薬剤師10年目の目標は、「自分が伸びること」より「人と店に何を残すか」と「どんな働き方を守るか」で立てると決めやすいです。
統計で見ると、10年目前後から年収の伸びはゆるやかになります。任される仕事も、自分の調剤から後輩や店の運営へ広がります。年次なりに頑張る目標では、評価面談でも自分の中でも手応えが出にくい時期です。
僕は薬剤師歴10年目・34歳の管理薬剤師です。本部から降りてくる数字目標をスタッフに割り振る側でもあります。この記事では、10年目の立場別の目標例と、目標管理シートにそのまま使える例文、僕自身が今立てている3つの目標を書きます。
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- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師10年目は何が変わる?年収と求められる役割
年収の伸びはゆるやかになる
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査で、薬剤師の年収(所定内給与×12+賞与、残業代を除く)を経験年数別に計算すると次のとおりです。
| 経験年数 | 年収の目安 |
|---|---|
| 1〜4年 | 約493万円 |
| 5〜9年 | 約555万円 |
| 10〜14年 | 約600万円 |
1〜4年から5〜9年で約60万円上がるのに、次の段階では約45万円。上がり幅が小さくなっていきます。一方、第25回医療経済実態調査では、薬局の管理薬剤師の平均年収は約725万円です(年齢・経験を問わない平均)。
10年目からは、年数より「どの役割に就いているか」で差がつきやすいということです。僕は10年目・管理薬剤師で610万円。統計と実額の内訳は薬剤師10年目の年収と手取りにまとめています。
求められるのは人と店のこと
10年目になると、調剤や服薬指導ができるのは前提です。会社が期待するのは、後輩を育てること、店の数字や運営に関わることに移っていきます。管理薬剤師でなくても、新人の指導係やシフトの相談役を任される人は多いと思います。
管理薬剤師の僕の仕事も、発注・在庫・薬歴の監査・シフト・採用の一次面接・本部への数字報告と、自分の調剤以外の仕事がかなりの割合を占めます。「自分ができるようになること」だけの目標だと、評価する側の期待とずれやすいのが10年目です。
家庭の比重が大きくなる
30代半ばは、子育てや親のことで働き方を変える人が増える時期です。僕も32歳で長女が生まれてから、年収より家族との時間を優先するようになりました。10年目の目標は、仕事の目標と働き方の条件をセットで考えたほうが、無理がありません。
薬剤師10年目の目標は今の立場で変わる:3パターン
10年目は、同じ年次でも立場がばらばらです。立場ごとに、目標にしやすいテーマが違います。
すでに管理薬剤師の人
管理薬剤師になっている人は、「自分がいなくても店が回るか」を目標の軸にすると決めやすいです。10年目で管理を任されている人は、この先も同じ店にいるとは限りません。異動や本部への打診、転職を考えたとき、後任がいない店は動きにくくなります。
- 後任候補を1人育てる
- 新人の定着を目標に入れる
- 本部に進むか現場に残るか
エリアマネージャーや本部の仕事に進むと、現場から離れて運営側に回ります。進むかどうかは、年収だけでなく「現場の仕事を手放してもいいか」で決めたほうが後悔が少ないと思います。
管理薬剤師ではない人
10年目で管理薬剤師でないのは、珍しいことではありません。ポストの数は店の数で決まるので、空きがなければ順番は回ってきません。管理薬剤師に年数の決まりがあるわけでもないです(詳しくは管理薬剤師は何年目からかをまとめた7年目の記事に書きました)。
この立場なら、「その領域なら〇〇さん」と名前が出る専門を1つ作る目標が合います。在宅、かかりつけ、特定の疾患領域など、店の中で頼られる分野です。
かかりつけ薬剤師は、2026年6月の改定で指導料はなくなりました。ただ、服薬管理指導料の「かかりつけ薬剤師」の区分として残り、フォローアップ加算と訪問加算が新設されています(令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】)。薬局勤務経験3年以上、週31時間以上の勤務、研修認定などの要件があります。10年目なら、経験年数の条件は満たしている人が多いはずです。
時短・パートにした人
子育てや介護で時短やパートにした人は、「限られた時間で何を任されるか」を目標にするのが現実的です。たとえば監査の精度、疑義照会の記録、新人への教え方など、勤務時間が短くても店に残せるものはあります。
かかりつけ薬剤師の週の勤務時間の要件も、育児・介護で時短勤務をしている場合は「週24時間以上かつ週4日以上」の扱いがあります(出典は上と同じ改定概要)。時短だから専門の目標を諦める、と決めなくて大丈夫です。
