薬剤師2年目の目標は、「自分ができる」から「任せられる・周りに広げる」へ一段上げることです。
具体的には、後輩フォロー・在宅とかかりつけの準備・監査の精度・算定の理解の4つに絞れます。1年目の目標だった「独り立ち」はもう達成しているので、同じ書き方のままだと目標が見えなくなるんです。
もう一つ、2年目のうちに知っておきたい話があります。かかりつけ薬剤師には「薬局勤務3年以上」と「研修認定」が要ります。研修認定は4年以内に40単位なので、単位集めを始めるなら2年目がちょうどいい時期です。
この記事では、今は管理薬剤師としてスタッフの教育を見ている僕が、4つの目標の中身と、面談シートにそのまま書ける例文をまとめます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
詳しい筆者の経歴はこちら
薬剤師2年目は1年目と目標の軸が変わる
2年目で目標が思いつかないのは、サボっているからでも能力が低いからでもありません。1年目の目標がほぼ「一人で調剤・監査・投薬ができること」だったので、それを達成した時点で次の目標が空白になるんです。
調剤薬局の毎日は、同じ門前から似た処方が流れてくるルーティンが中心です。意識して目標を置かないと、2年目・3年目はあっという間に過ぎます。
一方で、2年目は職場から見た立ち位置が変わる年でもあります。よくあるのはこんな変化です。
- 新人が入り、教える側に回る
- 一人で店を回す時間帯が出る
- 「できる」より「任せられる」で見られる
つまり2年目の目標は、自分のスキルを足すだけでなく、周りや店全体に広げる方向で考えると見つかります。1年目との違いを表にするとこうなります。
| 観点 | 1年目 | 2年目 |
|---|---|---|
| 調剤・監査 | 一人でできる | 速くて間違えない |
| 人との関わり | 教わる側 | 新人を支える側 |
| 患者さん | 投薬を回せる | 在宅・継続的な関わり |
| お金の仕組み | 言われた通り算定 | 要件を理解して説明 |
| その先 | 考える余裕がない | 認定などを逆算する |
管理薬剤師たろう教育を見る立場になってみると、2年目の伸び悩みは能力の問題というより、目標の置き場所が1年目のままになっていることが多いと感じます。
1年目の目標管理シートの書き方は薬剤師1年目の目標例と記入例にまとめています。この記事は、その次の段階の話です。
薬剤師2年目が目標にすべき4つ(優先順位つき)
転職や大きな資格の前に、まず「今の職場で明日から手をつけられること」を4つに絞りました。上から順に取り組むのがおすすめです。
①後輩フォロー:教えると伸びる
最優先は新人・後輩のフォローです。人に教えることが、自分の成長にいちばん効きます。
なんとなくやっている手順を言葉にすると、自分の理解の穴がはっきりします。「なぜこの順番で監査するのか」と聞かれて答えに詰まったら、そこが自分の伸びしろです。
教える中身は大げさなものでなくて構いません。自分が当たり前にやっている小さなコツで十分です。
- 散剤・水剤の計量の手順
- 疑義照会の前に見るところ
- 門前の医師ごとの処方のクセ
- 混雑時の段取りの組み方
1年前に自分が困ったことを覚えているのは、2年目の強みです。管理薬剤師やベテランよりも、新人のつまずきに近い目線で教えられます。
②在宅・かかりつけの準備
次が在宅医療とかかりつけ薬剤師への関わりです。門前のルーティンから一歩外に出て、患者さんの生活側を見る経験になります。
ただし2年目では、まだかかりつけ薬剤師にはなれません。2026年6月の調剤報酬改定後の要件はこうです。
| 要件 | 2026年6月〜 |
|---|---|
| 薬局勤務経験 | 3年以上 |
| 週の勤務時間 | 31時間以上 |
| その薬局の在籍 | 6か月以上 |
| 研修認定 | 必要 |
| 地域活動への参画 | 必要 |
2年目のうちにできるのは、要件がそろったときにすぐ動ける準備です。先輩の在宅に同行する、かかりつけの患者さんへの説明に同席する、地域の健康イベントに顔を出す、といったところから始められます。
かかりつけの制度が改定でどう変わったかはかかりつけ薬剤師になりたくないときの考え方で詳しく書いています。僕自身、今の薬局で研修認定を取ってかかりつけの患者さんを多いときで30名ほど持っていました。
③監査の精度とスピード
3つ目は地味ですが効く、調剤・監査の質です。「速いだけ」「正確なだけ」ではなく、速くて間違えないを両立させるのが2年目のテーマになります。
