漢方薬剤師の年収は、どんな職場で漢方に関わるかで400万円前後から600万円超まで分かれます。
相談が中心の漢方薬局の正社員求人では、年収360万〜550万円や月給26万〜30万円台の表記が見つかります。漢方も扱う調剤薬局なら、給与は普通の調剤薬局と同じ基準で、年収400万〜800万円台の幅です。
厚生労働省の統計に「漢方薬剤師」という区分はありません。薬剤師全体の年収の目安は約571万円なので、相談型の漢方薬局に移ると下がる可能性が高い、というのが公開情報から読める姿です。
僕は調剤薬局とドラッグストア併設の調剤で働いてきた管理薬剤師で、漢方薬局で働いたことはありません。この記事は、公開されている求人と、資格・制度の公式情報を読んで整理したものです。求人票を出す側・一次面接をする側として、給与欄の読み方も書きます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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漢方薬剤師の年収は職場の種類で決まる
相談型の漢方薬局の年収
処方箋を受けず、漢方の相談と販売が中心の薬局です。求人ボックスの東京都「漢方薬局 薬剤師」で、相談型とわかる正社員求人の給与はこうでした(2026年9月24日閲覧)。
- 漢方相談と調合:年収420〜550万
- 漢方相談薬局:月給26.8万円〜
- 漢方相談薬局:月給30.8万円〜
- 漢方会社の薬局:年収360〜500万
月給30万円なら、月給だけで年360万円です。賞与が何か月分出るかで、400万円台に乗るかが決まります。
薬剤師全体の約571万円と比べると、下回る求人が多いと見ておくのが無難です。年収360万円の求人なら、差は200万円ほどです。
漢方も扱う調剤薬局の年収
マイナビ薬剤師で「漢方」の求人を見ると2,218件ありました(2026年9月24日閲覧)。1ページ目に並ぶのはほとんどが調剤薬局で、年収は「400万〜700万円」「487万〜849万円」のように、一般の調剤薬局と変わらない幅です。統計の約571万円も、この幅の中に入ります。
医療用の漢方エキス剤は、処方箋が出れば保険で調剤されます。医療用漢方製剤は148処方あり、漢方の処方が多い門前や漢方に力を入れている調剤薬局もあります。
こうした職場の給与は、調剤薬局の基準で決まります。「漢方に関わりたい。でも年収は下げたくない」なら、最初に探すのはこちらです。
統計に漢方の区分はない
厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、職種が「薬剤師」までで、漢方かどうかは分かれていません。薬剤師全体(男女計・平均40.9歳)は、月の所定内給与40.70万円と年間賞与82.36万円で、年収にすると約571万円です(残業代を除く)。
この表は従業員10人以上の企業の集計です。10〜99人の会社に絞っても約572万円でした。数人で回している個人の漢方薬局は、もともとこの数字に入っていない可能性が高いです。
| 職場 | 給与の目安 |
|---|---|
| 相談型の 漢方薬局 | 年収360〜550万 月給26〜30万円台 |
| 漢方も扱う 調剤薬局 | 年収400〜800万円台 |
| 薬剤師全体 (統計) | 約571万円 |
統計の出どころは令和6年賃金構造基本統計調査(職種・性別)です。ネットで見かける「漢方薬剤師の平均年収◯◯万円」は、多くが求人の給与表記を集めた数字です。どの求人を数えたかで変わるので、幅で見てください。
漢方薬局の求人票で年収を読むコツ
僕は管理薬剤師として、欠員が出たときの募集にかかわっています。求人票の文面を作るのは本部で、店から上げるのは「欠員の理由」「希望の時間帯」「常勤かパートか」の3つだけです。
出す側から見ても、給与欄だけで実際の年収は読み切れません。漢方薬局の求人では、特に次の3つを確かめてください。
歩合・手当は条件を確認
相談型の漢方薬局は自費の販売で成り立っているので、販売額に連動する手当が書かれた求人もあります。その場合、「年収◯◯万円可」の数字は歩合込みかもしれません。
