薬剤師3年目の目標は、「経験3年」で届くようになるものから逆算して立てると、面談シートの空欄が埋まりやすくなります。
たとえば、かかりつけ薬剤師の要件には「保険薬局の勤務経験3年以上」があります。もう1つの要件である研修認定は「4年以内に40単位」なので、3年目は準備を始めるちょうどいい時期です。
この記事では、この逆算の考え方を軸に、専門・後輩教育・市場価値の3つに分けた目標の立て方と、面談シートに書ける例文をまとめました。書いているのは、今は管理薬剤師として求人票を出す側・一次面接をする側にいる僕です。
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師3年目で目標が思いつかないのは「覚える目標」が尽きるから
1年目と2年目は、覚えることがそのまま目標になります。調剤、監査、服薬指導、疑義照会。できないことが多いので、書くことに困りません。
3年目になると日々の業務がひと通り回るようになり、「覚える」目標が尽きます。代わりに「何を伸ばすか」「どこで働き続けるか」を自分で決める必要が出てきます。目標が浮かばないのは能力不足ではなく、この切り替わりに立っているからだと僕は考えています。
ちなみに、2年目の目標の立て方は薬剤師2年目の目標にまとめています。
年収の位置も押さえておくと、目標がぶれにくくなります。令和6年賃金構造基本統計調査で薬剤師の経験1〜4年を計算すると、約493万円です(所定内給与×12+年間賞与、残業代は含みません)。
僕が新卒で入った内科門前の調剤薬局Aは、1年目が約380万円、4年目で420万円でした。昇給は1回あたり月額5千〜1万円ほどで、統計より低めです。地域や会社の規模で普通に変わる数字なので、上でも下でも落ち込む必要はありません。3年目の給料の詳しい話は薬剤師3年目の給料・年収に書いています。
管理薬剤師たろう「目標がない」じゃなくて「決める段階に来た」だけなんですよね。
薬剤師3年目の目標は「経験3年」で届く要件から逆算する
3年目ならではの目標を探すなら、制度の中にある「3年」という線が手がかりになります。代表的なのが、かかりつけ薬剤師の要件です。
かかりつけ要件の「経験3年」
2026年6月の診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導料」は廃止されました。ただ、かかりつけ薬剤師は服薬管理指導料の「イ かかりつけ薬剤師」の区分として残っていて、担当する薬剤師の要件も定められています。
| 要件 | 2026年6月〜 |
|---|---|
| 薬局勤務経験 | 3年以上 |
| 週の勤務時間 | 31時間以上 |
| その薬局の在籍 | 6か月以上 |
| 研修認定 | 取得していること |
| 地域活動 | 参画していること |
つまり、新卒から薬局にいる人は3年目を終えるころに勤務経験の条件がそろいます。そのとき研修認定を持っていれば、会社の方針次第でかかりつけを任される立場に手が届きます。
研修認定は4年で40単位
日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師は、申請日からさかのぼって4年以内に40単位以上を取ると新規申請できます。認定後の更新は、1年ごとに5単位以上かつ3年で30単位以上です。
40単位を4年で割ると、1年あたり10単位です。3年目に単位集めを始めると、勤務経験3年がそろう時期と認定の時期が近づきます。「今年は◯単位」と数字で書けるので、面談シートの目標にもしやすい項目です。
認定が給与に響くかは会社次第
ここは先に知っておいてほしいところです。僕は現職の調剤薬局Dで研修認定を取り、多いときで約30名のかかりつけ患者さんを担当していました。それでも、Dの会社にはかかりつけの手当がなく、給与には反映されませんでした。
管理薬剤師になってからは、本部から降りてくる店の同意件数の目標をスタッフに割り振る側も経験しました。2026年の改定後は、本部の指示が「同意件数」から「フォローアップの実績件数」に変わった、というのが現場の感覚です。
だから3年目の目標に認定を入れるときは、自分の会社の評価制度で認定やかかりつけがどう扱われているかを、上司に一度聞いておくのがおすすめです。かかりつけの現場の話はかかりつけ薬剤師になりたくない人向けの記事にも書いています。
薬剤師3年目の目標は専門・後輩教育・市場価値の3つに分けて立てる
目標が漠然とするのは、全部を一緒に考えているからです。3つに分けると、それぞれ1行ずつ書けるようになります。
①専門・加算で知識を深める
一番取り組みやすいのが、専門領域や算定に関する知識を1つ深める目標です。自分の薬局でよく関わるものから選ぶと、毎日の仕事がそのまま練習になります。
- 在宅
- かかりつけ
- 吸入指導
- 糖尿病療養
いきなり大きな専門資格を狙う必要はありません。まずは1つの領域を、患者さんに自分の言葉で説明できるところまで持っていく。前の章の研修認定と組み合わせると、単位集めと知識の深掘りが同時に進みます。
②後輩教育で周りに還元する
3年目になると、新人や後輩を見る場面が増えます。人に説明しようとすると、自分が感覚で処理していた部分がはっきりします。
