「薬剤師として働きたくない」「明日、仕事に行きたくない」と感じるのは、異常でも甘えでもありません。ただ、同じ言葉でも、今夜やるべきことは人によって違います。
眠れない・食べられない日が続いているなら、転職より先に休むことと受診が先です。そこまでではないなら、嫌なのが「薬剤師の仕事」なのか「今の職場」なのかを切り分けます。答えによって、選ぶ道がまるで変わるからです。
管理薬剤師のたろう(薬剤師歴10年目・34歳)です。僕は30歳のとき、2回目の転職先を入社2ヶ月で辞めました。今は管理薬剤師として働いていますが、あのとき嫌だったのは薬剤師ではなく「あの職場」でした。
今は求人票を出す側・一次面接をする側にもいます。その両方の立場から、休み方、切り分け方、資格を活かしたまま離れる道を順に書きます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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「薬剤師として働きたくない」と感じるのは異常じゃない
まず伝えたいのは、そう感じているあなたは何もおかしくない、ということです。真面目に働いてきた人ほど、ある日ふっと「もう無理かも」となります。
薬剤師の仕事は、ミスが患者さんの体に直結します。感謝されることより、待ち時間や在庫切れで責められることのほうが多い日もあります。そんな緊張を何年も続ければ、心がすり減るのは自然なことです。
「働きたくない」は弱さではなく、休むか変えるかを考えるサインです。燃え尽きたような感覚が強い人は、薬剤師が燃え尽きてしまう理由と対処もあわせて読んでみてください。
管理薬剤師たろう真面目な人ほど抱える感情なので、まず自分を責めないでくださいね。
薬剤師が仕事に行きたくない・もう限界なら、まず休む
転職や働き方の話の前に、先に伝えたいことがあります。心や体がすでに悲鳴を上げているなら、転職活動より「一度離れて休む」ほうが先です。潰れてからでは、動く気力すら残りません。
行きたくない朝の休み方
「自分が休んだら店が回らない」と思って、休む連絡ができない薬剤師は多いと思います。少人数の薬局ほど、その罪悪感は強くなります。
ただ、シフトを組む側の管理薬剤師として言うと、急な欠勤の穴を埋めるのは管理薬剤師や会社の仕事です。スタッフ1人が1日休んだだけで回らない店なら、それは人員配置の問題で、あなた個人の責任ではありません。
連絡は、始業前に「体調不良のため本日お休みをいただきます」と短く伝えれば十分です。細かい理由を説明する必要はありません。1日休んで少し楽になるなら、そこから次の手を考えれば間に合います。
受診と相談窓口を使う
眠れない、食欲がない、休日になっても気持ちが戻らない。こうした状態が続いているなら、職場の問題とは別に、心や体の不調が起きているかもしれません。
その場合は、転職より先に心療内科・精神科やかかりつけ医に相談してください。薬の知識がある人ほど「自分で何とかできる」と思いがちですが、診断や休養の判断は自分ではできません。
受診のハードルが高いときは、厚生労働省の働く人向けサイト「こころの耳」が使えます。
相談窓口の受付時間などは、リンク先で最新の案内を確認してください。
まず有給で数日だけ離れる
いきなり辞める必要はありません。有給を使って、調剤室から数日だけ物理的に離れてみてください。
2〜3日でも現場から距離を取ると、頭が回らないほど追い詰められていた自分に気づけることがあります。休むことは逃げではなく、冷静に判断するための準備です。有給を言い出しにくい職場なら、薬剤師が有給を取れない理由と職場選びも参考にしてください。
限界なら休職という手もある
数日では足りないほど消耗しているなら、医師の診断を受けたうえで休職する選択肢があります。休職できる期間や手続きは会社の就業規則で決まるので、まず規則を確認してください。
休んでいる間の収入には、健康保険の傷病手当金という仕組みがあります。協会けんぽの場合、連続3日休んだあと4日目から、給与が出ない日について支給されます。
- 業務外の病気・けがが対象
- 1日あたり給与の約3分の2
- 支給開始から通算1年6か月
正確には、直近12か月の標準報酬月額の平均をもとに計算されます(協会けんぽ「傷病手当金」)。健康保険組合に入っている人は、組合の案内を確認してください。
「収入がゼロになる」と怖くて動けない人ほど、この制度を知らないまま耐えてしまいます。休職を考えるときの判断材料は薬剤師がうつで休職する前に考えたいことにまとめています。



制度を知っておくだけで、心の逃げ道はぐっと増えますよ。
退職も立派な逃げ道のひとつ
それでも無理なら、辞める選択も間違いではありません。薬剤師は資格職なので、回復してから働き方を選び直す道は残ります。
ただ、僕自身はこの「逃げていい」という言葉の重さに今も迷っています。管理薬剤師になって2年目ごろ、新人に辞めたいと相談され、自分の失敗歴から「逃げるのも選択肢だよ」と言いました。その新人は本当に辞めました。
半年後に「元気です」とLINEが1通来たきりで、あの助言が正しかったのかは今も分かりません。だからこそ、辞めるかどうかは休んで頭が回る状態で決めてほしいと思っています。
辞めると言い出せないほど追い詰められているなら、退職代行という手段もあります。使った場合に薬局で何が進むかは薬剤師の退職代行と薬局の手続きに書きました。
薬剤師として働きたくなくなる5つの原因|あなたはどれ?
