薬剤師1年目の辛さは、ほとんどが「業務量」「人間関係」「処方の意図」「患者対応」「私生活」の5つのどれかに分けられます。
覚える量が原因の辛さは、同じ作業を繰り返すうちに軽くなりやすいです。一方で、人間関係や教育体制が原因の辛さは、年数がたっても消えにくい。どちらなのかで、踏ん張るか動くかの答えが変わります。
胃痛や不眠など体に出ているなら、辞めるかどうかより先に受診や相談を優先してください。辞めると決めた場合も、期間の定めのない雇用なら民法上は申し入れから2週間で雇用が終わります。
書いているのは、新卒で地方の内科門前の調剤薬局に入り、いまは別の薬局で管理薬剤師をしている僕です。新人から「辞めたい」と相談される側、応募者の一次面接をする側の目線も入れています。
1年目の目標の立て方は薬剤師1年目の目標例、給料と手取りは薬剤師1年目の年収・手取りに分けて書きました。この記事は「辛さ」と「辞めるかの判断」に絞っています。
- 調剤4年→DS2年→調剤4年
- いまは管理薬剤師(34歳)
- 転職を3回経験し、うち2回は失敗。
- 3回目で年収480万→610万にアップ
- 人気転職エージェント5社を全部利用
「同じ失敗をしてほしくない」という思いで、薬剤師のリアルを本音で書いてます。
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薬剤師1年目が辛い5つのタイプ
辛さは人によって中身が違います。まず、自分がどれに一番近いかを確かめてください。複数に当てはまる人も多いです。
①業務量が多く覚えきれない
薬の名前、適応、相互作用、調剤の手順、レセコン操作。これを同時に覚えながら、処方箋を待たせずに回す必要があります。家に帰っても薬の名前が頭の中を回って、なかなか寝つけない。これがこのタイプの辛さです。
覚えきれない焦りは「ミスをしたらどうしよう」という怖さとセットになりがちです。すでにミスをして落ち込んでいるなら、調剤ミスをやらかして落ち込む薬剤師へに報告から立ち直りまでの順番をまとめています。
②人間関係:先輩怖い・薬局長と不和
鑑査で間違いを指摘されるときの言い方がきつい。質問しても「自分で考えて」と返される。雑談に入れず、休憩時間が息苦しい。新人が質問しにくい空気の職場は、仕事の中身以上に消耗します。
③処方の意図:医師の指示が読めない
「なぜこの薬がここに?」「なぜこの用量?」が読めない。先輩は当たり前のように疑義照会しているのに、自分は何を疑えばいいかすら分からない。これは知識不足というより、処方を見た数がまだ少ないことから来る辛さです。
④患者対応:クレーム・用語伝わらず
服薬指導で噛む、質問に答えられない、待ち時間のことで怒られる。実務実習で服薬指導を経験していても、毎日たくさんの患者さんに、専門用語を使わずに説明し続けるのは別物です。1年目がここで苦しむのは自然なことです。
⑤私生活消失:休日も仕事が頭に
休日に薬の本を開かないと不安になる。日曜の夜から月曜が怖い。人と会っていても仕事のことが頭をよぎる。仕事を覚えることに頭の容量をほぼ使い切っていて、休む余白が残っていない状態です。
タイプ別:薬剤師1年目が辛い時の対処法
①業務量:頻出処方から覚える
1年目で全部の薬を覚えるのは無理です。自分の店でよく出る処方30個ほどに絞って覚え、それ以外は調剤台のメモや添付文書を見ながらでいい、と割り切ってください。
門前の診療科によって、季節ごとに出る処方も入れ替わります。内科なら冬の感染症、春の花粉症といった具合です。1年目は毎月が初見に感じやすいので、覚えきれないのは能力の問題ではありません。
レセコン入力のやり方も同じで、一気に覚えようとすると詰まります。よく使う操作から順に手を慣らしていくのが近道です。
②人間関係:相談の順番を決める
厳しい先輩がいるのは、新人のせいではありません。自分を責めても状況は変わらないので、誰に相談するかを順番で決めておくと動きやすくなります。
- 教育担当の先輩
- 管理薬剤師(薬局長)
- エリア担当・本部の人事
- 社外の総合労働相談コーナー
複数の店舗がある会社なら、店舗の異動を相談する手もあります。ハラスメントに近い言動があるなら、日時と言われた内容をメモに残しておいてください。社外の窓口は、厚生労働省の総合労働相談コーナーで探せます。
