親の介護が始まりそうで、今の薬剤師の仕事と両立できるのか不安、という方は多いと思います。僕も管理薬剤師として働きながら、同僚が親の介護でシフトを削っていく姿を何度か見てきました。
先に言ってしまうと、薬剤師は介護と両立しやすい資格の部類だと思います。でも「今のままの働き方」で押し切ろうとすると、たぶんどこかで潰れます。
この記事では、両立できるのか・できないのか、辞めずに済む現実的な選択肢、使える制度、向かないケースまで、現役管理薬剤師の目線で正直に書いていきます。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収を480万円→610万円にアップ
- 人気薬剤師向け転職エージェント5社全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師は親の介護と仕事を両立できる?結論から
まず一番知りたいところに答えます。薬剤師は、職種としては介護と両立しやすいほうです。理由は3つあって、一つずつ見ていきます。
資格があるから働き方を選べる
薬剤師の一番の強みは、フルタイムを降りても食べていけることです。パートでも時給2,000〜3,000円クラスが珍しくなくて、週3勤務でもそれなりの収入になります。
介護のために「正社員→パート」と働き方を落としても、生活が一気に崩れにくい。これは他の職種だとなかなか難しいところで、資格職のありがたみだなと思います。
もちろん年収は下がります。でも「辞める」か「フルで続けて潰れる」かの二択じゃなく、間の選択肢を取れるのが大きいです。
求人が多くて職場を変えやすい
薬剤師は慢性的に人手が足りていて、求人の数自体が多いです。だから「家から近い」「シフトに融通が利く」といった条件で職場を選び直しやすい。
介護で大事なのは、いざという時にすぐ動ける距離と時間の余裕です。通勤に片道1時間かけていた人が、家から15分の薬局に移るだけでも全然違ってきます。
選択肢が多いというのは、それだけで精神的な逃げ場になるんですよね。
でも「今のまま」では両立できない
ここが正直なところです。両立しやすい職種ではあるけど、激務のフルタイムを維持したまま介護を背負うのは、ほぼ無理だと思っています。
残業が多い職場、急な呼び出しがある在宅対応、一人薬剤師で休めない店舗。こういう環境のまま介護が始まると、どこかで限界が来ます。両立できるかは「資格」より「どの職場で働くか」で決まる、というのが僕の実感です。
管理薬剤師たろうなので、辞めるかどうかより先に「働き方を変える」を考えるのが正解だと思います。
介護と両立しやすい薬剤師の働き方4つ
では具体的にどう働けばいいのか。介護の重さや家庭の状況で変わりますが、現実的な選択肢を4つ挙げます。一つずつ見ていきましょう。
パート薬剤師:曜日と時間を選ぶ
一番ベタですが、介護との相性は良いです。週3〜4日、午前だけ、みたいに勤務を組めるので、デイサービスの送り出しや通院の付き添いと合わせやすい。
難点は、急に「来週から週2にして」みたいな変更は嫌がられること。最初の面接で介護の事情をある程度伝えて、融通の利く職場を選んでおくのがコツです。
収入の目安は職場で差が出ます。時給や上げ方は薬剤師パートの時給相場の記事にまとめているので、気になる人は見てみてください。
派遣薬剤師:高時給で短期間
意外と介護向きなのが派遣です。時給3,000円前後と高めで、契約期間が決まっているので「介護が落ち着くまでの数ヶ月だけ」みたいな働き方ができます。
その代わり、契約が切れたら次を探す不安定さはあります。人間関係を深く作りにくいのも、人によっては逆にラクだったりします。
向き不向きがハッキリ分かれるので、派遣薬剤師のメリット・デメリットの記事で自分に合うか確かめてから動くのをおすすめします。
で、実際どんな案件が出ているかは登録しないと見えないのが正直つらいところです。僕が中身だけ覗いてみた話は派遣に強いファル・メイトの登録レビューに書きました。
時短勤務:正社員のまま続ける
正社員の身分を手放したくない人には時短という手があります。育児で使われるイメージが強いですが、介護を理由に時短にできる職場も増えてきました。
ボーナスや昇給を残したまま、勤務時間だけ削れるのが強み。ただ、制度があっても現場が回らず使いづらい職場もあるので、実態の確認は必須です。
制度があるかどうかより、「実際に使っている人がいるか」を面接で聞くのが見極めのポイントです。
職場を変える:負担の軽い業態へ
働き方の前に「どの業態か」も大事です。残業の多いドラッグストアや在宅メインの薬局は、急な呼び出しで予定が崩れやすい。
逆に処方箋枚数が落ち着いた門前薬局や、人員に余裕のある中規模店は休みを取りやすいです。同じ薬剤師でも職場でこんなに違うのか、と転職して初めてわかりました。
