薬剤師の勤務時間は、フルタイムなら1日8時間+休憩1時間が基本です。何時から何時になるかは資格ではなく、勤める職場の営業時間で決まります。
門前の調剤薬局は前のクリニックの診療時間に合わせた固定に近い勤務、ドラッグストアは早番・遅番のシフト、病院は日勤に当直や夜勤が加わる形がよくある型です。企業や本部はカレンダー通りの勤務が中心です。
統計で見ると、薬剤師の労働時間は所定内が月159時間、残業が月8時間です(令和6年賃金構造基本統計調査・6月分)。平均だけ見れば、長時間労働の職種ではありません。
ただ、職場ごとの差は大きいです。僕は28歳から2年、ドラッグストア併設の調剤薬局で月45時間ほど残業していました。いまは調剤薬局で管理薬剤師をしていて、スタッフのシフトを組む側にいます。
この記事では、職場ごとの勤務時間とシフトの型、土日休みの取りやすさ、求人票で勤務時間を確かめる方法をまとめます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
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「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師の勤務時間の基本は1日8時間・休憩1時間
まずは、どの職場にも共通する法律の線と、統計で見た平均の勤務時間を押さえます。自分の職場を比べる物差しになります。
所定労働時間と休憩のルール
労働基準法32条は、休憩を除いた労働時間を原則1日8時間・週40時間までとしています。34条では、8時間を超えて働かせるなら1時間以上の休憩が必要です。
なのでフルタイムの薬剤師は「実働8時間+休憩1時間=9時間」店にいるのが基準です。9時始まりなら18時終わりが、残業なしの形になります。
休憩中に電話番や窓口対応を任されているなら、その時間は休憩とは言いにくくなります。休憩の扱いは薬剤師の昼休みが45分しかないときの線引きで詳しく書いています。
10人未満の薬局は週44時間
小さな薬局の求人で「週44時間」と書かれているのを見たことがあるかもしれません。これは法律の特例です。
商業や保健衛生業で、常時10人未満の労働者を使う事業場は、週44時間まで働かせることができます(労働基準法施行規則25条の2)。1日8時間の上限は変わりません。
週5日×8時間に、土曜の半日4時間を足すと44時間です。門前の小さな薬局で「平日+土曜午前」の勤務が組めるのは、この枠があるからです。
統計で見る平均の勤務時間
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査の職種別の集計では、薬剤師の労働時間はこうなっています(6月分の1か月の数字です)。
| 企業規模 | 所定内 | 残業 |
|---|---|---|
| 全体(10人以上) | 159時間 | 8時間 |
| 1,000人以上 | 156時間 | 13時間 |
| 100〜999人 | 161時間 | 4時間 |
| 10〜99人 | 165時間 | 3時間 |
残業の平均は月8時間で、1日あたり20〜30分ほどです。大きい会社ほど残業が長く、小さい会社ほど所定内の時間が長いという差も出ています。
ただしこの表は企業の規模で分けた数字で、調剤・ドラッグストア・病院といった業態別ではありません。大手チェーンが多い規模で残業が長めに出ている、という読み方にとどめてください。
毎日の拘束時間から自分の月の残業を逆算したい人は、薬剤師の拘束時間が長い職場の特徴に早見表を置いています。
薬剤師の勤務時間は職場(業態)でこう違う
同じ8時間勤務でも、何時に始まって何時に終わるかは職場ごとに違います。決めているのは、店や病院が開いている時間です。
| 職場 | 時間帯を決めるもの | 勤務の型 | 土日 |
|---|---|---|---|
| 門前の調剤薬局 | 前の医院の診療時間 | 固定に近い | 休診日に連動 |
| DS併設の調剤 | 店の営業時間 | 早番・遅番 | シフトで出勤 |
| 病院 | 外来+入院の24時間 | 日勤+当直・夜勤 | 当番制が多い |
| 企業・本部 | 会社の就業規則 | 固定・フレックス | 休みが多い |
ここから、それぞれの中身を見ていきます。具体的な時刻はよくある形の例で、実際の勤務は求人票や面接で確かめてください。
調剤薬局は定時が見えやすい
門前の調剤薬局は、前のクリニックの診療時間に合わせて開きます。医院が18時に受付を閉めるなら、最後の処方せんを受けて片付けるまでが勤務です。
たとえば「平日8時45分〜18時30分・休憩あり、土曜は午前のみ」のような形です。土曜に出る代わりに、平日のどこかを休みか半休にして週の時間を合わせる形がよくあります。
