薬剤師4年目の目標は、「5年目に自分で道を選べる状態をつくること」に置くのが現実的だと僕は考えています。
管理薬剤師を目指すにも、専門性を深めるにも、転職するにも、材料がそろい始めるのが5年目だからです。厚労省のガイドラインは管理薬剤師の目安を「薬局での実務経験5年」と「認定薬剤師」としていて、4年目はその手前の1年にあたります。
僕の4年目は、新卒で入った調剤薬局Aの最後の年でした。年収は420万円。昇給は1回あたり月額5千〜1万円ほどで、給料もスキルも頭打ちに感じていました。
目標らしい目標を持たないまま、28歳で年収550万円のドラッグストア併設の調剤薬局へ移り、月45時間の残業で後悔しています。この記事では、その反省から「4年目のうちに決めておけばよかったこと」と、評価面談の目標シートに使える例文をまとめます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
詳しい筆者の経歴はこちら
目標の立て方より先に「動くならどこに相談するか」だけ知りたい人は、薬剤師転職エージェントおすすめランキングを先に見てください。僕が転職で実際に使った5社の感想も載せています。
薬剤師4年目で「目標が決まらない」のはなぜ?中堅で訪れる3つの停滞
4年目で目標が出てこないのは、やる気がないからではありません。仕事をひと通り覚えて、ここから先の道が一本ではなくなるから迷うのだと思います。
スキルの停滞:覚えることが尽きる
1〜3年目は、処方監査も服薬指導も在庫管理も覚えることの連続です。4年目になると、門前の医療機関がよく出す薬も、季節ごとの繁忙も、ひと通り頭に入っています。
つまり「初めて」がなくなる時期です。成長の実感が薄れるのは、怠けているからではありません。今の環境で吸収できるものを、ひと通り吸収したサインだと僕は捉えています。
給料の停滞:昇給が頭打ちになる
調剤薬局Aにいた僕の年収は、こう推移しました。
- 1年目が約380万
- 2年目が約395万
- 3年目が約405万
- 4年目で420万
昇給は1回あたり月額5千〜1万円ほどでした。これは地方の内科門前の薬局1か所での僕の実額で、世間の平均より低めです。
統計も見ておきます。令和6年賃金構造基本統計調査で薬剤師の年収を計算すると、経験1〜4年は約493万円、5〜9年は約555万円です(所定内給与×12+年間賞与、残業代は含みません)。
4年目は、統計の区分でいう「1〜4年」の最後の年です。ただ5〜9年の平均には、役職が付いた人や転職で上げた人も入っています。今の職場にいるだけで同じように上がるとは限らない、と僕は読んでいます。4年目の年収をもっと詳しく知りたい人は薬剤師4年目の年収の記事をどうぞ。
役割が停滞し次が見えない
3つ目は、次に何を目指せばいいかが見えないことです。一般薬剤師として一人前になっても、店舗に管理薬剤師の枠が空かなければ、昇格の話はなかなか来ません。
目標が決まらないのは、目標がないからではなく、今の環境に「次の役割」が見えていないからです。だからこそ4年目は、一度立ち止まって道を選び直すのに向いた時期だと思います。
薬剤師4年目の目標は「5年目に選べる準備」から決める
4年目の目標を「管理薬剤師になる」「転職する」と今すぐ決める必要はありません。先に、5年目にどの道でも選べる材料をそろえておく。そのほうが迷いが少なくなります。
管理職の目安は実務5年+認定
薬機法そのものに「実務何年以上」という決まりはありません。ただ厚労省の法令遵守ガイドラインは、薬局の管理者を選ぶ目安として次の2つを挙げています(日本薬剤師会「薬局における法令遵守体制整備の手引き」に抜粋があります)。
- 薬局での実務経験が5年以上
- 認定薬剤師であること
経験年数は、1年働けば自然に満たせます。認定は自分で動かないと取れないので、4年目に手を付けるならこちらです。実際の昇格条件は会社ごとに違うので、社内の基準も上司に確認しておきましょう。
研修認定は40単位を逆算する
取りやすい認定の代表が、日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師です。新規申請の要件は「申請日から遡って4年以内に40単位以上」です。
集合研修とeラーニングはそれぞれ1日4単位まで、自己研修は年間5単位までしか数えられません。直前にまとめて取るのは難しいので、今期は何単位と区切って計画するのが現実的です。
