服薬指導の会話は、「確認→説明→締め」の型に、場面ごとの決まった一言を差し込めば回ります。セリフを丸ごと覚えるより、型と一言の組み合わせを持っておくほうが、想定外の返事が来ても崩れません。
この記事では、そのまま声に出せる会話例を、基本の流れ・場面別・難しい場面の順に並べました。2026年6月の調剤報酬改定で変わった「かかりつけ」「残薬」「吸入薬」まわりの声かけも入れています。
調剤薬局で管理薬剤師をしている、たろうです。新人の教育も仕事のうちなので、「新人が最初に持っておくと楽になる言い回し」を基準に選びました。
なお、記事中の会話は、薬局でよく使われる言い回しをもとに作った例文です。実在の患者さんとのやり取りではありません。自分の薬局でよく出る薬に置き換えて使ってください。
話すこと自体が苦手で、会話例以前に投薬口がしんどい人は、薬剤師のコミュ障は克服しなくていい|場面別の会話の型のほうが先に役立つかもしれません。疑義照会や同僚との会話の型も、そちらにまとめています。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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服薬指導の会話例の基本の流れ(確認→説明→締め)
服薬指導は、オープニング・確認・説明・クロージングの4ステップで進みます。この順番さえ崩さなければ、途中で言葉に詰まっても会話は前に進みます。
新人がやりがちなのは、いきなり薬の説明から入ることです。確認を飛ばすと、患者さんが診察室で話したことをもう一度聞く形になり、「それさっき先生に言いました」と疲れさせてしまいます。
法律上も、薬剤師の仕事の骨格は「確かめる」と「伝える」です。薬剤師法の第25条の2は、調剤した薬について、患者さんへの必要な情報の提供と、薬学的知見に基づく指導を求めています。
オープニングの会話例
第一声の役割は、本人確認と「話していい空気」を作ることです。名前の確認と、受診へのねぎらいをセットにします。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 本人確認 | 「〇〇さんですね。お待たせしました。薬剤師の△△です」 |
| ねぎらい | 「受診お疲れさまでした。今日はどうされました?」 |
| 前置き | 「お薬のことで、少しだけ確認させてください」 |
同姓の患者さんがいる薬局では、フルネームか生年月日まで確認します。取り違え防止の確認は、急いでいても省きません。
読者たしかに、いきなり薬の名前から入ってました…
確認と説明の会話例
確認では、症状・併用薬・アレルギーをおさえます。説明は、効果・飲み方・注意点の3つに絞ると伝わりやすいです。
質問は使い分けます。アレルギーの有無のように事実を確かめたいときは「はい・いいえ」で答えられるクローズド質問、症状や不安を話してほしいときはオープン質問です。「お変わりないですか」より「前回から体調はどうですか」のほうが、患者さんは自分から話してくれます。
| パート | 言い方の例 |
|---|---|
| 確認(オープン) | 「今日はどんな症状で受診されましたか」 |
| 確認(クローズド) | 「ほかに飲んでいるお薬やサプリはありますか」 |
| 確認(クローズド) | 「お薬で体に合わなかった経験はありますか」 |
| 説明(効果) | 「このお薬は、鼻水とくしゃみを抑える薬です」 |
| 説明(飲み方) | 「1日2回、朝と夜のごはんのあとに1錠ずつです」 |
| 説明(注意点) | 「眠くなることがあるので、運転の予定があれば教えてください」 |
クロージングの会話例
締めの一言で「また聞いていいんだ」と思ってもらえると、次回からの会話がぐっと楽になります。質問のハードルを下げる言葉で終えます。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 質問の確認 | 「ここまでで、気になるところはありますか」 |
| 連絡先 | 「家に帰ってから気になったら、この番号に電話してください」 |
| 締め | 「お大事になさってください」 |