残業が出やすいのは、医院の診療が押した日、月初のレセプト、在宅の訪問がある日です。前の医院が夕方以降も診療しているか、在宅をどれだけやっているかで、同じ調剤薬局でも帰る時刻はかなり変わります。
ドラッグストアは拘束が長い
ドラッグストアや併設の調剤は、夜まで開いている店が多いぶん、早番・遅番のシフトで回します。調剤の外に、OTCの接客・レジ・品出しまで仕事の幅が広いのも特徴です。
僕がいたDS併設のBは、週の半分が遅番でした。閉店後の品出しに付き合って、帰りが夜10時になる日もありました。残業は月45時間ほどで、統計の平均の5倍以上です。
夜まで開いている薬局には、患者さんの側にも夜間・休日の時間外加算という仕組みがあります。遅い時間の処方せんが途切れない背景として知っておくと、遅番の流れがつかみやすいです。
病院・企業の勤務時間の特徴
病院は外来の時間に合わせた日勤が基本です。入院患者さんがいるので、夜間や休日は当直・夜勤・オンコールの当番で薬剤部を回します。規模が小さい病院ほど、少ない人数で当番を回すことになります。
オンコール当番の日は、家にいても呼び出しに備えることになります。日勤の定時だけ見ると実態を読み違えます。当番の扱いは薬剤師のオンコールがきつい理由にまとめています。
製薬企業や薬局の本部などの企業勤務は、会社の就業規則どおりの固定勤務やフレックスが中心で、土日祝が休みの働き方が多いです。そのぶん求人の数は限られます。
薬剤師のシフトの型|早番・遅番と変形労働時間制
営業時間が8時間より長い職場は、1人では開いている時間を埋められません。そこで出てくるのがシフトと変形労働時間制です。
早番・遅番のシフト例
9時〜22時に開いている店を例にすると、こんな組み方になります。どちらも実働8時間・休憩1時間です。
| シフト | 時間の例 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| 早番 | 9:00〜18:00 | 開店準備・日中の調剤 |
| 遅番 | 13:00〜22:00 | 夕方の混雑・閉店作業 |
早番と遅番が重なる昼から夕方に、人手が一番厚くなります。遅番の週は朝がゆっくりな代わりに、夕食や寝る時間が後ろにずれます。
シフトが崩れるもう一つの原因が、他店舗への応援です。移動時間の扱いで拘束が一気に変わるので、応援(ヘルプ)を頼まれたときの確認点もあわせて見ておいてください。
変形労働時間制のしくみ
薬局やドラッグストアの求人でよく見るのが、1か月単位の変形労働時間制です(労働基準法32条の2)。
1か月以内の期間を平均して週40時間(10人未満の特例の職場は44時間)に収まれば、特定の日に8時間を超えるシフトを組める制度です。
「変形労働だから残業代は出ない」は誤解です。あらかじめシフトで決めた時間を超えて働いた分や、期間全体の枠を超えた分は時間外労働になります。制度の概要は厚生労働省の変形労働時間制のページにあります。
残業代が出ていないと感じたら、薬剤師の残業代が出ないときの線引きで、固定残業代との関係も確かめてみてください。
シフトを組む側が見ること
管理薬剤師になってから、僕はスタッフのシフトを組む側に回りました。組む側がまず考えるのは、開いている時間のどこにも薬剤師がいない穴を作らないことです。
そのうえで休憩が交代で回るか、在宅の訪問に出る人の穴を誰が埋めるかを見ていきます。ギリギリの人数だと、1人欠けた途端に誰かの休みか休憩が削られます。新人が辞めたとき、最初に消えるのは管理薬剤師の休みです。
だから勤務時間が守られるかどうかは、制度より開いている時間に対して薬剤師が何人いるかでほぼ決まります。職場を選ぶときに人数を聞いてほしいのは、このためです。
薬剤師の土日休み・休日の取り方は業態で決まる
勤務時間と同じくらい生活に効くのが、休みの曜日です。残業が少なくても土日が毎週出勤だと、家族や友人と予定が合いません。
法律が求める休日は、毎週1日か、4週間で4日です(労働基準法35条)。何曜日に休むかは職場が決めます。
- 門前:医院の休診日に休める
- DS:土日はシフトで出勤
- 病院:休日も当番がある
- 企業:土日祝が休みの形が多い
門前でも、前の医院が土曜の午前に診療していれば土曜は出勤です。日曜・祝日が休診なら、そこは休みになりやすいです。年間の休日数の見方は薬剤師の年間休日120日は十分かで、休みの間隔が空かない悩みは薬剤師の連勤がきついときで書いています。
焦る男性残業は少ないって聞いてたのに、土日が固定で出勤なんて…と入ってから気づくのが一番きついんですよね。
僕が経験した薬剤師の勤務時間の差(調剤A→DS併設B→現職D)
同じ一人の薬剤師でも、職場の型が変わると勤務時間はここまで変わる、という実例として書いておきます。
新卒・内科門前の調剤A
24歳で入ったのは、内科クリニックの門前の調剤薬局Aでした。医院の診療時間に合わせた勤務で、帰る時刻の見当がつく職場です。