業態ごとの向き不向きは薬剤師の職場の選び方の記事で4業態を比べています。介護を見据えるなら一度読んでおくと判断がラクになります。
仕事を辞めずに使える介護の制度
働き方を変える前に、まず知っておきたいのが国の制度です。「介護=即退職」と思い込んでいる人が多いんですが、辞めなくても乗り切れる仕組みがあります。一つずつ見ていきましょう。
介護休業:通算93日休める
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分けて休める制度です。要介護状態の親がいれば、パートでも条件を満たせば取れます。
勘違いされがちですが、これは「自分が付きっきりで介護する」ための休みというより、ケアマネを探したり施設の段取りをつけたりする体制づくりの時間です。
休業中は雇用保険から介護休業給付金(賃金の約67%)が出るので、収入ゼロにはなりません。
介護休暇:年5日の単発休み
こっちは1日単位や時間単位で取れる短い休みです。対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日まで取れます。
通院の付き添いや、急な呼び出しに使いやすい。有給を消耗せずに済むので、地味だけどありがたい制度です。
申請の手続きはそこまで難しくありません。具体的な流れは下のFAQにまとめておきます。
介護休業・介護休暇の申請手順(クリックで開く)
- 親の要介護状態を確認する(要介護認定や医師の意見書があると話が早い)
- 勤務先の就業規則で介護休業・休暇の規定を確認する
- 休業は原則2週間前までに、書面で会社へ申し出る
- 休暇は当日の口頭申請でも認められるのが基本
- 給付金は会社経由でハローワークに申請する
制度があっても使えない職場もある
正直に書きますが、制度はあっても現場が使わせてくれない職場は存在します。一人薬剤師の店だと、代わりがいなくて休みようがない。
法律上は取れるはずでも、空気的に言い出せない職場もある。こういう環境なら、制度に期待するより職場ごと変えたほうが早いです。
休める人員体制かどうかは、職場見学で必ず確かめておきたいポイントになります。
同僚が介護で潰れかけた話と、僕が見てきたこと
制度や働き方の話だけだと薄っぺらいので、現場で見てきたことを書きます。きれいにまとまった話じゃないです。
前にいた職場で、お母さんの介護を抱えた40代後半の先輩がいました。最初は有給でやりくりしてたんですが、だんだん遅刻が増えて、ある朝バックヤードで「もう無理かも」とこぼしていたのを覚えています。声が完全に枯れていて、ああ眠れてないんだなとすぐわかりました。
その人は全部一人で抱えようとしていました。ケアマネに頼るとか施設のショートステイを使うとか、そういう選択肢を「親に悪い気がして」と最後まで避けていたんですよね。今思えば、あそこで誰かが「外に頼っていい」と言ってあげるべきだったのかもしれません。
結局その先輩は、半年くらいして週3のパートに切り替えました。年収は落ちたけど、表情が戻ったのを覚えています。「もっと早くこうすればよかった」と笑ってたけど、たぶん本人はずっと自分を責めてたと思います。
で、僕が言いたいのは、頑張りすぎる人ほど両立に失敗するということです。薬剤師ってまじめな人が多くて、仕事も介護も完璧にやろうとしちゃう。でもどっちも100点は無理なんですよね。
僕自身は娘がまだ2歳で、親の介護はこれからの世代です。でも妻と「いつか来るよね」という話はしていて、その時に身動きが取れる働き方でいたいな、とは思っています。…まあ、いざ来たら綺麗事じゃ済まないんだろうなとも思いますが。
両立に向かない人・おすすめできないケース
ここまで「両立できる」と書いてきましたが、正直に向かないケースも書いておきます。当てはまる人は、無理に両立を目指さないほうがいいかもしれません。一つずつ見ていきましょう。
全部一人で抱え込んでしまう人
さっきの先輩の話そのままですが、外部サービスに頼れない人は両立がきついです。介護は長期戦なので、一人で背負うと必ずどこかで折れます。
ケアマネや地域包括支援センターを早めに使うのが前提です。それができない性格なら、いっそ介護に専念する時期を作ったほうがいい場合もあります。
頼ることは甘えじゃない、というのは何度でも言いたいところです。
一人薬剤師・激務の職場にいる人
今いる職場が一人薬剤師だったり残業まみれだったりするなら、その場で両立しようとしないでください。代わりがいない職場で介護を背負うのは、ほぼ詰みます。
この場合は「両立できるか」より先に「職場を変えられるか」を考えるべきです。動くなら介護が本格化する前のほうが、余裕を持って探せます。
一人薬剤師のしんどさは一人薬剤師がきつい理由の記事に書いたので、思い当たる人は読んでみてください。
収入を一切下げられない人
住宅ローンや教育費で今の年収を1円も下げられない、という人も両立はシビアです。パートや時短にすると、どうしても収入は落ちます。