「働きたくない」とひと口に言っても、奥にある原因は人それぞれです。原因が違えば、取るべき対処も変わります。自分がどれに一番近いか、当てはめながら読んでみてください。
人間関係:一番多くて一番根深い
薬局は少人数の閉じた空間です。数人の関係がこじれただけで、出勤そのものが苦痛になります。
挨拶が返らない、質問すれば「自分で考えて」と突き放される。こういう環境は、仕事の中身より先に心を削ります。そして人間関係は、自分の努力だけではほぼ変えられません。人間関係が原因なら、場所を変えるのが一番早い解決策です。
ミスへの恐怖:常に張り詰めた緊張
規格を一つ間違えれば、患者さんの体に影響が出る。その重さを毎日背負うと、調剤台に立つだけで肩に力が入ります。僕も監査の前日は、今でも胃が痛くなることがあります。
ただ、この緊張は人手や体制で大きく変わります。ピーク時に一人でさばかされる職場と、ダブルチェックが機能している職場とでは、同じ仕事でも負担がまるで違います。
業務スピードや覚える量にまで押しつぶされそうな人は、仕事についていけないと感じたときの僕の本音も読んでみてください。
残業と業務量:気力が残らない
僕が28歳で移ったドラッグストア併設の調剤では、調剤に加えてOTCの接客、レジ、品出しもありました。閉店後の品出しで夜10時になる日もあり、残業は月45時間でした。
年収は上がったのに、使う時間も体力もない。この状態が続くと「働きたくない」は仕事の中身ではなく、単純に回復が追いつかないことから来ます。業務量が原因なら、答えは業態や店舗を変えることです。
給料の頭打ち:報われない感覚
これだけ神経をすり減らしているのに、昇給は少しずつ。僕も新卒の調剤薬局では1年目約380万・4年目420万で、昇給は1回あたり月額5千〜1万円でした。
これは地方の門前薬局での僕個人の実額です。統計の平均とは別物なので、自分の年収が低いか気になる人は薬剤師3年目の年収(統計と僕の実額)で比べてみてください。
給料の上がり方は、会社の給与体系でほぼ決まります。同じ職場で頑張り続けても変わりにくいので、給料が原因なら環境を変える話になりやすいです。
虚しさ:何のための資格か
6年間薬学部に通って国家試験まで通ったのに、毎日やっているのは監査と投薬と在庫と待ち時間の対応。「何のためにこの資格を取ったんだろう」という虚しさです。
この原因だけは、職場を変えても消えないことがあります。どの職場を想像しても調剤そのものに気持ちが向かないなら、下の資格を活かせる転職先まで視野に入れる価値があります。
【実体験】入社2ヶ月で辞めた僕が「働きたくない」の正体に気づくまで
僕自身の一番しんどかった時期の話をします。30歳のとき、2回目の転職先の調剤薬局Cでの2ヶ月間です。
その前のドラッグストア併設調剤で消耗していて、とにかく早く抜け出したかった。年収を550万から480万に下げてでも、脱出を優先しました。
初日から空気が違いました。挨拶しても誰も目を合わせない。質問すれば「自分で考えて」と返され、定時で帰ろうとすると無言の圧がある。
出勤前から胃がキリキリ痛み、薬局の駐車場に車を停めたまま動けない朝がありました。結婚したばかりで妻にも言えず、夜は天井をにらんで眠れませんでした。
結局、入社2ヶ月で退職しました。短すぎて職歴にも書けない、人生最大の黒歴史です。
長いあいだ、僕はこれを「求人票に騙された」と人のせいにしていました。でも本当は、DSを1日でも早く抜けたくて、職場見学の提案を「日程が合わない」と自分から断っていたんです。
あとで求人票を読み返すと、嘘は1行も書かれていませんでした。足りなかったのは、書かれていなかったことです。
- 常勤の薬剤師が何人いるか
- 欠員補充か、増員か
- 前任者がいつ辞めたか
今は管理薬剤師として、欠員が出たときに本部へ募集を上げる側にいます。店から上げるのは欠員の理由・勤務時間帯・常勤かパートかくらいで、求人原稿は本部が作ります。だから、この3点は求人票に載らないことが多いんです。詳しくは求人票の「アットホーム」で僕が見落とした4行に書きました。



騙されたというより、確かめなかった。これが僕の一番の反省です。
薬剤師として働きたくないのか、今の職場が嫌なのかの見分け方
2ヶ月で辞めたあと、次は職場見学を必須にし、エージェントの担当に過去2回の失敗を全部話して今の調剤薬局Dを選びました。提示560万を交渉して初年度610万、2年目には管理薬剤師になりました。
同じ調剤薬局の仕事でも、人間関係が落ち着いた職場では、監査も投薬も前ほど苦ではなくなりました。僕の場合、嫌だったのは薬剤師という仕事ではなく「あの職場」だったわけです。
