「認定薬剤師とは何か、ちゃんと説明できますか?」と聞かれると、意外と言葉に詰まる薬剤師は多いです。
研修認定薬剤師、専門薬剤師、がんや感染制御の認定……名前は聞くけど中身がよく分からない。取り方や費用、そもそも取って意味があるのかも気になりますよね。
僕は管理薬剤師として10年現場にいて、自分も認定を取るか本気で検討した時期がありました。
この記事では認定薬剤師とは何かを種類・取り方・費用まで整理しつつ、現場とリアルな転職市場での価値を正直に書きます。
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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認定薬剤師とは?まず「研修認定薬剤師」が基本
認定薬剤師とは、ざっくり言えば「自己研鑽を続けていることを第三者機関が認めた薬剤師」のことです。
一番ベースになるのが研修認定薬剤師で、多くの人が「認定薬剤師」と言うときはこれを指しています。
研修認定薬剤師は、倫理・基礎薬学・医療薬学・衛生薬学・薬事関連法規など、薬剤師業務に必要な研修を受けて一定の単位を取得した人が申請し、認定される資格です。
代表的な認定機関は公益財団法人日本薬剤師研修センター(JPEC)で、ほかに東京都薬剤師会など複数の機関があります。
ポイントは、研修認定薬剤師は「特定の分野」の資格ではないということです。
あくまで「学び続けている薬剤師ですよ」という土台の証明で、特定の病気に強いという意味ではありません。ここが後で出てくる専門薬剤師との大きな違いになります。
読者えっ、認定薬剤師って1種類じゃないんですか?
そうなんです。「認定薬剤師」は総称で、研修認定薬剤師という基本のものから、がんや感染制御といった分野ごとのものまで幅があります。次でその違いを整理します。
認定薬剤師と専門薬剤師の違い
認定薬剤師の話で必ず出てくるのが「専門薬剤師」です。名前が似ているので混同されがちですが、レベルがはっきり違います。
認定薬剤師は、その分野の基本的な知識と技術を持っていることの証明です。逆に専門薬剤師は、実践の中で高度な知識と技術を持っていることを保証する、いわば上位資格です。
順番としては、まず認定薬剤師を取ってから専門薬剤師を目指すのが一般的な流れです。
たとえばがん領域なら「がん薬物療法認定薬剤師」の上に「がん薬物療法専門薬剤師」があり、専門のほうが症例実績などの要件が重く、取得のハードルは段違いに高くなります。
- 研修認定薬剤師=学び続ける土台の証明
- 分野別の認定薬剤師=その領域の基礎
- 専門薬剤師=その領域の高度・実践レベル
まずは研修認定薬剤師、興味のある分野ができたら認定→専門と段階を上がる。この地図が頭に入っていると、自分が今どこを目指すか整理しやすくなります。
認定薬剤師の主な種類一覧
認定薬剤師と一口に言っても20種類以上あり、どこから手をつけるかで迷う人が多いです。土台になる資格と、専門領域に進むときの分かれ道を整理しておきます。
土台になる研修認定薬剤師
まずは前述の研修認定薬剤師。分野を問わず取れて、後で出てくる「かかりつけ薬剤師」の要件にもなる、最も実用的な認定です。
これから1つ取るなら、ほとんどの薬剤師にとってここがスタート地点になります。
調剤薬局やドラッグストアで働く人にとっては、まずこれを取れば十分というケースが多いです。
逆に言えば、分野別の高度な認定は職場や経験を選ぶので、誰もが目指すものではありません。自分の働き方に合うかどうかで判断するのが現実的です。
がん・感染制御・緩和の分野
病院薬剤師に人気なのがこの領域です。がん薬物療法認定薬剤師は抗がん剤治療に深く関わり、その上に専門薬剤師があります。
感染制御認定薬剤師は院内感染対策チームで活躍し、緩和ケア領域には緩和薬物療法認定薬剤師があり、緩和ケアチームの一員として痛みの管理などに携わります。
これらは日本病院薬剤師会や日本医療薬学会などが認定しており、症例や勤務経験の要件があるため、主に病院勤務の薬剤師向けと考えておくとよいです。
糖尿病・在宅など生活に近い分野
分野は本当に多岐にわたります。
- 糖尿病療養指導に関わる認定
- 精神科薬物療法
- HIV感染症薬物療法
- 救急
- プライマリ・ケア
在宅医療に関わる薬局なら、在宅や緩和の知識が直接日々の業務に効いてきます。
注意したいのは、こうした分野別の認定・専門の多くは一定の実務経験や症例実績が要件になっていることです。
たとえばがんや感染制御の領域は病院での経験がほぼ前提で、調剤薬局だけのキャリアでは取りにくいものもあります。
「興味があるから」だけで飛びつかず、自分の勤務先で要件を満たせるかを先に確認しておくと、遠回りを防げます。



種類が多すぎて、どれを取ればいいか分かりません…
気持ちはすごく分かります。僕のおすすめは、まず汎用性の高い研修認定薬剤師を取って、そのうえで「自分の職場で活きる分野」を1つ選ぶこと。