「分かりましたか?」は、聞かれた側が「はい」としか言いにくい聞き方です。「気になるところはありますか」のほうが、本音の質問が出てきます。
最初から最後まで通しの会話例
型を1回分つなげると、こうなります。例は、花粉症で初めて抗ヒスタミン薬が出た成人の患者さんです。所要時間は1〜2分ほどを想定しています。
| 話す人 | セリフ |
|---|---|
| 薬剤師 | 「〇〇さんですね。お待たせしました。薬剤師の△△です。今日はどうされました?」 |
| 患者 | 「花粉症で、鼻水が止まらなくて」 |
| 薬剤師 | 「つらい時期ですよね。ほかに飲んでいるお薬や、合わなかったお薬はありますか」 |
| 患者 | 「特にないです」 |
| 薬剤師 | 「ありがとうございます。今日のお薬は、鼻水やくしゃみを抑える薬です。1日1回、寝る前に1錠飲んでください」 |
| 薬剤師 | 「人によって眠気が出ることがあります。車の運転はされますか」 |
| 患者 | 「通勤で乗ります」 |
| 薬剤師 | 「では、飲み始めは眠気の出方を様子見してください。強く出るようなら運転は控えて、先生か私たちにご相談ください」 |
| 薬剤師 | 「ここまでで、気になるところはありますか。なければ以上です。お大事になさってください」 |
実際の薬では、眠気の注意の強さが薬ごとに違います。添付文書に「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう」とある薬なら、「飲んでいる間は運転を控えてください」と言い切ります。
場面別・そのまま使える服薬指導の会話例
患者さんの年齢や薬の種類で、差し込む一言は変わります。頻度の高い場面から順に並べました。
初回と継続の会話例
初回はゼロから丁寧に、継続は「変化の確認」が主役です。継続の患者さんに毎回ゼロから説明すると、「もう分かってるよ」と思われてしまいます。
| 場面 | 言い方の例 |
|---|---|
| 初回 | 「初めてのお薬なので、飲み方を一緒に確認させてください」 |
| 初回 | 「気になることがあれば、途中でも止めてくださいね」 |
| 継続 | 「前回のお薬を飲んでみて、体調はどうでしたか」 |
| 継続 | 「飲み忘れやすい時間帯はありますか」 |
| 薬が変わった | 「今日から1種類変わっています。ここだけ説明させてください」 |
小児への会話例
小児は保護者に話すのが基本ですが、子ども本人にも一言かけると場が和みます。飲ませ方の具体策をセットで伝えると、保護者の不安が減ります。
| 相手 | 言い方の例 |
|---|---|
| 保護者 | 「粉が苦手なら、少量の水で練って、上あごや頬の内側に塗ってから水を飲ませる方法があります」 |
| 保護者 | 「このシロップは冷蔵庫で保管してください。凍らせないようにだけ注意です」 |
| 保護者 | 「飲んだあとすぐ吐いてしまったときは、飲ませ直す前に一度ご連絡ください」 |
| 子ども | 「お薬、がんばれそう?」 |
シロップの保管方法は薬によって違うので、冷所保存の指示がある薬のときに使う一言です。



うちの子、粉薬を嫌がって困ってたんです
高齢者への会話例
高齢の患者さんには、ゆっくり・短く・具体的に伝えます。「食後」より「朝ごはんのあと」のように、生活の動作に結びつけると飲み忘れが減ります。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 飲むタイミング | 「朝ごはんのあとに、この袋を1つ飲んでください」 |
| 飲みにくさ | 「錠剤の数が多くて大変なら、1回分ずつ袋にまとめられるか先生に相談できます」 |
| 飲み忘れ | 「お薬カレンダーに入れておくと、飲んだかどうか分かりやすいですよ」 |
| 家族 | 「ご家族の方にも、飲み方を一緒に聞いていただけると安心です」 |
僕が薬剤師を目指したきっかけは、高校生のころ、10種類以上の薬を飲んでいた祖母の姿でした。かかりつけの薬局の薬剤師さんがかみ砕いて説明してくれて、祖母の不安が安心に変わっていくのを見ていたんです。薬の数が多い人ほど、短く具体的な一言が効くと思っています。
抗菌薬・吸入薬の会話例