もちろん全員がそうとは限りません。原因が職場なら答えは「環境を変える」、仕事そのものなら「資格の活かし方を変える」です。次の目安で、自分がどちらに近いか見てください。
- 休日は楽→職場の可能性大
- 特定の人が嫌→人間関係
- 別の薬局なら働ける→職場
- どこでも調剤が嫌→仕事
- 休日も戻らない→まず受診
休日や別の職場を想像した瞬間に少し気持ちが軽くなるなら、嫌なのは今の職場である可能性が高いです。その場合、資格まで捨てる必要はありません。
どんな職場を想像しても調剤や投薬そのものに気が重くなるなら、仕事の中身が合っていないサインかもしれません。休日になっても気持ちが戻らない場合は、切り分けより先に受診や相談を優先してください。
紙に「何が一番嫌か」を3つ書き出すだけでも、正体は見えやすくなります。堂々めぐりから抜けられないときは、このままでいいのか迷ったときに僕がやった思考の整理法を読んでみてください。
薬剤師資格を捨てずに「働きたくない」を解決する選択肢
「働きたくない=辞める」と思い込みがちですが、その間にはたくさんの段階があります。資格を活かしたまま負担だけ減らす道は、思っているより広いです。
- 業態を変える転職
- パート・時短勤務へ切替
- 派遣で働き方をリセット
- 同じ会社で店舗を異動
残業や業務量が原因なら、処方箋の枚数や人員に余裕のある薬局へ移るだけで、毎日のしんどさは変わります。人間関係が原因なら、同じ会社の別店舗への異動を相談するのも手です。
給料を一時的に下げてでもパートや時短に切り替え、回復してから働き方を戻す選択もあります。
派遣は期間が決まっているぶん、「とりあえずここまで」と区切れます。案件の中身だけ見ておきたい人は派遣会社ファル・メイトを登録して見た話をどうぞ。
大事なのは、いきなり「薬剤師を辞める」というゼロか百かの決断に飛ばないこと。まずは環境を変えるだけで解決しないかを先に試してみてください。僕はそれで持ち直しました。
どうしても薬剤師を辞めたい人の資格を活かせる転職先5つ
それでも「調剤や投薬の現場そのものから離れたい」という人へ。薬剤師資格は、調剤薬局やドラッグストア以外でも武器になります。
- 製薬会社のMR・学術職
- CRO・治験コーディネーター
- 医薬品卸の管理薬剤師
- 行政・公務員薬剤師
- 医療系ライター・企業内勤務
どれも患者さんの窓口対応が少ない、またはない仕事です。窓口のプレッシャーや調剤のミスへの怖さが原因なら、有力な受け皿になります。
ただし、楽になるとは限りません。MRには営業目標があり、公務員薬剤師は採用試験と募集時期の壁があります。治験の仕事も、医療機関や製薬会社との調整が中心です。何から離れたいのかと、新しく何を背負うのかを並べて考えてください。
資格を手放して後悔しないか不安な人は、薬剤師を辞めて違う仕事に移った場合の年収と本音を決める前に一度のぞいてみてください。
薬剤師が明日からまずやること|限界の前に動くための具体ステップ
大きな決断は、心に少し余裕があるときにしかできません。完全に潰れてからでは、面接に行く気力すら湧かなくなります。だから限界の前に、小さく動き始めてほしいんです。
- 嫌の正体を紙に書き出す
- 求人を見て相場を知っておく
- 気になる職場は必ず見学
まずは「何が嫌なのか」を書き出します。人間関係か、業務量か、給料か。それが見えれば、次に変えるべきものが分かります。
次に、すぐ転職しなくても構わないので、求人を見て「ほかの職場ならどうか」を知っておくこと。逃げ道があると分かるだけで、今の職場の息苦しさは少し軽くなります。
そして応募する前に、見学で職場の空気を自分の目で確かめます。見学や面談では、上で書いた「常勤の人数・欠員補充か・前任者がいつ辞めたか」を聞いてください。一次面接をする側から見ても、これを聞く人を嫌がる理由はありません。
職場の内情は、求人票だけでは分かりません。人間関係が理由で働きたくなくなった人なら、求人の数より「中の話を教えてくれるか」で相談先を選んだほうが早いと思います。
その点で調べたなかでは、MC-ファーマネットが公式サイトで職場の雰囲気や内部情報を伝えると案内しています。派遣の求人も扱っているので、正社員以外の働き方も一緒に聞けます。
- 僕自身は使っていない
- 次こそ失敗したくない人向け
- 登録した日に決める必要はない
登録無料。すぐ転職しなくても相談できます
ほかの相談先とも比べたい人は、薬剤師転職エージェントの比較ランキングにまとめています。僕が2回の失敗からどう今の職場にたどり着いたかは、自己紹介記事に書きました。
登録・相談は無料です
薬剤師として働きたくない人からよくある質問(Q&A)
- 薬剤師として働きたくないのは甘えですか?