薬剤師10年目の目標管理シートに書ける例文
会社の評価面談で目標を書く人向けに、10年目の例文を立場別に置きます。僕は本部から降りてくる件数目標をスタッフに割り振る側ですが、そのときに感じるのは、会社の数字をそのまま書き写した目標は、自分では動かせない部分が多いということです。
「件数」だけで終わらせず、自分がやる行動と期限まで書いておくと、半年後の面談で振り返りやすくなります。
| 立場 | 例文 |
|---|---|
| 管理薬剤師 | 後輩1名が一人で閉局業務を回せるよう、9月までに手順書を作り、月2回の同行で確認する |
| 管理薬剤師 | 新人の3か月面談を月1回に固定し、困りごとを本部に上げる前に店で拾う |
| 管理薬剤師以外 | 研修認定を更新し、かかりつけの区分で担当する患者のフォローアップを毎月記録する |
| 管理薬剤師以外 | 在宅の患者を担当し、残薬の確認結果を医師への報告書で月1回共有する |
| 時短・パート | 疑義照会の内容を記録に残し、四半期ごとに店内で共有する |
もう1つ、会社に出す目標と、自分の10年の目標は分けて持っていいと思います。評価シートには店に貢献する目標を書き、自分用のメモには「次の10年でどんな働き方をしたいか」を書く。両方がつながっていれば十分です。
管理薬剤師たろうが立てている10年目の目標
参考までに、僕自身の10年目の目標を書きます。派手な目標ではありません。
①新人が辞めない店にする
管理薬剤師になって2年目ごろ、新人に「辞めたいです」と相談されたことがあります。僕は自分の転職の失敗を思い出して「逃げるのも選択肢だよ」と言い、その人は本当に辞めました。本部には定着率のことで詰められました。
あの助言が正しかったのかは、今も分かりません。だから今の目標は、正解を出すことではなく、相談される前に困りごとに気づける店にすることです。
②失敗の経験を書き残す
僕は転職を3回して、そのうち2回失敗しています。年収に釣られてドラッグストア併設の調剤に移り、月45時間の残業で消耗しました。次は焦って職場見学をせずに決め、2ヶ月で辞めました。
このブログを続けるのは、同じ失敗をする薬剤師を1人でも減らしたいからです。年収を増やす手段というより、10年分の経験を残す場所だと思っています。
③家族との時間を守る
今の職場に移って残業が減り、長女の寝顔を見られる日が増えました。娘が小さいうちは、この働き方を崩さないのが一番の目標です。
年収を倍にするとか、店舗を増やすとか、そういう目標は持っていません。10年目で、広げるより守るほうに気持ちが向いたんだと思います。
薬剤師10年目で転職を目標に入れるなら
10年目の転職では、年数そのものより「その年数で何を任されてきたか」が見られます。目標に転職を入れるなら、動く前にそれを言葉にできるかが準備になります。
任されてきたことを書き出す
僕は採用の一次面接をする側でもあります。経験10年と書かれていても、それだけでは何ができる人か分かりません。聞きたくなるのは、何を任されてきたかです。
- 管理薬剤師・店舗運営
- 新人の指導・教育
- 在宅の担当
- かかりつけの担当
- 個別指導などの対応
このうち自分が経験したものを、人数や期間と一緒に書き出しておくと、面接でも条件交渉でも話がぶれません。
業態を変えるなら早めに
調剤から病院、企業、在宅中心の薬局など、業態を変える転職は、年次が上がるほど「前の経験をどう活かせるか」を細かく聞かれます。何年目までなら大丈夫という線はありませんが、迷っているなら先に求人を見て、自分の経験が条件に合うかを確かめておくほうが判断が早いです。
僕はドラッグストア併設の調剤に移ったとき、年収だけを見て決めて失敗しました。業態を変えるときほど、仕事の中身と働く時間を先に確かめてください。
動かなくても条件は比べる
今の職場を続けると決めていても、同じ経験年数でどんな求人があるかを一度見ておくと、目標の立て方が変わります。今の年収や働き方が妥当かを判断する材料になるからです。
エージェントに相談するときは、最初に「情報収集の段階です」と伝えておけば、急かされにくくなります。中小の調剤薬局や病院の求人を見たいなら、ファゲットは公式サイトでその分野を強みとして挙げています。僕は利用していないので、調べた範囲での紹介です。
ほかの選択肢と比べてから決めたい人は、比較記事を見てからで大丈夫です。
薬剤師10年目が目標を立てるときの3つの落とし穴
①知識の更新を後回しにする
10年目になると、新薬の情報も「だいたい分かる」感覚になりがちです。でも新薬や適応の追加、ガイドラインの改訂は毎年のように続きます。後輩に教える立場だからこそ、勉強の時間を目標の中に入れておかないと、気づかないうちに情報が古くなります。
②自分の店を基準にしすぎる
同じ職場に長くいると、その店のやり方が業界の標準だと思い込みやすくなります。外から見ればおかしい運用も、中にいると見えません。他の薬局の知り合いと話す、研修会に出る、求人を見るなど、年に一度は外と比べる機会を作ると目標がずれにくくなります。