指導している先輩の側も、自分の調剤を止めて教えているぶん消耗しています。教える側がなぜ疲れるのかを分解した記事を読むと、言い方がきつかった理由が少し見えるかもしれません。そもそも誰にも教えてもらえない状態なら、新人薬剤師が教えてもらえないのは放置かどうかの判定で店の体制から確かめてください。
③意図タイプは先輩になぜと聞く
処方の意図が読めないときは、手が空いたタイミングで「この処方、なぜこの組み合わせなんでしょう?」と聞いてください。聞いた1回ごとに、次に同じ処方を見たときの手がかりが1つ増えます。
医師への電話そのものが怖い人は、疑義照会が怖い・緊張する薬剤師へも参考にしてください。
④患者対応:説明の型を作る
高血圧、糖尿病、抗菌薬、痛み止めなど、よく出る場面の説明を自分用の型として10個ほど作り、何度も使ってください。型が口に馴染むと、患者さんの質問に意識を向ける余裕が出てきます。
場面ごとの例文は服薬指導の会話例、苦手意識そのものは患者対応が怖い薬剤師へにまとめています。
⑤考えない時間を意識してつくる
休日のうち半日は薬の本を開かない。仕事と関係のない人と会う。SNSの薬剤師アカウントを一時的にミュートする。こうして物理的に距離を取ってください。休めていない頭では、平日の覚えも悪くなります。
薬剤師1年目の「同期と比べて遅れてる」の正体
1年目の辛さを大きくしているのが、同期との比較です。
同期の進度は職場で違いすぎる
処方箋が1日数十枚の店と、100枚を超える店では、同じ1年目でも見る処方の数がまるで違います。教育の進め方も会社ごとにばらばらです。同期は同期の店のペースで進んでいるだけで、あなたの店と並べて比べることはできません。
SNSの同期は盛ってる前提で見る
SNSに流れてくるのは、うまくいった日の話が中心です。「もう疑義照会を任されている」という投稿も、店の規模や任され方はさまざまです。比べて落ち込むくらいなら、見る量を減らしてかまいません。
薬剤師1年目の辛さはいつまで続くか:原因で変わる
「あと何か月耐えれば楽になるのか」を知りたい人は多いと思います。ただ、これは辛さの原因によって答えが変わります。
- 業務量・処方の意図:慣れで軽くなる
- 患者対応:型ができると軽くなる
- 人間関係:年数では消えにくい
- 教育体制の欠如:年数では消えない
業務量や処方の読み方は、季節の処方をひと通り経験すると見通しが立ちやすくなります。逆に、人間関係や教育体制が原因なら、1年待っても同じ人・同じ体制が続きます。
「もう少し頑張れば」と自分に言い聞かせているなら、辛さの原因がどちら側なのかを先に確かめてください。後者なら、待つより相談や異動、転職の準備に時間を使ったほうが前に進めます。
薬剤師1年目が辞めるべきラインの見極め:身体症状と眠れなさ
1年目の辛さの多くは誰でも通るものです。ただ、我慢を続けないほうがいい一線もあります。
①身体症状:胃痛・頭痛・動悸が出る
出勤前に胃が痛む、通勤中に動悸がする、職場の駐車場で手が震える。こうした症状が2週間ほど続くなら、頑張りで越える段階を過ぎています。
1年目の話ではありませんが、僕も30歳で入った薬局を2ヶ月で辞めています。そのときは出勤前に胃がキリキリして、駐車場に車を停めたまま動けない朝がありました。体が先に止めに来ている状態でした。
②眠れない・食べられない
寝つけない、夜中に何度も目が覚める、食欲が落ちる。これも2週間ほど続いたら、辞めるかどうかを決める前に受診と相談を先にしてください。
国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトは、自己判断せず精神科・心療内科・かかりつけ医に相談するよう案内しています。職場に言いにくいなら、厚生労働省のこころの耳(相談窓口案内)で、働く人向けの電話・SNS・メール相談を探せます。
③明らかに違法な業務指示がある
残業代を払わずに残業させる(労働基準法第37条)。薬剤師でない人に調剤をさせる(薬剤師法第19条)。こうした指示が日常的にある職場は、1年目かどうかに関係なく離れる理由になります。