4年いて、勤務時間で困った記憶はあまりありません。不満はむしろ、給料もスキルも頭打ちに見えたことでした。それが次の転職の動機になります。
DS併設B:月残業45時間
28歳で、年収550万円に惹かれてドラッグストア併設の調剤Bに移りました。調剤に加えてOTCの接客、レジ、品出しまで担当し、週の半分は遅番です。
閉店後の品出しで帰りが夜10時になる日があり、残業は月45時間ほど。法律が原則の上限としている水準です。
お金は増えたのに、使う時間も体力も残っていませんでした。暗い部屋で「俺、何のために年収上げたんだっけ」と思ったのを覚えています。



年収の数字だけで職場を選んで、時間で払うことになりました。僕のいちばんの失敗です。
現職・調剤薬局D
30歳で、職場見学をしてから決めたのが今の調剤薬局Dです。在宅対応があるので毎日定時とはいきませんが、DS時代より残業は減りました。
管理薬剤師になってからは、自分の調剤を止めて卸や本部の電話に走る日もあります。それでも娘の寝顔を見られる日が増えました。勤務時間は、給料の額とは別に生活を決めるものだと思っています。
薬剤師の勤務時間が長いか短いかの目安
自分の勤務時間が長いのか普通なのか迷ったら、2つの数字を並べると位置が見えます。
- 薬剤師の平均残業:月8時間
- 36協定の原則上限:月45時間
月8時間は、1日あたり20〜30分の残業です。毎日1時間残っているなら月20時間前後で、平均の2倍以上になります。毎日2時間なら月40時間前後で、原則の上限(労働基準法36条4項)が見えてきます。
月の残業を出すときは、朝の準備で早く来ている時間や、休めていない昼休みも数えてください。タイムカードの外にある時間ほど、体の疲れには効きます。
残業が多いぶん給料に反映されているかは、薬剤師の年収の記事とあわせて見ると、時間と給料の両方で位置が分かります。
薬剤師の勤務時間を求人票で見抜く方法
勤務時間で失敗しないためには、入る前の確認がほとんどです。ここは、求人票を信じて失敗した側と、求人票を出す側の両方から書きます。
求人票に書かれないこと
30歳のとき、DSを早く抜けたくて焦って調剤薬局Cに移り、2ヶ月で辞めました。あとで求人票を読み返すと、嘘は1行も書かれていませんでした。
書かれていなかったのは、常勤の薬剤師が何人いるか、欠員の補充か増員か、前任者がいつ辞めたかです。職場見学の提案を自分から断ったのも僕でした。騙されたのではなく、確かめなかったんです。
今は管理薬剤師として、欠員募集を出す側も経験しています。求人の文面を作るのは本部で、店から上げるのは欠員の理由、希望する勤務時間帯、常勤かパートかの3点だけでした。
上がってきた原稿を見て、うちの残業はこんなに少なくないと思ったことがあります。でも書き換える権限は店にありません。求人票の勤務時間は、現場が書いたものではないことが多いんです。
勤務時間を入社前に見抜くコツ
求人票の外にある情報は、面接や見学、紹介会社の担当を通じて聞くしかありません。勤務時間に関しては、次の順で確かめると漏れにくいです。
- 開局時間と前の医院の時間
- 早番・遅番の実際の時刻
- 常勤薬剤師の人数
- 固定残業代の時間数
- 土日の出勤回数
- 在宅の訪問の件数
見学に行けるなら、閉店や閉局の時刻の前後に誰が残っているかを見てください。一次面接をする立場から言うと、勤務時間を具体的に聞かれて嫌がる店は、それ自体が一つの答えです。見学で聞くことは転職前の薬局見学で質問することにまとめています。
薬剤師が勤務時間を変えたいときの選択肢
勤務時間の長さの多くは、営業時間と人数という職場の構造で決まっています。個人の工夫で縮められる幅は、正直あまり大きくありません。
それでも、いきなり辞める前に今の職場でできることはあります。シフトの偏りを相談する、固定残業代の時間数を確かめる、といったことです。やり方は薬剤師の残業を減らす方法に書いています。
職場を変えるなら、選べるのは次の3つです。
- 業態を変える(DS→門前など)
- 同じ業態で人数の多い店へ
- パートや派遣で時間を決める
僕は3回転職して2回失敗しています。勤務時間が短くなったのは、条件より職場の中身を先に確かめるようにしてからでした。定時で帰れる職場の現実は薬剤師は9時5時で帰れるかで書いています。
中小の調剤薬局や病院の求人を見たいなら、ファゲットは公式サイトでその分野を強みとして挙げている紹介会社です。僕自身は使っていませんが、勤務時間の実際や常勤の人数を担当に聞いてもらう使い方ができます。
派遣で働く時間を決めたい人には、派遣と転職の両方を扱うアプロ・ドットコムもあります。派遣の働き方そのものは派遣薬剤師のメリット・デメリットで確認してから動くと安心です。
ほかの紹介会社と比べて選びたい人は、比較記事から見てください。
薬剤師の勤務時間に関するよくある質問
- 薬剤師の勤務時間は何時から何時までですか?