抗菌薬は「指示された日数を飲み切る」、吸入薬は「使い方を目の前でやってもらう」がカギです。吸入は口の説明だけでは伝わりにくいので、練習用の器具で一緒に動かします。
| 薬 | 言い方の例 |
|---|---|
| 抗菌薬 | 「よくなっても、先生から指示がなければ出された日数分を飲み切ってください」 |
| 抗菌薬 | 「途中でやめると、菌が残ってぶり返すことがあります」 |
| 吸入薬 | 「練習用の器具があるので、ここで一度吸ってみましょうか」 |
| ステロイド吸入 | 「吸ったあとは、うがいをしてください。声がかれるのを防げます」 |
| インフル吸入薬 | 「このお薬は今日ここで吸い切るタイプです」/「5日間、朝と夜に続けるタイプです」 |
インフルエンザの吸入薬には、1回で吸い切るものと、数日続けるものがあります。どちらのタイプかを最初に伝えると、患者さんが混乱しません。2026年6月の改定で、吸入薬指導加算の対象にインフルエンザの吸入薬も入りました(下で詳しく)。
点眼薬の会話例
点眼薬は「1回1滴」と「容器の先を目やまつげにつけない」がポイントです。複数の目薬が出たときは、間隔をあけないと後の薬で先の薬が流れてしまうので、必ず伝えます。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 点し方 | 「下まぶたを軽く引いて、1滴だけ落としてください」 |
| 点したあと | 「点したら、まばたきをせずに1分ほど目を閉じてください」 |
| 複数あるとき | 「2種類あるので、5分以上あけて点してください」 |
インスリン・自己注射の会話例
自己注射は、打つ場所を毎回ずらすことと、低血糖のサインと対処をセットで伝えます。怖がる患者さんも多いので、手順を淡々と、順番どおりに渡すと安心してもらえます。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 打つ場所 | 「前回打った場所から、2〜3cmずらして打ってください」 |
| 低血糖 | 「冷や汗や手の震え、どきどきが出たら、すぐにブドウ糖か甘いジュースをとってください」 |
| 針の処理 | 「使い終わった針は、ふたつきの容器に入れて薬局に持ってきてください」 |
使用済みの針の回収方法は、薬局や地域によって違います。自分の薬局のルールに合わせて言い換えてください。
漢方の会話例
漢方は飲むタイミングが独特で、「食前」か「食間」が基本です。食間を「食事中」と勘違いする人がいるので、時間で言い換えます。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| タイミング | 「ごはんの30分前か、ごはんの2時間後くらいに飲んでください」 |
| 食間の説明 | 「食間は、食事と食事のあいだという意味です。食事中ではありません」 |
| 飲みにくさ | 「においが苦手なら、お湯に溶かして飲む方法もあります」 |
服薬指導で難しい場面を切り抜ける会話例とNG例
服薬指導で本当に難しいのは、薬の説明そのものより、患者さんの感情がからむ場面です。ここでの一言が、信頼を作るか壊すかを分けます。
副作用説明の会話例
副作用は、「起こりうること」と「起きたらどうするか」をセットで伝えると、不安をあおらずに済みます。全部並べるのではなく、その患者さんの生活に関係するものから話します。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 頻度を添える | 「まれに眠気が出ることがあります」 |
| 対処を渡す | 「強く出たら、運転は控えて一度ご相談ください」 |
| すぐ連絡 | 「発疹やかゆみが出たら、飲むのを止めてすぐご連絡ください」 |
残薬確認の会話例
残薬は、責める言い方をすると一気に心を閉ざされます。「悪いこと」ではなく「よくあること」として聞くと、本音を話してもらえます。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 切り出し | 「飲み忘れってよくあるので、みなさんに伺っているんですが、お薬が余っていませんか」 |
| 原因を聞く | 「飲みにくい時間帯はありますか。時間を調整できるかもしれません」 |