この場合は派遣で高時給を狙うとか、介護休業給付金を活用するとか、収入の落ち幅を抑える工夫が要ります。家計と相談しながら現実的な落とし所を探る感じです。
収入とのバランスは家庭ごとに正解が違うので、ここだけは数字でシミュレーションしておくのをおすすめします。
介護と両立できる職場の探し方
最後に、両立しやすい職場を見つけるコツです。求人票だけ見ても、休みやすさはわかりません。
大事なのは「人員に余裕があるか」「急な休みを取った人がいるか」を、面接や職場見学で確かめること。求人票のアットホームみたいな言葉は当てになりません。僕は焦って転職して、2ヶ月で辞めた失敗があるので、ここは強く言いたいところです。
とはいえ、介護の事情を抱えながら自力で職場を見極めるのは、けっこう骨が折れます。僕は転職で5社のエージェントを使いましたが、職場の雰囲気や休みやすさまで正直に教えてくれたところが、結局一番役に立ちました。
その中で僕が一番良かったのがそのエージェントでした。職場見学を必ずセットしてくれて、おかげで地雷職場を避けられたし、年収交渉まで代わりにやってくれた。介護で「休みやすさ」を重視したい人とは相性がいいと思います。
もちろん担当との相性もあるので、最初から1社に絞らず、2〜3社に登録して比べるのが安全です。合わない担当は遠慮なく変えてもらえばいいです。
他のエージェントとの比較や選び方は薬剤師転職エージェントおすすめの記事にまとめているので、慎重に選びたい人はそちらもどうぞ。
薬剤師の親の介護と仕事の両立に関するよくある質問
最後に、両立で多い疑問にまとめて答えておきます。
- 薬剤師は介護のために仕事を辞めるべきですか?
- いきなり辞めるのはおすすめしません。介護休業や時短、パートへの切り替えで乗り切れるケースが多いです。辞めると再就職で年収が下がることもあるので、まず働き方を変える方向で考えるのが安全です。
- パートでも介護休業は取れますか?
- 取れます。雇用期間などの条件を満たせばパートや派遣でも対象です。勤務先の就業規則を確認して、人事に相談してみてください。
- 介護でどのくらい年収は下がりますか?
- 働き方次第です。正社員から週3パートにすると年収はかなり落ちますが、派遣で高時給を選んだり時短で正社員を維持すれば落ち幅は抑えられます。家計と相談して落とし所を決めるのがいいです。
- 介護に向いている薬剤師の業態は?
- 処方箋枚数が落ち着いた門前薬局や、人員に余裕のある中規模の調剤薬局が休みを取りやすいです。逆にドラッグストアや一人薬剤師の店は急な休みが取りにくい傾向があります。
- 介護を理由に転職するのは不利になりますか?
- 薬剤師の転職では大きなマイナスになりにくいです。家庭の事情で勤務条件を変えたい、という動機はむしろ自然に受け止められます。正直に伝えて条件の合う職場を探すほうがうまくいきます。
- 在宅対応の薬局は介護と両立できますか?
- 急な訪問や呼び出しが入ることがあるので、介護とは噛み合いにくい場面があります。在宅メインの職場を選ぶなら、当番制やシフトの組み方を事前に確認しておくと安心です。
- 介護休業給付金はいくらもらえますか?
- 休業前の賃金のおよそ67%が雇用保険から支給されます。会社経由でハローワークに申請する流れなので、休業を申し出るときに合わせて相談してください。
- 遠距離介護でも仕事を続けられますか?
- 続けられますが、移動の負担が大きいです。介護休暇を通院や帰省に充てたり、ケアマネや訪問サービスを使って現地の体制を整えると、仕事との両立がしやすくなります。
- 介護でブランクができたら復職は難しいですか?
- 薬剤師は資格職なので、数年のブランクでも復職しやすいほうです。介護に専念する時期を作っても、戻ってこられる職種だと思って大丈夫です。
- 職場に介護のことを伝えるべきですか?
- 伝えておくほうが両立はラクです。事情を共有しておくと、急な休みやシフト調整に協力してもらいやすくなります。言いづらければ、まず直属の上司にだけでも話しておくといいです。
まとめ:薬剤師は親の介護と仕事を両立できる
薬剤師は、職種としては介護と両立しやすいほうです。でも今のフルタイム激務のままでは厳しい。働き方を変える前提で考えるのが、両立成功の分かれ目になります。
辞める前に、まず制度と職場選びを見直してみてください。一人で抱え込まず、外にも頼っていいんです。
- 薬剤師は両立しやすい職種
- 今の激務のままでは難しい
- パート・派遣・時短で調整
- 介護休業・休暇は辞めずに使える
- 休める人員体制の職場を選ぶ
- 抱え込まず外部に頼る
介護を見据えて職場を変えるなら、休みやすさまで教えてくれるエージェントを使うと失敗しにくいです。僕の体験を含めた選び方はエージェントおすすめの記事にまとめています。