労働条件のことは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。指示された日時と内容は、メモに残しておいてください。
辞める前に辛さの中身を分ける
管理薬剤師になって2年目ごろ、新人から「辞めたいです」と相談されたことがあります。僕は自分の失敗歴もあって「逃げるのも選択肢だよ」と答え、その人は本当に辞めました。半年後に「元気です」とLINEが1通来たきりです。
あの助言が正しかったのか、今も分かりません。ただ、同じ相談をもう一度受けたら、辞めるかどうかの前に、辛さが上の5タイプのどれなのかを一緒に分けたいと思っています。業務量の辛さと人間関係の辛さでは、出すべき答えが違うからです。
辞めるなら「第二新卒」として動ける
1年目で辞めても、若手として採用を考えてくれる職場はあります。進め方は薬剤師の第二新卒転職の記事にまとめました。
薬剤師1年目で辞めるときの手順:試用期間と民法627条
「1年目で辞めるなんて許されるのか」「試用期間中でも辞められるのか」と不安な人向けに、法律上のルールと伝え方を整理します。
法律上は申し入れから2週間
民法第627条第1項では、期間の定めのない雇用は、いつでも解約を申し入れることができ、申し入れの日から2週間で終了するとされています。新卒の正社員は、多くがこの「期間の定めのない雇用」です。
試用期間中も雇用契約はすでに始まっています。試用期間だから辞められない、ということはありません。本採用されないと言われた側の対応は試用期間で本採用されないと言われたらにまとめています。
契約書と就業規則を先に見る
契約社員など期間を決めた雇用なら、民法第628条の「やむを得ない事由」の話になり、ルールが変わります。まず雇用契約書で「期間の定め」の有無を確かめてください。
就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」などと書いてある会社も多いです。揉めずに辞めたいなら、就業規則の期限に合わせて早めに伝えるのが無難です。
伝える順番と伝える時期
- 管理薬剤師に口頭で伝える
- 退職日を相談して決める
- 退職届を出す
- 引き継ぎと貸与物の返却
管理薬剤師の側から言うと、欠員が出ると本部に募集を上げてもらう必要があり、新しい人が来るまで時間がかかります。早く分かるほどシフトを組み直しやすいので、決めたら早めに伝えてもらえると助かります。
どうしても自分で言えない状態なら、退職代行という手段もあります。使ったあと店で何が進むかは薬剤師の退職代行と薬局の手続きに書きました。
薬剤師1年目の退職は面接でどう見えるか:面接する側の見方
僕はいまの薬局で、応募してきた薬剤師の一次面接を担当しています。その立場で言うと、在籍期間が短いこと自体より、「何が合わなかったか」と「次はそれをどう確かめるか」を聞きたいと考えています。
ここは僕自身の反省でもあります。2ヶ月で辞めた薬局のことを、長いあいだ「求人票に騙された」と人のせいにしていました。本当は、早く前の職場を抜けたくて、職場見学の提案を自分から断っていたんです。
だから1年目で辞める人には、前の職場の悪口ではなく、次の職場で何を確かめるかを話せるようにしておくのをおすすめします。求人票に書かれていないことの確かめ方は、転職前の薬局見学で質問することにまとめました。
薬剤師1年目で転職を考えるなら情報収集だけは早めに
辞めるかどうか決めきれない段階でも、外にどんな職場があるかを知っておくだけで、「ここしかない」という追い詰められた気持ちは少し軽くなります。
次の職場を探すなら、求人票だけでは分からない3つを確かめてください。常勤の薬剤師が何人いるか、今回の募集が欠員の補充か増員か、前任の人がいつ辞めたかです。
こうした内情は、エージェントを通して聞いてもらう方法もあります。今申し込めるところでは、公式サイトで中小の調剤薬局や病院の求人を強みに挙げているファゲットがあります。僕自身は使っていないので、ほかの会社との比較は下のランキング記事にまとめました。
登録する前に各社の違いを知りたい人は、比較記事から選んでください。
薬剤師1年目が辛い時のよくある質問
- 薬剤師1年目の辛さはいつまで続きますか?