僕が研修認定を取ったのは、今の調剤薬局Dに入ってからでした。認定は管理職にも専門性にも使えて、単位は職場を変えても自分に残ります。4年目の目標に入れて損をしにくい項目だと思います。認定の種類は認定薬剤師とは?種類と取り方にまとめています。
今の職場の昇給の道筋を聞く
もう一つの準備は、今の職場で5年目以降に給料がどう上がるかを知ることです。面談の場で、次の3つを聞いてみてください。
- 5年目以降の昇給の仕組み
- 管理薬剤師の枠が空く見込み
- 役職・資格の手当の有無
答えが「上がる道はある」なら残る目標が立てやすくなります。「特にない」なら、外を見る理由になります。僕はAにいた4年目に、これを一度も聞きませんでした。聞いていれば、年収の数字だけで次の職場を選ぶことはなかったと思います。
【体験談】年収420万の薬剤師4年目、僕が目標にしなかったこと
調剤薬局Aは、安定した職場でした。ただ4年目の僕は、給料もスキルもここで止まるのではないかという感覚が消えませんでした。
そのとき頭にあった目標は「年収を上げる」だけです。28歳で、年収550万円のドラッグストア併設の調剤薬局Bに移りました。
Bでは調剤に加えて、OTCの接客、レジ、品出しまで担当しました。週の半分は遅番で、閉店後の品出しで帰りは夜10時。月の残業は45時間です。お金は増えたのに、使う時間も体力も残りませんでした。
振り返ると、足りなかったのは年収以外の目標です。4年目の時点で、次のような基準を書いていれば、Bの求人を見たときに比べる物差しになったはずです。
- 残業は月何時間までか
- 調剤以外の業務はどこまでか
- 5年後にどの役割でいたいか
基準がないまま動くと、次は「早く抜けたい」という焦りで決めてしまいます。僕が30歳で入った調剤薬局Cを2ヶ月で辞めたのも、職場見学の提案を自分から断って確かめなかったからでした。5年目にBへ移ってからの話は薬剤師5年目の目標の記事に書いています。
薬剤師4年目は「残るか動くか」最初の分岐点
頭打ちを感じたときの選択肢は、大きく2つです。今の薬局に残って役割を取りにいくか、環境ごと変えるか。
ここを曖昧にしたまま求人サイトを眺めると、僕のように条件の数字に引っぱられます。まず下のフローで、自分がどちらに寄っているかを見てみてください。
- 人間関係に不満がない→残る寄り
- 管理薬剤師の枠が見える→残る寄り
- 給料も役割も変わらない→動く寄り
- 職場の雰囲気がつらい→動く寄り
大事なのは、不満の中身を「お金」「人間関係」「成長」に分けて見ることです。お金だけが理由なら、残って交渉する手もあります。人間関係や雰囲気がつらいなら、残っても解決しにくい問題です。
3つの軸を10点満点で採点する
フローで決めきれないときは、今の職場を「お金・人間関係・成長」の3軸でそれぞれ10点満点で採点してみてください。頭の中だけで悩むより、どこに不満があるのかがはっきりします。
- 3軸とも7点以上→残る寄り
- 人間関係が4点以下→動く寄り
- お金だけ低い→まず交渉
僕は人間関係の点数を一番重く見るようにしています。調剤薬局Cは人間関係が最悪で、年収を下げてまで入ったのに2ヶ月で辞めました。3回目の転職で条件より職場の雰囲気を先に見るようにしてから、ようやく落ち着けています。
「お金だけ低い」となった人は、いきなり辞めずに、前の章の3つの質問を上司にしてみるのが先です。それで道が見えなければ、そのとき動けば間に合います。
薬剤師4年目が残るときの目標例:管理薬剤師・専門性・在宅
人間関係に大きな不満がなく、役割を取りにいく余地があるなら、残って目標を立てる道があります。方向は「責任」「専門知識」「患者さんとの関わり」のどれにやりがいを感じるかで分かれます。
管理薬剤師を目指す
一番分かりやすい目標が管理薬剤師です。僕は今の調剤薬局Dで、入社2年目に昇格しました。薬機法上の店舗の管理責任者として、通常業務に加えてこんな仕事を担います。
- 発注・在庫・使用期限の管理
- 薬歴監査
- スタッフのシフトや教育
- 本部への数字報告
給料面では、Dでは管理薬剤師手当が月3〜5万円つきます。ただ監査の前日は胃が痛いし、新人が辞めると自分のシフトが消えます。責任と引き換えのポジションだと知ったうえで目指すのがおすすめです。仕事の中身は管理薬剤師の仕事内容に詳しく書きました。
昇格までにやる4年目の準備
管理薬剤師は、待っていれば回ってくる役職とは限りません。4年目のうちにできることは、次の3つです。
- 面談で管理職志望を伝える