- 基本給と歩合の割合
- 目標額を誰がどう決めるか
- 未達の月の扱い
面接では「入社2〜3年目の人は、手当込みで年いくらくらいか」と聞くのがいちばん早いです。答えがはっきりしない店は、上限の数字を当てにしないほうが安全です。
月給だけの求人は賞与を聞く
相談型の求人には「月給◯◯万円〜」だけを書いたものもあります。月給が同じでも、賞与が年2か月か4か月かで、年収は50万円以上違ってきます。
賞与の前年実績と、月給に固定残業代が含まれているかは、応募前に確認しておきたいところです。「〜」の下限が自分の提示額になると考えておくと、あとでがっかりしません。
書かれていない人数を確かめる
僕が2ヶ月で辞めた調剤薬局Cの求人票に、嘘は書かれていませんでした。見落としたのは、書かれていなかったことです。常勤の薬剤師が何人いるか、欠員の補充か増員か、前任者がいつ辞めたか。
少人数の漢方薬局は、1人辞めると相談の担当も休みの回し方も変わります。人数と募集の理由は、見学か面接で必ず聞いてください。求人票の読み方は薬剤師の求人票「アットホーム」の読み方にまとめています。
漢方薬局と調剤薬局の違い
処方箋を受けるかどうか
「漢方薬局」は法律上の区分ではありません。薬局や店舗販売業の許可を受けた店が、漢方を中心に扱っている形です。
相談と販売だけの店、処方箋も受ける店、自店で煎じ薬を作る店と、中身は店ごとに違います。求人を見るときは、処方箋を受けているかを最初に確かめてください。調剤の経験が続くかどうかも、ここで分かります。
保険が使えるかどうか
処方箋による医療用漢方は保険が使えます。相談で選ぶ一般用の漢方薬や、店で作る薬局製剤は自費です。
自費なので、お客さんは続けるかどうかを費用でも判断します。なぜこの処方で、いつまで続けるのかを説明する力が、売上にも直結する仕事です。1か月分の費用の目安をサイトに載せている店もあるので、応募前に見ておくと客層が想像できます。
相談の長さと来局の間隔
調剤薬局は、処方箋を正確に速く回す仕事です。相談型の漢方薬局は、1人の話を長く聞き、数週間から数か月おきに経過を聞いていきます。
初回相談の目安時間をサイトに書いている店もあります。1日に何人を相手にするかは店の規模で変わるので、見学のときに1日の流れを聞いておくと安心です。
漢方薬局の薬剤師の仕事内容
相談:症状・生活・体質
症状だけでなく、睡眠・食事・冷え・既往歴まで聞き取ります。漢方の「証(しょう)」を見立てるための材料です。
病院の薬を飲んでいる人も来ます。併用薬の確認や、甘草を含む処方が重なっていないかのチェックは、薬剤師が力を出せるところです。
漢方薬の選定と薬局製剤
聞き取りをもとに、葛根湯・補中益気湯・加味逍遥散などから合う処方を選びます。エキス剤か、煎じ薬や刻み生薬かの選択も含みます。
店によっては、薬局製剤として漢方薬を自分で作ります。薬局製剤は、薬局が許可と承認を取り、店の設備で作ってその店で売る医薬品です。指定は426品目(2023年1月1日時点)で、漢方の処方も入っています。
販売するのは薬剤師で、書面での情報提供も必要です。扱いは第一類医薬品と同じなので、薬局製剤を作る店では薬剤師にしかできない仕事がはっきりあります。ルールは香川県「薬局製造販売医薬品について」が分かりやすいです。
経過を聞いて見直す
体質を整える目的の漢方は、月単位で続けるものが多いです。来局のたびに変化を聞き、必要なら処方を見直します。長く付き合うお客さんを何人持てるかが、店の売上を支えます。
漢方薬剤師に必要な知識
①漢方の基礎理論(証・気血水)
「証」「気血水」「陰陽虚実」「四診(望診・聞診・問診・切診)」といった、漢方独自の考え方です。薬学部で深くは扱わない分野なので、多くの人がここから学び直すことになります。
②主な処方の構成と使い分け
葛根湯・小柴胡湯・防風通聖散など、よく使う処方がどの生薬でできていて、どんな人に向くかを知っておく必要があります。似た症状でも体質で処方が変わるのが、調剤との大きな違いです。
③西洋薬との飲み合わせ
病院の薬と一緒に飲む人は少なくありません。相互作用や、同じ生薬の重なりを見抜く力は、調剤の経験がそのまま生きるところです。漢方だけの知識では足りない部分でもあります。