分野別を闇雲に取っても、業務で使わなければ宝の持ち腐れになりがちです。
認定薬剤師の取り方・単位・費用・期間
「働きながら本当に取れるのか」が気になる人向けに、必要な単位数・取得ルート・実費を一通り書きます。意外と高い部分と、思ったより楽な部分が両方あります。
必要な単位数と期間
研修認定薬剤師(JPECの場合)の新規申請に必要なのは、申請日から4年以内に40単位以上です。しかも各年5単位以上というしばりがあり、1年でまとめて取ればいいわけではありません。
取得後も3年ごとの更新が必要で、更新は3年間で30単位以上(各年5単位以上)。つまり取って終わりではなく、学び続ける仕組みになっています。
単位の取り方とPECS登録
単位を集める前に、PECS(薬剤師研修・認定電子システム)への登録が必要です。ここに研修の受講履歴が記録されていきます。
単位の取り方は大きく「集合研修(座学)」と「e-ラーニング」の2つ。
e-ラーニングは90分の受講で1単位が目安で、自宅で空き時間に進められるので働きながらでも続けやすいのが利点です。
かかる費用の目安
費用はプロバイダーで差があります。
e-ラーニング系だと、MPラーニングのように年16,500円で受け放題のところもあれば、1単位ごとに1,000円かかり40単位で40,000円になるサービスもあります。
これに加えて、JPECへの新規認定申請料が9,900円、更新申請料が8,800円(いずれも税込・機関により異なる場合あり)。
トータルでも数万円程度で取れる、コスパのいい資格だと言えます。



思ってたより、お金も時間もそこまで重くないですね。
認定を取るメリットと転職市場での評価
正直、研修認定薬剤師は「持っているだけで年収が跳ね上がる魔法の資格」ではありません。ただ、地味に効いてくるメリットが複数あります。
まず資格手当。薬局や病院によりますが、研修認定薬剤師の手当は月5,000〜10,000円が相場です。年にすれば6〜12万円なので、取得・更新の費用は十分ペイします。
さらに大きいのが、研修認定薬剤師が「かかりつけ薬剤師」の要件の一つになっている点です。
かかりつけ薬剤師指導料などの加算が算定できるため、薬局経営の側から見ると「持っていてほしい人材」になります。これが転職市場での評価に直結します。
- 資格手当で月5千〜1万円アップ
- かかりつけ薬剤師の要件を満たせる
- 学ぶ姿勢のアピールになる
転職の面接でも、研修認定を持っていると「自己研鑽している人」という印象を与えやすく、特にかかりつけに力を入れたい薬局では加点要素になります。
資格そのものより、「学び続けられる人だ」と思ってもらえることが本当の価値だと僕は感じています。
かかりつけ要件は認定だけじゃない
ここで一つ大事な注意点です。「研修認定を取ればかかりつけ薬剤師になれる」と思われがちですが、認定はあくまで5つある要件の1つにすぎません。
かかりつけ薬剤師として届け出るには、国が定めた次の要件をすべて満たす必要があります。
- 薬局勤務経験が3年以上
- 同一薬局に週32時間以上勤務
- 同一薬局に1年以上在籍
- 研修認定薬剤師を取得している
- 地域の医療活動に参加
つまり認定は「かかりつけになるための入場券の1枚」で、勤続年数や勤務時間の条件も別途クリアして初めて算定につながります。
週32時間以上・同一薬局1年以上という縛りがあるので、転職直後は勤続要件を満たせない点も覚えておくと安心です。
でも、過度な期待は禁物です。実際に取った同僚たちの声を聞くと、評価は職場によってけっこう分かれます。
「かかりつけを取りたい薬局に転職したとき、認定持ちというだけで面接の手応えが全然違いました。手当も月8,000円つきました」(30代・調剤薬局)
「正直、業務の中身が劇的に変わったわけではないです。ただ手当の分はプラスだし、更新のために学び続ける習慣ができたのはよかったかな、くらいの感覚です」(30代・薬局)
「うちの会社は認定手当の制度がなくて、取っても評価ゼロでした。これは取る前に確認しておけばよかったと後悔してます」(40代・ドラッグストア)
このように、認定が活きるかどうかは職場の評価制度しだいという面が大きいです。
だからこそ、取る前・転職する前に「この職場は認定をどう扱うか」を確かめることが、努力を無駄にしない最大のコツになります。
管理薬剤師の僕が認定を検討して感じた現場のリアル
ここからは僕自身の話です。僕は薬剤師歴10年、転職を3回して2回失敗し、いまは現職の調剤薬局で管理薬剤師をしています。
実は管理薬剤師に昇格した頃、研修認定を取るか本気で迷った時期がありました。
きっかけは、うちの薬局がかかりつけ薬剤師の体制を強化しようという話になったことです。
本部から「認定持ってる人を増やしたい」と言われ、管理薬剤師として自分も率先して取るべきか考えました。