目標にするなら「新人の調剤チェックを任される」「店内の勉強会を1回担当する」あたりが現実的です。教えた実績は、面談の評価でも、将来の職務経歴書でも具体的に書ける材料になります。
③市場価値=外でも通用するか
3つ目が見落とされがちな市場価値です。今の職場で評価されることと、外で通用することは別物です。
僕は今、管理薬剤師として応募者の一次面接を担当しています。面接する側から見て知りたいのは、年数そのものより「何を任されてきて、何を人に説明できるか」です。経験3年でも、担当した領域と教えた経験を具体的に話せる人は伝わり方が違います。
だから転職する・しないに関係なく、自分の経験を言葉にして、外でどう評価されるかを一度知っておくこと自体が3年目の目標になります。測り方は薬剤師の市場価値の上げ方にもまとめています。
薬剤師3年目の目標を面談シートに書く例文【3レイヤー別】
ここでは、3つのレイヤーをそのまま面談シートに落とし込める例文を置きます。領域や数字は自分の薬局に合わせて差し替えてください。
- 領域名は自分の薬局に置換
- 「いつまでに」を必ず添える
- 数で測れる形にする
| レイヤー | 例文 |
|---|---|
| 研修認定 | 今年度中に研修認定の単位を10単位取得し、経験3年を迎える時期に認定申請できる見通しを立てる |
| 専門・加算 | 下半期中に当店で多い吸入薬のデバイスを全種類説明できるようにし、指導の手順を店内で共有する |
| 後輩教育 | 新人1名の調剤チェックを担当し、四半期に1回、店内勉強会の講師を務める |
| 市場価値 | キャリアの棚卸しとして、担当業務と身につけたスキルを年度末までに文書にまとめる |
市場価値のレイヤーは「キャリアの棚卸し」と書けば、転職前提に読まれずに済みます。
ありがちな失敗は「在宅をがんばる」のような達成したかどうかを後から判定できない目標です。「いつまでに・何を・どの状態にするか」の3点を入れるだけで、上司の評価も自分の振り返りもぶれにくくなります。



これなら面談シートの空欄、埋められそうです。
管理薬剤師の僕が3年目の自分に伝えたい反省
新卒で入った調剤薬局Aは安定していましたが、年次が上がるにつれて給料もスキルも頭打ちの感覚が強くなりました。4年目で420万円。そこから28歳で、年収550万円に釣られてドラッグストア併設の調剤Bに移りました。
Bは月の残業が45時間でした。お金は増えたのに、使う時間も体力もない。30歳でそこを早く抜けたくて焦って移った調剤Cは、入社2ヶ月で辞めています。
振り返ると、僕が外に向けて持っていた物差しは「年収の数字」だけでした。3年目のうちに、自分が何を伸ばしたいのか、どんな働き方を守りたいのかを言葉にしていれば、あの2回の失敗は避けられたかもしれません。
もう1つの反省は、求人票の読み方です。Cの求人票には、後から読み返しても嘘は書かれていませんでした。足りなかったのは、常勤薬剤師が何人いるか、欠員補充か増員か、前任者がいつ辞めたか、という「書かれていないこと」を確かめる視点です。今は求人票を出す側にいて、原稿は本部が作り、店から上げるのは欠員の理由などごく一部だと知っています。
3年目で外の相場を見るときは、年収の数字と一緒に、この「書かれていないこと」も確かめる練習をしておくと、いざ動くときに焦らずに済みます。求人の見方は薬局の求人がずっと出ている理由でも解説しています。
薬剤師3年目で「このままでいいのか」と思ったときの確かめ方
3年目は、転職するかどうかを決める年というより、決めるための材料を集める年だと僕は考えています。「残るか動くか」の判断そのものは、薬剤師4年目の目標で詳しく書いています。
伸ばした分が返る職場か
今の職場で専門を深める道は、積み上げが評価される環境なら一番まっすぐな選択です。確かめたいのは、昇給の仕組み、認定や役割に手当がつくか、上の役職に空きがあるか、の3つ。僕のA時代のように昇給幅が小さい職場だと、スキルを伸ばしても給料は動きにくくなります。昇給の目安は薬剤師が昇給しないのは普通かにまとめています。
管理職の道を知っておく
管理薬剤師は、通常業務に加えて発注・在庫・使用期限の管理、薬歴の監査、シフト、採用面接、本部への数字の報告まで抱えます。僕の場合、管理薬剤師手当は月3〜5万円でした。「監査の前日は胃が痛い」ような責任も込みなので、手当だけで決めると後悔します。
3年目のうちは、今の管理薬剤師がどんな仕事をしているかを近くで見ておくだけで十分です。向き不向きを考える材料になります。
外の相場を知っておく
ここで強く言いたいのは、すぐ転職しなくても、外の相場を知るだけで3年目の目標になるということです。外でどんな条件が提示されるかを知っていると、今の職場に残る判断も、動く判断も冷静になります。
相場を知る方法の1つが、転職エージェントに「今すぐではなく情報収集です」と伝えて求人を見せてもらうことです。どこに相談するか迷ったら、比べた結果を薬剤師転職エージェントの比較にまとめています。
候補の1つがファゲットです。僕は使っていませんが、調べたところ公式サイトでは中小の調剤薬局・病院の求人を強みとして挙げています。今の職場と同じ規模の薬局で、経験3年がどう評価されるかを見たい人には合うと思います。
薬剤師3年目の目標についてよくある質問
- 薬剤師3年目で目標が思いつかないのは普通ですか?