漢方薬・生薬認定薬剤師の取り方と学び方
①漢方薬・生薬認定薬剤師
日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が共同で運営している認定です。有効な認定者は3,760名(2026年3月31日時点)。取得の流れは次のとおりです。
- 研修会の講義を9回受ける
- 薬用植物園の実習に1回出る
- 試問に合格して申請する
2026年度の研修会は、会場(4月12日〜12月6日に毎月1回)かインターネット配信で受けられます。受講料は税込60,500円で、テキスト代と試問料込みです。試問は2027年6〜7月頃の予定なので、受講を始めてから試問まで1年以上かかります。
認定は3年ごとの更新制で、3年間に30単位以上(各年5単位以上、必須研修10単位以上を含む)が必要です。出どころは日本薬剤師研修センター「2026年度 漢方薬・生薬研修会」、同「漢方薬・生薬認定薬剤師になるには」、日本生薬学会の制度紹介です。
漢方薬局の求人で必須とされるかは店ごとに違います。資格手当が付くかも求人票だけでは分からないことが多いので、面接で確認してください。
②独学:本と研修会
基礎理論の入門書と、処方ごとの解説書を1冊ずつ手元に置くところから始める人が多いと思います。独学だけだと、証の見立てを人に確かめてもらう機会がありません。研修会や勉強会と組み合わせるほうが続けやすいはずです。
③現場で学ぶ
相談の組み立て方は、先輩の相談に同席して覚える部分が大きい仕事です。未経験なら、研修が整っている店を選ぶか、パートから入って現場で覚える方法があります。
漢方薬局に向いている薬剤師・向いていない薬剤師
向いている人
年収より、1人とじっくり向き合う働き方に価値を置ける人です。
- 1人の話を長く聞くのが苦でない
- 東洋医学を学び続けたい
- 年収減を受け入れられる
- 自費の商品を説明して売れる
- 将来の独立も考えている
向いてない人
次に当てはまるなら、相談型より漢方も扱う調剤薬局のほうが合うと思います。
- 年収を下げられない
- 速いリズムの仕事が好き
- エビデンスの薄さが気になる
- 売上の目標がつらい
漢方薬局へ転職する前に知っておきたいこと
相談型の求人は多くない
「漢方」で検索して出てくる求人の多くは調剤薬局で、相談型の漢方薬局はその一部です。通勤できる範囲に相談型の求人がないことも十分ありえます。その場合は、漢方も扱う調剤薬局を入口にする選択肢があります。
未経験で入るルート
漢方未経験を歓迎する正社員求人も、東京都では見つかりました。とはいえ、即戦力を求める店もあるので、ルートは複数考えておくと動きやすいです。
- 研修のある店に正社員で入る
- パートで入り、現場で覚える
- 漢方も扱う調剤薬局で慣れる
どのルートでも、認定薬剤師の研修を始めておくと、面接で本気度を伝えやすくなります。
処方箋の経験を残すか
相談だけの店に長くいると、調剤に戻るとき「処方箋から離れていた期間」を聞かれます。一次面接をする側から見ても、ここは確かめたくなるところです。何年で戻れなくなる、という決まった線はありません。
戻る可能性を残したいなら、処方箋も受ける漢方薬局や、漢方に力を入れている調剤薬局を選ぶ方法があります。漢方と調剤の両方の経験が途切れないので、年収も一般の調剤に近い水準を保ちやすいです。
漢方薬局の求人を探すときの相談先
転職サイトでも「漢方」で絞り込めますが、出てくるのは調剤薬局が中心です。相談型の店には個人経営もあり、自社サイトだけで募集していることもあります。
エージェントに相談するなら、最初に次の3つを伝えると、的外れな求人が減ります。
- 相談型か、漢方も扱う調剤か
- 下げられる年収の下限
- 処方箋の経験を残したいか
漢方も扱う調剤薬局を探すなら、公式サイトで中小の調剤薬局・病院の求人を強みとしているファゲットが相談先の候補になります。僕自身は使っていないので、公式に書かれている範囲での紹介です。
今申し込める3社と、僕が転職で使った5社の違いは比較記事にまとめています。
漢方薬剤師の年収と働き方のよくある質問
- 漢方薬剤師の平均年収はいくらですか?