甘えではありません。ミスが患者さんの体に直結する仕事を毎日続けていれば、心がすり減るのは自然なことです。休むか、何かを変えるかを考えるサインだと思ってください。
- 仕事に行きたくない朝、休んでもいいですか?
休んで大丈夫です。欠勤の穴埋めは管理薬剤師や会社の仕事です。始業前に体調不良で休むと短く伝えれば十分です。眠れない・食べられない日が続くなら、受診も考えてください。
- 働きたくない気持ちは、辞めれば消えますか?
原因が職場なら、環境を変えることで軽くなることがあります。僕は嫌だったのが薬剤師ではなく「あの職場」だったと後で気づきました。まず正体を切り分けるのが先です。
- 資格がもったいなくて辞める決心がつきません。
辞める=資格を捨てる、ではありません。業態や働き方を変える、派遣やパートで区切るなど、資格を持ったまま負担を減らす道があります。ゼロか百かで考えなくて大丈夫です。
- もう限界です。今すぐできることはありますか?
まず有給で数日だけ現場から離れてください。心身の不調が続くなら、心療内科やかかりつけ医に相談を。受診のハードルが高いときは、厚生労働省「こころの耳」の相談窓口も使えます。
- 薬剤師を辞めたら年収は下がりますか?
移る先によります。上がるケースも、一時的に下がるケースもあります。僕は職場を変えて提示560万を交渉で610万にしたので、職場を変える=収入ダウンとは限りません。
- 調剤の現場以外で資格を活かせる仕事はありますか?
あります。製薬会社のMR・学術、CROや治験コーディネーター、医薬品卸、行政・公務員薬剤師などです。ただしそれぞれに営業目標や採用試験など別の負担があるので、何から離れたいかと並べて考えてください。
- 転職してまた失敗するのが怖いです。
2回失敗した僕の答えは、職場見学で空気を確かめることと、担当に過去の失敗を正直に話すことです。見学では常勤の人数・欠員補充か・前任者がいつ辞めたかを聞いてください。
- 2ヶ月など短期で辞めても再就職できますか?
僕自身が入社2ヶ月で辞めています。次の転職では、エージェントの担当に事情を正直に話したうえで今の職場に入りました。短期離職を隠すより、理由と次に確かめることを話せるようにしておくのが大事です。
- 辞めたいと職場に言い出せないときは?
言い出せないほど追い詰められているなら、退職代行という手もあります。心や体を壊してまで守るべき職場はありません。自分を守る方法を先に持っておいてください。
- 薬学生・国試合格前ですが、薬剤師として働きたくない気がしています。
免許は取っておくことをおすすめします。免許があれば、企業・行政・治験など現場以外の道も選べます。現場が合うかどうかは、職場1つだけでは判断しにくいです。
「辞めたいわけじゃないけど、もっとのんびり働きたい」が本音なら、のんびり働ける薬剤師の職場の話も読んでみてください。
薬剤師として働きたくないときのまとめ|嫌なのは今の職場かもしれない
「薬剤師として働きたくない」という気持ちは、弱さでも甘えでもありません。休むか、何かを変えるかを考えるサインです。
眠れない・食べられない日が続くなら、まず休んで受診や相談を。そうでなければ、嫌なのが仕事か職場かを切り分けてください。僕の場合は職場でした。見学を断った自分の選び方を変えて、今は普通に働けています。
転職するかどうかは、あとで決めればいい。逃げ道を1本作っておくだけで、明日の調剤室の空気は少し変わります。