原因によります。業務量や処方の読み方の辛さは、季節の処方をひと通り経験すると見通しが立ちやすくなります。人間関係や教育体制が原因の辛さは、年数では消えにくいです。どちらが原因かを先に見極めてください。
- 毎日辛くて仕事に行きたくないです。甘えでしょうか?
甘えではありません。1年目に「行きたくない」と思うのは珍しいことではないです。ただ、胃痛や不眠のような体のサインが2週間ほど続いているなら、頑張りで越える話ではないので、受診やこころの耳などの相談窓口を先に使ってください。
- 薬の名前が覚えられなくて辛いです。どうすれば?
1年目で全部覚えるのは無理です。自分の店でよく出る処方30個ほどに絞って覚え、ほかは調剤台のメモや添付文書を見ながらでいい、と割り切ると気持ちが軽くなります。
- 先輩が怖くて質問できません。
質問するのは1年目の仕事のうちです。聞きづらいなら一番話しやすい先輩を選ぶか、管理薬剤師に直接相談してください。質問すること自体を嫌がられる職場なら、問題は教育体制の側にあります。
- 1年目で辞めるのは早すぎますか?
「最低1年は」とよく言われますが、体に症状が出ている、違法な業務指示がある、という場合は別です。本当に無理なら数か月でも辞めてかまいません。僕も30歳で入った薬局を2ヶ月で辞めています。
- 試用期間中でも辞められますか?
辞められます。期間の定めのない雇用なら、民法第627条で申し入れから2週間で雇用が終わります。就業規則に「1か月前」などの定めがあることも多いので、揉めずに辞めたいなら先に就業規則を確認し、早めに伝えてください。
- 同期より遅れてる気がして焦ります。
進み方は店の処方箋の枚数や教育の進め方で大きく違うので、比べる意味はあまりありません。SNSの同期の話は、うまくいった日の話が中心だと思って見るくらいでちょうどいいです。
- 辞めたいけど、転職して経歴に響かないか不安です。
1年未満の退職は理由を聞かれますが、それだけで不採用が決まるわけではありません。一次面接をする立場から言うと、何が合わなかったかと、次はそれをどう確かめるかを話せるかを見ています。
- 転職してまた失敗しないか怖いです。
その不安は自然です。僕も転職3回のうち2回は失敗しています。3回目で変えたのは「条件より人間関係を優先する」「職場見学を必ず入れる」「担当に過去の失敗を正直に話す」の3つでした。
- 1年目でもエージェントに登録していいですか?
登録して大丈夫です。辞めると決めていなくても、情報収集だと最初に伝えれば、求人の様子を聞くことはできます。担当と合わなければ、変更を申し出てかまいません。
- 1年目で年収交渉してもいいですか?
交渉すること自体はかまいませんが、経験年数が短いと材料が少なく、大きく上げるのは難しいです。年収を上げたいなら、数年経験を積んでからの転職のほうが現実的です。
- 辞めるべきラインの見分け方を教えてください。
胃痛・頭痛・動悸などの体の症状や、不眠・食欲低下が2週間ほど続くかどうかが一つの目安です。これが出ているなら受診と相談を先に。残業代の不払いや、薬剤師でない人に調剤させるなどの違法な指示がある場合も、1年目かどうかに関係なく離れる理由になります。
薬剤師1年目が辛い時のまとめ:原因を分けてから決める
薬剤師1年目の辛さは、業務量・人間関係・処方の意図・患者対応・私生活の5タイプに分けると、打つ手が見えてきます。覚える量の辛さは慣れで軽くなりやすく、人間関係や教育体制の辛さは待っても消えにくい。この違いが、踏ん張るか動くかの分かれ目です。
体に症状が出ているなら、判断より先に受診と相談を。辞めると決めたら、雇用契約書と就業規則を確かめて、早めに管理薬剤師へ伝えてください。
関連記事として、1年目の目標は1年目の目標、1年目の年収は1年目の給料、人間関係の対処は人間関係がつらい薬剤師へもどうぞ。
次の職場を探し始めるなら、薬剤師転職エージェントのおすすめランキングに、今申し込める会社と、僕が転職で使ったエージェントの感想を分けて書いています。