- 発注や在庫を手伝わせてもらう
- 後輩指導を任せてもらう
発注や後輩の教育は、管理薬剤師になってから毎日向き合う仕事です。一般薬剤師のうちに少しでも触れておくと、任されたときの負担がかなり違うと思います。志望は言葉にしないと上には伝わらないので、面談で一度はっきり書いておきましょう。
今の店舗に枠が空く見込みがないなら、「管理薬剤師候補」の求人を探すのも手です。ただ候補のまま何年も変わらないこともあるので、いつ任される見込みかは面接で確認してください。
専門性を深める・在宅に対応する
管理職に興味が薄いなら、専門性を深める道があります。まず研修認定、その先にがんや糖尿病など領域別の認定があります。
ただ、認定が給料に直結するかは会社次第です。今のDには、かかりつけ薬剤師としての手当がありません。認定で年収を上げたいなら、資格手当や評価の仕組みがあるかを先に確かめてください。
もう一つが在宅医療です。Dは在宅に対応している薬局なので、外来だけの薬局とは身につく経験が違います。今の職場に在宅があるなら、同行から始めるのが一番の近道です。条件は訪問薬剤師になる条件にまとめています。
薬剤師4年目で転職を目標にするときの決め方
給料も役割も変わらない、あるいは職場の雰囲気がつらい。そういう場合は、環境を変える目標が現実的です。4年目で動くなら、次の3つを先に決めておくと失敗しにくくなります。
年収と残業をセットで書く
動く目標を「年収◯万円」だけにすると、僕と同じ失敗をしやすくなります。「年収◯万円以上、残業は月◯時間まで」のように、働き方の上限をセットで書いてください。
書いた基準は、求人を比べるときの物差しになります。求人票に書かれない職場の実態は、「アットホーム」な求人票の記事と職場見学の記事で確かめ方を書いています。
4年目か5年目かを比べる
「あと1年いて5年目で動くべきか」と迷う人もいると思います。管理職の目安のうち経験年数は、どの薬局で働いても積み上がります。研修認定の単位も職場を変えても残ります。
なので、今の職場でしか得られないものがあるかで決めるのが分かりやすいです。管理薬剤師の枠が近々空く、在宅に関われるなど、残る理由があるなら5年目まで待つ価値があります。何もないなら、1年待つ意味は薄いと思います。
動く時期を逆算する
転職活動は、始めてから内定まで1〜2か月、在職中で退職と入社の手続きまで含めると3〜4か月が目安です。5年目の春に新しい職場にいたいなら、4年目の秋から冬には情報収集を始める計算になります。
情報収集の段階なら、エージェントに「すぐ転職するかは決めていない」と伝えて相談するのも一つの方法です。候補の一つがファゲットです。僕は使っていませんが、公式サイトは中小の調剤薬局や病院の求人を強みとして挙げています。大手チェーン以外の職場も比べてみたい人に合うと思います。
ほかの会社とも比べたい人は、下のランキングを見てください。年収を上げて転職した僕の実額は薬剤師7年目の年収の記事に書いています。
そのまま使える薬剤師4年目の評価面談シートの例文
残る人も動く人も、まず向き合うのが目の前の評価面談です。残る場合・動く前提の場合の両方で、例文を用意しました。空欄を自分の数字に置き換えて使ってください。
残る人の目標シート例文
管理薬剤師や専門性を目指して残るなら、会社が評価しやすい「数字+期限」の形にします。たとえばこんな書き方です。
- 今期:研修認定の単位を◯単位
- 来期:発注を一人で回す
- ◯年後:管理薬剤師になる
単位数は、40単位から逆算して今期の分を入れます。管理職を狙うなら、この欄で志望を書いておくのが一番確実な伝え方です。
動く前提でも書ける例文
「本音は転職も考えているけれど、面談では言えない」という人もいると思います。その場合は、どこへ行っても使えるスキル系の目標を書いておくと角が立ちません。
- 在宅の同行を月◯件経験する
- 糖尿病の服薬指導を学び直す
- 後輩◯名の指導を担当する
ここで積んだ経験は、そのまま職務経歴書に書ける材料になります。面談シートは自分の棚卸しにも使うと割り切ると、書く手が軽くなります。
書くときの3つのコツ
- 数字と期限を必ず入れる
- 大目標と今期の小目標を分ける
- 自分が得することを1つ混ぜる
「会社が求めること」だけを書くと続きません。研修認定の単位のように、自分に残る目標を一つ混ぜておくと、残っても動いても無駄になりません。
薬剤師4年目の目標についてよくある質問
- 薬剤師4年目で目標が決まらないのは普通ですか?