-
普通だと思います。1〜2年目は覚えることがそのまま目標になりますが、3年目は業務がひと通り回る分、何を伸ばすかを自分で決める段階に入ります。浮かばないのは能力不足ではなく、その切り替わりに立っているからです。
- 3年目ならではの目標はありますか?
-
かかりつけ薬剤師の要件に「保険薬局の勤務経験3年以上」があるので、それに向けて研修認定の単位を集めるのは3年目らしい目標です。研修認定は申請日から4年以内に40単位以上が必要なので、年10単位のように数字で書けます。
- かかりつけ薬剤師は2026年に廃止されたのでは?
-
廃止されたのは「かかりつけ薬剤師指導料」という点数です。かかりつけ薬剤師は服薬管理指導料の「イ かかりつけ薬剤師」の区分として残り、勤務経験3年以上・週31時間以上・在籍6か月以上・研修認定などの要件も定められています。
- 面談シートにそのまま書ける例文はありますか?
-
あります。「新人1名の調剤チェックを担当し、四半期に1回、店内勉強会の講師を務める」のように、いつまでに・何を・どの状態にするかを入れると評価がぶれません。本文に研修認定・専門・後輩教育・市場価値の4つの例文を置いています。
- 薬剤師3年目の年収はどのくらいですか?
-
令和6年賃金構造基本統計調査で薬剤師の経験1〜4年を計算すると約493万円です(残業代を除く)。僕が新卒で入った地方の内科門前薬局は1年目が約380万円、4年目で420万円で、統計より低めでした。地域や規模でかなり変わります。
- 研修認定を取れば給料は上がりますか?
-
会社によります。僕は現職で研修認定を取り、かかりつけ患者さんを多いときで約30名担当していましたが、手当はなく給与には反映されませんでした。目標にする前に、自分の会社の評価制度での扱いを上司に確認しておくのがおすすめです。
- 後輩教育を目標にしても評価されますか?
-
評価されやすい目標です。教えると自分の理解の浅いところが分かりますし、教えた実績は面談でも職務経歴書でも具体的に書けます。新人の調剤チェックを任される、勉強会を1回担当する、あたりが現実的です。
- 3年目で転職するのは早すぎますか?
-
早すぎるとは思いません。ただ僕は、3年目のうちに自分の軸を言葉にしないまま、28歳で年収だけを見て動いて失敗しました。すぐ転職しなくていいので、外の相場と自分が守りたい働き方を先に整理しておくと、動くときの判断が冷静になります。
- 管理薬剤師を目指すのはアリですか?
-
アリです。僕の場合、管理薬剤師手当は月3〜5万円でした。ただ発注・在庫・シフト・採用面接まで抱えるので、調剤に集中したい人にはしんどい面もあります。3年目のうちは、今の管理薬剤師の仕事を近くで見ておくだけで十分です。
- 転職しないなら外の相場を知る意味はありますか?
-
あります。外の物差しを持っておくと、今の職場が自分に合っているかを客観的に見られます。転職エージェントに「情報収集です」と最初に伝えれば、求人や年収の相場を見るだけの使い方もできます。
まとめ:薬剤師3年目の目標は「経験3年」から逆算して1行ずつ書く
3年目で目標が思いつかないのは、覚える目標が尽きて、何を伸ばすかを自分で決める段階に来たからです。
手がかりは「経験3年」という線です。かかりつけの要件に向けて研修認定の単位を集め、専門・後輩教育・市場価値の3つに分けて1行ずつ書く。認定や役割が給与にどう響くかは、会社の評価制度で確かめておく。
そして、外の物差しを年収の数字だけにしないこと。これが、年収だけ見て2回転職に失敗した僕からいちばん伝えたいことです。
- 思いつかないのは普通
- 「経験3年」から逆算する
- 認定は4年で40単位
- 専門・教育・市場価値で分ける
- 外の相場は知るだけでいい
転職3回で2回失敗した僕のキャリアの全体像は自己紹介記事に書いています。