自分の店の中だけで学ぶと、起きたことしか学べません。日本医療機能評価機構の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業には、2024年だけで113,185件の事例が47,449施設から集まっていて、事例を検索できます。
「月に1回、店で扱う薬の事例を読んで朝礼で共有する」のような目標にすると、自分の監査も店の安全も底上げできます。一人で完結しないぶん、2年目らしい目標になります。
④加算・算定の理解
4つ目は調剤報酬の加算・算定の理解です。1〜2年目は「言われた通り算定しているだけ」になりがちですが、ここが分かると日々の業務の意味が変わって見えます。
目標にするなら、自分の店が算定している加算を3つ選び、要件を人に説明できるようにする、くらいの大きさがちょうどいいです。調剤報酬は改定のたびに中身が変わるので、仕組みで覚えておくと後が楽になります。
管理薬剤師になると、発注や在庫と一緒に本部への数字報告も仕事に入ってきます。将来そちらに進む気があるなら、2年目で土台を作っておいて損はありません。
薬剤師2年目から認定薬剤師の単位を集める理由
2年目の目標を調べると「認定薬剤師を取ろう」というアドバイスがよく出てきます。資格そのものを2年目で急ぐ必要はありませんが、単位集めは2年目に始めておくと逆算が合います。
理由は、研修認定薬剤師の新規申請の要件にあります。日本薬剤師研修センターの制度では、申請日からさかのぼって4年以内に40単位以上が必要です。
- 申請前4年以内に40単位
- e-ラーニングは年5単位まで
- 集合研修は1日4単位まで
出典:日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師の新規申請手続きについて」
e-ラーニングには年間の上限があるので、家でこつこつ受けるだけでは40単位に届くまで時間がかかります。集合研修や学術集会も組み合わせる前提で、年10単位ほどのペースを考えておくと現実的です。
かかりつけの要件は「薬局勤務3年以上」と「研修認定」の両方です。2年目から単位を集め始めれば、勤務年数の要件を満たす頃に認定も視野に入ります。3年目になってから始めると、認定だけが後から追いかける形になりやすいです。
とはいえ、単位のために休日の研修を詰め込んで疲れ切るのは本末転倒です。在宅やかかりつけに進みたい気持ちがはっきりしているなら早めに、まだ方向が決まっていないなら①〜④を優先して、単位は少しずつで十分です。受講料の補助があるかは会社によって違うので、先に上司に確認しておくと無駄が出ません。
薬剤師2年目が面談シートに書く目標の例文と書き方
2年目になると、人事考課や上司との面談で「今期の目標」を書く場面が出てきます。ここで手が止まる人のために、書き方と例文を置いておきます。
数字を入れて具体的に書く
いちばんやりがちなのが「調剤を頑張る」「もっと成長する」のようなふわっとした書き方です。これだと上司も評価のしようがなく、半年後の振り返りも「で、どうだった?」で終わります。
コツは、「何を・いつまでに・どれくらい」を数字で書くことです。1年目の目標を2年目向けに書き換えると、違いが分かりやすくなります。
| 1年目の書き方 | 2年目の書き方 |
|---|---|
| 一人で監査できるようになる | 半年で監査の指摘事例を月3件記録し、月1回共有する |
| 先輩に教わって覚える | 新人1名の計量・監査の独り立ちを3か月で支援する |
| 在宅の流れを知る | 先輩の在宅に月2回同行し、報告書の下書きを担当する |
| 算定を間違えない | 店の主な加算3つの要件を、半年で説明できるようにする |
そのまま使える目標例文
4つの目標と単位集めを、シートに書ける短さにしました。数字は職場の状況に合わせて差し替えてください。
- 新人1名の独り立ちを支援
- 在宅同行を月2回
- 事例共有を月1回
- 主要加算3つを説明できる
- 研修単位を年10単位
どれも「明日から手をつけられて、半年後に振り返れる」大きさにしてあります。欲張って5つ6つ書くと中途半端になりやすいので、2〜3個に絞るのがおすすめです。
後輩指導の目標の書き方
2年目は初めて後輩がつく時期と重なりやすく、後輩指導を目標に入れたい人も多いと思います。
ポイントは「自分が何をするか」を主語にすることです。「後輩を成長させる」だと結果が相手次第になるので、自分の行動で書き切るのがコツです。
たとえば「新人が疑義照会で迷ったとき、判断の根拠を一緒に確認する時間を週1回つくる」のように書くと、達成したかどうかを自分で振り返れます。
それでも薬剤師2年目の成長を感じないなら環境を見直す