-
職場の営業時間で決まるので、一つの答えはありません。門前の調剤薬局なら前の医院の診療時間に合わせた朝から夕方、ドラッグストアなら早番・遅番で朝から夜まで、が多い形です。どちらも実働8時間・休憩1時間が基本です。
- 薬剤師の平均残業はどれくらいですか?
-
令和6年賃金構造基本統計調査では、薬剤師の残業(超過実労働時間)は月8時間です。企業規模別では1,000人以上で月13時間、100〜999人で月4時間、10〜99人で月3時間でした。
- 一番勤務時間が長くなりやすい職場はどこですか?
-
僕が経験した中では、ドラッグストア併設の調剤でした。夜まで営業していて、調剤のほかにレジや品出しまで回ってくるからです。ただ同じ業態でも人数で差が大きいので、職場ごとに確かめるのが確実です。
- 週44時間の求人は違法ではないですか?
-
商業や保健衛生業で常時10人未満の職場は、法律の特例で週44時間まで働かせることができます。1日8時間の上限は変わりません。人数の多い職場なら週40時間が上限です。
- 変形労働時間制だと残業代は出ないんですか?
-
出ます。変形労働時間制は、期間を平均して週の上限に収める制度です。シフトで決めた時間を超えて働いた分や、期間全体の枠を超えた分は時間外労働になります。
- 当直や夜勤のない働き方を選べますか?
-
選べます。当直・夜勤・オンコールがあるのは主に病院です。調剤薬局や企業では基本的にありません。ただし24時間営業のドラッグストアなど、夜間の勤務がある店もあります。
- 土日休みの薬剤師になれますか?
-
業態を選べば可能です。土日休診の医院の門前薬局や、企業・本部の勤務は土日が休みになりやすいです。ドラッグストアや病院は、シフトや当番で土日に出る日があります。
- 時短勤務はできますか?
-
3歳未満の子を育てる人の短時間勤務は、育児・介護休業法23条で会社に用意が求められている制度です。正社員のまま時間を縮めるほか、パートや派遣で週3〜4日にする働き方もあります。雇用形態を変えるなら、社会保険の条件も一緒に確かめてください。
- 求人票の「残業少なめ」は信じていいですか?
-
それだけで決めるのはおすすめしません。求人の文面は本部が作ることが多く、店の実態とずれることがあります。平均の残業時間、固定残業代の時間数、常勤薬剤師の人数を具体的に聞いてください。
パートナーが薬剤師で帰りが遅い理由が気になる人は、薬剤師の彼氏が忙しい理由も参考になると思います。
薬剤師の勤務時間のまとめ
薬剤師の勤務時間は、1日8時間・休憩1時間が基本です。何時から何時か、土日に休めるかは、職場の営業時間と業態でほぼ決まります。
統計の平均残業は月8時間です。毎日1時間以上残っているなら、平均よりかなり長い職場にいます。
職場を変えるときは、求人票の勤務時間だけで決めず、シフトの実際の時刻と常勤の人数を確かめてください。僕が勤務時間で失敗したのも、立て直せたのも、そこを確かめたかどうかでした。
- 基本は8時間+休憩1時間
- 統計の平均残業は月8時間
- 時間帯は職場の営業時間次第
- DS・病院はシフト制が基本
- 土日休みは業態でほぼ決まる
- 求人票は書かれない所を聞く