e-ラーニングの講座を試しに1本だけ受けてみたら、画面の前でうとうとしてしまって、「これを40単位分か…」と正直ひるんだのを覚えています。
でも調べていくうちに見方が変わりました。年16,500円のe-ラーニングなら、子どもを寝かしつけた後の30分や、サウナに行く前のコーヒー1杯の時間でコツコツ進められる。
管理薬剤師は監査前夜に胃が痛くなるくらい雑務に追われますが、それでも隙間時間で積める分量だと分かったんです。
現場で一番感じたのは、認定の有無より「かかりつけが算定できるかどうか」を経営側が見ているという現実です。
患者さんから見れば認定の有無は分かりにくいですが、薬局の収益と人事評価には確実に効いてくる。
だからこそ、転職や昇給を考えるなら持っておいて損のない資格だと、管理する立場になって腹落ちしました。
もう一つ、管理薬剤師としてスタッフの採用面接をする側になって気づいたことがあります。
応募者が研修認定を持っていると、それだけで「この人はちゃんと続けられる人かもしれない」と無意識に評価が上がるんです。
資格の中身うんぬんより、4年かけて単位を積み、更新も続けているという「継続できた事実」が信頼につながる。採用する側に回って初めて、その重みが分かりました。
振り返れば、僕が28歳でドラッグストアに転職して月45時間の残業に潰れかけたとき、スキルアップなんて考える余裕は1ミリもありませんでした。
年収550万に釣られて飛び込んで、「何のために働いてるんだろう」と暗い部屋で天井を見ていた頃です。
学び続けられる環境かどうかは、給料の数字と同じくらい大事だと、今なら断言できます。



取るかどうかより、「自分のキャリアにどう効くか」で判断するのが大事です。
もし今の職場で認定を取っても手当も評価もつかないなら、それはそれで一つの判断材料です。
同じ努力をするなら、その頑張りをちゃんと評価してくれる職場かどうかも合わせて考えてみてください。職場選びの軸については薬剤師の転職の基本でも書いています。
認定をキャリアに活かす転職の考え方
認定薬剤師は、スキルアップと転職を結びつける橋渡しになります。せっかく時間とお金をかけて取るなら、それが評価される環境に身を置くのが一番効率がいいです。
僕が3回目の転職で転職エージェントを使ったとき、担当者に「かかりつけや認定をどう評価する薬局か」まで踏み込んで聞いてもらえたのが助かりました。
求人票には書いていない、手当の有無や評価制度の中身は、自分一人で調べるには限界があります。
認定を取った(あるいはこれから取る)前提で、それを年収や役割にちゃんと反映してくれる職場を探す。これが資格を無駄にしないコツです。
自分の市場価値を一度プロに見てもらうだけでも、見える景色が変わります。
認定薬剤師に関するよくある質問
- Q. 認定薬剤師を取ると年収はどれくらい上がりますか?
-
業態によります。調剤薬局だと月5,000〜10,000円の手当がつくところもあれば、何も変わらないところもある。年収50万単位で跳ねるかというとそこまでではないです。むしろ転職時の書類選考で有利、というのが現実的なメリット。
- Q. 研修認定と専門薬剤師、どっちから取るべき?
-
まずは研修認定からで大丈夫です。専門薬剤師は学会単位や症例実績が必須で、調剤現場だけだと取りづらい。研修認定を3年で取って、その後に専門に進むかを考えるのが現実的なルートです。
- Q. 認定の単位、働きながら取れますか?
-
取れます。e-ラーニングと薬剤師会の集合研修で大半は埋まります。土日に月1〜2回研修を入れる前提で、3年で40単位は無理ゲーじゃないです。僕の周りでも子育てしながら取ってる方がいます。
- Q. 認定薬剤師の費用は誰が払う?
-
会社負担のところもあれば自腹のところもあります。入社前にエージェントに「認定取得支援はあるか」を確認しておくと、後で揉めずに済みます。
まとめ:認定薬剤師とは学び続ける土台の証明
認定薬剤師とは、自己研鑽を続けていることを認められた薬剤師のこと。
その基本が研修認定薬剤師で、上位に専門薬剤師、分野別にがんや感染制御などの種類がある、という地図さえ押さえれば全体像はクリアになります。
- 基本は「研修認定薬剤師」
- 専門薬剤師はその上の高度資格
- 取得は4年で40単位が基本
- 費用は年1.6万円台から可能
- 手当は月5千〜1万円が相場
- かかりつけ要件で転職に有利
資格は取ること自体がゴールではなく、評価される場所で活かして初めて意味を持ちます。
スキルアップを年収やキャリアにつなげたいなら、認定が正しく評価される職場かどうかまで含めて、一度自分の選択肢を見直しておくと安心ですよ。
どこの転職サービスから当たればいいか迷ったら、僕が実際に5社使って手当や評価制度まで踏み込んで聞いてくれたところを転職エージェントのランキング記事にまとめてあるので、そこを起点にすると遠回りせずに済むはずです。