4つに取り組もうとしても、そもそも置けない職場があります。在宅もかかりつけもやっていない薬局では②が置けませんし、新人が入ってこない職場では①も難しい。
つまり「目標が見えない」のが自分のせいではなく、職場側に伸びしろが用意されていないケースもあります。
見分け方は、上の世代の薬剤師が自分の3年後・5年後の見本になっているかどうかです。10年いる先輩が自分と同じ業務を同じようにやっているなら、その先の階段が少ない可能性があります。在宅や管理、教育に幅を広げている先輩がいるなら、今の場所でまだ伸びられます。
僕の場合、新卒で入った調剤薬局A(内科の門前)に4年いて、年収は約380万から420万まで。昇給は1回あたり月額5千〜1万円ほどで、給料もスキルも頭打ちの感覚がありました。結局28歳で転職しましたが、その転職は年収だけで選んで失敗しています(経緯は自己紹介記事に書きました)。
だから2年目で動くなら、年収より「上の4つを置ける職場か」を基準にしてほしいです。2年目の転職は経験年数の浅さで見られ方が変わることもあるので、まずは今の職場で試して、それでも置ける目標がないと分かってからでも間に合います。
2年目の給料や昇給の相場は薬剤師2年目の年収・昇給額に、職場選びの考え方は薬剤師の転職の基本にまとめています。
環境を変える前提で情報を集めたいなら、薬剤師転職エージェントのおすすめランキングで各社の特徴を比べています。求人を見て「今の職場は天井かどうか」を確かめる材料にするだけでも十分です。
薬剤師2年目の目標についてよくある質問
- 薬剤師2年目で目標が思いつきません。やばいですか?
-
やばくないです。1年目の目標だった「独り立ち」を達成したので、次が空白になっているだけです。自分のスキルだけでなく、後輩や店全体に広げる方向で考えると見つかりやすいです。
- 2年目で認定薬剤師を取るべきですか?
-
取得を急ぐ必要はありませんが、単位集めは2年目から始めると逆算が合います。研修認定は申請前4年以内に40単位が必要で、かかりつけ薬剤師には薬局勤務3年以上と研修認定の両方が要るからです。
- 2年目でもかかりつけ薬剤師になれますか?
-
2026年6月以降の要件では薬局勤務経験3年以上が必要なので、2年目ではまだなれません。在宅への同行やかかりつけ患者さんへの説明に同席するなど、要件がそろったときにすぐ動ける準備を目標にするといいです。
- 面談シートの目標、どう書けばいいですか?
-
「何を・いつまでに・どれくらい」を数字で書くのがコツです。「調剤を頑張る」ではなく「半年で監査の指摘事例を月3件記録し、月1回共有する」のようにすると、振り返りで達成したかが分かります。
- 目標は何個くらい書けばいいですか?
-
2〜3個に絞るのがおすすめです。数が多いとどれも中途半端になりやすいので、明日から手をつけられて半年後に振り返れる大きさのものを選んでください。
- 後輩がいない職場ではどうすればいいですか?
-
③の監査の精度や④の算定理解のように、一人でも始められる目標から置けば大丈夫です。ヒヤリ・ハット事例を読んで店で共有する目標なら、後輩がいなくても周りに広げる形にできます。
- 2年目の年収はどれくらいが普通ですか?
-
令和6年賃金構造基本統計調査で計算すると、経験1〜4年の薬剤師は約493万円(残業代を除く)です。地域や勤め先の規模で差が大きいので、詳しくは薬剤師2年目の年収・昇給額を見てください。
- 2年目で転職するのは早すぎますか?
-
経験年数の浅さで見られ方が変わることはあるので、慎重にいきたいところです。今の職場で4つの目標を試して、それでも置ける目標がないと分かってから動いても間に合います。年収だけで選ぶと失敗しやすいです。
- 今の職場が「天井」かどうか、どう見分けますか?
-
10年いる先輩が自分と同じ業務を同じようにやっているなら、その先の階段が少ないかもしれません。在宅や管理、教育に幅を広げている先輩がいれば、今の場所でまだ伸びられます。
まとめ:薬剤師2年目の目標は周りに広げる1つから
2年目で目標が見えなくなるのは、1年目の目標を達成したからです。次は自分ができることを、後輩や店全体に広げる方向で置いてみてください。
- 1年目と目標の軸が変わる
- 目標は現場の4つに絞る
- 優先は後輩フォローから
- 認定の単位集めは2年目から
- 面談シートは数字で書く
- 置ける目標がないなら環境を疑う
まずは①の後輩フォローか③の事例共有のように、ハードルの低いものから1つ始めてみてください。3年目になると、今の場所で伸ばすか外を見るかを考える時期に入ります。その話は薬剤師3年目の目標に書いています。