-
普通だと思います。仕事をひと通り覚えて、次の道が一本ではなくなる時期だからです。能力の問題ではなく、今の職場で「次の役割」が見えていないことが多いです。
- 4年目の目標は何から決めればいいですか?
-
5年目にどの道でも選べる準備からがおすすめです。管理職にも専門性にも使える研修認定の単位を計画し、今の職場で5年目以降に給料がどう上がるかを上司に聞いておくと、次の判断がしやすくなります。
- 4年目で管理薬剤師を目指すのは早いですか?
-
目指し始めるのは早くありません。厚労省のガイドラインは管理者の目安を「薬局での実務5年以上」と「認定薬剤師」としています。経験年数は翌年に届くので、4年目は認定の準備と、面談で志望を伝えることから始めるとよいと思います。
- 研修認定薬剤師は何単位必要ですか?
-
日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師の新規申請は、申請日から遡って4年以内に40単位以上です。eラーニングなどは1日に数えられる単位に上限があるので、今期は何単位と区切って計画するのが現実的です。
- 4年目は残るのと転職するの、どちらがいいですか?
-
どちらにも正解があります。人間関係に不満がなく管理薬剤師の枠が見えるなら残る寄り、給料も役割も変わらない、または雰囲気がつらいなら動く寄りです。お金だけの不満なら、まず昇給の仕組みを聞いてみてください。
- 4年目で転職するか、5年目まで待つか迷います。
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経験年数も研修認定の単位も、職場を変えても積み上がります。今の職場でしか得られないもの(管理薬剤師の枠、在宅の経験など)があれば待つ価値があり、何もなければ1年待つ意味は薄いと思います。
- 評価面談で目標を聞かれたら何と書けばいいですか?
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「がんばります」ではなく、数字と期限を入れます。残るなら「今期に研修認定の単位を◯単位」「来期に発注を一人で回す」、動く前提でも「在宅の同行を月◯件」のように、どこでも使えるスキル系を書いておくと安全です。
- 年収だけで転職先を決めるのは危険ですか?
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僕はそれで失敗しました。4年目の終わりに年収550万円のドラッグストア併設の調剤薬局へ移り、月45時間の残業で後悔しています。年収と一緒に、残業の上限や業務の範囲まで目標に書いておくのがおすすめです。
まとめ:薬剤師4年目の目標は正解探しより自分の基準づくり
4年目の目標は、誰かが用意した正解を探すものではありません。残るか動くか、どちらにも正解があります。大事なのは、5年目に選ぶための材料と、自分の基準を持っておくことです。
- 目標は5年目に選べる準備
- 管理職の目安は実務5年+認定
- 認定の40単位は今から逆算
- 昇給の道筋を上司に聞く
- 動く目標は年収と残業をセット
僕は4年目に年収しか見ておらず、そのあと2回転職で失敗しました。3回目でようやく、職場の雰囲気を自分の目で確かめる、担当者に本音を全部話す、という基準にたどり着いています。
同じ4年目で迷っている人が、焦らずに自分の基準で選べることを願っています。3年目の考え方は薬剤師3年目の目標、次の1年は薬剤師5年目の目標にまとめています。