| 提案 | 「余っている分があれば、先生に確認して今回の日数を減らせます」 |
残薬が分かったら、処方医に確認して日数を減らします。2026年6月の改定では、この残薬調整そのものを評価する加算が新しくできました(下で詳しく)。



責められないなら、正直に話そうって思えますね
断りにくい質問への返し方
「これ効くの?」「飲まなくていい?」など、即答に困る質問もあります。その場で断言せず、確認する姿勢と、医師につなぐ姿勢を見せると角が立ちません。
| 質問 | 返し方の例 |
|---|---|
| 「これ効くの?」 | 「効き目が出るまで数日かかる薬です。1週間ほど様子を見て教えてください」 |
| 「やめていい?」 | 「自己判断でやめると悪くなることがある薬なので、次の受診で先生に相談しましょう」 |
| 分からない質問 | 「正確にお答えしたいので、確認してお電話してもいいですか」 |
分からないときに「たぶん大丈夫です」と答えるのが、いちばん危ない返し方です。調べてから連絡するのは失礼ではありません。
薬を飲みたくない患者への返し方
「飲みたくない」と言われたとき、正論で押し返すと余計にかたくなになります。共感を先に置いてから、心配な点を1つだけ伝えると、耳を傾けてもらいやすくなります。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 理由を聞く | 「飲みたくないと感じるのは、どんなところですか」 |
| 1つだけ伝える | 「1つだけ心配な点をお伝えしてもいいですか」 |
| 医師につなぐ | 「副作用が気になるなら、先生に伝えて別の薬を相談することもできます」 |
クレームを受けたときも順番は同じで、まず不快な思いをさせたことへのお詫び、次に事実の確認、最後に対応の提示です。調剤ミスの可能性がある話は、1人で判断せず管理薬剤師に上げてください。
やってはいけないNG会話例
新人がやってしまいやすいNGは、専門用語の押し付けと、一方的な説明です。
| NG | 言い換え |
|---|---|
| 「コンプライアンスを守ってください」 | 「決まった時間に飲めていますか」 |
| 副作用を全部読み上げる | 生活に関係する1〜2個と対処だけ伝える |
| 「分かりましたか?」 | 「気になるところはありますか」 |
| 薬情を棒読みする | 薬情を2人の間に置いて、指さしながら話す |
どの場面でも使える服薬指導のフレーズ集
場面別の会話例に加えて、どの患者さんにも使い回せる言い回しを持っておくと、詰まったときの保険になります。目的別に並べました。
話を引き出すオープン質問
「はい・いいえ」で終わらない質問を投げると、患者さんが自分から情報をくれます。新人のうちは、この3つだけでも会話が回り始めます。
| 目的 | 言い方の例 |
|---|---|
| 症状 | 「今いちばん気になる症状はどれですか」 |
| 飲み方 | 「ふだんは、どのタイミングで飲んでいますか」 |
| 効果 | 「飲んでみて、どんな感じでしたか」 |
共感を伝えるクッション言葉
説明の前にひと言はさむだけで、患者さんの表情がやわらぎます。正論は、共感のあとに置きます。
- 「それはご心配でしたよね」
- 「大変でしたね」
- 「教えてくださって助かります」
専門用語の言い換えフレーズ
専門用語をそのまま使うと、患者さんは分かったふりをして帰ってしまいます。日常の言葉に直すクセをつけます。
| 専門用語 | 言い換え |
|---|---|
| 空腹時 | 「ごはんの前、お腹がすいているとき」 |
| 頓服 | 「つらいときだけ飲む薬」 |
| 食間 | 「ごはんとごはんのあいだ(食後2時間くらい)」 |
| 副作用 | 「お薬で体に出るかもしれない変化」 |
| 併用薬 | 「ほかに飲んでいるお薬」 |



この言い換え、明日からそのまま使えそうです
2026年6月改定で変わった服薬指導の声かけ
2026年6月の調剤報酬改定(令和8年度)で、服薬指導に関わる評価がいくつか変わりました。点数を患者さんに説明する必要はありませんが、背景を知っておくと声かけの意味が分かります。出典は厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」です。