統計に漢方薬剤師の区分はありません。相談型の漢方薬局の求人では年収360万〜550万円、漢方も扱う調剤薬局では400万〜800万円台の表記が見つかりました(2026年9月24日閲覧)。薬剤師全体の目安は約571万円です。
- 調剤薬局から漢方薬局に移ると年収は下がりますか?
相談型の漢方薬局に移るなら、下がる可能性が高いです。漢方も扱う調剤薬局なら、給与は調剤薬局の基準なので、大きく下がらない求人もあります。
- 漢方薬・生薬認定薬剤師を取ると年収は上がりますか?
資格手当が付くかは店ごとに違い、求人票に書かれていないことも多いです。取得で年収がいくら上がる、とは言えません。面接で手当の有無を確認してください。
- 漢方薬・生薬認定薬剤師はどれくらいで取れますか?
2026年度の研修会は4月に始まり、試問は2027年6〜7月頃の予定です。受講開始から試問まで1年以上かかります。受講料は税込60,500円です。
- 登録販売者でも漢方薬局で働けますか?
第2類・第3類の一般用漢方なら、登録販売者も販売できます。薬局製剤の販売は薬剤師が行うので、煎じ薬を自店で作る店では薬剤師の役割がはっきりしています。
- 漢方薬局で管理薬剤師になれますか?
薬局の許可を受けている店なら、管理者は薬剤師です(医薬品医療機器等法第7条)。店舗販売業の店では、店舗管理者を薬剤師か、要件を満たした登録販売者が務めます。
- 漢方薬局は土日休みですか?
店によります。土日に営業している店もあるので、休日の欄と、月に何回土日に出るかを面接で確認してください。
- 未経験から漢方薬局を目指すなら何から始めますか?
まず、通える範囲に相談型の求人があるかを確かめます。なければ、漢方も扱う調剤薬局を入口にする方法があります。並行して認定薬剤師の研修を始めておくと、面接で話せる材料になります。
- 漢方薬局の独立開業は難しいですか?
薬局を開くには開設の許可が必要で、薬局製剤を作るならさらに製造販売業・製造業の許可と承認が要ります。相談型は常連のお客さんで成り立つ商売なので、勤めながら相談の経験を積んでからのほうが現実的だと思います。
漢方薬剤師の年収と働き方のまとめ
漢方薬剤師の年収は、相談型の漢方薬局なら年収360万〜550万円の求人が中心で、薬剤師全体の約571万円より下がりやすいです。漢方も扱う調剤薬局なら、一般の調剤薬局と同じ水準を保てます。
年収をどこまで下げられるか、処方箋の経験を残したいか。この2つを先に決めると、選ぶ職場の種類が絞れます。
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相談先を決めかねている人は、薬剤師転職エージェントの比較を見てから1〜2社に絞ると、登録しすぎずに済みます。

