだ記録を取るだけで十分です。
気持ちが削れているサイン
次のような状態が続いているなら、「暇くらいで」と我慢する段階は過ぎています。
- 出勤前から気が重い
- 夜の寝つきが悪くなった
- 休日も仕事のことを考える
- 暇な時間に自分を責め続ける
体や眠りに出ているなら、まず休むことと、誰かに話すことを優先してください。職場の人に言いにくいときは、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」に相談窓口がまとまっています。眠れない夜が続く人は、仕事のストレスで眠れない夜の記事も読んでみてください。
つらさから早く抜けたくて転職で2回失敗した薬剤師の僕の本音
ここで僕の話を少しさせてください。暇でつらい今、いちばん伝えたいのは「つらさから早く抜けたいときほど、選び方が雑になる」ということです。
新卒で入った内科門前の調剤薬局Aで4年働き、給料もスキルも頭打ちだと感じるようになりました。そこで年収550万円に釣られて、ドラッグストア併設の調剤Bへ移ります。待っていたのは月残業45時間の毎日でした。閉店後の品出しで夜10時まで残る日もありました。
2年後、今度はそこを1日でも早く抜けたくて、調剤薬局Cに移りました。このとき、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分から断っています。結果は、人間関係が合わずに入社2ヶ月で退職です。
長いあいだ「求人票に騙された」と思っていました。でも読み返すと、求人票に嘘は書かれていません。常勤が何人いるか、欠員の補充なのかが書かれていなかっただけで、それを確かめなかったのは僕です。
今の職場に決めたときは、応募前に必ず見学して、自分の目で空気を確かめました。暇がつらいときも同じで、今の状態から逃げることより、次の場所を確かめることに力を使ってほしいです。このへんの経緯は僕が2回やらかした自己紹介の記事に詳しく書いています。



暇がつらいからといって、真逆の激務に飛び込むのはおすすめしません。
暇な調剤薬局で転職を考えていい人・待つべき人
暇でつらいからといって、全員がすぐ動くべきとは思いません。どちらに近いか、当てはめてみてください。
今は残っていい人
給料に大きな不満がなく、空き時間の工夫で気持ちが落ち着いてきた人は、無理に動かなくていいと思います。子育てや介護で、今は定時で帰れることが最優先という人もそうです。
つらさの正体が「焦り」や「人の目」だけなら、過ごし方を変えることで楽になる余地があります。暇=即転職ではありません。
動くことを考えていい人
処方箋が減り続けていて、給料も上がる気配がない。空き時間を工夫しても、気持ちが削れているサインが消えない。こうした状態が続くなら、環境を変えることを考えていい時期です。
給料が相場と比べて低いかどうかは、薬剤師10年目の年収を公開した記事で統計と僕の実額を並べています。ちなみに調剤薬局A時代の僕は、昇給が1回あたり月額5千〜1万円で、4年で年収380万円から420万円でした。地方の内科門前だった僕個人の実額で、世間の平均より低めです。
迷うなら情報集めだけ
動くか決められないなら、まず情報だけ集めるのも手です。今の経歴でどんな求人があるか分かるだけで、「ここにしかいられない」という閉塞感はかなり軽くなります。
転職エージェントに登録しても、その場で辞める必要はありません。僕はブログを始めてから、読者によく聞かれるので1社に登録してみました。最初に「今すぐ転職する気はなく、情報収集です」と伝えたら、それを前提に話が進みました。
見学で忙しさを確かめる
次の職場を見るときは、1日の処方箋枚数と薬剤師の人数を聞いてください。1人あたりの枚数が分かれば、暇すぎる職場から激務の職場へ振り切る失敗を防げます。見学で聞くことは薬局見学で質問すること5つの記事にまとめました。
エージェントを使うなら、希望条件に「1人あたりの処方箋枚数」を入れて伝えると、暇すぎず忙しすぎない職場を探してもらいやすくなります。たとえばファゲットは、公式サイトで中小の調剤薬局・病院の求人を強みに挙げています。僕は使っていないので、枚数の確認や見学の段取りを頼めるかは、最初の面談で聞いてみてください。
ほかのエージェントとも比べたい人は、各社の違いを比較記事にまとめています。
- 調剤薬局が暇すぎてつらいのは甘えですか?
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甘えではないです。やることがないのに気を張っている状態は、忙しさとは別の形で疲れます。「このままでいいのか」と焦れるのは、向上心がある証拠でもあります。
- 暇なのに給料をもらうのが申し訳ないです。
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罪悪感を持つ必要はありません。患者さんが来たらすぐ対応するために待っている時間は、厚生労働省のガイドラインでも労働時間に当たるとされています。薬局は開店時間中、薬剤師がいることで成り立っています。
- 暇な時間は何をして過ごせばいいですか?
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出勤したら、10〜20分で終わることを3つ書き出しておくのがおすすめです。添付文書を読む、明日来る人の薬歴を読む、棚の期限を確認するなど。管理薬剤師に手伝えることを聞くのも手です。
- 暇な時間にスマホを見ていてもいいですか?
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職場のルール次第です。待っている時間も勤務中なので、患者さんから見える場所での私用は避けたほうが無難です。迷うなら、管理薬剤師に空き時間の過ごし方を一度確認しておくと安心です。
- 暇すぎて病みそうです。どうすればいいですか?
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出勤前から気が重い、眠れないなどが続くなら、我慢を続けないでください。まず休むことと、誰かに話すことを優先してください。厚生労働省の「こころの耳」に相談窓口がまとまっています。
- 暇な調剤薬局はすぐ辞めたほうがいいですか?
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暇=即転職ではありません。給料に不満がなく、過ごし方の工夫で気持ちが落ち着くなら急がなくていいです。処方箋が減り続け、給料も上がらず、気持ちが削れ続けるなら動くことを考えていい時期です。
- 暇な薬局にいるとスキルが落ちますか?
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処理の速さや処方の幅は鈍りやすい一方、薬歴や服薬指導の質は暇な時間で伸ばせます。詳しくは、暇な薬局のスキル不安を扱った別の記事で整理しています。
- 暇から抜けたくて忙しい職場に移るのはアリですか?
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焦って真逆に振り切るのはおすすめしません。僕は年収に釣られてドラッグストア併設の調剤に移り、月残業45時間で消耗しました。見学で1日の処方箋枚数と薬剤師の人数を聞いて、忙しさを確かめてから決めてください。
調剤薬局が暇すぎてつらい薬剤師へのまとめ
調剤薬局が暇すぎてつらいのは甘えではありませんし、待っている時間に罪悪感を持つ必要もありません。つらさの中身を分けて、工夫で楽になる部分と、環境を変えないと埋まらない部分を見分けてください。
- 暇でつらいのは甘えではない
- 待つ時間も仕事のうち
- 空き時間は小さな予定で埋める
- 気持ちが削れたら我慢しない
- 焦って真逆に振り切らない
- 動くなら見学で枚数を確認
つらさから早く抜けたくて2回失敗した僕から言えるのは、動くにしても残るにしても、落ち着いて確かめてから決めてほしいということです。