かかりつけ指導料は廃止・統合
かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料は廃止されました。かかりつけ薬剤師が行う服薬指導は、服薬管理指導料の中の「かかりつけ薬剤師が行った場合」という区分に統合されています。
改定後の服薬管理指導料は、かかりつけ薬剤師が行っても、それ以外の薬剤師が行っても同じ点数です(3か月以内に再来し手帳を提示した患者は45点、それ以外は59点)。そのかわり、かかりつけ薬剤師が実際に行ったフォローアップや訪問に加算がつく形になりました。
| 新しい加算 | 内容(概要) |
|---|---|
| かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 | 電話等で服薬・残薬状況を継続的に確認。50点(3月に1回) |
| かかりつけ薬剤師訪問加算 | 患家を訪問して服薬管理・残薬確認し、医療機関に情報提供。230点(6月に1回) |
僕は現職で、かかりつけ薬剤師として同意患者をピーク時に30名ほど持っていました。改定後、うちの本部の指示は「同意件数」から「フォローアップ実績の件数」に置き換わっています。同意をもらう会話より、その後の確認の会話が大事になった、というのが現場の感覚です。
かかりつけの同意をお願いする側がつらい人は、かかりつけ薬剤師になりたくない人向けの記事も読んでみてください。
かかりつけのフォロー電話の会話例
フォローアップ加算は、患者さんやご家族の求めに応じて、次の来局までのあいだに電話等で確認した場合が対象です(外来服薬支援料や残薬調整の加算などを算定した患者が対象)。電話の会話も、型は店頭と同じです。
| パート | 言い方の例 |
|---|---|
| 名乗り | 「〇〇薬局の薬剤師の△△です。先日お約束していたお薬の確認でお電話しました。今お時間よろしいですか」 |
| 確認 | 「新しいお薬に変わって1週間ですが、飲めていますか。余っているお薬はありませんか」 |
| 体調 | 「ふらつきや眠気など、気になる変化はありませんか」 |
| 締め | 「次に受診されるまでに何かあれば、この番号にお電話ください」 |
電話は相手の都合を最初に確認します。家族が出た場合に病名や薬の名前をどこまで話すかは、事前に本人と決めておくと安全です。
残薬調整の会話例
新しくできた調剤時残薬調整加算は、患者さんや家族からの情報で残薬が分かり、処方医の指示のもとで7日分以上の日数変更をした場合に算定します。処方箋の様式も、残薬を踏まえた減数調剤の指示を書けるよう見直されました。
| パート | 言い方の例 |
|---|---|
| 聞き取り | 「血圧のお薬、おうちに何日分くらい残っていますか」 |
| 提案 | 「10日分ほど残っているなら、先生に確認して今回の分を減らしましょうか」 |
| 確認後 | 「先生の了解が取れたので、今回は20日分でお出しします。残りの分から先に飲んでください」 |
残薬の聞き取りは、改定前から大事な仕事でした。改定で評価がついたぶん、職場によっては声かけの件数を求められることも出てくると思います。
吸入薬指導の対象が広がった
吸入薬指導加算は、これまで喘息とCOPDの患者さんが対象でした。改定後は「吸入薬の投薬が行われている患者」に広がり、インフルエンザの吸入薬の指導も評価されます(30点、6月に1回まで)。
算定には、患者さんの同意を得て、文書と練習用吸入器などを使って指導し、医療機関に文書で情報提供することが必要です。インフルエンザの吸入薬でも、上の会話例のように練習用の器具で一緒に吸ってもらう流れが基本になります。
お薬手帳の声かけ
服薬管理指導料は、3か月以内に再来して手帳を提示した患者さんかどうかで区分が分かれます。手帳を出さない患者さんは、点数の高いほうの区分で算定する仕組みです。
| 場面 | 言い方の例 |
|---|---|
| 受付で | 「お薬手帳はお持ちですか。ほかの病院のお薬と飲み合わせを確認するのに使います」 |
| 忘れたとき | 「今日はシールをお渡しするので、手帳に貼っておいてください」 |
| アプリの人 | 「電子お薬手帳でも大丈夫です。画面を見せていただけますか」 |