③専門を早く決めつける
「自分の専門はこれ」と早く決めると、在宅や新しい加算の運用のような変化に乗り遅れることがあります。2026年の改定のように、評価される仕事は制度で動きます。専門を1つ深めつつ、新しい分野に小さく触れておくくらいがちょうどいいと思います。
薬剤師10年目の目標を3ヶ月・半年・1年で進める方法
3ヶ月:残すものを3つ書く
まず3ヶ月以内に、「次の10年で何を残したいか」を3つだけ書き出します。育てた後輩、専門分野、家族との時間、収入。何でもいいです。3つに絞ると、優先順位がはっきりします。
半年:最優先の1つに着手
半年で、いちばん優先したい1つに具体的な行動を始めます。
- 専門:研修や認定に申し込む
- 育成:後輩の指導を引き受ける
- 働き方:勤務の相談をする
- 収入:求人を見て比べる
半年の目標は、終わらせることではなく着手することです。
1年:進み具合を見て直す
1年たったら進み具合を確かめます。止まっているなら、時間が足りないのか、スキルが足りないのか、環境が合っていないのかを分けて考えます。環境が原因なら、目標より先に職場を見直したほうが早いこともあります。
薬剤師10年目の目標に関するよくある質問
- 薬剤師10年目で明確な目標がないのはまずいですか?
-
まずくはないです。10年目で目標が定まっていない人は珍しくありません。「次の10年で何を残したいか」を3つだけ書き出すところから始めると、目標の形になってきます。
- 10年目はやっぱり管理薬剤師を目指すべきですか?
-
全員が目指す必要はないと思います。統計では管理薬剤師の平均年収は高めですが、店の運営や数字の管理、監査の対応が仕事の中心になります。専門を深める道や、働き方を優先する道もあって、価値観次第です。
- 10年目で年収が頭打ちです。どうすればいいですか?
-
統計でも、経験5〜9年の約555万円から10〜14年の約600万円と、伸び方はゆるやかになります。上げるなら、管理薬剤師などの役割に就くか、条件の違う職場を探すかです。転職でどれだけ上がるかは求人次第なので、実際の求人で比べてから判断してください。
- 会社に出す目標と、自分の目標は分けてもいいですか?
-
分けていいと思います。評価シートには店への貢献を、自分用のメモには働き方や専門の目標を書く。2つがつながっていれば、面談でも話しやすくなります。
- 10年目で独立・開業を目標にするのは早いですか?
-
早い遅いより、経営の経験と資金次第です。店の数字や採用に関わったことがないなら、管理薬剤師として運営を経験してから考えるほうが安全だと思います。家族の状況も含めて冷静に見てください。
- 10年目で企業など別の業界に移るのは遅いですか?
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一律に遅いとは言えません。ただ企業の薬剤師求人は数が限られ、応募条件も求人ごとに違います。調剤や病院での経験をどう活かせるかを説明できるか、実際の求人で確かめてから決めるのがいいと思います。
- 10年目で子育てと両立できますか?
-
職場の条件次第です。在宅対応の有無や閉局時間、人員の余裕で帰れる時間は変わります。時短勤務でも、かかりつけ薬剤師の要件には育児・介護の場合の扱いがあるので、専門の目標を諦める必要はありません。
- 専門性を高めたいのですが、何から始めればいいですか?
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まず長く向き合いたい領域を1つ決めることです。在宅やかかりつけ、特定の疾患領域など、今の店で担当を増やせる分野から選ぶと続けやすいです。手を広げすぎず、半年は1つに集中するのがおすすめです。
- 立てた目標が続かないときはどうすればいいですか?
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3つくらいに絞ると続きやすいです。1年たった時点で、止まった原因が時間・スキル・環境のどれかを分けて考えると、直す場所が見えます。
- 目標を立てる前に、まず何を確認すればいいですか?
-
今の年収と働き方が、同じ経験年数の中でどのあたりかです。統計と、実際の求人の条件の両方を見ておくと、現職を続けるか動くかの判断がしやすくなり、目標も現実とずれにくくなります。
まとめ:薬剤師10年目の目標は「何を残すか」から決める
10年目は、年収の伸びがゆるやかになり、求められる役割が人と店へ広がる時期です。管理薬剤師かどうか、時短かどうかで、目標にしやすいテーマは変わります。「次の10年で何を残したいか」を3つ書き出し、評価シートには行動と期限まで落とすと、軸がぶれにくくなります。
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