手帳をすすめる理由は、点数より飲み合わせの確認です。患者さんにもそちらを理由として伝えます。
服薬指導の会話例を自分の言葉にする練習法
ここまでの会話例は、読んだだけでは使えません。自分の口になじむまで練習して、初めて投薬口で出てきます。新人の教育をする立場から見て、効果が出やすいと感じる練習を4つ挙げます。
自分の薬局の薬で台本を作る
門前の診療科で、よく出る薬は限られます。処方の多い上位10品目くらいについて、「効果・飲み方・注意点」を1行ずつ書き出すだけで、投薬の大半をカバーできます。
- よく出る薬を10個選ぶ
- 効果を患者の言葉で1行
- 飲み方を生活の動作で1行
- 注意点を対処つきで1行
声に出して時間を測る
頭の中で読むのと、声に出すのとでは別物です。台本を声に出して読み、1人分が1〜2分に収まるかを測ります。長すぎる説明は、たいてい注意点を全部言おうとしているのが原因です。
先輩の投薬を聞いて盗む
同じ薬局の先輩の言い回しは、その地域の患者さんに合わせて磨かれた言葉です。「この一言いいな」と思ったものをメモしておき、自分の台本に足していきます。聞いてもいいか、ひと声かけてからにすると気まずくなりません。
薬学生の実習でできること
実務実習で服薬指導をする薬学生も、準備の仕方は同じです。担当する薬の効果・飲み方・注意点を1行ずつ用意し、指導薬剤師に一度聞いてもらってから投薬口に立つと、頭が真っ白になる場面が減ります。
実習そのものがつらいときは薬局実習がしんどい薬学生へ、新人1年目で投薬以外もしんどいときは薬剤師1年目が辛い時の乗り越え方も参考にしてください。
練習する余裕がないほど職場の空気が悪い、質問しても教えてもらえない、という状態なら、それは本人の努力だけでは変えにくい問題です。僕自身、30歳で移った薬局では、質問しても「自分で考えて」と返される環境で、2ヶ月で辞めています。職場を変えることも考えているなら、薬剤師の転職ガイドで業態ごとの違いを、下のボタン先でエージェントの選び方を見ておくと判断材料になります。
服薬指導の会話例に関するよくある質問
- 新人ですが、初回の服薬指導は何から話せばいいですか?
-
本人確認と「今日はどうされました?」から入れば、あとは確認→説明→締めの順で進められます。説明は効果・飲み方・注意点の3つに絞ってください。
- 無言の患者さんにどう声をかけたらいいですか?
-
「はい・いいえ」で答えられる質問を1つ挟むと、反応が返りやすくなります。「今日のお薬、前回と同じで大丈夫ですか」のような聞き方です。
- 忙しくて時間がないときは、どこまで省いていいですか?
-
本人確認、薬が変わった点、副作用の中でも重要なものは省かないでください。継続で変更がない患者さんなら、体調の変化と残薬の確認に絞る形が現実的です。
- クレーマー対応はどうすればいいですか?
-
お詫び→事実確認→対応の提示の順を守ります。調剤ミスの可能性がある話や、判断に迷う話は1人で抱えず、管理薬剤師に上げてください。
- 2026年の改定後も、かかりつけの同意をもらう会話は必要ですか?
-
かかりつけ薬剤師指導料は廃止されましたが、かかりつけ薬剤師が行う服薬指導の区分は残り、フォローアップ・訪問の加算も新しくできています。同意の取り方自体は続くので、職場の方針を確認してください。
- 服薬指導の勉強には何を読めばいいですか?
-
担当する薬の添付文書と、患者向けの「くすりのしおり」を読み比べると、専門用語をどう言い換えるかの参考になります。そのうえで薬局向けの専門誌を1誌続けて読むと、事例に強くなります。
服薬指導の会話例まとめ
服薬指導の会話は、確認→説明→締めの型に、場面ごとの一言を差し込めば回ります。会話例は、自分の薬局でよく出る薬に置き換えて、声に出して練習して初めて使えるようになります。
- 会話は「確認→説明→締め」の型
- 場面ごとに差し込む一言を持つ
- 副作用は対処法とセットで伝える
- 専門用語は生活の言葉に直す
- 2026年改定で声かけも変わった
- 台本は自分の薬で作って練習
会話の型そのものに不安がある人は薬剤師のコミュ障は克服しなくていい、疑義照会の電話が怖い人は疑義照会が怖い・緊張する薬剤師へもあわせてどうぞ。






